凜華さんの映画レビュー・感想・評価

凜華

凜華

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ミリオンダラー・ベイビー(2004年製作の映画)

4.8

DVDで鑑賞したクリント・イーストウッド監督主演のヒューマンドラマです。
二人の想いや行動を肯定も否定もせず『海を飛ぶ夢』のように生と死について考えさせられます。

以下、ネタバレになるので余白あけま
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街の上で(2019年製作の映画)

4.5

青は『愛がなんだ』のナカハラが抜け出してきたような感覚でした。
おそらく青は、今泉力哉監督ご自身の経験を盛り込んだ投影です。
失礼かもしれませんが、女優さんたちはどこか雰囲気が似ていて愛らしく、監督の
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バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

様々な考察が出ている難しい作品です。

過去の栄光に囚われ、再びそれを取り戻そうと、ブロードウェイの舞台の成功を願うリーガン。
周囲の評価を気にしてばかりいるのは虚栄心からで、絶対に成功させるという強
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花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

4.5

恋愛ものは殆ど観ないのですが、先日『愛がなんだ』を鑑賞し、こちらも評価が良かったので観てきました。
土井裕泰監督作品にハズレなし。
脚本はドラマ『カルテット』が大変面白かった坂元裕二さん。
個人的には
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スラムドッグ$ミリオネア(2008年製作の映画)

4.0

ラップが混ざったようなパワフルかつ神秘的なインド音楽は完成度が高かったですね。
インドの格差社会を訴えているためだけではなく、全ての国の苦難と向き合っている辛い状況にある人々へ、ピュアで強く信じる心が
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るろうに剣心 最終章 The Final(2021年製作の映画)

4.0

ほかの映画サイトで「原作を冒涜している」「だから邦画がダメなんだ」などと手厳しい感想をいくつか読みましたが、エンタメ映画は楽しんだモノ勝ち。
私は原作未読ですが、特に不自然なところもなく充分楽しめまし
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るろうに剣心(2012年製作の映画)

4.0

『最終章 The Final』が公開になりましたね。
原作未読ですが、3作とも大好きで映画館で鑑賞できました。
なんといっても佐藤健さんのキレッキレの殺陣、アクションは最高です!
劇伴も大音量で迫力あ
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ノマドランド(2020年製作の映画)

4.8

ルベツキ×テレンス・マリックの作品を観ているような錯覚にとらわれます。
ノマド(遊牧民)の生き方がモチーフですが、主人公の生き様を描くことで、私たちの生き方や人間の存在意義を問う作品でした。

秀逸な
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ライフ・イズ・ビューティフル(1997年製作の映画)

5.0

「イタリア独特なユーモアが苦手」「哀しくてトラウマ」などの感想もあれば「大傑作!」といわれる作品ですが、生きているうちに観ておきたいですね。
無償の愛は奇跡を起こし、だからこそ人生は美しいのだと謳い上
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シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

5.0

テレビシリーズと『新世紀エヴァンゲリオン劇場版Air/まごごろを、君に』を観ていないと理解するのが難しいそうですね。
聖書からの考察も役に立ちますが、Yahoo!映画サイトで、現在役立ち度2位のSAS
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マグノリア(1999年製作の映画)

4.5

『ファントム・スレッド』『ザ・マスター』『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』などのポール・トーマス・アンダーソン監督脚本作品です。
若いトム・クルーズの怪しい演技が上手すぎ!劇伴も最高で、エイミー・マンの
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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(2012年製作の映画)

4.0

明日、『シン・エヴァンゲリオン』を観に行きます。
私はエヴァンゲリオンの世代ではなくテレビアニメは未見です。
シンを鑑賞したいために序、波、QをDVDで予習しました。
某プロデューサーが、『シン・エヴ
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グラン・トリノ(2008年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

冒頭の、弦からピアノに引き継がれる繊細な音色に惹きつけられます。
教会での葬儀のシーンでは、ウォルトの頑固さと口の悪さには思わず笑っちゃいました。神父に話しかけられ、朝鮮戦争で自分の犯した罪は死ぬまで
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ハンター(2011年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

ブルース・スプリングスティーンの『I'm on Fire』(イントロがカッコいいですね♪)とともに今まで姿を見せなかったルーシーが、その旋律に誘われるように突然、登場し踊り出します。
なんて綺麗な演出
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小さいおうち(2013年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

タキは、なぜ手紙を届けなかったのでしょうか。

戦時中は、男女が一緒に歩いているだけで警察に逮捕連行されたそうですね。
戦争へと向かおうとしている不安定な世の中でも平井家では幸せでいられたタキ。
大好
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パフューム ある人殺しの物語(2006年製作の映画)

4.5

なぜか主人公に感情移入してしまいました。
殺人を擁護しているわけではありません。
原作は読んでいませんが、観終わったあとミステリアスで官能的な世界へ完全に惹き込まれ、暫くの間、茫然としていました。
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真夏の方程式(2013年製作の映画)

4.5

『容疑者Xの献身』に続く東野圭吾さん原作の二部作の映画ですね。原作未読で書いています。
テレビシリーズのガリレオを観ていなくても解り、メッセージ性のある作品でした。
なぜ○○を巻き込むという設定にした
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パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)

5.0

あの『シェイプ・オブ・ウォーター』で数々の賞を総なめにしたギレルモ・デル・トロ監督脚本作品です。
本作も、アカデミー賞の美術賞、メイクアップ賞、撮影賞のほか色々な賞を受賞していますので、映像が美しく、
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縞模様のパジャマの少年(2008年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

少年ブルーノの一点の濁りもない真っ直ぐな眼差しは、
時には疑問を投げかけ、時には真実を映し出しています。
人は大人になる過程で、先生や親などの周囲の言うことが正しいと思い込み、偏見や見栄などの“余計な
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ツリー・オブ・ライフ(2011年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

彼はキャンドルの光とともに過去へと旅立ちました。

風のささやき、小川のせせらぎ、雨音、土の感触、花の香り、動物との触れ合い、雨音、太陽の暖かさ、月の満ち欠けetc.
赤ちゃんの時は、それら(神)と繋
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悪人(2010年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

この作品は人間のイヤな部分をこれでもかと見せつけます。

「私は佳乃や光代みたいな女なんかとは違うわ」
「あんな詐偽に引っかかったりする愚か者ではないよ」
「暗く人気のない所で女性を放り出すなんて酷す
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メランコリア(2011年製作の映画)

3.9

ラース・フォン・トリアー監督は、「憂鬱に支配された人間は普通の人間よりも大きな可能性を秘めている。彼らは最悪の状況を常に想定していて実際に悲惨な事が起こった時には普通の人々よりもずっと対応できるんだ」>>続きを読む

八日目の蝉(2011年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

子どもは親の所有物ではありません。
日本は欧米と違って血にこだわりを持ち、親が子どもを自分のものだと思い依存や執着が生まれます。

「私にはどうしても可愛いこの子が必要だ。
この子がいるから生きていけ
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キャロル(2015年製作の映画)

3.8

なぜか同性愛の映画と思えないトキメキを感じました。
人は多かれ少なかれ、そういう部分を持っているそうです。
因みに私はレズビアンではないのですが、多様化の時代を迎え、だんだんと偏見や差別はなくなってき
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そして父になる(2013年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます


家族が何回か会い、ふと漏らしたリリー・フランキーの「こういうのも楽しい」という言葉。
これが伏線となっていて、2つの家族が、これから仲良く交流するかのように暗示させるラストで見事に回収されています。
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愛、アムール(2012年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

何回か出てくる半身不随となった妻のリハビリをする夫。
それはまるで二人で寄り添いながら同じ方向に進んできた
人生そのものを表しているようで、じわっと涙が溢れ出しました。
喧嘩をして傷つけ合ったこともあ
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ミスト(2007年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

スティーヴン・キングは臨死体験をしたことがあるそうです。
人は臨死体験をすると、宗教とは無関係のところで精神世界へ目覚め、目に見えな力や自分の知覚を超えた神秘の力、魂、死後の世界、輪廻転生など、生命、
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永遠の僕たち(2011年製作の映画)

4.5

ガス・ヴァン・サント監督作品の中では、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』の次に好きです。
以下ネタバレになるので観ていない方はスルーして下さいね。



控え目ですが儚く美しい音楽が、映像やスト
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最強のふたり(2011年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

何度も流れる淡々とした短調の旋律がふたりの波乱の人生を表しているようでした。

夜中にフィリップの苦しそうな声に起こされ、「チッ。」と舌打ちしたドリス。
けれど、次の彼の行動は意外なものでした。
フィ
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ブレイブ 群青戦記(2021年製作の映画)

3.0

劇伴、脚本、演出が×
映像は○
楽しめた方には申し訳ないのですが、個人的には中村義洋監督、脚本で観てみたかったです。
真剣佑さんは『名も無き世界のエンドロール』の方が良かったと思います。
テンポが悪く
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ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日(2012年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

何故、ラストで虎が振り返らなかったのでしょうか。

それは、あのセカンドストーリーである残虐で辛い過去を
振り返らないこと、過去にとらわれることへの決別を意味しているのだと思いました。つまり、パイは苦
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

今までの西川美和監督作品とは少し違い、今の時代に合ったシンプルでストレートな作品でした。
三上は幼い頃、虐待され脳が萎縮し障がいを持ち…と書かれたレビューをチラッと読みましたが、私にとって、それはどう
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ザ・マスター(2012年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます


フレディ、ドッド、ドッドの妻の人物描写が大変優れていたので私は興味深く鑑賞することができました。

ドッドの妻は、夫を支えている美しくて強い女性ですが
支配的で、フレディに偏見を持っています。
絶妙
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ディーパンの闘い(2015年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

スリランカ内戦とは?
こういう映画は観る前に歴史的背景をあらかじめ調べておいた方がいいですよね。
宗教の対立も民族紛争もない私たち日本人には、その状況や心情は想像を超えるものがあるからこそです。

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ルーム(2015年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

原作者が脚本(脚色)を担当されているので、女性ならではの柔軟性のある感性豊かな秀逸な脚本でした。

無駄な台詞や場面が一切く、映像のみで心情などを語らせる大変クオリティーの高い作品で、監督を初め制作に
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ゴーン・ガール(2014年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます


以前から薄々感じていましたが、この映画でデヴィッド・フィンチャー監督はS(サド)だと確信しました。
また、完全な『エロティック・サイコスリラー』なので、突っ込み所は気にしないで(気になってしまったら
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