子持ちのカイロレンさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

眠狂四郎 炎情剣(1965年製作の映画)

2.5

シリーズ第五作。全編とにかく玉緒玉緒玉緒、玉緒大暴れ篇。怒る玉緒、泣く玉緒、睨む玉緒、笑う玉緒。あらゆる陰謀の影に玉緒。三隅研次監督が再登板も、物語がややこしくほとんど理解出来ないうえに玉緒ファンでは>>続きを読む

眠狂四郎 女妖剣(1964年製作の映画)

4.0

 シリーズを救った大ヒットの四作目。女をシャブ漬けにして蹂躙する菊姫のビジュアルショック!その姫から次々派遣される刺客たち。川縁で出会った女が『インフェルノ…』と不吉に呟く…
 悪女勢揃いで見所に事欠
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眠狂四郎 円月斬り(1964年製作の映画)

3.5

 シリーズ第三作。某メンタリストみたいに貧乏人の命を何とも思わずただ試し斬りの相手にする外道を相手に、狂四郎の円月斬りが炸裂。荒涼とした建物、風景など力が入った大映美術が素晴らしい。燃える橋の上、足場>>続きを読む

眠狂四郎 勝負(1964年製作の映画)

3.5

試行錯誤の一作目を経て三隅研次の美学が詰まったシリーズ第二作。吉田広明さんの『映画監督 三隅研次』をガイドに鑑賞。狂四郎と朝比奈(加藤嘉)の同じサイズの切り返しから、二人の対照性・対称性に注目するあた>>続きを読む

眠狂四郎 殺法帖(1963年製作の映画)

2.5

市川雷蔵版の眠狂四郎シリーズ第一作。どうも緊張感のない殺陣、拳法の達人に見えない若山富三郎、美女設定の中村玉緒…これはなかなかしんどい。まだみんな台詞が板についておらず、作品のトーンも定まらない。監督>>続きを読む

ジェラルドのゲーム(2017年製作の映画)

4.5

 休暇を過ごしにやってきた別荘で、ジェラルド(ブルース・グリーンウッド)はマンネリ解消のために手錠プレイを妻ジェシー(カーラ・グギノ)に提案。しかし興奮したジェラルドはプレイ中に心臓発作で死亡。両手を>>続きを読む

アーミー・オブ・シーブズ(2021年製作の映画)

2.5

「アーミー・オブ・ザ・デッド」の前日譚、というより金庫破りキャラに焦点を絞った気楽に観れるスピンオフ。開かずの金庫の設定や、金庫破りの闇バトル大会など滑り出しの掴みが強くて期待したが、あまりに細部が雑>>続きを読む

待ち濡れた女(1987年製作の映画)

3.5

台風により行き場をなくした男女の、断ち切れない腐れ縁。曇天と雨天のみの撮影、リアル台風も味方につけた風景が閉塞感を煽る。女性心理に寄り添った作りで強引なラブシーンもなくロマンポルノを観ている気がしない>>続きを読む

団鬼六 〈黒い鬼火〉より 貴婦人縛り壷(1977年製作の映画)

4.5

ロマンポルノの、これは本当にエロいやつ。谷ナオミさん(思わず敬語になってしまう…)の体当たり演技が凄い。素っ裸で馬に乗せられ磔にされ嵐の中に放り込まれる。それを喜ぶ高木均(トトロの声優さん)。山奥に住>>続きを読む

妻三人 狂乱の夜(1972年製作の映画)

3.5

金持ちの一人息子を女三人が奪い合う、小沼勝監督作。DVDの裏面に『サスペンスポルノ』って書いてあるから恐る恐る観たら完全に騙された。思いっきりコメディじゃん!特に前半30分はすごく楽しい。変な先入観の>>続きを読む

アイス・ハーヴェスト 氷の収穫(2005年製作の映画)

3.5

ジョン・キューザックとビリー・ボブ共演の犯罪映画。監督がハロルド・ライミスということもあって笑いも交えテンポよく午後のロードショーに最適。脚本は「俺たちに明日はない」のロバート・ベントン。ストリップバ>>続きを読む

スコットという名の男(2021年製作の映画)

5.0

キッド・カディのドキュメンタリーがアマプラに!親友のシャイア・ラブーフから、大ファンだというティモシー・シャラメ、もちろんカニエも登場しカディの魅力を語る。ピッチフォークの点数やセールスだけじゃ表せな>>続きを読む

好色家族 狐と狸(1972年製作の映画)

3.5

余命宣告された母親の元に遺産目当てで集まる子どもたち。みんなろくでなしで互いのパートナーを取っ替え引っ替え大騒動。それを「私の子らしい」と笑って見守る母親。終始ハイテンションで人間の欲を全肯定してくれ>>続きを読む

官能教室 愛のテクニック(1972年製作の映画)

4.0

バレー部顧問に恋する男子生徒の性衝動。あがた森魚「赤色エレジー」をバックに童貞の妄想が溢れ、やがて爆発(文字通りフィアンセを爆破!!)する。脚本は「祭りの準備」の中島丈博。ヌーヴェルバーグの空気濃厚な>>続きを読む

車夫遊侠伝 喧嘩辰(1964年製作の映画)

5.0

 人力車の車夫、辰五郎(内田良平)が大阪駅で喧嘩をおっぱじめる冒頭から、たまたま後ろに乗せたヤクザの妾、喜美奴(桜町弘子)に一目惚れして結婚、そして離婚まで開始からたった30分!くらくらするようなスピ>>続きを読む

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

4.5

いろんな人がいろんなこと言うのでもう何が正解か分かんないんですが、一言で言うと「ザ・ロック」でした。なので次のボンドはケイジで決まり。
『ケイジ、ニコラス、、ケイジ』
みんなイケメンに期待するからがっ
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第七の予言(1988年製作の映画)

5.0

 例えばエメリッヒの映画でも、大惨事そのものより大惨事が起きる予兆の方が映画としては面白かったりするもので、「第七の予言」は延々とこの予兆だけが続くような、こういうのが好きな人には堪らない映画だと思う>>続きを読む

ノー・ウェイ・アウト(2021年製作の映画)

3.0

移民女性を主役にしたアメリカンドリームの裏側。撮影もホラー演出も手堅いが全体的に説明不足過ぎて分かりにくい。イマイチかなぁと思ってたら最後の最後で見たことないタイプの化け物登場。スロットでレア演出を引>>続きを読む

MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)

3.5

ユージーン・スミスという強烈なキャラクターをどこまで面白く描いていいのか、重い題材とのバランス感に終始迷っているような印象だった。骨組みはユージーンの復活劇として作られてるのに演出がそれを恥ずかしがっ>>続きを読む

アナザーラウンド(2020年製作の映画)

4.5

ちょっと不健全な人生讃歌で楽しい。一応飲み過ぎ注意の描写もあるがどうもそれは建前で、酒って楽しいよね!の本音の方ばっかりだだ漏れだった印象。タイトルは原題の「ドランク」でよかったんじゃないだろうか。マ>>続きを読む

日本侠客伝 刃(ドス)(1971年製作の映画)

4.5

 シリーズ最後の第11作。あれ、期待してなかったけどめちゃくちゃ面白い。舞台は明治時代の金沢。健さんが冒頭から郵便馬車をジャックして暴走。これまでと全く違う喧嘩バカな役で新鮮。マキノ映画の情緒は望むべ>>続きを読む

日本侠客伝 昇り龍(1970年製作の映画)

3.0

 監督が山下耕作に交代したシリーズ10作目。前作と同じく「花と龍」が原作。これ以前にも同原作を映画化した作品は5作あり、この後にも加藤泰が続く。どんだけ人気あるんだ「花と龍」。山下耕作監督はこれ以前に>>続きを読む

日本侠客伝 花と龍(1969年製作の映画)

4.0

 大団円を迎えたように見えたシリーズが「花と龍」の原作を借りて続行。現代を舞台に重い空気が漂っていた前作の反動か、時代を明治に遡り楽しいマキノ節が全開の第9作。過酷な労働環境の中逞しく生きる人々の応援>>続きを読む

日本侠客伝 絶縁状(1968年製作の映画)

4.5

 シリーズも8作目で現代篇に突入。高度経済成長の中で次第に居場所を失うヤクザたちを描くハードな作品。身をもっていなせな生き方を示す健さんの背中がいつもより大きい。これまでを総括するようで作りで、大きな>>続きを読む

日本侠客伝 斬り込み(1967年製作の映画)

4.0

 新宿を舞台にテキヤ稼業の抗争を描いたシリーズ第七作。寡黙な健さんがテキヤという、シュワちゃんが幼稚園の先生をやるのと同じくらいのミスマッチ感。なので現場仕事は早々に諦め、腕っ節の強さで自分の組を結成>>続きを読む

日本侠客伝 白刃の盃(1967年製作の映画)

3.5

 舞台を大正から昭和に移したシリーズ第六作。藤純子が忙しすぎて撮影日数が一日しかなく、急遽病院で寝たきりの設定にしたり、バタバタの舞台裏だっただろうが鈴木則文と中島貞夫の脚本とマキノ監督の流れるような>>続きを読む

日本侠客伝 雷門の決斗(1966年製作の映画)

5.0

 健さんが一枚看板になったシリーズ第五作。浅草の芝居小屋を舞台に、興行魂、芸人魂がスパークするシリーズ屈指の名篇。芝居小屋もプログラムピクチャーの作り手も同じ役者で違う話を演じ続ける擬似家族みたいなも>>続きを読む

日本侠客伝 血斗神田祭り(1966年製作の映画)

3.5

 シリーズ第四作。大正時代のいろんな職業を覗けるのもこのシリーズの楽しみで、今作は神田を舞台に消防団員たちの活躍が描かれる。といっても万引き犯を捕まえたり警察の補助的な役割が日常的な仕事。消えゆく昔気>>続きを読む

日本侠客伝 関東篇(1965年製作の映画)

4.5

 シリーズ第三作。関東大震災の翌年、臨時の魚河岸が作られた築地で、健さんは船に乗り遅れて行き場を失った少しドジな機関士役。前作同様、ヤクザ対ヤクザではなくヤクザ対カタギの怒り爆発篇。浪花篇と関東篇はそ>>続きを読む

日本侠客伝 浪花篇(1965年製作の映画)

3.5

 舞台を大阪に移したシリーズ第二作。横浜からやってきた健さんが、過酷な労働環境の中で搾取される仲士たちの為に立ち上がる。陽気で逞しい大阪人気質が描かれ、終始画面が賑やか。全体的に画面の人口密度が高く、>>続きを読む

日本侠客伝(1964年製作の映画)

5.0

 任侠映画の人気を決定付けた高倉健主演シリーズ全11作の記念すべき一作目。役者の動線や所作の美しさ、耳に心地いい台詞の掛け合いの楽しさ、オールスターキャストの見せ方。まさに娯楽映画の教科書。
 ゲスト
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ホワイト・ボイス(2018年製作の映画)

4.0

 金を稼いで高級ブランドの奴隷のようになってしまう黒人を『New Slave』と皮肉ったのはカニエ・ウエストだが、アパレルブランドとコラボしまくって『アメリカ史上最も裕福な黒人』になった矛盾だらけの(>>続きを読む

RUN/ラン(2020年製作の映画)

3.5

90分でタイトにまとめられた上質なサスペンスで、こんなんなんぼあってもいいですからね案件。タイプキャストなサラ・ポールソンは置いといてキーラ・アレンの頑張りは凄かった。チャガンティ監督、今作はあえての>>続きを読む

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結(2021年製作の映画)

4.5

ジェームズ・ガンがリミッター振り切った怪作。こんな狂った超大作はなかなかない。悪党大集合というより病みキャラ大集合な感じ。個人的にはポルカドットマンの活躍に心打たれた。絶対監督が一番肩入れしてるのは彼>>続きを読む

プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

5.0

復讐の過程に人間らしい揺らぎがあってそれが尚更辛かった。パリス・ヒルトンをアーティストとして認めて歌詞も覚えて一緒に歌ってあげられる男、そりゃ惚れるよ。コーネリアス聴いて、パリス・ヒルトンの流出ビデオ>>続きを読む

屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ(2019年製作の映画)

4.5

 たしか公開時に山下敦弘監督が絶賛してた気がするがそれも納得、「苦役列車」や「どんてん生活」に近い世界観とユーモア。完全再現されたフリッツの汚部屋や人生詰んだ飲み屋の客など、美術も出演者もみんな凄かっ>>続きを読む