あしからずさんの映画レビュー・感想・評価 - 19ページ目

あしからず

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緋牡丹博徒(1968年製作の映画)

3.3

“渡世人”や“侠客”、それに“草鞋を脱ぐ”という言葉の意味も学べてとってもお勉強になる任侠映画。現代で使えるかは置いといて。
親の仇を探して賭場を流れ歩く女侠客"緋牡丹のお竜"こと矢野竜子を演じる藤純
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

4.4

タランティーノの映画愛を全身に浴びて、観終わったその夜オフトンの中でその優しさに感極まった。こんなの泣いてしまう。

もちろんその最期が注目されるのは仕方ないけどシャロン・テートは確かに存在していたし
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浮雲(1955年製作の映画)

3.8

え〜んこれはやだ〜分かるけどやだなあ。ダメンズ系にしてもしんどい。
戦時中に赴任先のインドシナで出会って恋に落ちた2人。戦後日本に帰って現実に飲み込まれるターンが梅雨のように鬱々とした空気感で低気圧が
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何がジェーンに起ったか?(1962年製作の映画)

4.3

恐ろしいけどおもしろい、おもしろいけど恐ろしい。
人気子役だった過去の栄光に囚われる姉と成長して名女優となった妹の傑作サイコサスペンス。

ベティ・デイヴィスは「イヴの総て」といい「黒欄の女」といい我
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みな殺しの霊歌(1968年製作の映画)

3.7

次々と犯され殺される5人の有閑マダムたち。
殺人犯の鋭く根深い復讐心が加藤泰のキレキレの画面構成で見事に研ぎ澄まされている。光と影の使い方がとにかく抜群。

冒頭から起こる突然の殺人はヒッチコックの「
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小人の饗宴(1970年製作の映画)

3.1

小人症の人たちしか出演しないヘルツォークの例の問題作。

内容はタイトル通りで小人たちが猿を十字架に磔にしたり盗んだバイクで走り出したり植物を燃やしたり盲目の小人症の人を虐めたりやりたい放題の狂乱。そ
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家族ゲーム(1983年製作の映画)

4.1

ATG製作配給のなんとも言えないテンポの独特なシュールコメディ。

そんな横並びの机だから目玉焼きの黄身をちゅーちゅーするのが好きなの気付いてもらえないんだよお父さん。
誰とも向き合わない家族の救世主
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月世界の女(1929年製作の映画)

5.0

「メトロポリス」が動のSFならこちらは静。
1000本目なににしようかなあと悩んだ結果これを。あまりに良すぎて震えた。
フリッツ・ラング最後のサイレント、最後のSFにして世界初の“本格”SF映画。
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沓掛時次郎 遊侠一匹(1966年製作の映画)

4.0

やっぱり自分が知らないだけで世の中すばらしい映画がたくさんあるなあと改めて思う。
加藤泰のローアングルたまらない。血しぶきの描写が豪快で鮮烈で美しい。
季節の果物を渡すことで四季を描く手法は加藤泰美学
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アメリカの影(1959年製作の映画)

3.8

脚本なしの即興劇とだけあって、50年代のNYの空気感が直で肌に伝わってくるのが気持ちいい。多少ぶつ切りのスピード感ある撮り方も即興とは思えない巧みな台詞回しも上手くて、映画全体がジャズのようにテンポの>>続きを読む

車夫遊侠伝 喧嘩辰(1964年製作の映画)

4.0

こんなにいい映画だったなんて。無骨なポスターやサムネ画像からは想像できないほど美しい。いい意味でうらぎられた。
冒頭のスピード感とラスト5分の静けさの緊張感の対比が最後のシーンをより際立たせて美しい。
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欲望(1966年製作の映画)

4.5

60s特有のキッチュな映画かと思いきや中盤からにわかにサスペンスの匂いがし、かと思えば一転してあの惑いのラスト。印象がくるくる変わっていく不思議な魅惑。

フォトグラファーの男が男女の逢引を盗撮した写
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にっぽん・ぱらだいす(1964年製作の映画)

3.3

戦中から戦後の売春防止法が制定されるまでの娼婦たちの生き様。溝口健二の「赤線地帯」よりポップで観やすかった。

赤線地帯の映画を観るとつくづく職業を失うつらさを実感する。そこでしか生きていけない人たち
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アポロンの地獄(1967年製作の映画)

3.4

昔ギリシャ神話集で読んだ時はそんなに思わなかったけど、映像で観るとこんなにしんどいパゾリーニの「オイディプス王」。

エディプス・コンプレックスの元であるかの悲劇を初めと終わりに現代の映像を挿入して、
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美しさと哀しみと(1965年製作の映画)

3.5

これは純文学の皮を被ったレディコミでは。加賀まりこと八千草薫の同性愛や老人と少女のいけない関係など川端康成の性癖がギュッとなってる。

さくらんぼみたいな可憐な顔で師匠への愛を激しく燃やす加賀まりこは
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サンセット大通り(1950年製作の映画)

4.0

観たい映画が多すぎて何から観ればいいのか分からなすぎてとりあえず名作を観なければと鑑賞。

その結果はマックス。この映画の主役はなんと言おうと私の中では執事のマックス。
もちろん虚構の中で輝く大女優の
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茶の味(2003年製作の映画)

3.3

このサムネとタイトルから想像してた内容とは斜め上のもったりシュールという新ジャンル。
ヤクザの霊とかう○ちとか巨大化した女の子の幻とか中学生のコラ画像みたいなCGの使い方がなんだろう。くだらないんだけ
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紳士は金髪がお好き(1953年製作の映画)

3.8

たのしいかわいいハッピーセット。
5本に1本はこういう映画を観たい。

能天気ブロンドのマリリン・モンローとしっかりもののブルネットのジェーン・ラッセルの対照的な美女コンビが最高にキュートなドタバタミ
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太陽の季節(1956年製作の映画)

3.4

50年代の無秩序な若者たちを指す、いわゆる太陽族を描いた石原慎太郎の小説が原作。
ダンスパーティー、ヨット遊び、別荘にお泊り、当たり前のように煙草や麻雀など、高校生とは思えないこれが50年代なのか。現
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ミッション:8ミニッツ(2011年製作の映画)

3.6

列車爆破事故の犯人を見つけるため、ギレンホール演じるエリート軍人が死亡した乗客の意識に送り込まれ、爆発8分前の車内を追体験するSFサスペンス。
バッドエンドをどうにかして回避しようとゲームを何度もリセ
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女囚701号 さそり(1972年製作の映画)

3.4

なんだこの演出!とツッコまざるを得ない大胆な演出の数々(もちろんいい意味で)
そして無駄にポロリするポロリ。
オープニングが君が代で、真っ白なシーツに処女喪失の日の丸が滲むパンチ効きまくりの女子刑務所
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キカ(1993年製作の映画)

3.2

真面目にふざけてるアルモドバル。
設定はめちゃくちゃなんだけど内容は割とシリアスな不思議な魅力。
メイクアップアーティストのキカは死化粧を施そうとして生き返ったラモンと同棲しているがその義父とも関係を
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風船(1956年製作の映画)

3.2

どっちつかずの風見鶏は足元で踏みにじられる花など見向きもしない。ふわふわした風船のような人たちの残酷さときたら。
どうも醜悪さがぬぐえなくてそれは芦川いずみの可愛さでも相殺できてない…いやギリギリでき
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M★A★S★H マッシュ(1970年製作の映画)

3.0

アルトマンのドタバタ戦争コメディ。
とは言っても個人的にはそんなに笑えなかったけれど独特の滑稽さがある。
ふざけた日常パートとそつのない医療シーンのメリハリが効いていた。軍医の日常物語なので戦闘シーン
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東京暮色(1957年製作の映画)

3.7

どうにもできない人生。
登場する全ての人の思いがチグハグでどの線でも交差しない。こんなにも交わらないものかともどかしくて、改めて自分が映画において傍観者だったということを自覚した。いつも暗い顔で一度も
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未知との遭遇(1977年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

こわくて泣いた。
軍が封鎖した基地で未知のよく分からない飛行物体を喜びの顔で見つめる人たちがひたすら怖かった。あの人たちが宇宙人に見えた。
こんなにこわいのにレビューを観るとみんなワクワクしたって書い
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野良猫ロック ワイルド・ジャンボ(1970年製作の映画)

3.8

藤田敏八監督特集で鑑賞。
1作目とはガラリとテイストが変わった2作目。断然こっちが好き。
和田アキ子はチラッと出るが完全に前作の使い回しの映像で笑った。

ペリカンクラブという5人組のチンピラにお嬢さ
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ダイヤルMを廻せ!(1954年製作の映画)

3.6

犯人が犯行計画を語る所から始まり、犯罪がどう展開していくのか見守る構成がハラハラしておもしろい。犯人視点のため犯人応援しちゃう。最後まで犯行がバレるかバレないかの瀬戸際でドキドキ。

ダイヤルMのMは
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人生劇場 飛車角(1963年製作の映画)

3.0

鶴田浩二が刑務所でお勤めを果たしてる間に愛する女が高倉健と結ばれ、事態が揺れ動いていくまさに人生劇場。なんとも世知辛い世の中。

将来の約束までしてたオトヨを高倉健にとられても涙をのんで許す鶴田浩二は
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永遠に僕のもの(2018年製作の映画)

3.6

双子のガールフレンドの片方に「君は僕の彼女?」と聞く所がすきだった。

黒い天使と呼ばれたアルゼンチンの実在する連続殺人犯の美少年をモデルにした映画。実話ベースだけど映画としての雰囲気作りが優先されて
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昭和残侠伝 吼えろ唐獅子(1971年製作の映画)

3.1

あっちを立てればこっちが立たぬ。
任侠映画とはなんと複雑なものなのか。義理堅さは時に諸刃の剣みたいで任侠映画に慣れてない身としてはもうすこし柔軟にすればあの人は助かったのでは?と思ってしまうけど健さん
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ローラ(1961年製作の映画)

3.6

初恋の人を待ち続ける踊り子ローラとその周りの男たちの恋模様。音楽はおなじみミシェル・ルグラン。
アヌーク・エーメ演じるローラがお顔は恐ろしくゴージャスなのに動きがパタパタしてて非常にかわいくて、歌うよ
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女番長 野良猫ロック(1970年製作の映画)

2.9

スケバンな和田アキ子さん。
大柄でハスキーボイスでバイクを乗りこなし(乗ってないけど)男性俳優よりカッコいい。女子校ノリっぽい感じでスケバン達にもモテモテ。あとさすがに歌がめちゃ上手い。
内容はふつう
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パッドマン 5億人の女性を救った男(2018年製作の映画)

4.0

これは全世界にみてほしい。
生理への偏見がひどく生理期間中は隔離され、ナプキンは高価なので多くの人が汚い布を使用するインド。不衛生なため感染症で亡くなる人もいる程。
これはそんな悲惨な現状から愛する妻
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秋刀魚の味(1962年製作の映画)

3.5

やっとこ初小津安二郎。
果たして遺作が初見で良いのか迷ったけど秋刀魚好きだしいっかとなった。しかし秋刀魚は影も形も出ず代わりに鱧が出た。

噂通りロー・ポジションの映像、観る前から絶対好きになる予感が
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ティコ・ムーン(1997年製作の映画)

3.9

BD作家のエンキ・ビラル監督作。
月が舞台の近未来SF。
身体に真っ青なアザが出て死に至る奇病にかかった月の独裁者一族が、臓器移植適合者のドナーであるティコ・ムーンという人物を狙って争い、ここに謎の殺
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