あしからずさんの映画レビュー・感想・評価

あしからず

あしからず

阿賀の記憶(2004年製作の映画)

4.0

長寿餃子。正直あまりにパーソナル過ぎて追い付けなかったというのが本音で、ましてや“明治の痕跡”など分かるはずもない。それなのにこの郷愁にも似た霊感はなんだ。あの時あったものはなく、あの時なかったものが>>続きを読む

阿賀に生きる(1992年製作の映画)

4.3

生きることそのものを高純度で映し出す。生命の川が死の川となりまた生の川へと蘇る不変性。阿賀に生きる、であり阿賀に生かされている、であり。
水俣病の原因の場を一方悪としないのはそこで暮らす人々だからこそ
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港の日本娘(1933年製作の映画)

3.9

昭和初期のモダニズムと外国産サイレントの影響と清水宏の情緒的イリュージョン。初期宏は牧歌的要素が控え目で思ったより事件性高くて意表を突かれた、もののカメラと演出は既に出色。港町をドリードリードリーと無>>続きを読む

大都会/ビッグ・シティ(1963年製作の映画)

4.1

鏡の中に見える新しい自分と旧い自分。時代の狭間を生きる女性をこうも瑞々しく撮れる感性が刺さった。近しいながらも湿気の多い邦画とはまた違い映像の鮮度が高い。
ウーマンリブの波はインドにも押し寄せ、家庭内
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注文の多い料理店(1993年製作の映画)

4.0

急逝した岡本忠成のあとを川本喜八郎が引き継いで完成させた本作。ただならぬ妖気と気迫で今まで観た映像作品の中でも原作のイメージに1番近い。パステルかコンテ画のようなテクスチャー。山猫たちの死のダンスに心>>続きを読む

おこんじょうるり(1982年製作の映画)

4.1

イタコのおばあちゃんと狐のおこんの愉快なテンツク浄瑠璃話かと思いきやちゃんと民話的な残酷さもある緩急。保坂純子さんら製作の張り子のような人形がなんとも言えずいい味。最後は涙なしでは見れませぬ

虹に向かって(1977年製作の映画)

4.2

本当にアニメーションの神様だ、と実感する美しさ。
次元の違う異素材を再び2次元に昇華していく繊細さが至高。おりつのあの色っぽさ、人形にドキッとしたの初めて。照明がいい。
岸田今日子の麗しきお声が輪をか
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サクラより愛をのせて(1976年製作の映画)

3.6

落語の語り芸で怒涛のテンポ。満員電車で足組んでる人はもちろん、180度くらい足開いてる人もあかんです

チコタン ぼくのおよめさん(1971年製作の映画)

3.7

チコちゃんではないチコタン。
幼児向けかと思いきやとんでもないトラウマ映画で目の前が真っ暗。頭真っ白。

コンテイジョン(2011年製作の映画)

3.7

監督はタイムマシンでも持ってるのかなと思う程コロナ禍の現状がリアルに写し出されててポカン。2011の作品ながらウイルスの発生国発生源(おそらく)まで予見。ここチャレンジでやったとことばかりに真の意味で>>続きを読む

夜と霧(1955年製作の映画)

-

ペン1つで消える命に唖然。観なければと長年思いながらどうしても観れなかったけどやっと。
フランクルの「夜と霧」は内からの視点、レネのこちらは外からの視点で収容所を写す。緑が生い茂り観光地と化したかつて
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火宅 能「求塚」より(1979年製作の映画)

3.9

「求塚」そのものが初知りだけどあまりの理不尽さにビビっちゃったな。2人の男からの求婚に板挟みの女が身を投げるも、男たちが後追いし、なぜか女だけがその罪を一身に背負って地獄の業火で延々と焼かれ続けるとい>>続きを読む

道成寺(1976年製作の映画)

4.2

出色。髪をふり乱し足裏に血を滲ませ安珍を追う清姫の異様なまでの迫力は人形だからこそ。無表情とサイレントで掻き立てられる鑑賞者側の想像力は∞。情念を煽る照明もいい。
「花折り」と同じく立体と平面の異素材
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コレクションする女(1967年製作の映画)

3.8

コレクションする女と墓穴をほる男。モノローグの完璧な独り相撲に笑う。こうなるために登場しましたと言わんばかりの宋の壺の存在感。アイデの悪戯っぽい目と丸鼻、小顔と長い肢体はコケティッシュながらショートで>>続きを読む

詩人の生涯(1974年製作の映画)

3.8

マルクスとか資本主義とかプロレタリアとか1回置いといてお母さんが糸になるとこ怖すぎて夢に出そう。伊藤潤二がよぎった。安部公房の仄暗さがコンテ(色鉛筆?)の切り絵で巧みに表現されている。ジャケツ!

花折り(1968年製作の映画)

4.0

狂言「花折」を題材にした人形アニメーション。長谷川久蔵の桜図のような日本画の平面美術と立体な実写人形のシナジー。能や文楽もそうだけど同じ顔なのに少しの所作で変化する感情に見蕩れる。酒好き小坊主のユーモ>>続きを読む

(1972年製作の映画)

4.2

至高の8分。黒漆のごとき闇と蒔絵の背景美術がサイコー天才。砂子もいい。今昔物語からの着想と人形浄瑠璃デザインの相性が良くないわけがない。そこに三味線と尺八ときたら。上から伸びる白腕の凄みは最高峰。
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M(1931年製作の映画)

4.2

昔観たのと編集が少し違った気がしたけど米版はバージョンが多いみたい。観終わってから口笛ループが止まらないのはさておき、改めて超社会派な精神と巧みな表現に感心のため息。直接的な描写を極力抑えて要素のみで>>続きを読む

映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)

3.8

映画制作において選ばれなかった部分って観客には直接見えないものの目前の作品は様々な取捨選択の結果であり、それは人間/人生も同様という事をポップに提示。厚みは物足りないけどプロデューサー・監督・俳優・フ>>続きを読む

渚にて(1959年製作の映画)

3.4

理想的かつ絶望的な無彩色の終末。人類滅亡作は数あれどこの雰囲気は珍しい。核戦争後に北半球から南半球へ放射能がじわりと漂ってくる恐怖は真綿で首を絞められるよう。微かな希望をもぎ取る死の匂いの静けさは50>>続きを読む

厳重に監視された列車(1966年製作の映画)

4.1

戦時下ではレールに沿った人生さえままならぬ。童貞×戦争をシュールとシニカルで装飾したトラジコメディ。チェコ版「肉弾」と言えるような言えないような。
あまたのsex暗喩に苦笑してたら突然の暴風。勝利と自
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ハズバンズ(1970年製作の映画)

4.0

特大ホモソ映画のノリで人生を問いてくる造りに脱帽。急死した親友の葬儀後の3人は少年のように悪魔のように野良犬のように惨め。ふざけて壊して生を謳歌する。顔アップの多用にこちらの精神も不安定。
ワンシーン
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地球最後の日(1951年製作の映画)

3.7

大風呂敷を広げたわりに包きれてないミニマムな地球滅亡。エヴァだってささやかながら日本以外も描いてたがこっちのノアの方舟(定員40名)はアメリカ人専用という合理主義。
期待したパニックも小規模、心理描写
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地球爆破作戦(1970年製作の映画)

3.5

コンピューターに支配される人類。東西冷戦を反映しつつ究極の世界平和を暴力的に突きつける展開は「地球の静止する日」と既視感。アメリカとソ連のコンピューターの交わり、機械には人種の壁も国境も不要という点が>>続きを読む

地球の静止する日(1951年製作の映画)

3.9

SF黄金期の上質なノワールSF。
宇宙人が宿に現れる時の陰影などヒッチコック。冷戦下の世相を切り取り、友好型宇宙人(元祖)に地球平和を託す製作陣の反戦感情がシンプルな構成で的確に伝わる。全てが静止した
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そして人生はつづく(1992年製作の映画)

4.0

1年ぶりに。セミドキュメンタリーでメタフィクションという構成の厄介さと映像の素直さがとてもキアロスタミ。イラン地震で「うち」を失った人々との交流で生を浮き彫りにしていく俯瞰的な視線はスーパーロングショ>>続きを読む

私はゾンビと歩いた!(1943年製作の映画)

4.2

なんたってタイトルがイイネ。
ロメロ系譜のゾンビ映画とは異なる、お(襲わない)は(走らない)し(死ぬ)な40年代ゾンビの幽玄な美しさ。回想で語られる悲恋とジャック・ターナー流古典ホラーの手法と麗しき陰
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アタラント号(1934年製作の映画)

4.2

水の中にみえる愛。猫もとい犬も食わぬ新婚夫婦のかけ違いをこうも感覚的に瑞々しく撮れるジャン・ヴィゴは本当に早逝の天才だったんだな。過酷な経歴と病の苦を感じさせないこの幸福感はどうして出せるのか。
船は
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ベロニカ・フォスのあこがれ(1982年製作の映画)

3.9

ファスビンダーの実質の遺作。
映画界と戦争の影をなきものにしようとする白の暴力がすごい。ナチ時代のUFAのスター女優ヴェロニカは薬物依存の穴に嵌り、数字を刻まれた老夫婦は平和を求めハチミツ茶を飲む。
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近頃なぜかチャールストン(1981年製作の映画)

4.0

本気と書いてマジと読む。ドラえもんでのび太が国を作る話があったけど(その名ものび太国)、本作の老人たちも日本政府に愛想をつかし、独立国家を建国。いえ精神病なんてとんでもない。
相変わらずシニカルなユー
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ピクニック(1936年製作の映画)

3.8

マネやモネたち印象派が好んで描いた”草上の昼食“から視野を拡大して、40分でみせる人生劇場。ルノワールのパパ・ルノワール(ややこしい)の絵画「舟遊びの人々の昼食」 や「ぶらんこ」などの要素もあり。
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友だちの恋人(1987年製作の映画)

4.0

“友だちの友だちは友だち“
喜劇と格言劇のラスト。シリーズもの完走するのが苦手なので辿り着けてうれしいな。
自尊心強めな人たちの恋模様は良い意味で不愉快でおもしろいし、それぞれの思惑の交差が絶妙。服の
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百万長者と結婚する方法(1953年製作の映画)

3.6

百万長者ってつまり100万ドル=約1億円で、実際百万長者という言葉が使われた時代は1ドル=約360円なので3億6千万長者となるらしい(グーグル調べ)。なので現代で言う年収1000万の人と結婚したい!よ>>続きを読む

脱出(1944年製作の映画)

3.9

「死んだハチに刺されたことは?」
マッチの往復でみせるローレン・バコールの登場が完璧。当時19歳と知って気絶。クールな美貌と優雅な仕草とは裏腹にボギーだけに見せる隙だらけの感情表現、ギャップが最高。彼
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有りがたうさん(1936年製作の映画)

4.6

ほぼバス車内のワンシュチュエーションで完結する構成と「ありがとう」の一言で魅せるバス運転手・上原謙の人柄、牧歌的な田舎の光景、人生の悲喜交交のどでかエモーショナル。狭い車内で交差する人々は清水宏流『駅>>続きを読む

或る夜の出来事(1934年製作の映画)

4.5

素晴らしい。初めは肩、その次マフラー、コート…と大量の借りが愛ですべて清算される。海へのダイブ、どしゃ降り、夜の川を肩車(?)と、水にまつわる全ても涙に帰結。
ラブコメのお手本でありながら要素要素の抑
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