肉体を観る作品だと感じた。
宗教、民族、思想、歴史と扱うテーマは普遍的なモノのてんこ盛りだが、そもそも、それらを全て司るのは人間であり、焦点が当てられていたのはその肉体だ。
人間の肉体の美しさ。>>続きを読む
様々な意味で濃い作品だった。
齢九十を過ぎたお爺ちゃんがトランクに麻薬を積んで高速道路をびゅんびゅん飛ばす。
とにかく危なっかしい。
運転している姿を観ているだけでこっちはハラハラしてくるのに、警官>>続きを読む
何者かになりたい…。
自分にとっての説得力ある肩書がほしい…。
という気持ちは、何も十代二十代が持つ若さ故の憧れなんかではない。
いくつになっても、新しい自分を見付ける事に躍起になっている人はそれだけ>>続きを読む
生きてるってなんだろ?
生きてるってなぁに?
昔、そんな歌があった気がする。
自分一人の力だけではどうにもならない事って世の中に確実にある。
気になる異性に声をかける事も出来なくて、ちょっとした会>>続きを読む
皮切り、展開、余韻に至るまで、
息をするのも忘れる程の緊張感に包まれていた。
作品終盤の或る展開で、客席のどこかから安堵の溜息が聞こえたほどだ。
デンマークの緊急指令室だけが舞台のワンシチュエーシ>>続きを読む
300年の時を超えて、英国宮廷から新喜劇がやって来た!
軍が国の威信を掛けて闘っている中、遠き祖国の豪邸内では虎の威を借る為に狐目ひん剥いて奮闘する奴らのしっちゃかめっちゃかな人間模様があった。>>続きを読む
無実の罪を着せられた夫を救う為に立ち上がる妻とその家族。
物語はかなりの王道。
しかし、この話は王道であるからこそ価値がある。
誰もが喜ぶ事柄、誰もが抱く感情の流れ、誰もが耳にする生活音、誰もが陥る>>続きを読む
とある知人が、
「まるでロケットに乗っている様な気分でした。」
と、語っていた。
聞いた時は何のこっちゃ?でしたが、
観て、納得。
静寂の向こうに聞こえる歓声。
轟音の中に微かに聞こえる不安の呟き>>続きを読む
作品の表面が余りにも綺麗に纏まり過ぎていて、
観ている側は終始鼻白む結果となってしまった。
書かれている台詞の九割が、
情報開示と感情吐露で占められている所が最たる理由かもしれない。
四十過ぎ>>続きを読む
ヨークシャーの全景に広がる自然や人間模様の下では全てが許されるのではという気がした。
本来、何かに許されなければ成立しない人間関係などある筈はないのに。
これほど胸糞の悪いヒュー・ジャックマンも珍しい。
普段は彼の持つ「良い人」感がスクリーンから溢れ出ているというのに。
自身の不貞を棚に上げて捲し立てる場面は、とても普段の彼とは思えない。
普段の彼をそ>>続きを読む
日常の中にふわっと現れる非日常。
この要素が村上春樹作品の大きな肝だと感じているが、小説をもってして表現出来得るその雰囲気を映画でどう表出させるのか、そこが勝負所だと感じていた。
結果的に、大成功>>続きを読む
ピックアップされる四人の女性。
共通して抱える「あの人に会いたい」。
静かに熱く動き出そうとする四人を四季折々の音が後押しする。
ほぼ正方形に切り取られているスクリーンサイズが新鮮で印象的。
窓の>>続きを読む
ロッキーを始めて観たのは、中学一年生の頃だった。
格闘技など微塵も興味は無かったが、何故だか身体の奥底から熱が込み上げて来たのを昨日の事のように覚えている。
不器用な男が捲土重来を期す物語。
余りに>>続きを読む
時代の潮流を逆手にとって、生きる道を見付けた妻。
時代の潮流に便乗して、名声を得て来た夫。
二人に訪れる人生最大の成功が、二人で歩んだ人生の崩壊と再構を呼ぶ。
先ず、齢七十過ぎと思しき老夫婦の情事>>続きを読む
善と悪、明と暗、田舎と都会、生と死。
どちらがホンモノで、どちらにいれば良くて、どちらの方がより豊かで、自分はどちらを選ぶのか?
全ての要因は時の運で、皮肉な事に人間はそれを少しだけ動かせるという事に>>続きを読む
映画でウェルメイドを作るのは、つくづく難しいと実感した。
舞台と違って臨場感を無条件で味方に付ける事が出来ない映画では、先ず登場人物の説得力が観客の“観続ける意識”を保つ大きな要素になる。
展開ありき>>続きを読む
シネマ・スコープで見るグランド・ホテルのスケールと、ハチャトゥリアン作「仮面舞踏会」を彷彿とさせるメインテーマが彩る一所に於ける壮大エンターテインメント。
次から次へと現れる意味深な宿泊客たちに翻>>続きを読む
「己の声で世界を支配しない」
「不採用に耐える」
作中で“作家にとって最も大切なこと”として語られる二つの要素は、ともすれば人間にとって最も大切な要素の様な気がしてならない。
“書く”という行為に>>続きを読む
鑑賞後、劇場を出た時に「東京の空は意外とキレイなんだな」と感じてしまうくらい、
全編に渡って鉛色の空と降り続く雨が作品を支配していた。
湿気と密度、無駄に開けた視界と遠近何処からともなくから聞こえてく>>続きを読む
登場人物の現実と理想、双方もしくは片方だけでも見えてこなければ、感情移入は出来ない。
何も言えないのなら、せめて周りに流されて行ってくれ。
周りに流されたくないのであれば、せめて何か言ってくれ。>>続きを読む
二人称で見る貴方と、
三人称で語られるあの人。
その狭間にホンモノのその人がいるのだなと。
作品がとにかく煌びやかで、登場人物がとにかくみんな楽しげで、だからこそ裏にある静けさや孤独さが見えて来てい>>続きを読む
面白かった。
何て夢のある作品なのか。
インターネット世界の描写に圧巻、驚愕、脱帽。
キュートなヴァネロペと屈強だけど不器用なラルフのコンビが、若き日のシャーリー・マクレーンとジャック・レモンを彷>>続きを読む
観前の予想を大きく裏切られる結末となった。
比較的、周囲に振り回される役が多いイメージのコリン・ファースが、自然の猛威と孤独によって徐々に疲弊していく様は新鮮でなかなかの見応えがあった。
大海原一>>続きを読む
他人からみればどうでも良い物であっても、本人にとっては命の次に大事な物というのがある。
スニーカーであっても、鉛筆一本でも、ガム一つであっても。
それを手に入れるまでの道程を考えれば、それは何物にも代>>続きを読む
主人公であるラクシュミーの行った事には敬意を評したい。
自分の愛する人の為に、自分の信ずるモノを何としてでも作り上げる。
そこに損得勘定は一切ない。その精神は見習うべき所であり、女性に対する、人間に対>>続きを読む
子供にとっては、今見えているモノが全てで、それが楽しいのか楽しくないのか、それが世の中を図る尺度である。そこから見えないモノへの興味を抱き、時に失敗しながら新たな世界の魅力を自ら見つけて行く。
自分の>>続きを読む
己の人生を賭けて、
死ぬ気で書いているんだ。
誰にも何も言わせない、
そんな世界が自分にはあるんだ。
脚本ナメんな。
書き手をナメんな。
無線によって偶然繋がった宇宙滞在中のロシア人飛行士とキューバに住む一介の大学教授の友情。
舞台は1991年のキューバ。
ネットもSNSもない時代だからこそ、数奇な運命の元に繋がった男二人の友情が、深>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
本年より個人的に実施する、
【シャコとセロリ企画】!!!
(※詳細は文末に記載)
記念すべき(?)第一弾は本作に決定。
先観した知人が「この映画は虚無です」と評していた。
まあ、その気持ちも分らな>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
遅れ馳せながらの鑑賞。
こんな名作が2018年2月に公開されていたとは!
娘をレイプの末に殺害された母・ミルドレッドを演じたフランシス・マクドーマンドの嘘のない演技に脱帽した。
ミルドレッドの愚行>>続きを読む
車に轢かれても尚、
月夜の空に「お〇んこ~!!!」と叫ぶ安田顕の姿に笑いながら涙した。
全く日本語が上達していかないアイリーンの姿が健気で良い。
アイリーンを毛嫌いしながら都合良く振舞う老いた母が>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
人間の心の底に潜む闇、弱なる部分を目掛けて“あれ”はやって来る。
ホラーと銘打ちながら、
作品のテイストは至極日本的なモンスターパニックである。
しかし、その骨格には綺麗事で片付けていないリアルな>>続きを読む
一目惚れした女性の向かいのアパートに移り住み、10年間もの期間を彼女を見守る事だけに費やしてきた男達の末路。
思うに、男3人は本来無形である筈の「愛」の有形化を目指したのではないだろうか。
直接的>>続きを読む
外へ飛び出した時の弟の勇姿だけがホンモノだった。
答えと正解が違うように、
作りモノと嘘も違うだろう?
どうなんだい鈴木さん。
ホンモノって何なんだい鈴木さん。