ストレンジラヴさんの映画レビュー・感想・評価

ストレンジラヴ

ストレンジラヴ

シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢(2018年製作の映画)

3.9

「大好きな場所よ。私のために建ててくれた世界一の宮殿だもの」

フランスの片田舎オートリーヴにその異様な建物は存在する。"シュヴァルの理想宮"...一介の郵便配達員ジョセフ・フェルディナン・シュヴァル
>>続きを読む

夕霧花園(2019年製作の映画)

3.7

「外にある風景は常に決まっている。我々に出来ることは、どう見るかだけ」

1980年代マレーシア。判事テオ・ユンリンが告発される。彼女は第二次世界大戦中、日本軍によって強制収容所に連行され、妹を亡くし
>>続きを読む

SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

3.8

「肝心なのは強いことじゃない、あきらめないこと」

第二次世界大戦末期、フィンランドで金塊を掘り当てた老人アアタミ・コルピと愛犬ウッコは道中でナチスの部隊に目を付けられる。だが彼こそがかつてロシア人に
>>続きを読む

人間の証明(1977年製作の映画)

3.3

「母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?」

森村誠一の同名小説を原作として角川映画が映像化。
1977年、東京・赤坂の高級ホテル。人気ファッションデザイナー・八杉恭子のファッションショーが開催さ
>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.6

「我は死なり、世界の破壊者なり」

米国量子力学のパイオニア、そして"原子爆弾の父"J・ロバート・オッペンハイマーの物語。
まず総論として一言「シーツを入れろ」。
難解だが観なければならない作品。日本
>>続きを読む

影武者(1980年製作の映画)

4.2

「人あってこその影じゃ」

甲斐国で盗人(演:仲代達矢)が捕縛される。磔になるのを待つばかりであったが、容姿が武田信玄に瓜二つであったことに目をつけた信玄の実弟・信廉(演:山崎努)が万一のために身元を
>>続きを読む

マイヤーリング(1957年製作の映画)

3.0

「JILUD」

1889年にオーストリア=ハンガリー帝国で起きた「マイヤーリング事件」を題材に製作されたテレビ映画。主演は当時夫婦であったオードリー・ヘップバーンとメル・ファーラー。一度限りの生放送
>>続きを読む

海の上のピアニスト イタリア完全版(1998年製作の映画)

4.5

「無力ではなかったようだ」

アレッサンドロ・バリッコの独白劇を「ニュー・シネマ・パラダイス」(1989)で知られるジュゼッペ・トルナトーレ監督が映像化。
"1900"ことダニー・ブードマン・T.D.
>>続きを読む

ジュリア(1977年製作の映画)

3.8

「あなたは親友以上だわ。重大な仕事を引き受けてくれた」

ユダヤ系女流作家リリアン・ヘルマンの原作を基に、リリアンと親友ジュリア、そしてハードボイルド作家ダシール・ハメットとの愛がリリアンの回想として
>>続きを読む

オリエント急行殺人事件(1974年製作の映画)

4.2

「もうひとつあるのです…非常に複雑な答えが」

イスタンブールで事件を解決した名探偵エルキュール・ポワロ(演:アルバート・フィニー)は、新しい事件のためロンドンに戻る道中オリエント急行に乗車する。車内
>>続きを読む

老人と海(1958年製作の映画)

3.6

「人間は負けない。打ち砕かれることはあっても負けはしない」

ヘミングウェイの代表作をジョン・スタージェス監督、スペンサー・トレイシー主演で映像化。キューバの老漁師サンティアゴは84日間もの間不漁が続
>>続きを読む

私をスキーに連れてって(1987年製作の映画)

3.7

「バーン!」

日本のスキーシーンにその名を残すまさに「華やかなりし日本」のシンボルのような作品。頭空っぽで観ていられる安心感の反面、当時の日本経済の狂乱ぶりがそこかしこに見てとれる。三上博史演じる矢
>>続きを読む

サンセット大通り(1950年製作の映画)

4.1

「私は大物よ。映画の方が小さくなったの」

ハリウッドのサンセット大通りに面する大邸宅のプールから一体の死体が発見される。被害者はしがないB級脚本家で、背中と腹に銃弾を撃ち込まれていた。死体が発見され
>>続きを読む

ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000年製作の映画)

4.0

「ミュージカルを観るときは最後から2番目の曲が終わったところで劇場を出るの。そうすれば永遠に終わらないでしょう?」

1964年アメリカ。チェコ移民セルマ(演:ビョーク)は息子ジーンと2人でトレーラー
>>続きを読む

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

4.2

「またパパと結婚したい?」
「ひとりの方が気楽だわ」

物語開始の時点から6年前に夫を亡くしたジャンヌ(演:デルフィーヌ・セイリグ)は、女手ひとつで息子シルヴァンを育てている。日々の家事を淡々とこなし
>>続きを読む

国産洋画劇場「激突き!」(2018年製作の映画)

3.3

「アイツ正気か!?」

国産洋画劇場第三回作品。
商談のために遠路はるばる車を走らせるセールスマン(演:秋山竜次)は、道中で低速で走る古びた軽トラを追い越す。すると軽トラは執拗にセールスマンの車を追う
>>続きを読む

大いなる沈黙へ ーグランド・シャルトルーズ修道院(2005年製作の映画)

4.1

「静けさ…この中で主の内なる声を聞け」

フランス、アルプス山麓に位置するグランド・シャルトルーズ修道院は1084年に創立された男子修道院である。厳格な戒律で知られ、修道士たちは日々を祈りに捧げ、清貧
>>続きを読む

サタンタンゴ(1994年製作の映画)

4.0

「誰を応援する?」
「自分だ」

経済がすっかり停滞しきったハンガリーの寒村。点在する村人はすっかり生気をなくし、虚ろに日々を送っている。秋に入り長雨の季節が訪れて太陽が差し込む気配もない。そんな村に
>>続きを読む

地獄の天使(1930年製作の映画)

3.0

「人生は思い通りには運ばん」

第一次世界大戦に従軍したパイロットの葛藤を描いた作品。監督は大富豪ハワード・ヒューズ。「アビエイター」(2004)のレオ様である。
はっきり言おう、映画として観るならば
>>続きを読む

レザボア・ドッグス(1992年製作の映画)

4.0

「裏切り者はこいつだ」

宝石強盗を計画した強盗グループ。だが、実行の段階で警察の待ち伏せにあってしまう。命からがら逃げ延びたメンバーの間に、情報漏洩と裏切り者の疑惑が生じる。
すげー...これが監督
>>続きを読む

国産洋画劇場「六城」(2018年製作の映画)

3.5

「遠藤さああああああん!」

国産洋画劇場第一回作品。
かつては花形力士だったが、取組での事故により角界を追放された"板橋の種馬"六城(演:秋山竜次)。闇相撲で小遣いを稼ぎ、足りない生活費を補うために
>>続きを読む

英雄は嘘がお好き(2018年製作の映画)

3.5

「終わりよければ全てよし...のはずだった」

時は1809年、婚約間もないヌヴィル大尉(演:ジャン・デュジャルダン)は命令により戦地に赴き、音信不通となる。夫に会えず日に日に弱っていく妹を見かねた令
>>続きを読む

タイピスト!(2012年製作の映画)

4.3

「才能はひとつあれば充分だ」

この物語は、あるドジな田舎娘がタイプライターひとつで世界に挑む闘いの記録である。
最高の気分だ。悶絶の111分間。罵ってくれていい。僕はPC世代だがタイプライターの打鍵
>>続きを読む

バグダッド・カフェ 完全版(1987年製作の映画)

3.7

「皆仲良すぎるわ」

夫婦喧嘩によって砂漠のど真ん中で車を降りたドイツ人女性・ヤスミン。経営はどん底、仕事をしない夫を追い出したものの子育てと仕事に追われる日々に消耗する「バグダッド・カフェ」女主人・
>>続きを読む

ゴジラ-1.0/C(2023年製作の映画)

4.1

「これで終わりにしろ、敷島」

太平洋戦争末期、特攻隊員・敷島(演:神木隆之介)は、爆装零戦の故障を偽り大戸島の飛行場に着陸する。その晩、島の伝承に伝わる「呉爾羅」なる怪物が飛行場を襲撃し、敷島と整備
>>続きを読む

さらば、わが愛/覇王別姫 4K(1993年製作の映画)

4.3

「男として生を受け、女ではなく...さあ、もう一度」

疲れた。どっと疲れた。172分のうち、思うに140分は下拵えだ。その間、1924年の北洋軍閥政権下〜1966年の文化大革命に至る約40年間の激動
>>続きを読む

ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

3.4

「私はここよ」

ファッションの勉強のためロンドンにやってきたエロイーズ(演:トーマシン・マッケンジー)は、寮に馴染めず古びた屋根裏部屋を借りることにした。やがて夜になり眠りにつくと、目の前には彼女が
>>続きを読む

憂国(1966年製作の映画)

3.9

「至誠」

昭和11年2月26日、帝都で青年将校が叛乱を起こす。世にいう「ニ・二六事件」である。この時青年将校たちは新婚の武山中尉(演:三島由紀夫)には声をかけなかった。このことによって、武山中尉には
>>続きを読む

クレイマー、クレイマー(1979年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

「"死がふたりを分つまで"って真実だわ」

※ややネタバレあり。
これから書くことは、一独身主義者のドグサレ男性から見た感想である。ゆえにその観点には偏りがあることをご了承願いたい。途中、不快に思える
>>続きを読む

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.8

「僕たち、間違ってたかも」

第二次大戦中のドイツを舞台にしているにも関わらず、いきなりビートルズ「抱きしめたい!(ドイツ語版)」で開幕。なんともブッ飛んだ始まり方から登場したのは忠誠心だけは人一倍だ
>>続きを読む

用心棒(1961年製作の映画)

4.6

「俺の名は桑畑三十郎...いや、もうすぐ四十郎かな」

「荒野の用心棒」(1964)は観たのだがこちらはまだ観ていなかったので観ることにした。いや、痛快そのもの。まず話が分かりやすい。そして天秤の如く
>>続きを読む

炎のランナー(1981年製作の映画)

-

「勝利への公式などないのです」

古代、かの足がイングランドとスコットランドの大地を駆け抜けた。ある者は自身の存在のために、またある者は神の御心のために。
今更紹介の必要もないほどの世界的名作。だが、
>>続きを読む

ウォンカとチョコレート工場のはじまり(2023年製作の映画)

-

「ステキなことはいつも夢から始まるの」

もともと観るつもりはなかったのだが、「翔んで埼玉〜琵琶湖より愛をこめて〜」で「チャーリーとチョコレート工場」(2005)のあからさまなパロディシーンがあったこ
>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

-

「何も変わんないなんて、そんなわけないですよ」

舞台は東京。スカイツリーを仰ぐ古びたアパートに住むトイレ清掃員・平山(演:役所広司)の1日は決まっている。夜も白んでいない朝、近所のおばちゃんが道を掃
>>続きを読む

>|