えすさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

えす

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AIR/エア(2023年製作の映画)

3.4

役者(親友)を信頼した、あの誠実な演説に賭けている事実に胸打たれる。「普通のアメリカ映画」という現代において貴重な感触。

The Son/息子(2022年製作の映画)

3.7

前作の技巧さは影を潜め、情報の取捨選択によって端正にサスペンスが演出されている。ゼン・マグラスのフレーム外での行動を示唆する僅かなカットがこの上なく不穏。無機質に稼働するドラム式洗濯機→フェンスに手を>>続きを読む

ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

3.5

ここしか考えられない的確なカメラ位置と、繊細な光量の変遷。精神的に不安定な状態の兄が、庭に穴を掘っている姿を捉えたショットのフレーム内フレームなど、ふとした細部にサスペンス性が付与されていて、劇的なこ>>続きを読む

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

3.3

良くも悪くも飛躍の無い端正な映画。主人公の不快な人物造形と、周囲のそれを煙たがる描写がやけに生々しくて的確。ドラッグ感覚で降霊術の真否を度外視した淀みない物語進行、幕引きのタイミングが潔く好感が持てる>>続きを読む

ヘルレイザー/ゲート・オブ・インフェルノ(2000年製作の映画)

3.2

殺人事件をなぞっていく悪夢的イメージの羅列、そのあまりの救いの無さには目を見張る。死体の凄惨さの割にイマイチな暴力描写のキレ味を終盤で増幅させる銃器の活躍に拍手。

炎のデス・ポリス(2021年製作の映画)

3.0

留置場でのダラダラした駆け引きには全くノレず。警官サイドの人物が殆ど印象に残らないんだけど、その分命が軽いのは美点。防弾ガラスの強度に賭けたサスペンスが素晴らしい。その砕け散る無数のガラス片を物ともし>>続きを読む

地球が静止する日(2008年製作の映画)

2.6

秀作揃いのデリクソンの中ではかなり微妙。宇宙人の肉体変容の過程は淡白で、薬液のすり替えは容易に成功する。細部のサスペンスが弱いので興味が持続しない。

スティルウォーター(2021年製作の映画)

3.8

捜査の停滞が擬似家族を形成させ、緩やかにジャンルを横断していく様が美しい。決してマット・デイモンを変容させるだけの装置として子供を描いてない。それでいて人物に寄り添い過ぎない適切な距離感に感動する。

ブラック・フォン(2022年製作の映画)

3.5

妹の予知夢がデリクソンの過去作における映像検証のような役割を担う。家の位置関係が、正面切り返しからの抱擁の為だったのかと思うほどの素晴らしさ。監禁パートが黒電話でやや定型的に進行するのが難点だけど、男>>続きを読む

カード・カウンター(2021年製作の映画)

3.6

カードゲームによるカタルシスは皆無。モーテルの家具を白い布で覆い、麻紐を巻き付けるなどの偏執的な行動が、凄惨な記憶を仄めかすように反復され、決定的な瞬間はフレーム外で処理される。あまりにも静謐でストイ>>続きを読む

ロスト・シティZ 失われた黄金都市(2016年製作の映画)

3.1

ダリウス・コンジの格調高いルック以上に胸を高鳴らせるものは正直無く、随所の停滞感が少々苦しい。流麗な繋ぎによって、密林という異界と日常が視覚的にも地続きとなり、その生死が混在した物語に相応しい鏡面を活>>続きを読む

黒い罠(1958年製作の映画)

4.2

完全無欠の傑作。カットを割らないこと自体は正直どうでも良くて、流麗なクレーンショットや時限爆弾によって映画的意義のある長回しになっているのが偉い。広角レンズと仰俯角への執着心が、凡庸さとはかけ離れたグ>>続きを読む

突然の花婿(1952年製作の映画)

3.8

僅か3ドルのスピード結婚式に始まる冒頭の多幸感も束の間、『僕の彼女はどこ?』を凌駕する毒親っぷりと、居候過多による凄まじい腹立たしさ。物理的にまで居場所が無くなるという。拝金主義的な思考様式に妨げられ>>続きを読む

ファンハウス/惨劇の館(1981年製作の映画)

4.0

フーパーの中でもベスト級に好き。『悪魔の沼』と違って、その過剰な色彩が舞台設定上適合している。回転するファン越しにエリザベス・べリッジが絶叫するショットが強烈。この為の青い衣装だったのかと思うほど、画>>続きを読む

悪魔の起源 ジン(2013年製作の映画)

3.3

真実で物語を引っ張ろうとせず、それを禍々しいイメージで紡いでいくフーパーの遺作。Jホラーを参照したであろう演出が幾つか有り、結構面白い。常軌を逸した濃霧の閉鎖性。霧のあちらとこちら、その境目にある恐怖>>続きを読む

秘密指令(恐怖時代)/秘密指令 The Black Book(1949年製作の映画)

4.0

仏革命直前のパリをジョン・オルトンの鮮烈なカメラがノワールの黒に染め上げる恐るべき傑作。断頭台に始まり、連なる顔貌のクローズアップがこの映画の暴力性を剥き出しにする。終盤では大胆に血飛沫まで。「黒い本>>続きを読む

ショックプルーフ(1949年製作の映画)

3.9

フラー脚本。唐突な飛び降りが見事だ。偽りの問診を見破ることでパトリシア・ナイトに「頭の切れる女」というイメージを定着させ、心理を読みづらくさせている。対して盲目の母親は黒髪である彼女の本質を見抜く。こ>>続きを読む

Cam Closer II(原題)(2023年製作の映画)

3.3

音響と一つレイヤーを付け加えるアイデアが秀逸。実体的な距離感を意識させるが故に最後はビビった。

Cam Closer(原題)(2013年製作の映画)

2.9

カメラを介した驚きがあと一手欲しいところ。”音“から入るオチが良い。

インシディアス 赤い扉(2023年製作の映画)

2.6

配信スルーは賢明と言える出来。まず前置きにこんな時間かけるのが信じられん。MRIなどの視界が限定された空間の活用には目を見張るが、家族のお話に終始しすぎていて、シリーズの美点である映像的なギミックに欠>>続きを読む

スポンティニアス・コンバッション/人体自然発火(1989年製作の映画)

3.7

フーパー作品における強烈な光が本作では放射能被害として映し出されるが、思想に囚われてなくてちゃんと面白い。電話越しの相手すら発火していく容赦なさ。口から火を吹くジョン・ランディス!後半の畳みかけがヤバ>>続きを読む

アルカトラズからの脱出(1979年製作の映画)

4.0

やはり脱獄モノはここまで「音」に鋭敏且つストイックであるべきだ。獄中の規則的生活の中で淡々と手順を見せる。打ち合わせを必要とせず、共同してスプーンを盗み出すような職人的な動作が全体のリズムを形成してい>>続きを読む

ターミネーター3(2003年製作の映画)

3.3

『ブレーキ・ダウン』が良かったので、恐らく小学生ぶりに再見。モストウのアクション演出が際立つ真っ当に面白い活劇だわ。

ブレーキ・ダウン(1997年製作の映画)

3.7

追跡/逃走をあらゆるシチュエーションで繰り返して90分間淀みなく面白い。序盤からダイナーを主軸に妻が失踪したことへの焦燥が募っていく。『激突』のような匿名性が無くとも、警官の無力さと、よそ者へ向けられ>>続きを読む

ソーシャル・ネットワーク(2010年製作の映画)

3.3

フィックス主体の静的な画面構成ながら、驚異的な台詞の応酬と時制の交錯によってテンションを持続させたフィンチャーの力作。この情報量の塩梅が絶妙。そして何よりクラブシーンの生々しい音圧。世界中の人々を繋げ>>続きを読む

マディのおしごと 恋の手ほどき始めます(2023年製作の映画)

3.6

丁度良いどころか普通に感動した。全裸でプロレス技をキメるジェニファー・ローレンスに感服。彼女はレッカーで拘束されアクセルをベタ踏みしても動き出せない。物理的な破壊を伴って互いに受容し合い、再生していく>>続きを読む

ホット・スポット(1991年製作の映画)

3.8

とにかく女優が魅力的に映る快作。高低差の位置関係によっても支配的に立ち回るヴァージニア・マドセン。対してジェニファー・コネリーには窓ガラスを介して色気と幻想性が纏わりつく。狭い田舎町にノワールの空気を>>続きを読む

ウォレスとグルミット、危機一髪!(1995年製作の映画)

3.6

安定に面白い活劇。ひつじ達のアクションが組織的で気持ち良すぎる。広大な夜の街が飛行機の疾走感を生み出す。

ゴースト・ハンターズ(1986年製作の映画)

3.3

景気付けの発砲で、砕けた石材が頭部に当たって気絶するカート・ラッセル。こういう馬鹿らしい事を金掛けて平然と連発するのだから、そりゃ面白い。愛すべき闇鍋映画。

ブロブ/宇宙からの不明物体(1988年製作の映画)

3.1

チャック・ラッセルの中では面白い方。スライム状という性質が閉鎖的な空間で活用され、死に様がしっかり気持ち悪くなるのが良い。あの小さな排水口から出てくるのではなく、引き摺り込むという強引さ。下水道への一>>続きを読む