えびちゃんさんの映画レビュー・感想・評価

えびちゃん

えびちゃん

逃げた女(2019年製作の映画)

3.8

わかってはいる。泣きたくなるほどしんどくて何にもうまくいかねーと苦悩しているのはわたしだけじゃない。みんな大なり小なりそうなんだと。でもわたしが世界で一番かわいそう、誰もわかってくれない、って自分を慰>>続きを読む

カラスの飼育(1975年製作の映画)

4.0

"信頼できない語り手"ものってなんでこんな面白いんだろうね、小説にしろ映画にしろ。その語り手は例えば精神疾患であったり、都合の悪いことを隠す狡い人間であったりさまざまだけど、本作の語り手は"子ども"で>>続きを読む

ホウ・シャオシェンの レッド・バルーン(2007年製作の映画)

3.5

カメラがふわふわと浮遊するようによく動く。風船のように。でもワンカットなのでやっぱりシャオシェンをちゃんと感じる。たびたび見守るように現れる赤い風船は神の目線のようでもあり。
シングルマザーのジュリエ
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ザ・ライダー(2017年製作の映画)

5.0

こんなに神聖な映画、はじめて。人間と馬の視線の交差に澱みのない純粋な信頼を感じる。自分の呼吸の音さえうるさく思えて出来るだけ長く小さく押し込むように努力した。彼らの静かな交歓の声を漏らさずにすべて聞き>>続きを読む

赤い砂漠(1964年製作の映画)

4.5

一瞬で好きになってしまった、アントニオーニ。色彩センスと心情の絡ませ方が素晴らしくて。グレーの背景に赤と緑が不穏に映える。心情や展開に説明が全くないので行間読みセンスが問われる。かなり苦戦して2時間弱>>続きを読む

泥の河(1981年製作の映画)

4.0

子供の演技が凄い、という気持ちと子供にこんな演技させないで、という気持ちが拮抗している。9歳児にして世が公平ではないということを知ってしまった絶望感が表情だけで切々と伝わってくる作品だった。
終戦から
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女っ気なし(2011年製作の映画)

5.0

この感情、なんていうんだろう。身に余る自己犠牲的な優しさは居心地の悪ささえ感じ、見返りを求めないあたたかさに涙が誘われる。行き過ぎたおせっかいにドギマギしつつ、もの悲しさと愛おしさがじんわりと沁みこむ>>続きを読む

切られたパンに(1968年製作の映画)

5.0

なんなんだ、切られたパンに、って。
「オー・パン・クペ」というカフェの名前がタイトルである。邦題付けた人、絶対観てないに1クペ。
あるカップルの別れと美しく眩しかった日々の追憶の物語だ。幸せに慣れず耐
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最高殊勲夫人(1959年製作の映画)

3.5

若尾文子さんがとってもかわいい!1959年の邦画がここまでおしゃれなのかという驚き。OPクレジット、このキービジュ、とにかくポップでオシャンで最高!
家vs.家だったり、三原商事の男vs.女や杏子vs
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トラス・オス・モンテス(1976年製作の映画)

4.0

美しくて難しくて気持ちよく眠っちゃった。ポルトガルの山岳地帯トラス・オス・モンテスの山や川など美しい自然、青々とした草原や乾いた土地ががしがし心を掴んでいく。ストーリーはほとんど存在せずドキュメンタリ>>続きを読む

愛・アマチュア(1994年製作の映画)

3.8

詩と詩で交わす交換日記のようだった。
目指しているものの道が明らかに見当違い。どこにも属すことができなくていつも違和感と居心地の悪さを抱えている人たち。同じ街に住んでいながらきっと永遠に交わることのな
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彼岸花(1958年製作の映画)

4.0

例の如く、びしゃびしゃに泣きながら観ていた。お父さんも嫁に行く娘もいつもとはキャスティングが違う!しかし嫁に行く行かないのすったもんだは変わらず。それでいながら各作品ごとに主題も味わいも違うし、毎度ま>>続きを読む

地獄に堕ちた勇者ども(1969年製作の映画)

4.5

すごい!すごい映画だ。
1930年代デカ鉄鋼会社の骨肉の争いというだけでも興奮を禁じえないのに、タブーにタブーが重ねられていくさまとデカダンスに恍惚を感じてしまった。OPクレジットシークエンスでは不安
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大地のうた(1955年製作の映画)

4.8

信じがたい作品だった。監督のサタジット・レイはどんな生涯を送ってきたんだろうと思う。貧困に寄り添い心を配らせつつ、詩情が溢れたような自然や人の営みへの描写に驚く。なんて豊かな映画なんだ。映るものがいか>>続きを読む

赤い航路(1992年製作の映画)

3.5

ひどい話だった。おもしろい波といい加減にしてくれ、との狭間に揉まれ、再生と停止を繰り返しながら5時間半くらいかけてやっと観た。
お互いの片っぽの足を一緒に縛って、沼に飛び込んで沈んでいくような関係。ベ
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LOVE【3D】(2015年製作の映画)

4.0

信じ難いことに、、ノエ作品の中で暫定最も好きかもしれない…。おかしい…。
体液が3Dで飛び出すと聞いていたからずっとイヤイヤイヤイヤしてたけど、まんまとどっぷり完全に飲み込まれてしまった。マーフィーと
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冬冬の夏休み(1984年製作の映画)

4.5

やっぱりどうしたってエドワード・ヤンとホウ・シャオシェンが好きすぎる!本作で2人を楽しめるのでオトク!
小学校を卒業した冬冬トントンとその妹の婷婷ティンティンが田舎のおじいちゃんのおうちに預けられる夏
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リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

3.7

ここではないどこかを探しているのに、どこにもいけないもどかしさ。退屈から抜け出したくて全てを捨てたのに、どこにも行けないなんて気がおかしくなるだろうな。おなかの中の鬱屈した感情の吐き出し口を求めてさま>>続きを読む

猫に裁かれる人たち(1963年製作の映画)

4.0

ジャケ買いならぬ、タイトル買いよ!そして買って大勝利!だいすき!猫に裁かれたい!
サングラス外した猫に見つめられると、偽善者や嘘つきは紫に、泥棒はねずみ色に、浮気者は黄色に、恋愛中の人は赤になる、とい
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童年往事/時の流れ(1985年製作の映画)

4.5

胸が詰まって、耐えきれない。心の機微をさりげなく余白たっぷりに描き、そしてそこに切ない懐かしさを込められる監督をわたしは他に知らない。
大変な時代だった。家族は多くお金は常にない。上の子は下の子の面倒
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用心棒(1961年製作の映画)

4.0

いやーーー、おもしろかった!おもしろすぎる!!
映画にエンタメを求めていない、とかつて嘯いたことのあるわたくしですが、エンタメさいこ〜!と謹んで訂正いたします…!
三十郎のセリフが良すぎる。
えびちゃ
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ルクス・エテルナ 永遠の光(2019年製作の映画)

3.8

目が、目が、びかびかするよ、、、
ノエ成分がぎゅっと詰め込まれた50分。わかっていたけどものすっごく疲れます。
ベアトリス・ダルとシャルロット・ゲンズブールのだるっだるのムダ話から、いつしか映画撮影前
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ジャック・ドゥミの少年期(1991年製作の映画)

4.0

ジャコ少年が名匠ジャック・ドゥミへと育っていくニュー・シネマ・パラダイス、と言いたいところだけど、究極の愛の結晶たる映画だった。
ジャコ少年時代の体験を思い出し紡ぎながらドゥミの映画は製作されていった
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悲情城市(1989年製作の映画)

4.5

時代の犠牲になることに理不尽とか、無念とかそんな言葉ではあまりにも軽すぎると思ってずっと下書きこねこねしていたんだけど、まとまらないからもう取り敢えず思いついた言葉のつぶつぶを落としていく。
1945
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天国の日々(1978年製作の映画)

3.5

とにかく美しい映像に圧倒される。ほぼ全編にわたってマジックアワーを狙って撮影したというから関わった人全てに畏敬の念を抱かずにいられない。朝とも夕方とも見分けのつかない光に包まれる人々のシルエットはあり>>続きを読む

アングスト/不安(1983年製作の映画)

3.5

あっという間。体感は60分くらい。グロさはそんなになく、完璧な計画がある!とのたまったわりにシリアルキラーの興奮が高まった挙句のアホアホさぶりにマスクの下でにんまりしてしまったりもあったけど、カメラが>>続きを読む

ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった(2019年製作の映画)

5.0

この日をずっとずっと楽しみにしていた。わたしが最も深く愛しているミュージシャン、The Bandをまた映像で追えたことが嬉しい。
公開前にピーター・バラカンさんのDJイベントに参加し(整理番号1番とい
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マティアス&マキシム(2019年製作の映画)

3.7

目を逸らしたふりをしても、いつだって目の端に彼は映っているし、大きな音で音楽が流れていたって耳は彼の声を追っている。
恋と気づいた時の感情が悦びではなく戸惑いだったことがある人におすすめしたい。壊した
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麦秋(1951年製作の映画)

4.5

マーチングバンドのように入れ替わりたち替わり何人もの家族が家中を駆けめぐる慌ただしい朝の風景がとても懐かしく愛おしい。
結婚適齢期すぎた紀子がお嫁に行くのどうのの物語をみせながらも描いていたのは、ひと
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白い花びら(1998年製作の映画)

3.8

"ユハ"
"マルヤ"
"ふたりは子供のように幸せでした"
から始まる不吉さ。明るい音楽でふたりともにこにこして幸せそうなのに、もやもやと漂う不穏さ。こんな、絶対に悲しい物語に決まってる。
質素ながら仲
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お早よう(1959年製作の映画)

4.5

あいらぶゆー!!

なんてかわいいホームドラマ。長屋のような新興住宅地で、子どもたちの遊びや大人たちのうわさ話やちょっとした諍いを織り交ぜながら。人生は無駄なことばかり、でもその無駄によってわたしたち
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メイキング・オブ・モータウン(2019年製作の映画)

4.5

最高のひとことに尽きる。


Marvin GayeのWhat's Going Onがリリースされたエピソードに胸が熱くなる。みんな聴きながら帰ったでしょうね。モータウン誕生の歴史を知ることができてよ
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カラマリ・ユニオン(1985年製作の映画)

3.8

ハイ最高。
ゆるいのにめちゃくちゃかっこいい、桃源郷エイラを15人のフランクが目指すロードムービー。レニングラード・カウボーイズの前日譚のような。終始意味がわからないし、全然イケてないのに何故かかっこ
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コントラクト・キラー(1990年製作の映画)

4.0

いつでも死ねるという心持ちだった人間も、恋に落ちたら世界が色づく。恋とはなんとちょろいものなのか。でも絶望を抱えた人間を死の淵から救い出せるほどの圧倒的な強さがある。
愛とはなんと衝動的なのか。しかし
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ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたち(2017年製作の映画)

4.5

やっと、やっと観ることができた!満席の客席を見渡す限り、ほぼ壮年男性…。まぁいい。『ザ・バンドかつて僕らは兄弟だった』の公開前に観ることができてよかった。大好きな人たちがたくさん出ていたのでスコアは加>>続きを読む

ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)

4.0

もう新しく観るエドワード・ヤン監督作品が無くなってしまい、ぼんやり気味。牯嶺街少年殺人事件を知らなかったカラダに戻りたい。

初めから終わりまでこだわり抜かれた対比とその見事なモンタージュ、心の中まで
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