あしからずさんの映画レビュー・感想・評価

あしからず

あしからず

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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

3.5

感情と趣意優先で作品そのものへのアプローチが不足してる印象があって、特に終盤の出たとこ勝負みたいな雑さはラスト未定で走る是枝手法が裏目に出てるように感じる。勿論個々のシークエンスでみると、開けなかった>>続きを読む

女ばかりの夜(1961年製作の映画)

4.2

売春防止法制定後、道に迷う女たちの更生を阻む人々の残酷に抗う原知佐子のストイックさに脱帽。「夜の女たち」で運命に翻弄される娼婦を演じた後、今度は娼婦を撮る側にまわった田中絹代の、厳しくも庇護に溢れた視>>続きを読む

ナイト・オブ・ザ・リビングデッド 4K リマスター版(1968年製作の映画)

4.5

多様化するモダンゾンビの原点であり頂点。ゴア描写を競いがちな現代作品とは真逆の正統なクラシックホラー的演出で、ジャック・ターナーやポランスキーのような麗しい陰影が最高に魅力的。恐怖以上に美の勝利で画面>>続きを読む

ファウスト(1926年製作の映画)

4.8

圧倒的ダイナミズム。どこまでも絵画的でありながら映像の魔力が満ちた結晶体。映画とはかくあれ。悪魔と天使の派手バトルから疫病発生、ファウストの苦悩とメフィストの誘惑、恋と追いかけっこからおばちゃんトラッ>>続きを読む

北の橋(1981年製作の映画)

3.9

リヴェット作品のゲーム性と無常感を浴びる。現実の中のファンタジーとファンタジーの中の現実、そうじゃなきゃ人生やってられない。パスカル・オジェがドンキホーテならビュル・オジェはドゥルシネア姫なのか。パリ>>続きを読む

メリー・ゴー・ラウンド(1981年製作の映画)

3.7

ほどけそうで全然ほどけない縺れがたのしい。劇伴/物語/心象と3つのレイヤー(+1)の絶妙な調和と不協和音。この展開なら死体は必須だけどそこか〜となった。前情報なく観てマリアシュナイダーじゃない人を深読>>続きを読む

赤い砂漠(1964年製作の映画)

4.6

世紀末SFのような絵画性の高い映像の連続と神経を患ったモニカヴィッティの不均衡さが良すぎる。異世界に迷い込んだ異星人のように、怯えた野生動物のように世界を拒絶するヴィッティ。
工場内で緑のコートの彼女
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湖のランスロ(1974年製作の映画)

4.0

特有の金属音と不自由な動作。まるで枷のような甲冑はフィジカルのみならずそのまま騎士たちの精神の束縛であり、ランスロとグニエーヴルの障害の象徴。ただただ身体が痒くなったらどうするのかひたすら心配。跪く時>>続きを読む

明日は日本晴れ(1948年製作の映画)

4.1

バスの停止でみせる邂逅はロード無きロードムービーで少し某ライカートを思い出したり。
同じバスロケーションとはいえ「有りがたうさん」との類似性は想像より淡くて、足・目・子どもそれぞれなにかを失った人々の
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ピロスマニのアラベスク(1985年製作の映画)

3.8

ピロスマ二とパラジャーノフ、一見対照的な2人の芸術家を結ぶトビリシの過去と現在。ピロスマ二の素朴で原始的な絵画を画面上でコラージュするアプローチ面白い。動物たちの真っ黒な視線を切り取りその後肉塊になっ>>続きを読む

ラヴ・パレイド(1929年製作の映画)

3.7

情事の証拠をガーターリングで表すの色っぽい。フランス帰りの遊び人が逆玉の輿で女王と結婚するも彼女は公務に忙しく、退屈なすれ違いの日々に不満が募るという見事な風刺的男女逆転劇。ジャネット・マクドナルドと>>続きを読む

Kiev Frescoes(英題)(2019年製作の映画)

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パラジャーノフ的映画言語の断片。既に「ざくろの色」の前衛的要素が見てとれ更に制作中止になった欠片なのでシュールが加速。第二次世界大戦余波の作品だったらしくて珍しく現代の兵士が登場したりソフィア大聖堂を>>続きを読む

小さな兵隊(1960年製作の映画)

3.8

アルジェリア戦争只中で自国へ真っ向に反戦を唱える抵抗は世界で本格的に戦争が始まった現状を踏まえると尚更染み入る。戦時では何もしなくてもその行動に意味が付随し、もはや山師トマのように夢と現実を一体にする>>続きを読む

奇跡(1954年製作の映画)

4.5

余分を全て削ぎ落とし磨き上げた宝石のような感触でまさに神がかり。予想通りの結末に静かに歩むただそれだけなのに涙。教派を超えた奇跡とそれに反発するようなリアリズムの弁証法の説得力。緻密な銅版画のような映>>続きを読む

ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)

3.3

ドでかフォントで構成されたゴシップ誌。GUCCIというか構成がほぼほぼパトリツィアの映画なので彼女から視点がずれていった時点でノレなくなった。アダム・ドライバーもここじゃない感。レディ・ガガは適材適所

茶釜音頭(1935年製作の映画)

3.6

無声の長尺版で腑に落ちた。蓄音機やスキーにバイクなど現代的表現や御用の提灯もった末っ子狸がキュート

難船ス物語 第一篇 猿ケ島(1931年製作の映画)

3.6

政岡憲三デビュー作の切り絵アニメ。猿の島で起こる異端差別や相互不理解、どこかで見たような暗部。コミカルな動画を突き抜けてくる白猿表現

L'Inferono(原題)(1911年製作の映画)

3.7

ダンテの地獄ツアー。予習にと思って永井豪の神曲を読んだら圧倒的迫力で本作の地獄に不覚にも癒されるというミス。当時の特撮技術や美術を駆使した空飛ぶ罪人や180度回転する首、ケロベロス、蛇に変わる人間、巨>>続きを読む

あるじ(1925年製作の映画)

4.0

家庭で暴君のように振る舞う父親への警告は未だ現在に通じてしまうし、シスターフッドの描写が既にあることに感嘆と旧態依然を感じながら、市井の暮らしを真摯に描いた現代劇をドライヤーが主題に選んだ効果は当時の>>続きを読む

周遊する蒸気船(1935年製作の映画)

4.2

愉快。まさに蒸気のように、水が沸騰する如くゆるりとした立ち上がりからの超加速。旧約聖書と南北戦争を下敷きに、死刑宣告を受けた甥のため怪しげな薬を売る詐欺師の叔父と花嫁が奔走。投げ縄で捕獲され水中に引き>>続きを読む

素晴らしき休日(1938年製作の映画)

3.9

自由か安定の二項対立と象徴的な遊戯室。お決まり反資本主義でお金揉めだけどキャサリンヘプバーン×ケイリーグラントのアクロバットが鮮やかに風穴開けてくれて最高。ブルジョワ思想に早々と疲れたニヒリズムなアル>>続きを読む

ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)

4.0

家と職を得るために家と職が必要という社会のパラドックスとヒューマニズムの入る余地のないルール(規則は勿論必要)は躓いた人間を拒み、傷が乾く隙も与えない。ロードどころか職なし家なしその上車も犬も失ったウ>>続きを読む

病毒の伝播(1926年製作の映画)

3.4

いかにも文部省制作な衛生管理アニメーション。コロナ禍の今NHKで流しても違和感なさそう。あまりに憎たらしさ満点の病魔の擬人化

生活の設計(1933年製作の映画)

3.9

今まで観た三角関係の中で一番幸福。どこまでも即物的で本能的なとこがいい、ルビッチしか描けない△。「突然炎のごとく」の傷が癒やされた。麦わら帽子や軍縮会議など洒落た比喩多用の所謂エスプリの効いた会話と何>>続きを読む

天使(1937年製作の映画)

3.8

マレーネディートリッヒの美しさが飽和状態。そのまま羽ばたけそうな睫毛と神秘的な一筆書き眉毛。目立った展開はないけど洒脱な会話と全てを見せない演出がきまってる。皿の残し具合でわかる精神状態。
ラストの一
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(1946年製作の映画)

4.7

監督名その他なんの記載もないけど題名と制作年&国が合致してるのでこれと信じて。
政岡憲三自身が1番熱を込めたと述べる作品で、オーケストラ演奏のウェーバー作曲”舞踏への勧誘”と共に魅せる生命讃歌に満ちた
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線畫 つぼ(1925年製作の映画)

3.5

アラビアンナイトの漁師と魔神の物語。描き込みの多い独特の画で異国情緒が漂ってる。植物がめちゃうまい。毎秒ごとに変わる表情が可笑しいやら不気味やら。
吹き出しで喋る演出で完全に動く漫画。

教育線画 姨捨山(1925年製作の映画)

3.7

難題タイプの姥捨山で、水晶の話はオ〜と感心。断面図がおもしろい。画家志望だったらしい山本早苗の孝行息子のポートレートや細筆で描いたような作画、伝統文様など用いたデザイン的な演出が効いてる

イースター・パレード(1948年製作の映画)

4.0

見るだけで夢のような世界にトリップできるテクニカラーは合法ドラッグ。華やかなイースターと相性ぴったり。おもちゃ屋での鮮やかなダンスからの流れるようなお会計で少年からウサギを強奪な冒頭から掴まれる。
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トップ・ハット(1935年製作の映画)

3.7

騒音苦情の出会いから始まる両片思いすれ違いロマコメ。やはり1番の見所はダンス。足自体が意志を持ってるかのようなアステアの華麗かつ優雅なタップは本当にすごい。羽のドレスで踊るロジャースはまるで重力を感じ>>続きを読む

教育お伽漫画 兎と亀(1924年製作の映画)

3.6

鳥獣戯画風で人間味あふれる兎と亀の動作。ぷかぷか浮かぶ居眠りのグーやアホーのダイレクトアタックなど文字遊びが愉快。逆転でおおはしゃぎなカメのドヤ顔ダンスかわいい

塙凹内名刀之巻(なまくら刀)(1917年製作の映画)

3.8

現存する日本最古のアニメーション。おニューの刀で試し斬りしたい侍が按摩さんや飛脚に返り討ちにされるコメディ。ペン画のような太い線、水色と黄色のフィルム染色がいい味。何より人間の仕草の描写が丁寧ですごい>>続きを読む

くもとちゅうりっぷ(1943年製作の映画)

4.0

レベチ。太平洋戦争の最中に制作されたリリカルな短編ミュージカル。政岡憲三代表作のひとつ。アニメーションの細やかさと真珠のようなくもの巣の水粒や背景の花など静止画のリアルな美しさと童話の挿絵のようなかわ>>続きを読む

すて猫トラちゃん(1947年製作の映画)

4.6

幸福が動いてる。もっと早く観たらよかった、日本アニメーションの父/政岡憲三作品。子猫目線で描く世界と擬人化された猫ちゃんの質量を感じさせる色気のある動画に感動。セル画なのにこの立体感。特にお母さん猫の>>続きを読む

25日・最初の日(1968年製作の映画)

3.8

動く絵画または意志を持つコラージュ。キュビズムよりのロシアアヴァンギャルドな画、はためく赤旗、資本家や聖職者のカリカチュアと色々全開。十月革命の勢いと国家を揺さぶる振動が画面から溢れ出て圧倒。

タイム・アバンチュール 絶頂5秒前(1986年製作の映画)

3.9

ウェルズひいてはBTTFかつ2001年時空の旅なロマンポルノ。第二次関東大震災後にタイムスリップと世紀末感あふれながらやってる事はヤってるだけという馬鹿らしさが最高。鎧兜の暴走族は未来世紀ブラジルから>>続きを読む

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