螢さんの映画レビュー・感想・評価

螢

古都(1963年製作の映画)

3.4

川端康成による同名小説の映画化。
原作は、生き別れて身分違いになった双子姉妹の儚い邂逅と別離と成長を、静かだけど瑞々しい文体で、古都・京都の街並みや四季の風物とともに描いた情感豊かな作品。
谷崎潤一郎
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きっと、またあえる(2019年製作の映画)

4.0

「食べて 飲んで 生きろ 人生は短い あるがままでいい 愚か者どもよ 心配するな」

大学受験に失敗したショックから飛び降り自殺を図り生死の境にいる息子に話し聴かせる、「負け犬」だった父の昔話。…と書
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ガンジスに還る(2016年製作の映画)

3.8

死期を悟り「解脱の家」(死を迎えるための施設)に入所した老齢の父と、そこに付き添った息子の姿を静かに描いた、じんわり胸に沁みる作品。

老齢のダウは自宅から遠く離れた聖地バラナシにある解脱の家への入所
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ロシュフォールの恋人たち(1966年製作の映画)

4.0

再鑑賞で初めて、「俯瞰的視点」を用いた細やかな映像構成に脱帽。カラフルでポップな映像、華やかな音楽、徹頭徹尾ポジティブなストーリーの三拍子。何度観てもその都度幸せな気分になれるフレンチ・ミュージカル映>>続きを読む

永遠の僕たち(2011年製作の映画)

2.8

葬式フェチで旧日本兵の幽霊が友達な少年と、虫フェチ少女のおかしな出会いとそれから。
なかなか突き抜けた中二病かと思いきや。
死への向き合い方と、今を謳歌することの意味をうたった作品でした。

個性とい
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フォレスト・ガンプ/一期一会(1994年製作の映画)

3.8

「人生はチョコレートの箱とおんなじ。開けてみるまでわからない」

数奇な人生を歩む一人の男性の軌跡とアメリカ現代史の重大事件をいくつも絡めた構成ゆえに、かなりありえない設定や展開が続くのだけど、それで
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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

4.0

観てる途中、色んな感情がないまぜになって、泣いたり微笑ましかったり胸に刺さったり共感したりした、大好きな作品。今年の暫定No. 1。
オルコット著の世界的少女小説「若草物語」をグレタ・ガーウィグ監督と
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蜜のあわれ(2016年製作の映画)

2.9

室生犀星の同名の幻想小説を基にした映像作品。人間の乙女に変身できる3歳の金魚・赤子と、その飼い主である老作家の「おじさま」の摩訶不思議でちょっと官能的な物語。

原作自体が、そもそも不可解で多くの謎を
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シークレット・スーパースター(2017年製作の映画)

4.0

夜中に涙腺壊れて大号泣。
シンプルな田舎少女の成功物語かと思ったら、それだけじゃなくて、今なお残る深刻な社会問題を見事に盛り込んだ作品。
でも、最後は優しい気持と清々しさに満たされて観終えることができ
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小さな村の小さなダンサー(2009年製作の映画)

3.8

ラスト、テレビの前で正座で号泣。もうベタ中のベタ展開だけど、それでも泣いた。
中国出身で共産主義がまだ色濃く残る1981年にアメリカに亡命したバレエダンサーのリー・ツンシンの半生を描いた実話に基づく物
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シェフ 三ツ星フードトラック始めました(2014年製作の映画)

3.9

これぞ、シンプル is ベストの王道系ハッピー映画。

料理の腕、よい家族、よい右腕…。
登場人物たちが皆いい人。
いや、本当に皆いい人すぎるぐらいいい人。悪人はいない。幸せ。

そして、この映画とい
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あなたの名前を呼べたなら(2018年製作の映画)

3.8

静かで繊細であると同時に、インドにまだまだ残る身分制度や因習といった社会問題も丁寧かつ無理なく盛り込まれた、とても良質な大人の恋愛映画でした。

夫と結婚後4ヶ月で死別し、口減らしとして貧しい農村から
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ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから(2019年製作の映画)

3.0

オンライン試写会にて。
最愛の妻が自分のことを全く知らないばかりか、互いの社会的地位が逆転した「もうひとつの世界」へ迷い込んだ時、夫がとった行動は。

高校生の時に一目で恋に落ち、結婚10年目を迎えた
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バーフバリ 王の凱旋(2017年製作の映画)

3.6

少年ジャンプ系バトル漫画を大胆実写化したような、インド版ファンタジースペクタクルの後編。

前編にて、伝説の英雄バーフバリを父に持つことが判明した、逞しくカリスマ性あふれる青年シヴドゥ。
父のかつての
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ジョン・F・ドノヴァンの死と生(2018年製作の映画)

3.7

母子関係。同性愛。孤独。
グザヴィエ・ドラン作品に共通するテーマが、二人の人物を主役に据えたことによる「共感性」と「対比性」、そして、「大切な記憶を語る」ことによって成立した三軸構成をもちいることで、
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ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像(2018年製作の映画)

3.7

芸術の価値の曖昧さと作為性というシビアな命題を扱いながらも、丹念に撮られたことがわかる映像と構成で、ある家族の心と関係の再生を描がいた、良質で味のあるフィンランド映画。

流行らない画廊を細々と営む老
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素晴らしき哉、人生!(1946年製作の映画)

3.8

思いっきり泣いてしまったよ…。
どうにも思い通りにならなくて、平凡で不幸で無価値だと思いこんでいた自分の人生。それが最初から存在しなかったら、自分の愛する人々はどうなっていたのか?

そんな「もしも」
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ダンサー そして私たちは踊った(2019年製作の映画)

3.8

ジョージア伝統舞踊団での飛躍を夢見る青年の姿を静かだけど情感豊かに描くことで、封鎖的な社会に根強く残る性規範と同性愛への偏見、そして、芸術における伝統とそこから生まれる革新までも同時に現した、ジョージ>>続きを読む

バーフバリ 伝説誕生(2015年製作の映画)

3.8

予め伝えておくと、これは決して悪口ではなく、むしろ最大級の賛辞です。清々しいまでに堂々と繰り広げられるご都合主義と展開の速さで最初から最後まで一気に魅せてくれる、インド版ファンタジースペクタクル。娯楽>>続きを読む

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

3.0

うーん…欲望系エンタメとして観れば展開も早くて映像も豪華で面白かったけど…面白かったけど…。ミステリーの要である伏線から来る謎解きのスリルと快感は犠牲になっているというか、最終的に投げるように放棄され>>続きを読む

男と女 人生最良の日々(2019年製作の映画)

3.7

おかしな言い方ですが「現実的な明確な終着点」を観た印象で、様々な意味でじんわりと胸に染みます。クロード・ルルーシュ監督とフランシス・レイ音楽コンビの、文字どおり集大成といえる作品。

若い頃はレーサー
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存在の耐えられない軽さ(1988年製作の映画)

3.5

ミラン・クンデラの同名小説の映画化で、ソ連支配下にあった1968年のチェコにて起こった民主化運動「プラハの春」に翻弄された一人の男と、対照的な二人の女を描いたもの。

有能な脳外科医だけど異常なまでに
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ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

3.7

ポップでカラフルなアイロニカル・コメディの衣をまとった、その実、中身は結構ヘビーな反戦映画でした。外と中の強烈なギャップが、見事な「反語」になっていて強く印象に残ります。

第二次世界大戦末期のドイツ
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リトル・ダンサー(2000年製作の映画)

3.8

胸にグッとくる作品でした。
ベースは少年の迸る情熱と成功の物語。そして、それを後押しするようになった家族の愛情を描いたシンプルな展開。けれどそこに、多くの人が今も縛られている「性差の価値観」に疑問を投
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フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

3.8

カーレースの最高峰とも言われるル・マン。1966年、当時6連覇を果たしていた絶対王者イタリア・フェラーリ打倒に挑んだ、アメリカ・フォード側に属した人々を描いた実話に基づく物語。

レースシーンの、ハラ
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パッドマン 5億人の女性を救った男(2018年製作の映画)

3.9

もらい泣きして、考えさせられて、最後には感動して、そして、よかったと心から思えた作品。
インドで安価かつ大量生産できる生理用ナプキンと製造機を開発し、女性の健康だけでなく、雇用と自立を促した男性の実話
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シシリアン・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

2.8

1990年代に実際にシチリア島で発生した少年失踪事件を題材にして、離れていても魂で繋がるような少年少女の一途な恋心を幻想的な映像で描いたラブ・ストーリー。

お互いに淡い恋心を抱いており、気持ちが通じ
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ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー(2017年製作の映画)

3.0

J.D.サリンジャーが、小説家を目指し、「ライ麦畑でつかまえて」(1951)で時代の寵児となり、それ故に疲弊して厭世的に世間から離れていく様を描いた、実話に基づく物語。

作品が採用されず、何度も否定
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ローマの休日(1953年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

人生で三度目の鑑賞。言わずもがなの恋愛映画の金字塔。見る度に違うシーンに心奪われ、違うことを思い、違う物語のような印象を受け、改めて胸に残る…を繰り返す作品。

十代で観た時は、オードリー・ヘップバー
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ビッグ・フィッシュ(2003年製作の映画)

3.8

人生において、辛いことを乗り切り、楽しみ、最期には豊かだったと振りかえるためには、再構築する空想力も重要な要素なのかもしれない。
ティム・バートン監督の持ち味ともいえるカラフルポップで超現実のファンタ
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小さな恋のメロディ(1971年製作の映画)

3.0

現実を忘れて、少年少女の一途なかわいらしさと初々しさをゆったり楽しむための初恋映画の金字塔。

同じ公立学校に通う11歳のダニーとメロディ。クラスが違い全く接点のなかった二人は、ささやかなきっかけで知
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日日是好日(2018年製作の映画)

3.5

「人生で起こることはいつも突然。あとは時間をかけてその悲しみに慣れていくしかない。」

母に勧められ、近所の茶道教室に通い出した大学生で二十歳の典子。それから24年間、毎週土曜日はお稽古の日になって…
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バグダッド・カフェ 完全版(1987年製作の映画)

3.8

観終わると不思議とじんわりと温かい気持ちになれる作品。けれど、それだけでなく、孤独の多様性と奥深さを改めて知った気にもなった作品。

アメリカ旅行の道中、夫婦喧嘩の末に夫の運転する車から一人降りて、モ
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浮草(1959年製作の映画)

3.8

昭和の日常と非日常のあわいにある、清濁入り混じる風情と人情を噛みしめる映画。 
小津安二郎監督作品は初めてだったのですが、「小津調」と評されたという、その端正な様式美に幾多の映画人が心奪われたのもわか
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ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)

3.7

淡々と静かで、とても詩的で、少し不思議て、でも吸引力のある作品でした。対照的な二人の現役天使と、物憂い人間の世界を巧みに生き抜いた感のある一人の男という三人の人物の対比、姿は見えないけれど天使に見守ら>>続きを読む

しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス(2016年製作の映画)

3.8

世間の片隅でひっそりと暮らした夫婦の、当初は利害から始まり、いつしか労わりと愛情に変化して寄り添い終えた人生を丁寧に描いた、実話に基づく物語。
「大人の恋愛を描いた作品は本当に少ない。これは過去にない
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