原作本の作者アニー・エルノーが好きなので、どうしても原作の文章のタッチと比べて観てしまう。エルノーの文章は実体験をもとにして書いていると言われているが、感情的な部分を極力削ぎ落とし、非常に客観的にニュ>>続きを読む
チンピラ風のパンク・ロッカーと冴えない少女のボーイ・ミーツ・ガールものをインディーズ映画風に仕立てた作品で、最初のあたりは『バッファロー '66』を彷彿とさせ(アメフトに熱狂する親とか、モロそのもの、>>続きを読む
158分の長尺、そして冒頭の至極ゆっくりとした進み方から耐えられるか最初は不安だったが、中盤からサスペンス感が次第にじわじわと盛り上がり、ケイト・ブランシェットの圧倒的な演技もあり、結局時間的な長さを>>続きを読む
過去の作品と比べると、非常にゆっくりとしたテンポで進むうえ、ところどころでジュープの物語が挿入されるのでなかなか波に乗りづらいのと、「謎」の正体の仕立て方が古典的(弱点や回避・撃退方法)なのに拍子抜け>>続きを読む
このところ先の読めないストーリーの作品鑑賞が連続しているが、事前情報があまりないまま観たこの作品もそうで、鳥類学者フェルナンドが行く先々で受難に会い、次第に自身のアイデンティティを失っていく、という骨>>続きを読む
憑かれたようにデュピュー作品連続鑑賞。若さを追い求める2人の男女が、超自然的現象と科学技術という両極端な手段にそれぞれのめり込んでいく物語。マリーもジェラールも「性的」な若さを求めている(マリーはおそ>>続きを読む
カンタン・デュピュー作品鑑賞2作目。少し淡めの明るい映像がバカンス気分を盛り立てるなか、2人のおバカな男たちの奇妙なバカンスを描いた物語。突拍子もない出来事に出会いながら、動じることもなく臨機応変とい>>続きを読む
スチール写真を見て気になっていた作品をついに鑑賞。最初のチープなスプラッターシーンからもうおかしく、かつまったく予想のつかないストーリー展開にあっと言う間に時間が過ぎた(70分という短さもよい)。余韻>>続きを読む
スコリモフスキ監督が唯一涙したという『バルタザールどこへ行く』からヒントを得た作品だそうだが、『バルタザール』よりも、よりロバ EO を中心にした設定で、彼が行く先々で出会う人間たちはみんな脇役に徹し>>続きを読む
ストーリーもセリフも原作にかなり忠実な形で構築されており、監督も、撮影も、音楽も、キャストもほぼすべて好きな人たちで制作されているにもかかわらず、あまりにも残念すぎて観なければよかった・・と後悔するく>>続きを読む
『トップガン』を観ないまま鑑賞したが、ストーリーを追うにはまったく問題なく、非常にわかりやす〜い内容・・絶対悪から世界を救う任務、スポ根と化した訓練、無理にねじり込まれた恋愛、クライマックスで解ける過>>続きを読む
少女ものが観たくて、ずっと観ないままだったヴェンダース作品を鑑賞。まず主人公の男があまり好感を持てず、また彼の取る行動がいちいち気にさわる(途中で訪ねた元カノ?の言動に最も共感した)笑ので、最初からあ>>続きを読む
郊外の家で小さなバカンスを過ごすことになった少女のファンタジーを描いたものだが、先日観た『トムボーイ』に通ずるような自然で静かな空気が流れている。ジブリ映画の影響を受けたと監督は公言しているが、アニメ>>続きを読む
家人の大好きな映画、ということで恥ずかしながら今回一緒に初めて鑑賞。
脚本のところにジャン=クロード・カリエールの名前があったが、ブルジョワの家庭に起こる奇想天外な事件と登場人物たちそれぞれの奇妙な性>>続きを読む
この映画はまず映像を観るだけでも価値がある。荒涼としているが壮大で美しい島の風景と、そのなかで廃墟のような小さな家々で暮らす人間たちの対比、つましいながらも平穏に暮らす生活の絵、そしてなかばシュールじ>>続きを読む
ジェンダーについての問題を、非常に自然な形で、かつ繊細に描いた作品であり、説教くさくもなければ陳腐なメッセージ性もなく、それでいて作り手の優しさも感じられる美しい映画だった。中心となる問題の扱い方だけ>>続きを読む
このタイトルでこの設定なので、まったく期待せぬまま鑑賞していたが、予想以上に楽しく観られた。お国(ドイツ)柄といったらいいのか、アメリカ映画にない不器用な感じの作りが新鮮である。主人公が博士ということ>>続きを読む
たまたま意図せず『アダプテーション』と並行して観る形になったのだが、執筆に苦しむ脚本家とその脚本の内容が同時に描かれ、次第に繋がる、という構成が同じでびっくりした。もちろん雰囲気は大幅に異なり、こちら>>続きを読む
家人の希望で再鑑賞。ノンフィクションの本を映画に脚色するのに苦労する脚本家と、その脚本の内容が並行して描かれ、次第にその二つの世界が繋がっていくという物語で、前半は脚本家の起伏の乏しい日常が平板に語ら>>続きを読む
IMAXシアターにて鑑賞。デヴィッド・ボウイの生涯をさまざまな映像と音源で紡いだ作品。彼自身のライヴ映像や出演した映像だけでなく、『アンダルシアの犬』や『赤い靴』など、この作品の世界観を喚起させる映像>>続きを読む
近未来の「姥捨山」とでも言うべき物語で、もちろん現実には存在しない制度を描いたフィクションだが、過去に実際に起こった事件などを想起させるエピソードを交えながら、高齢化社会、安楽死の問題、貧困など現在の>>続きを読む
ついに昨年話題になったアケルマン監督代表作を鑑賞。ある主婦の3日間を淡々と撮したもので、毎日同じようなことを繰り返しているだけのように見え、2時間半以上も経った後にクライマックスが唐突にやってきて唖然>>続きを読む
ヒッチコックを観直したかったのと、アケルマン の『囚われの女』でたびたび引き合いに出されることもあり、代表作を再鑑賞。女が運転する車を車で追うシーンはもちろんのこと、2人で森の中を歩くなど明らかにアケ>>続きを読む
コンラッドの19世紀の小説を原作に、舞台を現代?に置き換えた作品。とにかく冒頭は画面の大半を覆う闇・夜・水面といった黒い映像に圧倒される。闇と光の対照は美しいのだが、そのせいで人物の顔や行動が判別しづ>>続きを読む
プルーストの『失われた時を求めて』の一章を現代的に脚色。男性が女性の後を追う冒頭のシーンから色彩と構図の美しいショットの連続で映像を見ているだけで幸せな気分になる。
恋人アリアーヌに同性の恋人の存在>>続きを読む
家人の希望で鑑賞したが、これもまたA24。最近手広くやってるなあと思いながら観始めたが、TVドラマと言われてもわからないような内容で、物語も映像も映画で撮る必然性が感じられないまま最後まで来てしまった>>続きを読む
アケルマン監督の長編デビュー作で、自室で独り(私)→手紙を書く((宛先の)あなた)→部屋を飛び出しヒッチハイクで出会うトラック運転手(彼)→訪れた先の(別れた恋人?の)女性(彼女)をめぐるスケッチ風の>>続きを読む
濃厚な映画が連続したので、アケルマン作品と並行して鑑賞。『コロンバス』のコゴナダがSF!というのもびっくりだが近未来の解釈が彼らしくてまずは背景描写を楽しむ。モダンだがクールすぎずあたたかみのあるデザ>>続きを読む
遅ればせながらシャンタル・アケルマン初鑑賞。まずは直線の際立つ構図のなかで静かに動く(もしくは動かない)人物たちを長々と映し出す美しいショットの連続に震えた。4Kリマスター版だからか色彩の調和もすばら>>続きを読む
IMAXシアターで鑑賞。事前情報をいくらか頭に入れていたものの、最初のパートはゴチャゴチャした感じで情報量も多くなかなか物語に入り込みづらかった。頭の中がだいぶ整理されてくるパート2あたりから次第に波>>続きを読む
いつものごとく監督のやりたい放題の映画だが、意外にもちゃんとした宗教映画にもなっていて、誰かの感想で挙げられていたようにルイス・ブニュエルを思い出させる内容だ。それだけでなく、冒頭の子供時代のエピソー>>続きを読む
コロナ禍以前に制作されたということで話題になった映画だが、『コンテイジョン』などパンデミック映画はすでに以前に作られているし、身動きできない状況下の人々を描いたものとしてはブニュエルが1966年に『皆>>続きを読む
再開発の対象となった古い団地に暮らす250匹(!)の猫たちを移動させるために奮闘するボランティアの人々のドキュメンタリー。「奮闘」とは書いたが、彼らの行動はじつに穏やかで、毎日の生活の一部のように猫に>>続きを読む
『猫たちのアパートメント』を観に行くにあたり、予習として鑑賞。『はちどり』を観てしまったあとで、この映画をはじめて観ると、少し古いスタイルに思えるが、この作品が20年前に制作されたということを忘れては>>続きを読む
このところ70-80年代を題材としたノスタルジックな青春映画をよく見かけるが、オゾン監督のこの作品も「ボーイ・ミーツ・ボーイ」の物語とはいえひと夏のほろ苦い恋愛物語である。ただしノスタルジックという点>>続きを読む
イケてない女子高生が、ある日才能を見出されてスターになり、天狗になって最悪のミスを犯してどん底に落とされ、やっと自分を見出す〜という今のとなっては既視感たっぷりのストーリーだが、イギリスの地方が舞台で>>続きを読む