「ある娼館の記憶」というように娼館そのものが生きて眼を持ち、娼婦たちを微睡みの中で眺めているような作品。退廃美の描写は痛ましいほど素晴らしく、この手の感覚が好きな人間には眼福という他ない。
一方で、『>>続きを読む
前半のスピーディーな展開とナンセンスな笑いが後半の逃れられない不吉の予感で塗りつぶされてゆく。事象の両義性を示唆されながらも坂を転がり落ちるような人々の行いにもたらされる結果は「罰」なのか?重いテーマ>>続きを読む
徹頭徹尾一つの隙もない台詞、構図、俳優陣(特にギャスパー・ウリエルの)まなざし、そしてラストの悲しいまでのカタルシス。よかれあしかれ、どのシーンでも光が人を内面奥深く照らし出す。家族についての一つの完>>続きを読む
乾いた死の感覚がちらつきながらも、いまだ終着点を見出せない生の湿り気が全体に満ちる。トランティニャン爺さんが少女に「(部屋に)入るか入らないか決めろ」というように、比喩もあれば実際のそれでもある生と死>>続きを読む
いい役者がこれだけ揃ってるのに(ヘルムート・バーガーまで!)勿体ないなぁ、と言うのが第一の印象。且つそれぞれのエピソードが不完全燃焼で、ラストへ上手く流れ込んでゆかない。それでも伝説のショーの再現は豪>>続きを読む
自分の中で「ジェーン・エア」といえばこの作品。オーソン・ウェルズほど呪われた運命を背負うロチェスターを体現できた俳優はまだいないと思う。バーナード・ハーマン(のちにヒッチコック作品の音楽を多く手がける>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
「L'autre monde!(あの世よ!)」と涙ぐむ少女のいたいけさは、花と水をもって報われる。美しい、他に言葉がない作品。
ゴダールの映す青は本当に美しい。対象に向けられる眼差しは透明と不透明のあいだの何かなんだけど、何と言ったらいいのか未だに分からない。
個人的にはトニー・ガトリフ最高傑作(か、『ガッジョ・ディーロ』と張るくらい)。ピロル・ユーネルにアーシア・アルジェント、アミラ・カサールという豪華な俳優陣も存分に良さを発揮している。衣装の色彩も印象に>>続きを読む
この作品以来ずっとファティ・アキンのファン。ピロル・ユーネルもこの作品で知った。
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ルイ・ガレル演じるやや甘ったれた男に訪れるビターな恋の結末。カカオ率がすごく高い、ベルベットのようなチョコレートを食べたらこんな気分かもしれない。パンフレットがそんな色だったからかもしれないが。
何度でも観たい名作。押し付けのない暖かさを持つって本当に貴重なことで、誰にでもできるものではない。まして映画にするなど。
すごく濃い内容なのに後を引かない。それはすごい事なんだけど、あと少しだけ生臭くてもよかった。いずれにしても後世に残る名作