映画史上最も死ぬ気で懇願する男が登場する。慧可断臂を超える様。
今見るとコレはヒーロームービーで、青年漫画で、しかも三島由紀夫の近代能楽のようなモーレツな感情の頂がある。
オゾンとは相性が良い。
こんなセックスは日本人には描けない。娼婦のセックスこそ一番「イヤラシイ」はずなのにそれが非常に精緻な人間描写になっている。
これはリアリズムとして観ることが重要。胸糞悪いのは何に向かって胸糞悪くなっているのか、それを耐え忍ぶ意味があるのか、よくよく考えたい。オールドボーイとは違うのだよ、オールドボーイとはな。
『あん』以来。もう少し注目して見ようと思う。
言葉を多用しているが悪い言葉でもない。ポエジーは漂わないが詩を貼り付けたようなダサさでもない。
ダイレクト、非常にダイレクト。
過去鑑賞記録。
大人達の造った世界と、現代の「生きにくさ」を感じる庵野流チルドレン。
特撮のヒロイズムはこの作品に於いても変わらない。
チルドレンは救済を求めて自らを含めた世界を破壊する。巨神兵は>>続きを読む
タブローに宿る神秘を解き明かそうとする様は圧巻。
画家は絵画的行いを通して、真実を求める。この作品のそれは身体性の地平に立脚した脱身体性、つまりエロスであることがわかる。
絵画の身体性が、映像とい>>続きを読む
映像が映画となるに至るまでの編集の最適解を追求しているのだとか。この「語り口」を自然と受け入れる為にはまだ鑑賞回数が足りない。
ひとつわかることは、この作品の撮影と演出の在り方、これは紛れもなく、と>>続きを読む
カルピスの分量を少し増やしたりとか、日本人にしかわからないこともやってるけどそのくらい細かいところも徹底して、フィクショナルな人間関係にリアリティのあるイメージを吹き込んでて良い。
だから、何も起き>>続きを読む
撮影監督は『メッセージ』(2016)でアカデミー賞ノミネートされたブラッドフォードヤング。
ところどころ意味のわからないスローモーションとベートーヴェンがあるものの、一貫性のある素晴らしいトラッキングと長回し。
多角的な視点による群像劇、伸びる余白、これらが鑑賞者のレンズのピントを流動的に>>続きを読む
ホームビデオのような子供を撮る距離感が、この映画が単なる過酷な物語でないことを訴える。
少なくとも今日の帰り道はループ再生されるであろうBGM。
唯一の監督である。
人ではなく空間を撮ることが、繰り広げられる会話にそれ以上の客観的な意味を与えている。かもしれない。
窓拭きは卑怯でしょう。
期待を裏切る良作ではないでしょうか。
これは、レオンの皮を被ったグッドウィルハンティング。と言うだけでは表現が足りないオリジナリティがある。
伏線を回収ではなく説明し、感情の高ぶりや嘘などのテンションに合わせて「レンズの存在」をあからさまにに見せるズームをし、「ままならぬ」ことを嘆きつつ嘲笑するかのように音楽を挿入する。
映画の当たり前の>>続きを読む
物語の始まりと終わりで、世界が変わっていることにこの監督の確かな力量を感じる。
そして動物が良い。
想像していたより全然良かった。
ある「ヴェンダースなのに駄作」を観た際のコメントだけど、淀川長治のこの作品の言及が面白いから引用する。
...すごく怒るんです、いい監督(ヴェンダース)の場合は。(>>続きを読む
重要なテーマであるが故、駄作と軽々しくも言えない駄作。
信仰の話をしている筈なのに目に見えないモノを何も描いていない。都合が色々とあったのだろうけどとにかく映画として、あの終わり方にしたスコセッシに>>続きを読む
1つの物語が幾重にも解釈される様を、その可能性を、同時に1つの画面に立ち昇らせる。
それはどのアスペクトに共感するか、どのキャラクターに共感するかという単純な選択に終始することなく、映画の構造を多層>>続きを読む
不安を、生暖かく、日本人でなければ出来ない絶妙な匙加減で感じさせてくれる。