螢さんの映画レビュー・感想・評価

螢

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リトル・ダンサー(2000年製作の映画)

3.8

胸にグッとくる作品でした。
ベースは少年の迸る情熱と成功の物語。そして、それを後押しするようになった家族の愛情を描いたシンプルな展開。けれどそこに、多くの人が今も縛られている「性差の価値観」に疑問を投
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フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

3.8

カーレースの最高峰とも言われるル・マン。1966年、当時6連覇を果たしていた絶対王者イタリア・フェラーリ打倒に挑んだ、アメリカ・フォード側に属した人々を描いた実話に基づく物語。

レースシーンの、ハラ
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パッドマン 5億人の女性を救った男(2018年製作の映画)

3.9

もらい泣きして、考えさせられて、最後には感動して、そして、よかったと心から思えた作品。
インドで安価かつ大量生産できる生理用ナプキンと製造機を開発し、女性の健康だけでなく、雇用と自立を促した男性の実話
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シシリアン・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

2.8

1990年代に実際にシチリア島で発生した少年失踪事件を題材にして、離れていても魂で繋がるような少年少女の一途な恋心を幻想的な映像で描いたラブ・ストーリー。

お互いに淡い恋心を抱いており、気持ちが通じ
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ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー(2017年製作の映画)

3.0

J.D.サリンジャーが、小説家を目指し、「ライ麦畑でつかまえて」(1951)で時代の寵児となり、それ故に疲弊して厭世的に世間から離れていく様を描いた、実話に基づく物語。

作品が採用されず、何度も否定
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ローマの休日(1953年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

人生で三度目の鑑賞。言わずもがなの恋愛映画の金字塔。見る度に違うシーンに心奪われ、違うことを思い、違う物語のような印象を受け、改めて胸に残る…を繰り返す作品。

十代で観た時は、オードリー・ヘップバー
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ビッグ・フィッシュ(2003年製作の映画)

3.8

人生において、辛いことを乗り切り、楽しみ、最期には豊かだったと振りかえるためには、再構築する空想力も重要な要素なのかもしれない。
ティム・バートン監督の持ち味ともいえるカラフルポップで超現実のファンタ
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小さな恋のメロディ(1971年製作の映画)

3.0

現実を忘れて、少年少女の一途なかわいらしさと初々しさをゆったり楽しむための初恋映画の金字塔。

同じ公立学校に通う11歳のダニーとメロディ。クラスが違い全く接点のなかった二人は、ささやかなきっかけで知
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日日是好日(2018年製作の映画)

3.5

「人生で起こることはいつも突然。あとは時間をかけてその悲しみに慣れていくしかない。」

母に勧められ、近所の茶道教室に通い出した大学生で二十歳の典子。それから24年間、毎週土曜日はお稽古の日になって…
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バグダッド・カフェ 完全版(1987年製作の映画)

3.8

観終わると不思議とじんわりと温かい気持ちになれる作品。けれど、それだけでなく、孤独の多様性と奥深さを改めて知った気にもなった作品。

アメリカ旅行の道中、夫婦喧嘩の末に夫の運転する車から一人降りて、モ
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浮草(1959年製作の映画)

3.8

昭和の日常と非日常のあわいにある、清濁入り混じる風情と人情を噛みしめる映画。 
小津安二郎監督作品は初めてだったのですが、「小津調」と評されたという、その端正な様式美に幾多の映画人が心奪われたのもわか
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ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)

3.7

淡々と静かで、とても詩的で、少し不思議て、でも吸引力のある作品でした。対照的な二人の現役天使と、物憂い人間の世界を巧みに生き抜いた感のある一人の男という三人の人物の対比、姿は見えないけれど天使に見守ら>>続きを読む

しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス(2016年製作の映画)

3.8

世間の片隅でひっそりと暮らした夫婦の、当初は利害から始まり、いつしか労わりと愛情に変化して寄り添い終えた人生を丁寧に描いた、実話に基づく物語。
「大人の恋愛を描いた作品は本当に少ない。これは過去にない
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シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション(2018年製作の映画)

3.7

すごい。主演まで務めた監督の大いなる原作愛をみた。オリジナルの世界を完璧なまでに再現している。才能ある一ファンによる、原作者への熱烈なファンレターであり、その他大勢のファンのための作品。

女好きでダ
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危険なプロット(2012年製作の映画)

3.8

最初から最後まで食い入るように観てしまいました。映像構成によって虚実を巧みに融合させることで、スリリングに、そして妖しく美しく、容赦なく人間の隠れた欲望や不満を暴き立てて堕としていく様が見事。徹頭徹尾>>続きを読む

第三夫人と髪飾り(2018年製作の映画)

3.7

19世紀の北ベトナムを舞台にした、薄靄かかる山間部の静かで雄大な風景と絵画的な構図が生み出す映像美、度々挟み込まれる抽象的かつ象徴的な映像、そして、観る者の感性に解釈を委ねる「隠された」ラストが特に印>>続きを読む

さらば、わが愛 覇王別姫(1993年製作の映画)

3.9

いやもう、すごかった。圧巻の出来。壮大で、激しくて醜くて、なにより、哀しくて美しい。約3時間、全く退屈せず。

京劇役者の二人の男とそこに関わった一人の女の、愛憎という言葉では到底足らない複雑な関係と
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隠し砦の三悪人(1958年製作の映画)

3.9

亡国の姫と忠義の将軍による敵領突破という、超絶ベタ展開なのに、何度も泣いたし、なんなら笑ったし、終盤は結構ハラハラしながらも、安定の結末に心満たされて胸がすいた、黒澤明&三船敏郎コンビの戦国歴史活劇。>>続きを読む

ゴッホとヘレーネの森 クレラー・ミュラー美術館の至宝(2018年製作の映画)

3.2

画家ゴッホの後半生と作風の変遷を、ゴッホコレクターとなり美術館まで造った資産家女性ヘレーネの後半生に絡めながら、ゴッホに造詣の深い美術関係者や作家の複数が解説していく良質ドキュメンタリー。 

残念な
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永遠の門 ゴッホの見た未来(2018年製作の映画)

3.5

最も精力的だったけれど最も苦しんでいた最晩年のゴッホの悲愴な姿を、ゴッホ視点でまさに「追体験」する作品。

絵具を厚く塗り重ねた筆の跡がくっきりと残り、うねりと渦巻が特徴的なゴッホの作品群。それは、彼
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マシュー・ボーン IN CINEMA 白鳥の湖(2019年製作の映画)

3.6

悪魔によって白鳥に変えられた可憐な少女と王子様の悲恋を優雅に描いた古典バレエの代名詞「白鳥の湖」。それがまさか、百数年後の英国で、逞しい雄の白鳥とマザコンひ弱王子の悲恋を力強く描いたコンテンポラリー・>>続きを読む

キング(2019年製作の映画)

3.6

「王に友はいない。いるのは従者と敵だけだ」
王となった男の、逃れられない孤独、不安、動揺、猜疑心、決断の恐怖、感情コントロールの難しさ、空虚感、それらに伴う性質の変容、どんなに不確かで頼りないものでも
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ONCE ダブリンの街角で(2007年製作の映画)

3.6

音楽って、少なからず現実に疲弊する心を慰める作用があって、だからこそ、記憶と密接に繋がっていくものだということを改めて感じさせてくれた作品。
ジョン・カーニー監督が「Once」という、たった四文字の単
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ナショナル・ギャラリー 英国の至宝(2014年製作の映画)

2.9

英国のナショナル・ギャラリー(国立美術館)を扱ったドキュメンタリー。
とはいいながら、収蔵作品の概要や系統、ギャラリー成立の歴史といったものは語られない。市民や関係者を前にその作品解説をする職員の姿や
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秒速5センチメートル(2007年製作の映画)

3.5

初恋は得てして実らないものだけど、それでもこの物語は、愛おしさよりも、物悲しさと切なさ、そして、孤独が際立っていて、寂寥感に胸が締め付けられました。 
幼い日の初恋の10数年の軌跡を計63分の連作短編
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天使の入江(1963年製作の映画)

3.7

「賭けの魅力は贅沢と貧困の両方を味わえること。それに数字や偶然の神秘があるから…(略)…私にとって賭けは宗教も同義よ」

やっぱり、ジャンヌ・モローは男を破滅に引き摺り込む「運命の女(ファムファタール
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ディリリとパリの時間旅行(2018年製作の映画)

3.8

あいかわらず、ミッシェル・オスロ監督作品は、ため息が出るほど緻密な美しさを誇る立体的な背景描写と、極端に平面かつ簡素な人物描写という、対照的な描写の見事な融合で鑑賞者を惹き付けます。
そして、差別や貧
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ホワイトナイツ/白夜(1985年製作の映画)

3.7

政治性、サスペンス性、芸術性、人生の機微。映画が持ちえる様々な面が無理なくうまく融合した、しかも、ものすごく私好みの作品でした。

ソ連から米国へ亡命したバレエダンサーのニコライ。彼が乗った飛行機は、
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落下の王国(2006年製作の映画)

3.8

豪華絢爛。映像美の極致。
なんて言葉はこの映画のためにあるといってもいいぐらいに、最初から最後まで、とてつもなく豪華かつ鮮やかな映像に彩られている。13の世界遺産を含む、24カ国以上に及んだ実在の沢山
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ロマンティックじゃない?(2019年製作の映画)

2.5

大事なのは自分を愛すること。
その主題自体はわかるのだけど….。
独身女子のホームパーティの画像付きBGM的に流すのには一番反感もないけど、意見もでないし、印象にも残らない、まさに「罪のない背景映画」
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ガタカ(1997年製作の映画)

3.7

生まれ落ちたその瞬間に定められた運命に苦しみ、抗おうとした人々の物語。
ラストの静けさと切なさには胸が締め付けられます。
鑑賞中はむしろ落ち着いていたのに、鑑賞後に色々なシーンを思い出していたら一人
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外科室(1992年製作の映画)

3.7

泉鏡花の手になる同名小説の映画化。
鏡花の「余白の美」に、監督・脚本をつとめた坂東玉三郎が緻密に設計した「足し算の美」が見事に融合しており、日本美の世界を堪能できる作品。

僅か10分ほどで読めてしま
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ザ・ロイヤル・テネンバウムズ(2001年製作の映画)

3.6

ヘンテコ家族の不器用で奇抜すぎる再生物語。
出てくる登場人物全員が全員、それぞれに俗で、ぶっ飛んでて、ある種おかしなベクトルに病んでるのに、描かれるその多彩な孤独に共鳴し、最後の最後にはイビツだけど偉
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彼が愛したケーキ職人(2017年製作の映画)

3.7

言葉にならないこの味わいと奥行きはなんなのか。
愛する人を失った悲しみと喪失感。その共鳴。
それ以外のものは徹底して…主要人物たちの感情も行動の真意も…全く明かされないまま終わる。
なのに、決して消化
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スパルタカス(1960年製作の映画)

3.6

観る前に想像した以上に、人間の尊厳と、それを無視して世界を動かしていく権力の非情さや脆さを同時並行で描いた構成がよくできていました。
紀元前1世紀のローマ共和国で実際に起きた第三次奴隷戦争を指揮した剣
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現金に手を出すな(1954年製作の映画)

3.8

恋人でも家族でも友人でも…誰かと長い時を共有して、そして、共に老いていくこと。それは人によっては、豊かであると同時に意外と厄介なものなのかもしれない。その蓄積が、「腐れ」的なものでも「縁」になり、情に>>続きを読む

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