りさんの映画レビュー・感想・評価 - 12ページ目

恋の罪(2011年製作の映画)

4.1

見かけ上のエロ・グロに騙されてはならない。むしろ、彼が意図しているのは、そこにあると思う。
園子温は、人間の性への耽溺、堕落、ヨゴレなどを徹底的に描くことで、ヒューマニストやモラニスト
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トランス・ワールド(2011年製作の映画)

3.2

異次元空間に投げ出された男女4人の話。物語が進むと解明されていくのが、それぞれが認識している時代・空間認識が全く異なっていること。例えば、ある人は2011年だと思っているが、もう一人は、第二次>>続きを読む

365日のシンプルライフ(2013年製作の映画)

3.1

物質主義を相対化する映画であり、「ミニマリストは最強のソリューション!」みたいなそれ。
主人公ペトリはYouTuberさながらの「自宅の物を倉庫に突っ込んでみた!」という実験を開始する
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タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら(2010年製作の映画)

2.9

タッカーとデイルが「意図せざる結果」として殺人をしてしまうお話。洋画版『カメラを止めるな』みたいな感じ。そこに、スプラッター要素と洋画のお約束(大学生が田舎に泊まりに来てなんちゃら…『悪魔のい>>続きを読む

自殺サークル(2002年製作の映画)

4.1

「せーの、いっせーのいっせーのいっせーのせっ」ということで、園子温監督の作品。
冒頭の集団女子高生自殺は、語り継ぎたい名シーンである。本作を観て感じたいのは、皆、タナトス(死への欲動)
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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

4.3

『ロブスター』以来のヨルゴス・ランティモス監督作品。彼の創りあげる世界観は好みかもしれない。とりわけ、本作を一貫して流れる<不気味・無機質・不可解>の通奏低音がいい。撮影技術についての知識がな>>続きを読む

英国総督 最後の家(2017年製作の映画)

3.9

インド独立=インドとパキスタンの分離独立を決めたインド総督の話。チャーチルの陰謀云々は置いといて、ある程度史実に則っている話。だが、ここまで宗教対立が凄まじいとは思ってもみなかった。もちろん、>>続きを読む

テルマエ・ロマエII(2014年製作の映画)

3.4

前半30分と後半30分が良い。中盤は前作と同様に、中だるみ感に溢れる。というのも、同じパターンの反復だからなんだけど…笑
ふと教材に活用できないかなーなんて考えてしまった。動機づけ理論
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スタンリーのお弁当箱(2011年製作の映画)

4.4

インドの小学校の話。両親を亡くし、親戚に引き取られたスタンリーは、「家族じゃない」と遠慮し、日々のお弁当を頼めなかった。そのため、昼休みは人知れず教室を離れ、手洗い場の水で空腹を満たしていた。>>続きを読む

聖者たちの食卓(2011年製作の映画)

2.8

シク教徒の総本山ハリマンディル・サーヒブの黄金寺院に密着した話。ここでは、宗教や人種、階級を問わず、来訪してきた人達にご飯を無償で振る舞っている。ちなみに、毎日、10万人分の食事を提供している>>続きを読む

SCOOP!(2016年製作の映画)

3.2

芸能人のゴシップネタを追うカメラマンの話。雑誌に掲載される衝撃写真がどのように撮影されているかなんて、今まで1度も考えたことなかったけど、こういう裏側もあるんだなーと。ただ、ちょっと冗長すぎた>>続きを読む

テルマエ・ロマエ(2012年製作の映画)

3.2

機能的な浴場の形成に命をかけた男の話。なぜか、彼が現代の銭湯や、家庭の浴槽、お風呂の展示場にループする。軽妙なやり取りが笑いを誘う。一つ思ったのは、過去の人が現代の文明に触れたら感動ものだなっ>>続きを読む

キラー・メイズ(2017年製作の映画)

3.1

デイブが自宅にダンボールで迷路を作ったら、そこに生命が宿っちゃったお話。迷路自体が増幅するわ、ダンボールで作った動物たちが動き出すわで、まさに発想の勝利。もちろん、迷路の中は自宅以上の大きさ、>>続きを読む

友だちのパパが好き(2015年製作の映画)

3.9

本作は、終盤の妙子のセリフに集約されている。彼女は「バカ!」と述べたが、本当にバカな内容。しかしながら、一切、ウケを狙ってはいない。ここが凄い。
監督は、「バカ」という観念を描くために
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ブルー・リベンジ(2013年製作の映画)

3.3

全体を通じて流れる雰囲気は好きだが、ストーリーを見ると「なんやこいつ…」って思ってしまう。復讐に生きる生き方は分かるが、報復されるのは必然であろう。だから、俺の身内を巻き込むな!とか理不尽な要>>続きを読む

コンテイジョン(2011年製作の映画)

3.7

本作はパンデミックの発生から終息までを描いている。「恐怖はウィルスよりも早く伝染する」が謳い文句であるが、恐怖というよりも不安感の方が適切であろう。「目に見えない」「正体不明」という要素の組み>>続きを読む

スーパーサイズ・ミー: ホーリーチキン !(2017年製作の映画)

4.2

本作は現状のファストフード界隈に一石を投じている。しかも、相当な喧嘩腰で。構成としては、監督のモーガン・スパーロックがファストフード店舗を作りあげていく過程を描いている。養鶏から商品開発、お店>>続きを読む

おいしいコーヒーの真実(2006年製作の映画)

3.2

コーヒー農家が貧困に喘いでいる様子を、先進諸国の消費者との対比から描き出す。 衣食住すら確保されない「絶対的貧困」の下で、高品質低価格な豆を作り続けている。先進国の消費者の欲望を満たすために、>>続きを読む

感染列島(2008年製作の映画)

2.1

本作は、未知のウィルス(通称:ブレイン)が、日本で大流行(エピデミック)し、発生源とされる地区を「ロックダウン」する話である。なんともまあ、時流に乗っている。演技が棒な点、多数の登場人物に焦点>>続きを読む

ピザ!(2014年製作の映画)

4.9

インドのスラム街に隣接する地域に、初めて「ピザ屋」が出店した。とある兄弟ーカラスの卵と揶揄されているーが、ピザ屋に魅せられ、それを購入しようと、アルバイトに勤しむ。もちろん、教育など受けている>>続きを読む

トゥー・リブ・アゲイン(1998年製作の映画)

2.8

何年代のアメリカを描いているか定かではないが、あまりにも何もかもが杜撰である。裏を返せば、このような適当な管理でもなんとかなったのだろう。病院や役所の体制を初めとして、呆れるほどに雑。
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バーフバリ 伝説誕生(2015年製作の映画)

4.1

インドの濃ゆい世界観が十分に発揮されてて凄い好き。ああ旅してえ。途中で思考を放棄しますた。

ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日(2012年製作の映画)

3.3

精神分析学的に、現状をあるがままに認知したら、精神に異常をきたすとして、「昇華」したのではないか、と感じた。つまり、パイが自身に降り掛かった凄惨な出来事を、小説のように物語ることによって精神的な>>続きを読む

黒い家(1999年製作の映画)

3.3

主犯が保険金目当てのサイコパス野郎って映画。だが、サイコパスの概念を履き違えている気がする…
脳科学者の中野信子によれば、特上のサイコパスは一般人に擬態し、かつ世俗の価値観に囚われない
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ペット(2016年製作の映画)

2.2

自分のペットが、何か思いを抱いていたり、ペット間で会話していたら面白いなーと思いながら鑑賞した。

透明人間(2018年製作の映画)

1.4

小中学生の頃は「透明人間」になったら…って妄想を繰り広げていたけれども、完全に透明になったら精神に異常をきたしますね。最初のうちは、読書や映画鑑賞に惚けていればいいのだけれど、あとは海外旅行や>>続きを読む

ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ(2018年製作の映画)

1.2

カルテル同士で戦争を起こさせるために、一方の親玉の娘を誘拐した。しかし、メキシコの警官と応戦している合間に、娘(イサベル)が逃げ出してしまう。アレハンドロが見つけだすも、急遽、作戦が変更になり>>続きを読む

ある戦争(2015年製作の映画)

3.3

隊長のクラウスは、部下を守るために、敵がいるであろう場所に空爆命令を出した。しかし、国際人道法上、敵を明確に視認しないうえでの爆撃は禁じられている。加えて、空爆の結果、11人の民間人の命が奪わ>>続きを読む

世界にひとつのプレイブック(2012年製作の映画)

2.3

【感想】
過去に囚われた男が、それを克服していく話。以前のできごとが何度も蘇ってきて辛い時がある。過去に縛られ、そこから逃れることができない。蟻地獄のように、甘美な記憶が、我々を苦悩という穴に
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ヒトラーの忘れもの(2015年製作の映画)

4.4

【感想】
デンマークの綺麗な砂浜と地雷や少年兵の死、という対比が鮮やかであった。自然の母胎、つまり生の根源である「海」と、人工的に造られ、死へと導く「地雷」の存在。本作は、対称的な両者が混在す
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ハッピー・デス・デイ 2U(2019年製作の映画)

3.8

【感想】
理想の未来を選択するか、それとも今までの日常を引き受けるか。究極の問いではあるが、ツリーは後者を、つまり母親が死んだ世界観ではなく、元の世界観、すなわちライアンと恋人になっている方を
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アジア犬肉紀行(2018年製作の映画)

3.3

【感想】
感情だけで物事は変わらねえ、って思った。私は犬を飼っていたことがあり、無惨に食用として屠殺されたいる様子は心が痛い。だが、小学校高学年の頃、犬の鎖を解いたことがある。それは、「ここで
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翔んで埼玉(2018年製作の映画)

3.7

【感想】
昨今のテレビ番組を見てると、違和感を感じてしまう。それは、県ごとの差異を強調し、対立を煽っている点である。メディア上の演出ではあるものの、その面白みはよく分からない。藩に分かれていた
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イエスタデイ(2014年製作の映画)

4.6

【感想】
誰でも一度は何かに憧れることがある。彼らはBEATLESに憧れ、大いに影響を受けた。青春の1ページを音楽と恋愛に割き、余白に友情や悪戯や学校生活を書き込んだ。
音楽×恋愛×学
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愛がなんだ(2018年製作の映画)

5.0

【700本目】

愛への反動形成、つまり愛を求めるも、それに見放される、もどかしさや苛立ちから「愛がなんだ!」と叫ぶ。しかし、逆説的なことに、愛への執着を放棄することで、愛への経路が用意される
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アス(2019年製作の映画)

3.9

【感想】
「本当の自分」というのがキーなのだと思う。Eveの「ドラマツルギー」とリンクする。「影の世界の人達」は「寂しいとか愛とかわかんない」し、「この小さな劇場から出らんない。気づいたら最後
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