黒猫道さんの映画レビュー・感想・評価

黒猫道

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それでも私は生きていく(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

どうしようもなくフランス映画なのに、遠く離れた東京に暮らすぼくたちの映画でもあった。

「病を患い視覚と思考力を失いつつあるインテリの父の介護」と「家庭をもつ男との不倫」という死と生(あるいは性)が彼
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レッド・ロケット(2021年製作の映画)

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美しいテキサスの風景とテレビから流れるトランプの演説が印象的だった。
マイキーは明らかに"クズ"として描かれているが、どうにもマイキーのことが嫌いになれないのは、多かれ少なかれマイキー的自分本位さがぼ
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AIR/エア(2023年製作の映画)

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まず前提、とてもおもしろい作品だったということは言っておきたい。
が、個別の会話もシナリオ全体もすべて「上げてから下げる」あるいは「下げてから上げる」が徹底されており、まるで水戸黄門みたいな映画だなと
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

「ずっと自分のことばかりね」彼女はそう言った。

この物語は自分勝手な男が自暴自棄になって死んでいくお話。
自分勝手なことその1
:太りに太った結果、最愛の人の妹に看護させていること
自分勝手なことそ
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私、オルガ・ヘプナロヴァー(2016年製作の映画)

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美しい映画だったが、どうにもハマりきれなかった。

中動態概念を引くまでもなく、犯罪が完全に個人に帰責しうるものではなく環境要因が大きいことも理解しているが、どうにもことオルガに関しては、自らの意思で
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

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アジア人版マトリックスともいうべきアクション映画であり、コロコロコミックレベルのコメディ映画でもあり、ゴリゴリのクィア映画でもあり、「もしあのとき別の選択をしていたら…」という誰しもが抱いたことのある>>続きを読む

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

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素晴らしい映画だった。
天災という人智を超えた出来事を解釈するために人間が生み出した「物語」というメディアの原型たる物語であり、それを現代の日本において語るべき必要性から更新した作品だと思う。

RRR(2022年製作の映画)

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鑑賞自体はすこし前だけど感想を書けていなかったので時間差で投稿。
結論から先に書いておくと、ぼくはあまり好きな映画ではなかった。というか、問題のある映画だと思った。

前提として、ぼくはインド映画初心
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別れる決心(2022年製作の映画)

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脚本は巧みだし、バタイユの『眼球譚』を彷彿とさせるような視ることに宿るエロスの描き方は流石。
でも「"禁じられた関係"のメロドラマ」の域を出ず138分はすこし長かった…

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

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とてもいい映画だったので短歌を詠みました。




もう2度と思い出さずに済むように
すべて燃やそう(犬を除いて)

アラビアンナイト 三千年の願い(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

物語論研究者vs物語中の物語であるアラビアンナイトのジンという類稀なる設定に胸躍らせて観に行ったが…

主人公による物語論の研究発表や、ジンによる3千年の経緯の語りはとても面白かっただけに、後半がとて
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