愛鳥家ハチさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

愛鳥家ハチ

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アシク・ケリブ(1988年製作の映画)

3.8

セルゲイ・パラジャーノフ監督の遺作。慕い合う恋人マグリとの結婚のため、千の夜の旅に出る吟遊詩人アシク・ケリブの物語。婚資金の代わりに花弁を用意するケリブはいかにも詩的で、マシンガンを撃ち鳴らし祝砲とす>>続きを読む

スラム砦の伝説(1984年製作の映画)

4.1

パラジャーノフ監督作品。砦の人柱となったある若者の自己犠牲の物語で、ジョージアに伝わる民話が下敷きとなっています。『ザクロの色』のような映像読解の難解さは薄れ、ストーリーラインも比較的明瞭であり、飲み>>続きを読む

ざくろの色(1971年製作の映画)

3.9

セルゲイ・パラジャーノフ監督による、実在した詩人サヤト・ノヴァの生涯をモチーフにした作品。サヤト・ノヴァ(1712年-1795年)は、ティフリス出身の吟遊詩人であり、恋愛の詩が著名とされています(注1>>続きを読む

火の馬(1964年製作の映画)

3.8

セルゲイ・パラジャーノフ監督作品。家同士のいさかいを超えて幼なじみの男女が想い合う物語。本作は、ウクライナ人作家のミハイル・コチュビンスキー(1864-1913)による小説である"Shadows of>>続きを読む

性別が、ない!インターセックス漫画家のクィアな日々(2018年製作の映画)

3.5

漫画家の新井祥と同じく漫画家でパートナーの"こうくん"を追ったLGBTQが主題のドキュメンタリー作品。新井氏は30歳まで女性として生活していたところ、染色体検査でいわゆる半陰陽と診断されて以来、セクシ>>続きを読む

ヘルボーイ(2004年製作の映画)

3.1

ギレルモ・デル・トロ監督作品。異世界から転送されてきたヘルボーイが悪の怪物と戦うダークヒーロー・アクション作品。ロン・パールマン演ずるダンディーな主人公のヘルボーイは、岩石のような屈強な身体と折り取ら>>続きを読む

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017年製作の映画)

3.3

フロリダのディズニー・ワールドに隣接するモーテルに住む母子の生活の"悲喜こもごも"を描いた作品。格安モーテルから逃れることのできないシングル世帯に焦点を当てた内容であるだけに、大変気持ちの重くなる作品>>続きを読む

イエスマン “YES”は人生のパスワード(2008年製作の映画)

3.4

ジムキャリー主演、山寺宏一吹替えにて鑑賞。『マスク』を筆頭に、ジムキャリー作品は字幕ではなく山ちゃんの吹替がとにかく至高ですね。ストーリーとしては、人を避け、あらゆる誘いに"No"を連発することが習慣>>続きを読む

コンテイジョン(2011年製作の映画)

3.8

スティーブン・ソダーバーグ監督作品。『コンテイジョン(Contagion)』とは、接触感染や伝染病を意味する言葉で、タイトルから想像される通り、本作はウイルス性の感染症に世界が翻弄される様を描くディザ>>続きを読む

翔んで埼玉(2018年製作の映画)

3.1

関東ローカルの小ネタをこれでもかと詰め込んだコメディ作品。魔夜峰央の漫画『翔んで埼玉』の実写化映画ということで、原作読了済みの状態で鑑賞。世界観はもちろんのこと、Gackt、二階堂ふみ、京本政樹を筆頭>>続きを読む

ジュディ 虹の彼方に(2019年製作の映画)

4.1

青山シアターのオンライン試写会にて鑑賞。ショービジネスの世界に翻弄されながらも、舞台の上に確かな居場所を見出した名優ジュディ・ガーランドの伝記映画。本作での演技が高く評価され、レネー・ゼルウィガーは第>>続きを読む

トップガン(1986年製作の映画)

3.5

トム・クルーズの出世作。精鋭の集う航空戦訓練学校である通称"トップガン"を舞台とした航空アクション・ラブロマンス映画。本作公開後はアメリカ海軍への志願者が劇的に増加し(注1)、日本でも本作に憧れて戦闘>>続きを読む

サタデー・ナイト・フィーバー(1977年製作の映画)

3.3

ジョン・トラボルタの出世作。1977年の作品。ダンスが生きがいの青年・トニーが、家族や友人との関係に葛藤を抱えつつも、ディスコでの出会いに触発され新たな生き方に目覚めていく物語。映画と洋楽が融合し、爆>>続きを読む

愛国者に気をつけろ!鈴木邦男(2019年製作の映画)

3.0

かつて右翼活動家として辣腕を振るい、今日では左右問わずあらゆる人々と対話を重ねている鈴木邦男氏に密着したドキュメンタリー映画。私自身取り立てて政治思想というものを持ち合わせておりませんので、ニュートラ>>続きを読む

デンマークの息子(2019年製作の映画)

3.7

北欧映画祭「トーキョーノーザンライツフェスティバル2020」にて鑑賞。2025年のデンマークを舞台とし、移民排斥を謳う勢力とそれに反発する移民サイドとの緊張関係を軸に進む政治サスペンス。ウラー・サリム>>続きを読む

スピリッツ・オブ・ジ・エア(1988年製作の映画)

4.5

アレックス・プロヤス監督による初の長編作品。空を飛ぶことを夢見る兄と、父の遺した土地に残り続けることを願う妹。この兄妹の住まう荒野の一軒家に、北方を目指す男が辿り着くことで生じる出来事を描く物語。美術>>続きを読む

淪落の人/みじめな人(2018年製作の映画)

4.0

『インファナル・アフェア』にてウォン警視を演じ、"あきお"の愛称で知られるアンソニー・ウォン(黄秋生)が主演のヒューマンドラマ。事故の影響で半身不随となってしまった男性と、住み込みで介護を行うホームヘ>>続きを読む

プロジェクト・グーテンベルク 贋札王(2018年製作の映画)

4.0

チョウ・ユンファ×アーロン・クォックのダブル主演作品。"見た通り模写すること"に長けた無名画家のレイが、贋札作成を家業とする通称"画家"に見出され、国際犯罪の渦中に取り込まれていく物語。本作の脚本を兼>>続きを読む

ボーダー 二つの世界(2018年製作の映画)

3.8

イラン出身・デンマーク在住のアリー・アッバーシー監督作品。鋭敏な嗅覚を持つ税関職員のティーナが旅行者のヴォーレと出会い、本当の自分に目覚める物語。R-18指定よろしくかなり生々しい表現が登場しますが、>>続きを読む

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.0

タイカ・ワイティティ監督作品。ナチスを盲目的に信奉する10歳の少年ジョジョと、彼の空想の友人であるヒトラーとの対話を軸に織りなされるコメディ・ヒューマンドラマ。コメディとはいってもお腹がよじれる類のも>>続きを読む

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

ポン・ジュノ監督作品。富裕層の家庭に貧困層の家族が入り込むことで生じる騒動を描く物語。『借り暮らしのアリエッティ』ならぬ"借り暮らしのソン・ガンホ"の熱演が輝く本作は、矢継ぎ早に巻き起こる事件の連鎖が>>続きを読む

さよならテレビ(2019年製作の映画)

3.5

東海テレビが自社の報道部の内情を開示したドキュメンタリー映画。取材対象を追い回す報道局が一転取材対象となり、カメラにつけ狙われるという"反転した構図"が興味深い作品です。内情を公に出来ない領域に飛び込>>続きを読む

彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールド(2018年製作の映画)

3.8

ピーター・ジャクソン監督作品。第一次世界大戦時の記録映像に着色を施し、退役軍人等のインタビュー音源を重ねた戦争ドキュメンタリー映画。とめどない当事者の語りと映像の洪水。白黒の過去が現在の色彩を帯びて蘇>>続きを読む

プリズン・サークル(2019年製作の映画)

3.9

刑務所内部の更生プログラムの様子を綴ったドキュメンタリー映画。撮影許可まで6年、撮影に2年を掛けた気骨の長編作品。受刑者が他者と語り合い、自己と向き合うことで、過ちを犯した背景が炙り出されるという内容>>続きを読む

37セカンズ(2019年製作の映画)

4.3

先行上映会にて鑑賞。23歳の一人の女性が自らの運命と向き合い、自分らしく生きようと奮闘するヒューマンドラマ。上映中はもちろん、鑑賞後もじんわりと温かい余韻を残す感動作でした。

ーー監督の想い
 上映
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リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)

4.2

クリント・イーストウッド監督作品。爆弾テロ犯人に間違えられた男性警備員が弁護士と共にメディアや政府に立ち向かう実話を基づいた物語。『チェンジリング』でもそうでしたが、本作においても暴走しかねない"権力>>続きを読む

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

マット・デイモン×クリスチャン・ベールのダブル主演作品。キャロル・シェルビー、ケン・マイルズを擁するフォードチームがル・マン24に乗り込み、フェラーリ陣営に挑戦状を叩きつけるという実話ベースの物語。">>続きを読む

パプリカ(2006年製作の映画)

4.8

今敏監督作品。マッドハウス制作。声優は大塚明夫、林原めぐみ、山寺宏一、古谷徹。原作は筒井康隆で、音楽は平沢進という、まさに天才達の"夢"の競演/饗宴/狂宴。ストーリーは、夢を共有する装置"DCミニ"を>>続きを読む

四月物語(1998年製作の映画)

3.4

岩井俊二監督作品。ストーリーは至極シンプルで、北海道から東京の大学に進学してきた女子学生の新生活を描くというもの。松たか子、9代目&10代目松本幸四郎がひょっこり揃い踏みしていました。

ーー岩井節
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Love Letter(1995年製作の映画)

3.5

岩井俊二監督による初長編作品。手紙を通じて亡き婚約者を想う物語。脚本も岩井監督が手掛けており、監督好みのモチーフがいくつも盛り込まれていたように思います。雰囲気のある映像も流石でした。手紙というアナロ>>続きを読む

虹の女神 Rainbow Song(2006年製作の映画)

4.5

『ニライカナイからの手紙』の熊澤尚人監督作品。市原隼人演ずる青年の柔弱ぶりにひたすらやきもきする物語。プロデューサーに岩井俊二監督が参画し、更に脚本にも"網野酸"名義で岩井監督が加わっています。なによ>>続きを読む

打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?(1993年製作の映画)

3.8

岩井俊二監督による、少年少女の一夏の冒険を描く物語。日本映画監督協会新人賞受賞作品。奥菜恵の透明感のある演技が見所でした。
 まず、本作の特徴を一言で表現するならば、"あの日の夏を感じさせる作品"と言
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死霊の盆踊り(1965年製作の映画)

1.0

ハリウッドの誇る奇才、エド・ウッド監督が脚本を手掛けた伝説的作品。HDリマスター版を劇場鑑賞。ストーリーはシンプルで、墓場に囚われたカップルが死霊たちの舞い踊る姿を延々と見せつけられるというもの。
 
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深く静かに潜航せよ(1958年製作の映画)

3.5

1942年、第二次世界大戦下の豊後水道にて旧日本海軍の攻撃により大損害を被ったアメリカ海軍潜水艦の艦長(クラーク・ゲーブル)が、新たな潜水艦に乗り込み捲土重来を試みるという復讐譚。両軍が無音で対峙する>>続きを読む

炎の戦線 エル・アラメイン(2002年製作の映画)

3.4

第二次世界大戦下、連合国側と枢軸国側が凌ぎを削ったエル・アラメイン(エジプト)での戦いを、イタリア軍歩兵師団の視点で描いた作品。本作は、基本的には、最前線の一小隊の過酷な状況を淡々と描く作風で貫かれて>>続きを読む

処刑人(1999年製作の映画)

3.5

邦題が『処刑人』とヴィジランテ色が強く出ていますが、原題は"The Boondock Saints"で直訳は「路地裏の聖人達」とのこと。神の啓示(?)を受けた2人の兄弟が、善良で無関心な大衆に代わり悪>>続きを読む