chickenheartさんの映画レビュー・感想・評価

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僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46(2020年製作の映画)

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ここ最近映画に費やすエネルギーを欅に振っていた者としては、本当に鑑賞前は不安が大きかったのですが、率直によかったです。一歩間違えれば、「露悪趣味」に陥ってた(「シゴキ」を演出していた一時期のAKBのよ>>続きを読む

ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ(1998年製作の映画)

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面白えなあ…多分数学者が複雑で美しい数式を見るときの感覚ってこれなのかなとふとおもった。

スナッチ(2000年製作の映画)

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わたしの映画観を変えた作品の一つには間違いないが『ロックストック-』の補足感は拭えない、なんとも言えないポジションにあるように思える。『ロックストック』同様キャラクターたちのやらかした時の絶妙な表情に>>続きを読む

市民ケーン(1941年製作の映画)

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意味深なメッセージ(謎の遺言)から始まり、誰もそのメッセージに到達できずに無残に資本家が死んでいく。何かを考察すること自体の無意味さを突きつけてくるようだった。

ウィンター・オン・ファイヤー ウクライナ、自由への闘い(2015年製作の映画)

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2010年代に起こったこととはとても思えない。劇中運動の前線がほとんどを占めるが、もうすこし「体制側」でどういう思惑が錯綜していたかの情報が欲しいところ。

華氏 119(2018年製作の映画)

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民主主義が追い詰められるほど強くなるムーア。〈いま、ここ〉の現実に全振りした芸風は相変わらず。『華氏911』に並ぶ完成度だと思う。ただ〈映画〉としては評価が難しい。すごくよくできた〈政治動画〉という面>>続きを読む

ブラジル -消えゆく民主主義-(2019年製作の映画)

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〈民意〉や〈空気〉が〈自由〉と敵対する、近年のジャーナリズム的な課題をモノの見事に象徴する一編。中立的な、というか哲学的な思索は薄いものの、やはり今の世界情勢が異常なだけに映されている現実それ自体が面>>続きを読む

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)

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 ジャームッシュを長年追っかけてきた身としてはやはり引っかかるなあ、という感じがあった。事件性のなさを徹底的に肯定した『パターソン』と比較すると事件性のなさとパニック・エンタメとが不均衡になってなし崩>>続きを読む

13th 憲法修正第13条(2016年製作の映画)

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いくらなんでもプロパガンダに振り切りすぎじゃないか、と思ったりしたがここまでされると唸る。これからも物語とか劇の性質は先端化/二極化していくだろう。

ゴッドファーザーPART III(1990年製作の映画)

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個人的にⅠ>Ⅲ≧Ⅱという感じ。所属/ファミリーにアイデンティティを求めすぎてしまったんだろうね。

薄氷の殺人(2014年製作の映画)

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社会体制のおかげもあってか、ソ連のタルコフスキー映画にも似たハッキリとした作り手の意図を避ける傾向があった。政治性を検査されないように恋愛をフックにして社会の暗部に潜る構造になっている。謎の主要女性の>>続きを読む

籠の中の乙女(2009年製作の映画)

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〈人間味/物語性を抜いてもドラマは可能か〉という志向に関してはクリストファー・ノーランの近いものがあるが、こちらはひたすら悪趣味。人間から〈人間味を抜く〉というより〈動物にする〉というラジカルさ。この>>続きを読む

アトランティックス(2019年製作の映画)

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〈映像〉は強いが〈物語〉にはピンとこなかった感じ。男尊女卑/圧倒的経済格差という構造的な問題が出てくるが、映画として面白いかと問われるとどうかな。『ローマ』(2019)がそうだが歴史の影に隠れた存在を>>続きを読む

わんぱく王子の大蛇(おろち)退治(1963年製作の映画)

3.0

高畑勲-宮崎駿あたりにつながるキャラクターの「全身」が活動する絵作り。関心外の領域だったが古典のジュブナイル解釈が普通に上手い。

カリスマ(1999年製作の映画)

2.5

基本的には理解し難い。社会/脱社会を対立させて社会批判を成立させようとする意図は伝わったが…〈人間を逸脱した何か〉を撮らえることができていたので『散歩する侵略者』のような〈人間ではないエイリアン〉より>>続きを読む

ふたりのヌーヴェルヴァーグ ゴダールとトリュフォー(2010年製作の映画)

3.5

ただの昔話に終始するかと思いきや終幕が渋い。ゴダールにとっての現実/政治とトリュフォーにとっての虚構/文学。この本来混合されるべきものがそうならなかった記録だ。

デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!(2000年製作の映画)

4.5

『サマーウォーズ』が「親戚のおっさんを呼び出すインターネット」だとしたら、これは「見知らぬ誰かに手を貸すためのインターネット」。この頃の細田よ帰ってきてくれ…

地獄の黙示録・特別完全版(2001年製作の映画)

3.5

西洋文明がシステム/制度の外側でうける試練。西洋リベラリズム没落後の現在みるといろいろ感慨深い。ただ完全版だから言っても仕方ないがべらぼうに長い。音楽の使い方が神がかりなので多用してもよかった。

マイ・マザー(2009年製作の映画)

3.0

「10代だから許される奔放さ」と「10代にしては完成されすぎている」の緊張関係。「血縁」という原初的なコミュニティからの疎外感を浮き彫りにしている。この手のキザな映画にしては「感情」に素直だという印象>>続きを読む

スチームボーイ STEAMBOY(2003年製作の映画)

2.0

ヘタにジブリに寄せようとするとコケるケース(『星を追うこども』『バースデーワンダーランド』等)のひとつ。『AKIRA』で展開された肥大した工業社会/東京の言語に尽くしがたい〈ヤバさ〉が脱臭されミニマム>>続きを読む

アキラ AKIRA(1988年製作の映画)

4.5

「欧米に受けそうアニメ」の金字塔。平成を経てより一層「欲望で肥大した東京」はグロテスクになりつつあるように思う。とりあえず永久保存ものでしょう。ただ大友アニメに的を絞るとAKIRA以外はそこまで目立っ>>続きを読む

天国はまだ遠い(2015年製作の映画)

4.0

73点*ハッキリ言えば(最近の)黒沢清や(こけた時の)是枝裕和にはないアドバンテージがあったように思う。それは幕開けの際の状況説明が(この手の作家にしては)気持ちいいテンポだったことに起因すると思う。>>続きを読む

母なる証明(2009年製作の映画)

4.0

74点*全体として荒削りだが、前半部分のモチーフの掴み方が神がかっていると言わざるを得ない。アジア的な、マザー・コンプレックス-母系社会の歪みに輪郭を与えている。物語はその歪みを与えながら、小さく閉じ>>続きを読む

散歩する侵略者(2017年製作の映画)

2.0

39点*〈侵略者〉のイメージが致命的に不明瞭。黒沢のオフザケ演出は好きだが、物語の欠落が目立つ。この時期にこの手の「滑稽なパニックもの」をやるとなると『シン・ゴジラ』(16)を意識しなければならないは>>続きを読む

ビースト・オブ・ノー・ネーション(2015年製作の映画)

2.0

36点*おそらく何かの下敷きがあるのだろうが、本作はフィクションらしい。一定の表現水準は満たしていたとは感じた。しかしどこかのレビューに「ここにあるのは大人の考えた少年兵」とあったけれど、正にそれを思>>続きを読む

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.0

‪84点*上流-準下流-下流の三つからなる集団を絡み合わせ、綺麗なドミノ倒しを完成させた。近年の格差もののなかでも抜群の構成力である。ただ終盤の「待ってろよ父さん」の下りは「丁寧なバント送り」感があっ>>続きを読む

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン(2002年製作の映画)

5.0

‪88点*嘘をつく/フィクションを作る、という事の価値を見事中立的に提示した。極めて物語論的な映画だ。法の外にいるディカプリオは究極の強欲/自我と同時に、真理にも近づいていた。‬正直スピルバーグは芝居>>続きを読む

ドラゴンヘッド(2003年製作の映画)

1.0

5点* ‪セカイ系感傷メンタル+悲鳴の安売り+実写化事故ーという悪魔合体。〈ヤバイ事態が起こっている〉と認識した登場人物たちは〈ヤバイ〉とは思っているが、何もしない。「何もなさによる怠慢」(がもたらす>>続きを読む

マネー・ショート 華麗なる大逆転(2016年製作の映画)

3.0

‪66点*観る行動経済学。破産へと繋がる些細な揉め事の連鎖をなんとか絵になる様努めていた。気持ちいい画面操作もあったが、質の良いNHKドキュメント番組という感じに収まっている。取り扱っている題材は欧米>>続きを読む

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(2014年製作の映画)

3.0

70点*世紀の工学者の、下半身事情による悲劇。機械を誰よりも理解していたチューリングだが、それ故に人間を理解することを拒んだ。一見冷たい数字の世界が反転して泥臭い人情劇に転ずる。色々と地味ではあるが、>>続きを読む

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)

4.0

‪79点*暴投球なので手放しで褒めたくはないが、強烈な一手。丁寧な作りの映画が終盤突如として現れる〈現実〉に吹き飛ばされる。映画が現実/政治に喰われるか、喰われないか、今後のフィクション界を見守る上で>>続きを読む

BLAME!(ブラム)(2017年製作の映画)

3.7

73点:〈都市の退行〉がかなり鋭利に表現されていた。瀬下CGもの特有の「ゲームのムービー画面」感がもろに出ていたが、『levius』のように中途半端にならず、純粋な廃墟で攻めたのが功に転じた。

運び屋(2018年製作の映画)

3.8

【72点】スマホばっかやらないでたまには寄り道しろよ、という保守おじさんのボヤキ。ただそのボヤキにも限界が来るという認識を隠さないのはさすが。

スリ(掏摸)(1959年製作の映画)

3.5

‪ Y・ランティモス-セレクション/6◼︎この手の文芸作品によくある心理主義と窃盗ゲームというエンタメ的な意匠(反心理的な欲望)とを掛け合わせている。異なるもの同士をぶつける動力はある。最終的に後者に>>続きを読む

A2(2001年製作の映画)

4.3

‪ 宮台真司『絶望・断念・福音・映画』関連作品群/5◼︎和解と対立を執拗に反復している点で前作と比べて深度が深い。反復すればするほど、終盤森が信者に問う「取り返しのつかなさ」が時代への鋭い感度を帯びる>>続きを読む

キング(2019年製作の映画)

3.7

‪そこそこの佳作である。しかし確実に半分くらいはシャラメのアイドル映画の感。あの中性的なシャラメの顔へ無慈悲に鮮血や泥が飛んでくる。シャラメ的な非力/中性的な存在に無理やり王政/力を授けることで独特の>>続きを読む

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