Halowさんの映画レビュー・感想・評価

Halow

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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

3.9

良かったものの、海外の映画祭での圧倒的な評価で期待を上げすぎてしまった。

セリフや演技の繊細さに反して、物語は直線的な構図に収まっており、2人の葛藤を説得するだけの複雑さを持っていないように思われた
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プリシラ(2023年製作の映画)

3.6

主人公プリシラが自立していく過程はアリバイじみたわずかな描写があるだけで、物語のほとんどがエルヴィスの行動とそれにおろおろするプリシラを描くことに終始しているのはどういうことだろうか。

プリシラだけ
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クラユカバ(2023年製作の映画)

4.0

恐ろしいテンポ。
普通の作品なら、溜める場面や余韻のために止め絵する場面もぐんぐんカットを切り替え、息もつかせぬ素早さで話が進んでいく。アクション場面もダイジェストのような断片的な構成で終わってしまう
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クラメルカガリ(2024年製作の映画)

3.8

明らかに60分の尺でやる世界観と物語ではない。全体の1/3が状況の説明に終始してしまっているのは、やり過ぎだと思えた。

この作品において地図は「つなげるもの」として説明される。それに倣うかのようにさ
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ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)

4.1

7枚の写真にインスパイアされて製作されたというこの映画は、その写真に倣ってか画面サイズはスタンダード。そして四隅は丸く縁取られている。
そうなるとメディア性を否が応でも意識して見ることになるのだが、あ
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フォロウィング 25周年/HDレストア版(1998年製作の映画)

3.6

顔で人が見分けられないので、制作側の想定以上に混乱して鑑賞したのだと思う。
時系列シャッフル自体に文句を言うつもりはないが、ズラすにしても何かしらの規則に基づいて配列してくれないとアンフェアな印象が勝
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青春神話(1992年製作の映画)

3.8

ツァイ・ミンリャンも一作目から作風を確立していたわけではないのだと知った。
まあでもこれも面白い。
ガラスや陶器がよく割れる。香港でも「ガラスのハート」みたいな言い方をするんだろうか。

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

クレジットに並ぶ錚々たる顔ぶれ。ほぼモブみたいに扱われていた人にすらノーベル賞受賞者が何人もいるのだからすごい。

冒頭で提示される「理論は得意だが実験がダメ」というオッペンハイマーの特性が、その後呪
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美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)

4.0

図らずもタイムリーな映画になってしまった。

デュポンの件もそうだけど、21世紀にもなって大企業が健康被害を隠蔽して利益を得るような事件が普通に起きていることに驚かされる。
こういう被害とただの陰謀論
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愛しのグランマ(2015年製作の映画)

4.0

素晴らしい脚本。主人公の人物造形が良い。
こういう痛快だが複雑な人情話は大好きだ。

人体の構造について(原題)(2022年製作の映画)

-

注射の場面すら直視できない自分にとっては、本当にショッキングな映画だった。
手術シーンのたびに心臓がバクバクになり、危うく医療ドキュメンタリーで体調を崩すなんて冗談みたいな事態になりかけた。
ここまで
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ロッタちゃんと赤いじてんしゃ 2Kリマスター版(1992年製作の映画)

3.8

いい悪童っぷり。

バカ姉弟やよつばとを想起したせいか、大胆な編集のリズムがマンガ的に感じられた。

12日の殺人(2022年製作の映画)

3.6

作品単体で見ればよくできた映画だと思うが、現実の事件が基になっているとなると疑問を持たざるを得ない。

人の生き死にをこんなに主題が剥き出しの物語に収めてしまっていいものなのだろうか。
ラストの希望の
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.0

Part 1に比べてスペクタクル映画の側面が強くなった。ヴィルヌーヴらしい力強い音響と絵作りで、いくつかの場面で心臓が震えるような感覚になった。
反面、前作の寡黙さや神秘性は失われ、世界観も小さく感じ
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オキュパイド・シティ(原題)(2023年製作の映画)

-

コロナ禍のアムステルダムを映しながら、ナチス占領時代にそこで起きた虐殺をナレーターが読み上げる構成。
4時間もあるので、集中が続かず、映像と字幕をいくらか見落としてしまった。
マックィーン監督本人が、
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COUNT ME IN 魂のリズム(2021年製作の映画)

3.5

取材対象自体は魅力的だし勉強にもなるんだけど、構成が単調で、その割に各トピックも整理されていない印象を持った。つまりグルーヴを感じなかった。
ドラムの精神を映画自体で体現してほしい。

すべての夜を思いだす(2022年製作の映画)

4.0

『わたしたちの家』の監督なので、なにかギミックがあるのかと思っていたが、今回は超自然的な現象は起こらない。それでもシンプルな作品とも言い切れない魔術性を備えたいい映画だった。
今作も覗き見と贈与が重要
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王国(あるいはその家について)(2018年製作の映画)

3.9

実作者しか知れない部分が見れて、ずいぶん勉強になった。

作中作とこの手法がどこまで呼応しているのか、ちょっとまだ飲み込めない。
読み合わせがどんどん演技に変わっていく過程を見ることで、確かに観客の脳
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かげを拾う(2021年製作の映画)

-

小森監督の作品を4本続けて観たために、完全に酔って画面を見続けられなかった。
これについては改めて見直したい。

二重のまち/交代地のうたを編む(2019年製作の映画)

-

被災者の言葉を残す必要性を感じながらも、やり方を間違えれば、それを安易な物語として消費してしまうことになりかねないという、恐れと躊躇いそのものを主題にした作品と理解した。

だからこそ、ワークショップ
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空に聞く(2018年製作の映画)

-

本当に素晴らしい。
ドキュメンタリーとして撮っている時点で、被写体の日常をそのまま写すことは不可能であるということをよく考えていた。
この映画と『息の跡』では、カメラを向けられているために、ついつい出
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