いつもの原田眞人監督の映画
6割くらいはうまく聴き取れないほとんど怒号のような役者の台詞の応酬を、極限まで間を切り詰めたハイテンポな編集でつなぐ。よくも悪くも「クライマーズ・ハイ」「日本のいちばん長>>続きを読む
あるのは男の権力だけ
リドリー・スコットが中世ヨーロッパの決闘による裁判を描く、という情報だけだと「グラディエーター」的なものを想像していたが、3つの視点から炙り出される女性の苦悩は、一貫して強い>>続きを読む
前のめりにさせる要素が感じられない
ドゥニ・ヴィルヌーヴがメガホン、ティモシー・シャラメはじめ豪華キャストによる競演、伝説のSF小説が原作ということで、期待しないわけにはいかない作品だったが、どう>>続きを読む
虐待映画
試写会。原作では序盤で既に明らかになっている事実をあえて映画用のフックにしていたり、面白い試みではあると思うのだが、これを感動作品として見られるかというと、わたしにはある種の虐待映画にしか>>続きを読む
多彩な映像とガジェットで魅せるクレイグボンドの最終章
サム・メンデスの「スカイフォール」「スペクター」のスタイリッシュかつスマートなまとめ方が個人的に気に入っていたので、それと比較すると本作は割と大>>続きを読む
噛み合わない歯車の「空白」を埋める難しさ
ある事件によって歯車が狂った人たちの映画だと思っていたら全く違った。登場人物の多くは既に壊れていて、事件は単なるきっかけに過ぎない。
赦す、赦されないと>>続きを読む
バランスを欠いた歪な新フェーズの幕開け
「アベンジャーズ エンドゲーム」で22作に及ぶ壮大なユニバースに一旦は決着が着いたMCU。
「スパイダーマン ファー・フロム・ホーム」「ブラック・ウィドウ>>続きを読む
物語のための物語
「ドライブ・マイ・カー」を観た後の感覚はポン・ジュノの「パラサイト 半地下の家族」に近い。もちろんどちらも映画のジャンルは全く異なるが、韓国映画、日本映画という枠に収まらない世界>>続きを読む
ナムナム
マーベルのシリーズでも一際異彩を放つ「ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー」のジェームズ・ガンによるDCの新作は冒頭からやり過ぎグロ過ぎ楽し過ぎのフルスロットルで突っ走る。
MCUと>>続きを読む
シンプルな物語に隠された重層的メッセージ
異種間の交流の話は、それ自体はさほど目新しいものではないが、『あの夏のルカ』はそこに多様性の受容、暴力による支配からの解放、という重層的なメッセージを折り>>続きを読む
アクションメガ盛り全部盛り
相変わらず見終わって2秒後ぐらいには完全に内容が飛んでしまうほどストーリーは薄いのだが、まあ別にそこに重きを置いていない人がほとんどだと思うのでそこにツッコミを入れるの>>続きを読む
原作と目線が真逆
原田マハ先生の原作がオールタイムベスト級に好きな私としては、この映画は原作のタイトルと登場人物だけを借りた全く別の作品としか思えなかった。
原作にはない50年前の撮影所のエピソ>>続きを読む
たいぎぃんじゃワリャーッ‼︎‼︎
ギラギラした尋常ならざる熱量が魅力的だった前作は、役所広司演じる大上刑事の存在感も大きく、続編はその不在が作品のアナになるのではないかと危惧していた。
ところが>>続きを読む
「細田守」という巨大で繊細で危険な作家性
日本を代表するアニメーション監督として確固たる地位を築いている細田守監督だが、同時に作品に対する評価は二分されている。
特に『未来のミライ』は圧倒的に>>続きを読む
史上最大の4Dビショビショ案件
「ジュラシック・ワールド」「レディープレイヤー1」など、4Dと相性の良い作品はこれまでにもあったが、徹頭徹尾アトラクションに振り切った本作こそが現時点における4Dム>>続きを読む
伝えたい言葉花火とともに散り
試写会
原色のビビッドな色彩と繊細なタッチのキャラクターの動きだけで、充分に「好き」な映画なのだが、後半はさらに尻上がりに作品が愛おしく思えてくる。
出っ歯と矯正>>続きを読む
懐かしさ漂う正統派SFジュブナイル
青春SF小説の傑作と言われるロバート・A・ハインラインの原作を読んではいないが、舞台設定を日本に置き換えた『夏への扉-キミといる未来へ』はどこか懐かしさ漂う正統派>>続きを読む
超即死って、なに?
「音を立てたら、即死」のキャッチコピーそのままのアイデアが秀逸だった第1作のコンセプトを引き継ぎ、かつ世界観を拡張させたのが本作『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』である。>>続きを読む
続・テンション低めの殺し屋狂想曲
前作に続いて全体的に作品のテンションがトロ火の様にすこぶる低いが、岡田准一の凄まじいスタントアクションを魅せるという面においては大きくグレードアップしていて、画面>>続きを読む
身構えている時には、死神は来ないものだ
ガンダムはどの作品も最後まで観たことはなく、ゆえにどこまで気持ちが乗れるのか、心配であったが終わってみればSF×ポリティカルサスペンス×戦争アクションの3つが>>続きを読む
「おろ?」を言わない緋村剣心
シリーズ完結編にして第1作へとつながる過去を描く本作は、前作ほどのスケールはないものの、その分しっかりとドラマの重みで密度の濃い物語を展開している。
「The Fi>>続きを読む
浦沢直樹のいない浦沢漫画
試写会にて。
長崎尚志が10年の歳月を費やしたというオリジナルのプロットは、確かに練り上げられてはいるが、悲しいことにこの作品のテーマでもある「キャラクター」があまりに弱>>続きを読む
誰も見たことがないけれど、確かにそこにあったもの
劇的な展開は何一つ起こらないのに、気がつくと映画に夢中になっている。登場人物たちがゆるくリンクしていく様子を超長回しでみせていくだけで2時間の作品>>続きを読む
職人技が光るハンドメイドなストップモーションアニメ
本職は内職業という監督がほぼひとりで7年の歳月を費やして完成させたという『JUNK HEAD』は、驚異的な完成度の高さもさることながら、SF的な>>続きを読む
おろ?
漫画実写化の成功例としてよく語られる「るろうに剣心」シリーズは、コスプレ感を排した衣装美術とアクションの積み重ねによる演出が作品の肝であり、最終章の一本となる本作においても丁寧に踏襲されてい>>続きを読む
極めて不合理な世界をロジカルに描くホラー映画
我々は世界を正しく知覚できているのだろうか。「ファーザー」を観終わった時に真っ先にそれを思った。
アカデミー賞で史上最高齢の男優賞を獲得したアンソニ>>続きを読む
メッセージ性が極めて薄っぺらい
「アンフェア」シリーズの秦建日子 氏による原作を「SP」シリーズの波多野貴文が映画化した作品ということで、リアルかつ骨太なサスペンスものを期待したが、きわめて薄っぺ>>続きを読む
始まりとは終わりの始まり
中高生向けの恋愛映画が氾濫する昨今において、『花束みたいな恋をした』は、大人の鑑賞に耐え得る、というよりまさに20代後半くらいの人間にグサグサと刺さりまくる映画だ。
冒頭>>続きを読む
「きらめき」とは今日を生きる勇気
「生きる目的」みたいなものを考え始めると自分の人生がひどく惨めに思える時がある。だが、ピクサー最新作「ソウルフル・ワールド」はその答のない問いに優しく寄り添ってく>>続きを読む
届け、遥か彼方へ
五輪が開催される年で公開しなければ、内容に新鮮味が失われてしまうという意味では、早々に一年の公開延期を決めた「名探偵コナン 緋色の弾丸」の判断はある意味で正しかったように思う。>>続きを読む
ホラーギガ盛りコメディ
ビッチ殺人ループコメディという異色のジャンルを開拓した『ハッピー・デス・デイ』シリーズに続く本作は、JKとおっさんの入れ替わり×殺人鬼モノという異種格闘技戦で独自路線を突っ走>>続きを読む
それ定量的に言ってもらえる?
「まともじゃないのは君も一緒」は、主役2人のハイテンポな会話劇をコメディとして成立させている一方、「普通って何?」や「好きって何?」と言ったことを考えたことのある人>>続きを読む
原作の破壊と再構築による野心的傑作
「主演・大泉洋」であてがきされた小説を、吉田大八監督はあえてそのままの映像化せず、映画化にあたりほとんど原作の破壊と呼べるレベルで個々の要素を分解したうえで再構>>続きを読む
4DX吹替
ポール・W・S・アンダーソン監督×ミラ・ジョボビッチの夫婦コンビによるカプコンのゲームの実写化といえば「バイオハザード」とコンセプトがほぼ同じだが、アクションとアドベチャー要素にリソース>>続きを読む
現代アメリカ社会の縮図
今年のアカデミー賞のフロントランナーを突っ走る本作は、ノマド(遊牧の民)と呼ばれる人たちのミクロな視点を通じて、リーマンショック以降のアメリカ社会の縮図をマクロな視点で描く>>続きを読む
社会の不条理と矛盾を問う力作
西川美和監督は、寡作ながら『ゆれる』『ディア・ドクター』『永い言い訳』など、多くの傑作を生み出している日本映画界のフロントランナーである。
そんな西川監督の最新作『>>続きを読む