ポップ、ダーク、リアル、シュールの四つの配合バランスが絶妙な、超ハイセンス作品。
「ある日突然自分の寿命を知ってしまったら、人は残りの人生をどう過ごすのか」
そんな永遠の大課題を、超絶大胆奇抜なシ>>続きを読む
コミカルで、ポップで、カラフルで、ゲスで、さり気に残酷。徹底してシュールなおとぎ話的展開でしかも超ハイスピード。
そのくせ、社会問題も盛り込みつつ、ヒューマン要素と偉大なる愛を盛り込んで、最後はちゃっ>>続きを読む
画家モジリアニの後半生を描いた作品。
わずか35歳で世を去った不遇の画家の悲哀に胸が痛むのはもちろんのこと。むしろ、それ以上に、芸術の曖昧さ、価値の作為性、商業性などをまざまざと突きつけられ、しばらく>>続きを読む
人を好きになるって、何を好きになることなんだろう。ふとそんなことを思った。
外見?性格?一緒に過ごした時間?ひたすら待っていた時間とそれに比例して膨らんだ思い?直感?もしくはそのすべて?
答えがないこ>>続きを読む
どうしようもなく湧き上がる虚しさと、現実と幻の狭間で鑑賞者を翻弄させ続けて最後には謎を残したままのラストに、ベルトルッチ美学の萌芽を感じた作品。
北イタリアの小さな街にやってきた青年アトス。彼は、反>>続きを読む
苦くて、切なくて、哀しくて、虚しくて、でもどこか優しさもあって…人生の機微をシンプルな枠組みのなかで哀愁ゆたかに表現した、とても余韻の残る作品。
ほろ苦いなんてもんじゃなく、人生の無情を容赦なく突き>>続きを読む
さすがフランソワ・オゾンというべきか否か。本当に身の毛のよだった悪夢的官能スリラー。エロくて、グロくて、暴力的で、残酷で、不気味で、結局不可解で…けれど、ちゃんと美しい。
止まない体の不調が精神的な>>続きを読む
「家族になる」過程を、淡々と、けれど慈しむように丁寧に追った秀作。
母が死んで、母の弟にあたる叔父夫婦に引き取られた6歳の少女フリダ。
叔父夫婦はフリダを気にかけて大事にしてくれてはいるし、フリダ>>続きを読む
フェデリコ・フェリーニの出世作。
30歳にもなって定職につかず、家族に依存しながらフラフラと遊び歩いている五人の男たちのそれぞれの姿を描いている。
邦題の「青春群像」というのは、なかなか言い得て妙だ>>続きを読む
異質ゆえの同調、苦しみ、悲哀、そして疲弊が、淡々としながらも丁寧な構成と、主演のフィリップ・シーモア・ホフマンのなりきり型の演技で表現された秀作。
「ティファニーで朝食を」などで知られる小説家トルー>>続きを読む
「世界一の美男」ジェラール・フィリップの魅力と演技力が光る、フランスの文豪スタンダールの同名小説の映画化。
19世紀前半のフランスを舞台に、美しく野心に溢れた貧しい労働者階級出身の青年ジュリアンが階>>続きを読む
マザコンのモラハラ系オート・クチュリエ男と、彼が理想のモデルとして見出したメンヘラ女。そんな二人の異質な毒そのものの愛を描いた作品。
1950年代のロンドン。
一流クチュリエとして国内外に名を馳せて>>続きを読む
「女子の黒歴史あつめ」といった感じで、色々なつかしいやら、イタがゆいやら、なんとやら。
サクラメントという地方都市に住む女子高生のクリスティン。彼女は自分の本名が嫌いで、「レディ・バードと呼んで!」>>続きを読む
大人になる手前の少年の目から見た一夏の世界を、詩情あふれる映像で紡いだ作品。
母の病気を理由に、夏休みの間、幼い妹とともに、母方の祖父の家がある田舎に預けられた12歳の少年・冬冬(トントン)。
地>>続きを読む
「イワン、よく考えろ。戦争は大人がやるものだ」
開始20分で泣き、救いのない哀しい結末に、胸を塞がれた作品。
第二次世界大戦下のソビエト。
ドイツ兵に家族を殺された孤児の少年イワンは、激しい復讐心>>続きを読む
少年期のみずみずしさとかけがえのなさを、現在の視点からの「語り」と「回想」、そして、さらなる「過去」という巧みな組み合わせで描いており、感傷と温かな気持ちで見終えた作品。
仲良し四人組の、ゴーディ、>>続きを読む
古典には手に取るべき意味も価値もある、ということを改めて体験した作品。
100年近く前に作られた作品とは思えないほど、刺激と迫力とエネルギーに満ちた作品で、まじまじと観てしまいました。
複数の異なる>>続きを読む
芸術って、ある種の麻薬のようなものなのかもしれないと思った作品。
はたからみれば関わるだけ馬鹿だし、自分でも身の破滅だと冷静な頭ではわかっているのに、そばにあると多幸感が得られるからどうしても離れられ>>続きを読む
美しい街の風情と、音と光と風、そしてアンニュイな空気を織り交ぜて撮りあげた、雰囲気イケメンならぬ雰囲気映画。
もっとありていにいうと、ようこんなもん撮ったな!?というのが(かなりの)本音の、スペイン>>続きを読む
少し強引なくらいのシンプルな展開ですが、ある一家の変容が愛情深く描かれていて、最後は涙とともに、あたたかな気持ちで見終えた良作です。
フランスのとある田舎町。家族経営の小さな牧場を営み、週末には市場>>続きを読む
結末は分かっているのに、不覚にもラストでは涙がこぼれた。
1970年に起こった、月へ向かう途中で爆発し、月面着陸を断念した宇宙船アポロ13号の救出劇を描いた実話に基づくお話。
宇宙船に乗る三人の宇宙>>続きを読む
あまりの結末に、しばらく言葉が出なくなった。でも、限りなく「現実的な」ラストだとも思った。
チェチェン紛争で捕虜になったロシア人兵士二人と、彼らを捕らえていたチェチェン人の物語。
ロシア人兵士のジー>>続きを読む
すごく、惚れ惚れと観てしまった作品。
現代からしたら、拙いくらいの技巧と緩やかで平坦なつくりの展開なのだけど、戦争を土台としながら、階級、人種、国家、友情、愛情、アイデンティティの帰属先、自尊心と>>続きを読む
なんて繊細で儚い、余韻に満ちた作品。
昨日の鑑賞終了から、未だにラストの無情さと切なさと、そして、儚い美しさを噛みしめている最中です。
盛夏の北イタリアのとある村。家族で避暑を楽しむ17歳の少年エ>>続きを読む
みずみずしさと、甘酸っぱさと、幾分かのもどかしさに満たされた、青春劇。夏の明るい日差しと、からりとした空気感をうまく捉えた映像が、清涼な魅力を添えている作品でもあります。
目の見えない少年レオと、彼>>続きを読む
陰影の使い方と、配置美といってもいいような、計算され尽くした細かな演出と映像が光る、サスペンス名作。
多くの人によって評価され、文章に起こされたあの超有名なラストは、結末を知っていてすら、胸に残る美し>>続きを読む
ものすごく胸が熱くなる作品でした。ずーと、ウルウルとハラハラを交互に繰り返しながら鑑賞終了。
インドのレスリング選手だったマハヴィル。生活のために選手を引退した彼は、息子が産まれたら、国際大会で金メ>>続きを読む
なかなかに粋でニクい映画。全体の展開としてはものすごくシンプルなメロドラマですが、無声映画からトーキー映画への移行という時代の転換期を象徴的に使い、栄光と凋落の対比を、細かな演出を用いながら、とても巧>>続きを読む
魅力的な毒婦を演じきったジャンヌ・モローに乾杯。
異常な遊戯を楽しんでいた夫婦の、些細なきっかけからの崩壊と破滅を描いた作品。
互いの不倫を報告しあい、時には後始末の協力までしていた、外交官である夫>>続きを読む
チャーチルが憑依したかのようなゲイリー・オールドマンの圧巻の演技を見るための映画といった感じ。
1940年の5月9日。
ヒトラー率いるナチスによって、ヨーロッパ各国が次々に侵攻され始め、次はイギリス>>続きを読む
なんて大胆で、それでいて、センスとまとまりのよい、独自色に満ちた映画!
「ジャンプ・カット」と呼ばれた展開上の整合性や統合性を無視して次々切り替わっていく独特の編集や、手持ちカメラ使用によって不安定>>続きを読む
イギリスの画家ウィリアム・ターナーを取り上げた作品。
夕日の薄く滲むやうな橙色や、空の灰色の撮り方が、ターナーが描いた絵の世界を再現したようで美しいです。
ただし、線で繋がる展開が全くと言っていいほ>>続きを読む
90分にも満たない中で、人間の正も負も、あらゆる本質があぶり出された、侘しい余韻が残る秀作。
アメリカの寂れた南部の土地。結婚式の日を迎えた保安官ケーンの元に、かつて彼が刑務所送りにしたならず者の男>>続きを読む
実に巧妙なつくりをした作品。
王道展開なのに、細かな人物設定の妙が徹底的に活かされた、ラブロマンス映画にしてプロパガンダ映画という二つの顔を併せ持つ、名作映画。
舞台は第二次世界大戦下、1940年の>>続きを読む
本作は1957年公開の同名映画のリメイク版。リメイクはオリジナルを超えない、と言われますが、個人的には、プラスマイナスの結果、同等程度の出来になっているのではないかと思った、かなり質の高い作品。
実>>続きを読む
あまりの凄さに、観ている時は、ただただ夢中で画面にかじりついて、観終わってからは、なんと表現していいか言葉が出ないくらいの高揚感に支配されてしまった作品。
他に何もなくても、ただ脚本が素晴らしければ>>続きを読む