adeamさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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東京暮色(1957年製作の映画)

3.0

小津作品の中でもとりわけ暗い異色のホームドラマ。
母親不在で育ちアイデンティティが不確かな次女を中心に、救おうと奔走する長女、なす術もない父親の姿を描く物語です。
家族という血の繋がりへの不信、一方で
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.0

奇才ヨルゴス・ランティモスの1つの到達点と呼べそうなヴェネツィア金獅子賞受賞作。
大人の体に胎児の脳を備えた主人公ベラが人の世に対する好奇心に導かれるままに旅をして成長する様を独特のユーモアを交えて描
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浮草物語(1934年製作の映画)

2.0

前作に続いてキネマ旬報の年間ベストワンの座を得た小津安二郎による"喜八もの"の2作目。
旅芸人一座で座長を務める喜八がかつての愛人との間にもうけた息子と再会したことから繰り広げられる人情悲喜劇の物語で
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中国女(1967年製作の映画)

2.0

商業映画と決別直前のゴダールが撮ったヴェネツィアでの審査員特別賞受賞作。
毛沢東思想に傾倒した学生が文化人の暗殺を企てる物語です。
文化大革命開始後、五月革命前のこれ以上ないタイミングで当時の若者たち
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G.I.ジェーン(1997年製作の映画)

1.5

デミ・ムーアの体当たり演技が話題を呼んだものの興行的には苦戦したドラマ。
女権運動を推進する議員の計らいによって海軍特殊部隊の訓練プログラムに臨むことになった女性大尉の物語です。
たくましい女性像を繰
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生れてはみたけれど(1932年製作の映画)

3.5

小津安二郎サイレント時代の代表作。
子供の目を通して見る世の中の可笑しさと不条理を描いた物語です。
家では厳格な父の上司に対するご機嫌取りの姿を目の当たりにした子の失望は、「自転車泥棒」のラストほど痛
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PIGGY ピギー(2022年製作の映画)

2.0

インパクトのあるビジュアルを活かしたプロモーションが話題となったスペイン製スリラー。
肥満体型と内気な性格がいじめの標的となっている肉屋の娘がこっそりと1人出かけたプールで偶然鬱憤が晴れる場面に出くわ
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オスカー・ワイルドの カンタベリー城と秘密の扉(2005年製作の映画)

1.5

オスカー・ワイルドの短編を基にしたドイツ製のファミリー向けファンタジー。
家族旅行でスコットランドの古城を訪れた少年が、呪いによって亡霊となった城主との交流を通じて成長する姿を描く物語です。
「キャス
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バグダッド・カフェ 完全版(1987年製作の映画)

3.0

カルト的な人気を博したヒューマンコメディ。
砂漠のダイナーに集う人々の間に不思議な連帯感が生まれる物語です。
勝手に小難しいアート系作品と思っており、怒涛の夫婦喧嘩を水平バランス無視のカメラがとらえる
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出来ごころ(1933年製作の映画)

2.5

坂本武が人情に厚い庶民の男を演じて人気を博した小津安二郎による"喜八もの"の1作目。
日雇いで働きながら息子を育てる喜八の淡い恋を描く物語です。
そのキャラクターも話の運びも寅さんの原型と言われるのが
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彼女は夢見るドラマ・クイーン(2004年製作の映画)

2.0

最も勢いがあった頃のリンジー・ローハン主演のティーン向けムービー。
女優を夢見る15歳の主人公があれこれ奮闘する物語です。
設定がベタなのも展開が予定調和なのもディズニー印の青春映画を観ている以上は受
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アンチヴァイラル(2012年製作の映画)

2.5

鬼才クローネンバーグの息子ブランドンの長編監督デビュー作。
セレブが感染したウィルスがファン向けに売買される近未来世界の物語です。
SF的な設定で絶妙に気色悪いビジュアルを提示する才能は親譲りで、お金
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一人息子(1936年製作の映画)

3.0

小津安二郎初のトーキー作品。
女手ひとつで息子を育てた母と田舎を離れ東京で学校を出て就職した息子が久しぶりに再会したことで互いの想いのすれ違いが露わになる物語です。
中盤での母の爆発シーンが白眉で、高
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ファースト・マン(2018年製作の映画)

1.5

ディミアン・チャゼルが史上最年少でアカデミー監督賞を得て期待が最高潮の中公開され、厳しい結果となった伝記作品。
人類初の月面着陸を果たしたニール・アームストロングが様々な苦悩を抱えながらミッションに臨
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お茶漬の味(1952年製作の映画)

3.0

夫婦の危機と再生を描いた小津安二郎45本目の監督作。
お見合いで結婚した価値観のズレた夫婦が衝突を経て相手への理解を深める姿を描く物語です。
前半がやや冗長なのとラストがクドいのは惜しいですが、姪の見
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枯れ葉(2023年製作の映画)

3.5

引退宣言を撤回したカウリスマキの心温まるささやかなラブストーリー。
貧しく孤独に生きる男女が出会い、互いの心の隙間を埋め合うように惹かれあっていく物語です。
カウリスマキが今作を捧げた三者の影響は如実
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ワイルド・チェイス(2000年製作の映画)

1.5

ジェイミー・フォックス主演のアントワン・フークア監督2作目。
コソ泥が大金強奪事件の捜査に巻き込まれてしまうアクションコメディです。
話の進展が遅く、中盤を過ぎるまでどこに向かっているのかよく分からず
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父ありき(1942年製作の映画)

3.0

戦時中に公開された小津安二郎による父子家庭における父と息子の関係を2つの年代で描いたドラマ。
前半は教職を辞した父が中学生の息子を田舎に置いて離れて暮らし始めるまでを、後半では立派に成長し教職に就いた
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戸田家の兄妹(1941年製作の映画)

2.0

日中戦争から帰還した小津が最初に監督しヒットさせたホームドラマ。
父の死を発端に家族に繋がりの希薄さが露わになり、崩壊していく様を描いた物語です。
キネマ旬報で自身4度目の年間ベストワンを受けるなど興
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早春(1956年製作の映画)

3.0

多作の小津にしては戦中期を除けば異例のインターバルが示す通り難産だったという一作。
息子を失い関係が冷え切った夫婦に訪れる危機を描く物語です。
例の如く劇的な展開は尽く避けられ、不倫に手を染めながら溺
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トゥームレイダー2(2003年製作の映画)

1.0

アンジェリーナ・ジョリーをスターに押し上げたアクションアドベンチャーの続編。
トレジャーハンターの主人公が再びお宝を求めて冒険を繰り広げる物語です。
自身の出世作の続編を大失敗させた実績のあるヤン・デ
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大学は出たけれど(1929年製作の映画)

2.5

十数分だけ現存する小津安二郎初期のサイレント作品。
大学を出ても納得のいく働き口を見つけられない男の元に母と婚約者がやって来て、就職したと思わず嘘をついてしまうお話です。
原因は違えど買い手市場におい
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突貫小僧(1929年製作の映画)

2.0

小津安二郎サイレント時代の短編コメディ。
人さらいが連れ去った子供がとんでもないワンパクで、かえって手を焼いてしまう物語です。
他愛ないお話ではありますが楽しく観られましたし、オチもほのぼのして良かっ
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麦秋(1951年製作の映画)

3.5

通称"紀子三部作"の真ん中に当たる小津安二郎の傑作。
娘が嫁に行くか否か、どこに嫁ぐのかで一家に広がる波紋を描く物語です。
原節子は「晩春」では若干サイコ気味、「東京物語」では愛情深く、今作では至って
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フィール・ライク・ゴーイング・ホーム(2003年製作の映画)

2.5

スコセッシが製作したブルースに捧げられたドキュメンタリーシリーズの一編で、スコセッシ自身の監督による作品。
デルタブルースを愛するというスコセッシはミュージシャンのコリー・ハリスをミシシッピ、そして西
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暗くなるまでこの恋を(1969年製作の映画)

2.0

ベルモンドとドヌーヴが共演したトリュフォーのミステリアスなロマンス。
煙草工場を経営する男が金髪の美女と結婚するも、ある日女は銀行口座の金と共に忽然と姿を消してしまう物語です。
敬愛するヒッチコックの
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恋愛日記(1977年製作の映画)

2.0

脚フェチとして有名なトリュフォーがその趣味を作品に反映させたコメディ。
美しい女性の脚に目がない男がその女性遍歴を本に書こうとする物語です。
設定からはもっとバカバカしいお話が見られるのかと思いきや、
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晩春(1949年製作の映画)

3.5

小津の戦後3作目にして代表作となった名作。
嫁に行かない娘を案じる父親と、父との2人暮らしを捨てられない娘の切ないすれ違いを描く物語です。
初めは独り身の父を想う献身的な娘の自己犠牲のお話かと思ってい
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和製喧嘩友達(1929年製作の映画)

2.0

短縮編集版のみが現存する小津の初期のサイレント作品。
共に暮らし働く仲の良い男2人の元に宿無しの女が転がり込んだことから起こる三角関係のドタバタを描いた物語です。
必然的に短縮感が否めないことを差し引
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エクスタミネーター(1980年製作の映画)

2.0

監督と脚本を務めたジェームズ・グリッケンハウスの代表作であるB級バイオレンスアクション。
ベトナム帰りの男がチンピラに重傷を負わされた親友の復讐を果たして以降、街にはびこる悪を自らの手で処刑していく物
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リスボン物語(1995年製作の映画)

2.5

「ことの次第」の続編的な位置付けのヴェンダースによるロードムービー。
映画監督のSOSを受け取った録音技師が機材を届けるため、ドイツからポルトガルのリスボンへと境界の無くなったヨーロッパを陸路で横断し
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恋人よ帰れ!わが胸に(1966年製作の映画)

2.0

ジャック・レモンとウォルター・マッソーが初共演した名匠ワイルダーのコメディ。
フットボールの試合中継で怪我を負ったカメラマンと、それを利用して賠償金を得ようと目論む弁護士の義兄に、お金目当てで接近する
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お早よう(1959年製作の映画)

3.5

小津安二郎の50本目の監督作となった群像劇。
横並びの新興住宅地で暮らす人々の日常のささやかな出来事をほのぼのとユーモラスに描く物語です。
登場人物が多い今作では役者陣の好演が光っており、前半に会費騒
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エクソダス:神と王(2014年製作の映画)

1.5

旧約聖書の出エジプト記の映像化にリドリー・スコットが挑んだスペクタクル巨編。
後にファラオとなるラムセスと共に育った男モーセが、神の啓示を受けユダヤ人たちを率いてエジプトを脱出するまでを描く物語です。
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Valimo(2007年製作の映画)

2.5

カンヌ映画祭が60回記念として企画した"映画館"がテーマのオムニバスにおいて、カウリスマキが監督した短編。
工場の労働者たちがお昼休憩で向かった先は食堂でなく映画館というユーモア、そこで彼らが真顔で観
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Bico(2004年製作の映画)

2.0

タル・ベーラやグリーナウェイなどヨーロッパ25ヵ国の監督たちがそれぞれ撮った短編を集めた企画において、カウリスマキがフィンランド代表として監督した5分間のドキュメンタリー。
北欧出身のカウリスマキがわ
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