きょんちゃみさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000年製作の映画)

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【『ダンサー・イン・ザ・ダーク』について】
セルマがトレーラーハウスに住んでいたり札束を丸裸でもっていたりしたのは、移民で銀行口座が作りにくいとかそういう事情があったのかもしれない。では、なぜセルマは
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残穢 住んではいけない部屋(2016年製作の映画)

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【なぜ幽霊譚は不可解か】

「恨みを持って死んだ人はみな幽霊になってその場に残る可能性がある」と仮定する。その場合、恨みを持って死んだ縄文人の幽霊が目撃されるはずである。しかし、目撃された幽霊は多くの
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ファンタスティック Mr.FOX(2009年製作の映画)

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【個人的にマジで紛らわしい映画作家の名前たち】

①ポール・トーマス・アンダーソン
②ポール・ウィリアム・スコット・アンダーソン
③ポール・シュレイダー
④ポール・ヴァーホーベン
⑤ウェス・アンダーソ
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浅草キッド(2021年製作の映画)

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夢はすてたと 言わないで
他に道なき 2人なのに

ヴィジット(2015年製作の映画)

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狂った老人が怖いという感覚はこのあと『オールド』に受け継がれていくんですね。むかついた時に女性アーティストの名前を叫ぶタイラーがかわいかったです。心を閉ざしていたシングルマザーを子どもが癒していく(=>>続きを読む

シックス・センス(1999年製作の映画)

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この映画のポイントは、「幽霊騒ぎはコール少年の自作自演ではなく幽霊が実在した!(=観客は幽霊なんていないと思っているが本当はいる!)」ということではなく、「幽霊が見える少年が話している相手について、そ>>続きを読む

モンスターズ・ユニバーシティ(2013年製作の映画)

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大学で「カリグラフィー」の単位だけを取って大学を中退したあとで、相棒と起業し、大企業の社長にまで登り詰めていく男のストーリーでしたが、それは、スティーブ・ウォズニャックとスティーブ・ジョブズというふた>>続きを読む

エクソシスト(1973年製作の映画)

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キリスト教を馬鹿にした映画にも見えるでしょうが、最後のカラス神父の死に方はむしろ極めてキリスト教の本質を突いているように見えました。

ニューオーダー(2020年製作の映画)

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差別的な階層秩序をもつ社会を、貧困層が暴力的にぶっ壊そうとして反乱を起こすと、無秩序が生じて怖いぞ、という映画ではまったくなくて、逆に、その機会に乗じて権力者たちが無秩序を抑え込むための新秩序(=ニュ>>続きを読む

サイン(2002年製作の映画)

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【『サイン』について】

この映画、グラハムはなぜ神を信じなくなったのでしょうか。

おそらく神学的にはグラハムは次のような推論をしたのだと思います。

もしも「全知全能で、この世界で起きる全てをあら
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ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)

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【きらめきは目的のことではない】

この映画の原題はソウル。この映画で一番面白かったのは、「偉人は複雑なことを考えていて凡人は単純なことを考えている」という常識的な構図を否定して、「偉人は人生に目的が
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ドーナツ・ホール(2021年製作の映画)

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【ドーナツの穴について】
「ドーナツの穴には確かに何もないけど、穴がなかったらドーナツはドーナツじゃなくなっちゃう。だから穴っていう何もないものだって、やっぱり「ある」。ドイツの哲学者ハイデガーは、そ
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リトル・マーメイド(2023年製作の映画)

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【さっき観てきた感想】

私にはなんのことだかよく分からないのだが#NotMyArielというハッシュタグがあったらしい。「アリエルの肌が純白でないとは何ごとか」というような主張がしたいのだとは思う。
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100万回生きたねこ(2012年製作の映画)

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【この絵本に内在する4つの衝撃】

⑴自己だけが自己を愛しているだけでは自己愛が完成しない。

⑵良い子よりも悪ガキのほうがいい。

⑶愛された人は愛せる人になる。

⑷愛されなかった人は愛せない人に
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アメリカン・サイコ(2000年製作の映画)

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この映画は以下の4つのポイントに注意して見ると面白く見れる映画だと思います。

①パトリックが殺した死体は片付けられており、片付けられた理由は、その住居の管理人がその住居が事故物件となってしまい、資産
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ジョーカー(2019年製作の映画)

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【ジョーカーについて】

2021年8月6日に小田急線の快速急行車内で起きた無差別刺傷事件で10人が重軽傷を負ったあとで、2021年10月31日には京王線の特急電車内でジョーカーのコスプレをした男によ
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デッドプール(2016年製作の映画)

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【『デッドプール』の身体性について】

「あなたの性質がどうなってもあなたそのものは変わらないからそのあなたそのものを愛せるよ」と言うのが真の愛のように思いますが、それをよく表現していた映画でしたね。
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ロッキー(1976年製作の映画)

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【ロッキーについて】

金魚の名前がモビー・ディックなのは、ハーマン・メルヴィルの小説『白鯨Moby-Dick; or, The Whale』への言及なのだと思う。

「もし最終ラウンドが終わってゴン
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X エックス(2022年製作の映画)

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【愛について】
愛は、「実体と性質」の問題であると思う。そこで以下の二通りの考え方を書いてみる。一通り目は事実問題としての愛について考察し、二通り目では当為問題としての愛について考察する。

⑴.【
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

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動物には善悪の概念が実はないんじゃないかという話を聞いたことがあります。というのも、動物は生物進化上、生存に有利だったから、「人間から見た時に善悪を気にしているかのように見える行動をする」というだけで>>続きを読む

バグズ・ライフ(1998年製作の映画)

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【ナナフシはなぜ離島にも存在できるのか問題:進化は無目的かつ無方向である】

https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2018_05_2
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エリザベス:ゴールデン・エイジ(2007年製作の映画)

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⑴.【イングランドの一貫した傾向:利用できるものはなんでも利用する】

イングランドの歴史における「同じ構造の継続におけるモーダルな違い」をいくつか書く。そもそも「イギリス」というが、そんな国はなく、
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TITANE/チタン(2021年製作の映画)

4.6

【精神は物体と連続的なのか:私個人の考え】

『ザ・ブルード/怒りのメタファー』も好きだし、『ザ・フライ』も好きだが、この映画も好きであった。この映画は、人間的あるいは精神的な在り方(=感情)と、生命
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ジーザス・クライスト=スーパースター(2000年製作の映画)

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ニーチェが使う「この人をみよ」という言葉、これはそもそもはピラトがイエスを指して使った言葉だそうです。やはりニーチェはイエスのことが好きなのだろうな、と想像します。

さて、
https://yout
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教授と美女(1941年製作の映画)

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ロープを焼き切るシーンとか、ものすごくスリリングでしたよね。白黒映画なのに凄いとか、こんなに古い映画なのにすごいとかそういう話ではなくて、単純に現代の映画として公開されても勝てるくらいの技術だなと思う>>続きを読む

幕末太陽傳(1957年製作の映画)

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【いきの三徴表】

「運命によって『諦め』を得た『媚態』が『意気地』の自由に生きるのが「いき」である」(『「いき」の構造』九鬼周造全集第1巻81頁)

→「爪の先までカネで買われた女だよ」
→「騙しま
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ビッグ・ヒート/復讐は俺に任せろ(1953年製作の映画)

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【『復讐は俺に任せろ』について】

まずこの映画、復讐は結局、あまり「俺」には任せられてない。邦題が『復讐は俺に任せろ』だというだけで、むしろデビーという女の子が大半の復讐を請け負っていた。「あなたは
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宮澤賢治 -その愛-(1996年製作の映画)

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【永訣の朝】

けふのうちに
とほくへ いってしまふ わたくしの いもうとよ
みぞれがふって おもては へんに あかるいのだ
(あめゆじゅ とてちて けんじゃ:ミゾレを取ってきておくれ)

うすあかく
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

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ロトシックスって面白いですよね。ロトシックスは、1~43の数字の中から異なる6個の数字を選ぶ数字選択式宝くじのことだと思うんですけど、あれって、たとえばAさんが、(43×42×41×40×39×38)>>続きを読む

BLEACH(2018年製作の映画)

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【アランカルとヴァイザードについての私なりの考察】

アランカルと、ヴァイザードというふたつのあり方がある。

虚(ホロウ)が仮面を割ったことで破面(アランカル)となったのに対し、逆に仮面を被ることで
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ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)

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そもそもサーカスとか見せ物小屋って、それ自体として既に怖いですよね。というのも、サーカスとか見せ物小屋には100個くらい不思議なコトがあるとして、そのうちの97個くらいはタネも仕掛けもあると思うんです>>続きを読む

tick, tick...BOOM!:チック、チック…ブーン!(2021年製作の映画)

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本作では、金儲けだけが目当ての連中もたくさん描かれていましたが、そいつらではなくて、ソンドハイムやローザのような、長年その業界で生き残ってきた本当のプロが若手に与えてくれるアドバイスや励ましの言葉がど>>続きを読む

ランボー 最後の戦場(2008年製作の映画)

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「暴力ではなにも解決しない」のか、それとも逆に、「問題を解決するのは暴力だけ」なのか。どっちなのでしょう。当初はジョン・ランボーは後者寄りの立場だったのだと思いますが、実際の戦闘後の現実は、さらに誤算>>続きを読む

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

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スパイダーマンたちは、パラレルワールドのどの世界から連れてきても、そいつは愛する人を失っていることから、「川」という概念の定義から「流れる」という規定が引き出せるし、「物体」という概念の定義から「タテ>>続きを読む

エクス・マキナ(2015年製作の映画)

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チューリングテストというのは、そもそも、「機械かどうかわからないやつが提示されて、それが機械だということにどれだけ気づかれないか」を試すテストで、そのテストで試されているのは機械であり、そして機械だと>>続きを読む

ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(2022年製作の映画)

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そもそも人間になりたくない人が、少しずつ死ぬことの素晴らしさ(=有限性が諸価値の成立を可能にしていること)を理解していくことで、不死から可死となるプロセスが描かれていましたね。

木の精霊とクリケット
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