リコリスさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

リコリス

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PLAN 75(2022年製作の映画)

4.3

私も寝転んで片手を上げて見る。

「10年」を見ていたので、見る前から終わりが見える気がした。ちょうどNHKで藤子・F・不二雄SF短編ドラマをしていて「定年退食」の乾いた笑いが頭から抜けない。でも見た
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帰れない山(2022年製作の映画)

4.5

予告も原作も知らず、ただ「マーティン・エデン」の、あの彼が出ているのを映画館で知る。それが良かった。ひたすら物語に聴き惚れ見惚れた。その割に、自分の中に入り込むような瞑想系の力がある。

原作が傑作の
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不思議の国の数学者(2022年製作の映画)

4.3

最後まで予定調和・予測通りの物語だが、バッハのチェロ組曲プレリュードのように、こちらの毛羽立ち気味の心が整えられ、諦めた何かを始めたくなるような佳作。

最後の冤罪担任のくだりは、ちょっとご都合。それ
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Ryuichi Sakamoto: CODA(2017年製作の映画)

4.5

TV深夜。好きな映画が沢山出てくるから(私は熱烈教授ファンではなかったので…すみません)見入った。

モノを創る、音楽が造られるって、こういう過程なのだ、とシミジミ惹きつけられた。編集秀逸。ドキュメン
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仕掛人・藤枝梅安2(2023年製作の映画)

4.2

やはり映画館で! 夜の画面が暗いとことか(だって江戸時代ですよ)、人々の佇まいとか表情とか、室内しつらえとか、本気度が違う。

池波正太郎の大大ファンなので(しかも『剣客商売』などと比べ人間の業が重
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.5

最初に。これからの方はエンドロールの終わりまで、席を立ってはいけません。

クラークとステットも、ブルーノートも好きなので、原作は読まなかった。

音楽青春スポ根の印象だったせいもあるが、原作とかなり
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ハッピーフライト(2008年製作の映画)

4.5

乗り行機としては外せない映画。これを見るのは、ココロの旅行保険+航空機が出てくる映画の解説みたいなもので。

以前はグランドスタッフのエピソードや、整備士エピソードにウルッとしたけれど、こっちも働き続
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.0

期待値を上げ過ぎ、しかもアカデミー賞お墨付きになってしまい、アジア人の正しい評価まで背負い見てしまったので、あまり面白くなかった。

勿論、ミシェル・ヨーの素晴らしいカンフーアクションと受賞スピーチは
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Winny(2023年製作の映画)

4.5

前から楽しみに待っていた以上に面白く怖かった。

ITに弱い者としては、エンジニアの矜持が沁みた。最後の金子さん映像、自分の黄金の時間を他のエンジニアが将来取り戻すことを信じ、上告し無罪となる。その7
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別れる決心(2022年製作の映画)

4.3

最初に。シネコンで終わりなので焦る、だって頭に何かが染みついて、もう一度見たくて。韓国で熱狂ファンがいるのは分かる。

暴力シーンがないからといっても、パク・チャヌクはチャヌクだった。

殺人やら窃盗
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プリティ・ウーマン(1990年製作の映画)

4.0

何と言っても、大輪の花開くような、この頃のジュリア・ロバーツ。スターオーラ炸裂笑顔。

太古(笑)に見た頃と印象変わった。相変わらず見落とし、いや、人って見たいものしか見ていないのね。

ヴィヴィアン
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シャドウプレイ 完全版(2018年製作の映画)

4.7

凄い ! ロウ・イエ監督なら傑作間違い無し! 一分一秒、目が離せない。

「地獄とは他人のことだ」という言葉を思い出した。男女二組と娘、同世代の刑事の、因縁と愛慾憎悪の絡み合ったギリシア悲劇のような人
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エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

4.8

本当に素晴しい傑作です。

最後にヒラリーが映画を見る(「Life is state of mind」の、あの)シーン、フェリーニの「カビリアの夜」のオマージュ?

映画が生まれ成熟して、著名な監督
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アラビアンナイト 三千年の願い(2022年製作の映画)

4.2

タイトルが良くないなぁ。単純に3,000年の願い、3つの願い、で良いのにね。

願いを叶える魔人ジンが、物語研究者のアリシアに解き放たれ、自らを物語る。人間は困難や不条理を乗り越えるために物語るが、物
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プリシラ(1994年製作の映画)

4.5

共感出来る〜。ドラァグクイーンもオンナも何だかんだで昔も今も差別待遇なんてしょっちゅう。働くオンナに職場は辛いけど仕事が地域の目守ってくれる。都会と田舎の関係ね。

パラダイスに着いてもホントの私?
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劇場版 荒野に希望の灯をともす(2022年製作の映画)

4.8

NHKで長年ドキュメンタリーを見ていたが、その監督のお話を含めて劇場版。

監督の著作から言葉が語られ、また監督が人々の中で、一人で、語る。

堰が完成して用水が流れ始めた時の表情。用水路に遊ぶ少年
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非常宣言(2020年製作の映画)

4.6

大画面で見なきゃ。誰にでも推せる傑作航空パニックもの!と見せかけて、実はコロナ禍の時代の総括的に練られたヒューマニズム涙もの、という王道(70年代の「ポセイドンアドベンチャー」や「タワーリングインフェ>>続きを読む

ラストエンペラー(1987年製作の映画)

4.7

若い頃は何も見えてなかった。映像美と音楽は極上だがストーリーは単調…なんて、全然分かってなかった。

映画は史実とかなり異なる脚色だが(愛新覚羅 溥儀 氏は、後に名誉回復しているし)、これは、歴史の激
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英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2022/23 ロイヤル・オペラ「ラ・ボエーム」(2022年製作の映画)

4.0

2021/2022シーズン、初ラ・ボエーム。

何と言ってもミミ(泣)ペレスが初めてロドルフォに自己紹介するところで泣けてしまう。可憐で可哀想で。小さな世界で何とか生きてきた娘が、いっときの幸せを得て
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カンフースタントマン 龍虎武師(2021年製作の映画)

4.6

パンフ(と公式HP)は、凄い情報量で絶対買い❣❣お宝。配給会社の方々の愛と尊敬がひしひし。コレを手引きに見直さなきゃ、香港映画。

龍虎武師、のほうが しっくりくる、香港映画の最盛期を支えたスタントマ
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アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

4.3

映画にしか出来ない映画らしさってなんだ? を追求している点は凄い。また異質な存在が自らのアイデンティティを誇りを持って取り戻す、というテーマは尊い。女性の力強さを肯定してくれるところも。
だが、個人的
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群山:鵞鳥を咏う(2018年製作の映画)

4.8

また新しい好きな監督が増えた。ざっくり前半が郡山出来事、後半は郡山に往く きっかけ。

青年が尊敬するのが、朝鮮族で日本で獄死した、空と風と星の詩人・ユン・ドンジュ。「序詩」が出てくる。

主人公は詩
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英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2022/23 ロイヤル・オペラ 「蝶々夫人」(2022年製作の映画)

4.0

衣装、歴史や所作など専門家の意見を仰ぎ、徹底して似非オリエンタリズムを取りさったそう。

指揮者ルイゾッティ曰く指揮者こそ無力、音楽は楽譜の中にあり演者が引き出す。また音楽が良すぎるので、この話は悪人
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シスター 夏のわかれ道(2021年製作の映画)

4.2

見て良かった。女性なら特に見るべき。若干三十台の、エドワード・ヤン監督や是枝監督らに影響を受けたという女性監督作。

「在りし日の歌」もそうだった。社会制度が逆らえない圧としてあり、でも自分の人生を生
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ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

4.0

ボーズマンの死の追悼は勿論、哀しいストーリー。ブラックパンサーの喪失と復活以外は、何も前に進まない。資源を争う大国間で、小国が翻弄され、地域紛争となる。大国は一切、痛みを負わない。

「エターナルズ」
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.9

シュワッチがなくて、ピコンピコンもなくて、最後に人類みんなへの語りかけもなくて、さびしかった。

やはり、ウルトラマンは格好良い。何のために闘ってくれているのか、死はあるのか、などの疑問には美しく答え
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桜色の風が咲く(2022年製作の映画)

4.7

満開の桜がこちらにも見えてくる。見ているようで見ていない私たち。暫く感想が書けなかった。

もっと沢山の人たちに見て欲しい。テレビや本で福島教授を知っている人にも。先入観が打ちのめされるから。よく映画
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土を喰らう十二ヵ月(2022年製作の映画)

3.9

「ジュ〜リ〜!!」の樹木希林じゃなく(映画館でブロマイド売ってるの、初めて見た)、土井さんのファンなんで(あぁ、水上勉さんもね)いそいそ見に行く。

フリー・ジャズ的な音楽(コールマン意識とか)が自然
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窓辺にて(2022年製作の映画)

4.2

誰が好きかってルアの彼氏・水木くんと、サイの母君(シゲミ義理母)。

この二人以外は形而上学的なもの、人間関係や世間体、他者の目に囚われててモヤモヤしてる。

水木くんはカンガルーみたいなポケットから
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ナイト&デイ(2010年製作の映画)

4.2

付け足し2023、2月にインド・ボリウッド作のリメイクが「Bangbang!」として公開されるそうじゃないですか。絶対これ面白いし、ちょうどトム歴史低迷、キャメロン軽い女子から演技派過渡期なんで、イマ>>続きを読む

RRR(2022年製作の映画)

4.5

全編ほぼクライマックス連打、免疫力爆上がり、とは、このこと。3時間に南インド映画のキモ(テルグ語→トリウッド。多言語インドは、ボリウッド@ムンバイは、ウルドゥー語やヒンドゥー語。インダス文明・南インド>>続きを読む

ヘルムート・ニュートンと12人の女たち(2020年製作の映画)

4.0

見逃して、ずっと見たかった映画。覚え書き。

ヘルムートの写真を、時に人は差別的だとか批判するが、被写体だった女性達は否定する。むしろ自由な表現を称えたり、何より写真を撮られたことで女性性の肯定感、開
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家族の肖像(1974年製作の映画)

4.9

何回見たことか。豪華絢爛な映像が深い思想を脳髄に注ぎ込む、一瞬たりとも目がスクリーンから離せない大傑作。ヴィスコンティ伯の回顧録にして、老教授のローマのアパルトマンの一室だけで描かれるイタリア現代史>>続きを読む

ダウントン・アビー/新たなる時代へ(2022年製作の映画)

4.3

眼福、至福の時。上質で緻密な手の込んだ織物のように、細かく編まれた人物と会話と出来事。溜め息の出る屋内外の設えと調度品と衣装。こうゆうの、見たかったんだ…と温かい気持ちになると同時に、こんなに全ての人>>続きを読む

アバター:ジェームズ・キャメロン3Dリマスター(2022年製作の映画)

4.9

TVですら見る機会を逸してた「アバター」。泣きそう。映画が終わらないで欲しかった。

パンドラの不思議で美しい生態系と地形。動植物や祖先の霊と直接つながる能力。獲物に対しても死を悼む心。資源を求める利
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おみおくりの作法(2013年製作の映画)

4.4

ずっと昔に偶然、映画館で見て、邦画で再演だそうで覚え書き。

イギリス人の中流階級(下流に近い?)の日常が垣間見れる。薄いトースト、缶入りポークビーンズ、コーヒー(紅茶じゃなかったような…記憶曖昧)。
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