浅見Lefty恭弘さんの映画レビュー・感想・評価

浅見Lefty恭弘

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スケアクロウ(1973年製作の映画)

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 「起承転結」ではなくて、「起承転」でズバっと終わる…落語家で映画評論家の立川志らく師匠がYouTubeでそう解説している。志らく師匠によると、この構造、落語と同じなのだそうだ。
 「スケアクロウ」を
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或る夜の出来事(1934年製作の映画)

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クラーク・ゲーブル、クローデット・コルベールの「或る夜の出来事」を観てきた。
 フランク・キャプラ監督の演出が冴え渡る快調なテンポで繰り広げられるコメディ、一種・ロードムービーでもある。
 一番有名な
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バベットの晩餐会(1987年製作の映画)

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「バベットの晩餐会」を観てきた。フィルム上映だった第一回午前十時の映画祭で2010年秋に観て以来だから、久しぶりどころではない。デジタル化のものは初体験だが、映像だけでなく、音声もとても美しいの驚いた>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.1

Wim Wenders監督「PERFECT DAYS」を観た。画角は、今時珍しくスタンダードサイズである。
 驚いたのは、役所広司演じる主人公「平山」が車を運転中にカセットテープ📼‼️でかける音楽の数
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デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム(2022年製作の映画)

4.0

David Bowie Moonage Daydreamをグランドシネマサンシャイン池袋のIMAXレーザー(スクリーン幅25.8m)で観てきた。
 最初にJeff Beckファンなので言わせてもらうと
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蜘蛛巣城(1957年製作の映画)

4.0

「蜘蛛巣城」を初めて劇場で観賞することができた。
 そもそも霧、靄、煙、砂埃などなどたっぷりの場面満載の作品だけに、4K修復はさぞかし大変であったろう。画面は美しくなったが、本作の場合は、妖魔や絶叫す
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恋におちたシェイクスピア(1998年製作の映画)

4.2

 午前十時の映画祭12で、「恋に落ちたシェイクスピア」を見てきた。
 初公開時、7年前に次いで、今回が3度目である。どんなに素晴らしい作品であるか、今更言ったところでキリがない。今回初めて身近に感じた
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線は、僕を描く(2022年製作の映画)

4.0

 横浜流星・清原果耶という、若い人気者を主演に据えながら、しかも老若男女のための良作を作ったことにおおいに感心したのである。原作は青春小説とのことだが、家族の出来事を悲しむことや、自分にこれができるか>>続きを読む

家族の肖像(1974年製作の映画)

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今はなき岩波ホールで見て以来、44年ぶりにルキノ・ヴィスコンティ監督「家族の肖像」を劇場鑑賞してきた。こちらも高齢者となり、天井を歩く死神の足音に命の終わりを悟る教授の心境がよくわかるようになった。静>>続きを読む

百花(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

前から気になっていた川村元気監督「百花」を、ようやく見てきた。
 人間が生きていく上で欠かせない忘却についての物語とも言える。もし人間に記憶を消し去る能力がなかったら、大変なことになってしまう。しかし
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未来世紀ブラジル(1985年製作の映画)

4.0

 昔から異様なビジュアルの断片が気になっていたが、午前十時の映画祭のおかげで、やっと見てくることができた。
 管理社会の内側にいる人間であるサムが体制に刃向かい、解放を勝ち得たかに見えて、実は抹殺され
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隠し砦の三悪人(1958年製作の映画)

4.6

 大好きな「隠し砦」。だが、劇場で観ることができたのは今回が初めてだ。誠に「午前十時の映画祭」はありがたい。
 特に今回の4Kデジタルリマスターは大変秀逸で、モノクロで最近撮影した作品かのような画面の
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クーリエ:最高機密の運び屋(2020年製作の映画)

4.1

「そりゃあ、ジェームズ・ボンドを実際にやっちまったら、こういう目に遭うよなあ」という納得感あふれる映画。情報を提供する側も受ける側も、妻子があるんだから許してちょうだいな、という訳にはいかない。ボリシ>>続きを読む

キネマの神様(2021年製作の映画)

3.8

 かつての大船調を目の当たりにしてきた老監督によるノスタルジックな作品、などと言う、つまらないものではない。コロナもソーシャルディスタンスも、緊急事態宣言下の映画館での一席空け観賞も登場する。舞台挨拶>>続きを読む

シャイニング 北米公開版(1980年製作の映画)

4.2

 午前十時の映画祭のおかげで「北米公開版」を初めて見ることができた。
 これまでのコンチネンタル版も、大きなかたまりかわバッサリとカットされていた訳ではないので、全体の印象がガラッと変わる訳ではない。
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竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

3.6

 歌と映像の非常に美しい作品であった。特に夏空の入道雲の色彩表現には息を呑んだ。

 竜の見た目や屋敷その他がもろ、ディズニーのアレを連想させてしまう。すずのアバターが「Belle」だし、「Where
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2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)

4.2

午前十時の映画祭11のおかげで、「2001年宇宙の旅」を久々に映画館で観賞できた。
 かつて、情報誌「ぴあ」の読者が選ぶもう一度見たい映画「もあテン」の常連だった作品である。
 もう亡くなってしまった
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ゴジラvsコング(2021年製作の映画)

4.1

 漸く日本公開となったGODZILLA vs KONG、行ってきました‼️ガンガン戦ってます。さて、どっちが勝つのか。これはねぇ、○○○が○○○をやっつけて終わっちゃいけない組み合わせなのよ。じゃあ>>続きを読む

イージー★ライダー(1969年製作の映画)

4.1

「午前十時の映画祭」で「イージー・ライダー」を見た。お馴染みの…ではあるが、よく考えてみたら、劇場での観賞は初めてだった。4Kレストア版で、音も最高であった。
 フリーダムを求めてバイクで旅しても、フ
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ファーザー(2020年製作の映画)

4.4

かつて、老いぼれた俳優たちの成れの果てを描いた「旅路の果て」(The End of the Day/1939)という大変な傑作があった。それは、老人ホームで暮らす彼等を外側から観察したような映画であっ>>続きを読む

JUNK HEAD(2017年製作の映画)

4.3

たった1人で7年がかりで作り上げた異色作。見ていて全編ストップ・モーション撮影であることを忘れてしまう。黒ずくめの「3バカ兄弟」は勇敢だし、「ニコ」ちゃんは可愛い。これが3部作の1本目ということだが、>>続きを読む

アンタッチャブル(1987年製作の映画)

4.4

午前十時の映画祭で4年ぶりに見た。 
 頭髪を抜いて顔を太らせたロバート・デ・ニーロが、実にイヤな感じのアル・カポネを再現して見せてくれる。
 「戦艦ポチョムキン」のオデッサ階段を連想させる深夜の駅の
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ザ・ロック(1996年製作の映画)

4.7

「Welcome to The Rock」ショーン・コネリーのあの深い声での一言だけでも、めちゃくちゃ痺れる。
「俺は撃てる。お前には撃つことができない」ーー安全装置の外し方も知らない化学🔬🧪🧫の専門
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大脱走(1963年製作の映画)

4.1

 午前十時の映画祭10 Final」で2020年2月、久々に劇場で鑑賞。新作並みの美しい映像で見られて嬉しい。相変わらず、どうしてこの状況から現実に最後まで逃走に成功した人が本当に3人もいたのか、とて>>続きを読む

シャネル&ストラヴィンスキー(2009年製作の映画)

3.5

 何をおいても、「春の祭典」初演の歴史に残る大混乱ぶりを見事に再現したのが、まさに圧巻である。全曲を9分台にかいつまんでみせているが、非常にうまくまとめてある。
 若き日のピエール・モントゥー、
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マリア・カラス 伝説のオペラ座ライブ(1958年製作の映画)

4.2

1958年、カラス絶頂期のパリ・デビューを収録した映画。パリ・オペラ座でのガラ・コンサートで後半は「トスカ」第ニ幕。とにかくものすごい歌、声、表現力、存在感に圧倒された。鑑賞したのは>>続きを読む

新解釈・三國志(2020年製作の映画)

3.3

予想以上に豪華なビジュアルであった。福田組の、しつこくも緩い世界が気に入らない人もいるだろうが、私は楽しめた。
 見た目では、ゲームから抜け出したような城田優の呂布、本当に真っ
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テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)

4.1

女のバディのロードムービー。ルイーズの方が逃避に積極的だったのが、途中からテルマもとんでもないことになり……。過去、テキサスでの出来事がなければ、そもそもこんなことには……。ルイーズの過去を知っている>>続きを読む

千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)

4.2

 緊急事態明け後のジブリ旧作上映で、「千と千尋の神隠し」を観た。スクリーンでの観賞は公開時以来だから、18年ぶりだ。
 ハクは本当は何者なのか、母親の行動の端々に千尋に冷たいような感じが見
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風の谷のナウシカ(1984年製作の映画)

4.2

緊急事態明けのジブリ4作品上映のお陰で6月、「風の谷のナウシカ」を劇場で見ることができた。超お馴染みの作品だが、劇場での観賞は初めてだ。さて、1984年作品だから画質はどんなものかな、と思っ>>続きを読む

もののけ姫(1997年製作の映画)

4.1

コロナ禍での緊急事態明け後のジブリ作品リバイバル上映で、「もののけ姫」を見た。映画館での観賞は公開当時以来だから実に23年ぶりだ。何より冒頭の「ドーン」の響き具合から始まって、音響の素晴らしさに>>続きを読む

ドクター・スリープ(2019年製作の映画)

3.9

 「シャイニング」で「REDRUM」と言っていたダニー君が40年たって、ユアン・マクレガーになってあのホテルに帰ってくる。
 キューブリックによる前作が大嫌いだったスティーブン・キン
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ダンス・ウィズ・ウルブズ(1990年製作の映画)

4.2

 午前十時の映画祭10ファイナルのお陰で、長年見そびれていたこの大作をようやく初めて映画館で見ることができた。
 このアメリカ🇺🇸の大自然、風景、こりゃあテレビ画面じゃ無理だ、と実感できる。こ
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ライフ・イットセルフ 未来に続く物語(2018年製作の映画)

3.9

 手短な紹介文に「世代も国籍も異なる二つの家族の運命が、ある事故を通して交差する人間ドラマ」とあり、よくまとめたものだと感心する。最初の方では、「厄介な作品を見にきてしまったのか」と心配になっ>>続きを読む

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

4.0

これはいい!車のことを知らない人間でもストーリーの良さで楽しめる。内容的には「フォード対フェラーリ」というよりは、「フォード対フォード」の戦いなのだが。マット・デイモン閣下とクリスチャ>>続きを読む

ラストレター(2020年製作の映画)

3.8

劇場で予告編を見ていた頃は、最も苦手ジャンルであるラブロマン関係の作品かと思っていた。だが、どうもひっかかる。YouTubeでレビューその他を見て、そんな単純なものではないとわかり>>続きを読む