love1109さんの映画レビュー・感想・評価

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行き止まりの世界に生まれて(2018年製作の映画)

4.1

惨めで、危険で、劣悪な都市といわれるイリノイ州のロックフォード。家族から逃れるようにスケボーを始めた3人の、心のうちにしまい込んだ誰にも言えない痛みを浮き彫りにしながら、不器用に、それでも懸命に生きる>>続きを読む

望み(2020年製作の映画)

3.8

罪を犯してでも生きていてほしいのか、命を落としてでも正しさを選んでほしいのか。いずれにせよ、あの何気のない、平穏な日々が、戻ってくることは二度とない。子をもつすべての親に「愛する」とはどういうことかを>>続きを読む

マーティン・エデン(2019年製作の映画)

3.6

多くの芸術は希望ではなく絶望から生まれる。労働者階級出身の青年が、ブルジョワに恋焦がれ、作家を志すも、越えられぬ壁に打ちのめされ、絶望したときに初めて、自らの作品が出世する。そんな幾度となく繰り返され>>続きを読む

甘いお酒でうがい(2019年製作の映画)

3.9

気づくか、気づかないか、の差は大きい。とある会社の派遣社員として働く40代の独身女性・佳子さんがあまりにチャーミングで、彼女の日常がかけがえのないものに感じるのは、彼女がきちんと気づくひとであるからだ>>続きを読む

フェアウェル(2019年製作の映画)

3.8

文化や価値観の違いはあっても、家族を想う気持ち、ともに悩み、ともに苦しみ、ともに支え合い、ともに喜ぶ家族のかたちは、どんな地域、どんな国であっても変わりはない。そして、人間はいつも、どこか滑稽で、愛ら>>続きを読む

平成真須美 ラスト・ナイト・フィーバー(2019年製作の映画)

3.8

観客からお題をもらい、わずか10日で撮られた映画。平成最後の渋谷の街。琴線に触れる。そんな忘れられない体験は、思いがけないとき、思いがけない人からもたらされる。誰かのために頑張ることは、結局、自分のた>>続きを読む

疑惑とダンス(2018年製作の映画)

3.9

ヤッたのか、ヤッてないのか。ワンシチュエーション、シナリオなしで繰り広げられる即興演出の会話劇。言葉を尽くしても、というか、言葉を尽くせば尽くすほど、人間はこんなにもわかりあえないのか、イライラといた>>続きを読む

パピチャ 未来へのランウェイ(2019年製作の映画)

3.8

厳格なイスラム世界では、女性が婚前交渉をしたり、家族の同意を得ずに結婚しただけで「名誉を汚した」として殺されることがある。映画をみて感じるのは、私たちが当たり前として享受している「自由」が、いかに多く>>続きを読む

存在のない子供たち(2018年製作の映画)

4.0

是枝監督がカンヌに衝撃を与えた2004年。「誰も知らない」子供たちは現在、その存在さえも奪われ、この世にいないことにされている。小さき者がさらに小さき者を守るための、たった独りの闘いは気高く、そして、>>続きを読む

ステップ(2020年製作の映画)

3.9

とかく忘れがちだけど、私たちのまわりには、やさしさや思いやりが溢れている。耐えられない悲しみから一歩足を踏みだす。その支えとなるのは、そんな些細で小さな温もりの、積み重なりなんだと思う。ままならない人>>続きを読む

ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ(2019年製作の映画)

3.8

好きだといいながら引き受け難いこともあれば、嫌いだといいながら引き受けていこうとする場合もある。と教えられた。少なくとも、引き受ける覚悟がないのなら、憎んだり、批判したりする権利もない。これは、美しく>>続きを読む

海辺の映画館―キネマの玉手箱(2019年製作の映画)

4.1

大林宣彦、享年82。2歳から映写機のおもちゃに親しみ、80年間、映画を愛して、愛して、愛し抜くと、こんな映画をつくれるのだと、心の底から感動した。尾道三部作やアイドル映画の印象が強いけれど、若き日の実>>続きを読む

ミッドサマー(2019年製作の映画)

3.7

セックス、ドラッグ、儀式、生贄、公開処刑・・・。エロ、グロ、トラウマ映画の極致。カルト中のカルト。こんなにも狂った映画を令和の時代に見れるとは思ってもみなかった。まるでパゾリーニの再来。人間の倫理や理>>続きを読む

君が世界のはじまり(2020年製作の映画)

3.8

あの頃、ブルーハーツを聴いていた頃の感覚と、同じような興奮と高揚を共有できるなんて、思ってもみなかった。けれど、2005年の映画「リンダ リンダ リンダ」は、その予想を見事に裏切った。そして、2020>>続きを読む

マティアス&マキシム(2019年製作の映画)

3.9

天才ドランの映画は、光や風だけでなく、俳優の仕草や視線までが神がかっている。その輝かしいキャリア史上、最も官能的といわれる本作には、言葉にはできない繊細な感情の機微が刻まれていた。その美しい一瞬一瞬を>>続きを読む

Red(2020年製作の映画)

3.8

人生に正解があるとするなら、自分で考え、自分で選び、自分で責任を持つ、ということだ。また、覚悟を決めた愛は本来、どんなかたちであれ、道徳や倫理を超え(必然的に報いを受けるものであるだけになお)、尊重さ>>続きを読む

おもかげ(2019年製作の映画)

3.9

これまでも映画は、耐えがたい悲しみからどう立ち直るかを、何度も繰り返し描いてきたけれど、こんなにも愛おしくて、せつない物語は初めてだ。愛を断ち切ることが愛であると気づくことで再生したエレナが、さよなら>>続きを読む

ある船頭の話(2019年製作の映画)

4.0

柄本明、橋爪功、永瀬正敏、浅野忠信、蒼井優、草笛光子。俳優だけではない。ワダエミにクリストファー・ドイル。長編初監督にして、目を疑うような豪華なキャストとスタッフが揃ったのは、オダギリ ジョーが、その>>続きを読む

宇宙でいちばんあかるい屋根(2020年製作の映画)

3.5

何を成し遂げたかよりも、何をやり残したのか、何を後悔しているかの方が、人生において最も大切なことが浮かび上がってくるように思えてならない。これから先、桃井かおりの薫陶を受けた映画として、天才・清原果耶>>続きを読む

宮本から君へ(2019年製作の映画)

4.0

この映画を「ゴツゴツした魂のかたまりの岩を勢いで積み上げ固めた爆弾ようです」と原作者・新井英樹は書いた。泣いて、怒って、叫んで、笑って。そうした感情を生みだすものが、理屈ではなく本能であるとしたら、本>>続きを読む

ポルトガル、夏の終わり(2019年製作の映画)

3.8

女優は気高くなければならない。キャサリン・ヘプバーン、グレース・ケリー、グレタ・ガルボ、ハリウッドの黄金期を支えた女優は例外なく気高い。女優が女優を演じるためには、カトリーヌ・ドヌーヴ然り、わがままで>>続きを読む

ハニーボーイ(2019年製作の映画)

3.9

母親が麻薬中毒者、父親がアルコール依存、という映画を3本立て続けに観る。とても胸を締めつけられたのは、いずれの子供も、最後まで親を見捨てなかったことだ。親は子を持つかどうかを選べるが子は親を選べない。>>続きを読む

酔うと化け物になる父がつらい(2019年製作の映画)

3.9

誰もがもやもやした気持ちを抱えながら生きている。それを教えてくれたのは映画だ。自分のほんとの気持ちなんてわかるわけもなく、なんとなく気がついたとき、大抵の場合、伝えるべき相手はもういない。憎しみなのか>>続きを読む

コロンバス(2017年製作の映画)

3.9

好きなものを語るひとが好きだ。好きなものを語るとき、そのひとは、いちばんそのひとらしい顔をしている。モダニズム建築の宝庫として知られるインディアナ州コロンバス。建築を巡り、建築を語ることで、徐々に解さ>>続きを読む

幸せへのまわり道(2019年製作の映画)

3.8

誰からも愛されるということは、誰よりも孤独であるということに等しい。ともすると、聖人君主として崇められるだけの国民的英雄の内面、優しさや穏やかさの中にある気高さ、寂しさを、トム・ハンクスが見事に表現し>>続きを読む

レ・ミゼラブル(2019年製作の映画)

4.0

権力をもった人間が絶対に失ってはならないものは想像力だ。想像力を失った人間は、警察だろうが、政治家だろうが、ギャングだろうが、同じ穴の狢だ。抑圧され、虐げられた者たちの怒りが爆発するラスト30分。サイ>>続きを読む

その手に触れるまで(2019年製作の映画)

3.8

正義は恐ろしい。誰かにとっての正義は、誰かにとっての悪になりうることを、絶対に忘れてはならない。そして、主義や信条、思想が異なったとしても、人と人は手を取り合えるということも。巨匠ダルデンヌ兄弟のカメ>>続きを読む

風の電話(2020年製作の映画)

3.8

こういう映画は言葉にならない。言葉にできない。悲しみに寄り添うなんておこがましい。耐えがたい絶望を、その小さな身体で受け止める少女を、ただ茫然と見つめるしかできない。ドキュメンタリーではないが、フィク>>続きを読む

ディック・ロングはなぜ死んだのか?(2019年製作の映画)

3.9

罪のない者だけが石を投げよ。とイエスは言った。たまたま通りすがって罪を目にしたような当事者以外の人間が、血相を変えて赤の他人を断罪し、暴言を吐き捨てるネット時代にあって、いろいろ考えさせられる映画だっ>>続きを読む

よこがお(2019年製作の映画)

3.9

愛情はいとも簡単に憎悪に変わり、信頼や好意は一瞬で崩れ落ちる。人間ほど曖昧で危ういものはないのだと、多くの映画が語るけど、そこに哀しみや、かすかな光を感じさせるかどうかが肝心なのだ。深田晃司監督は人間>>続きを読む

男はつらいよ 寅次郎相合い傘(1975年製作の映画)

3.8

シリーズ最高傑作との呼び声も高い15作目。寅さんとリリーはほんとうによく似ている。けんかっ早くて、意地っ張りで、それでいて、やさしすぎる。お互いのことをわかりすぎるというのはせつない。そして、やっぱり>>続きを読む

在りし日の歌(2019年製作の映画)

4.2

185分の壮大な叙事詩。どんなに政治が介入しようとも、どんなに社会が変容しようとも、どんなに絶望の淵に立たされようとも、夫婦はともに生きていく。人を思いやり、赦し、すべてを受け入れたときに訪れる、ささ>>続きを読む

レイニーデイ・イン・ニューヨーク(2019年製作の映画)

3.9

80歳を超えて、こんなにも瑞々しい「恋」の映画を、軽々と撮り上げてしまう感性って! ニューヨークで繰り広げられる、コミカルでシニカル、オシャレで軽妙な「恋」の物語。ハリウッドから干されかけているウディ>>続きを読む

男はつらいよ 寅次郎子守唄(1974年製作の映画)

3.5

シリーズ14作目。久しぶりの寅さん。寅さんの優しさはその出自からくる悲しみの大きさと無縁ではない。手に負えるか、負えないかは置いておいて、想像する悲しみに耐えきれず、放っておけないのだ。思えば、寅さん>>続きを読む

ポップスター(2018年製作の映画)

3.9

運命は不思議だ。些細な出来事の重なりがすべてを変える。銃の乱射で不差別に人が殺されることが、もはや、フツウになってしまった時代にスター(偶像)であること。あり続けること。甘い蜜を吸おうとするギョーカイ>>続きを読む

象は静かに座っている(2018年製作の映画)

4.7


デビュー作にして遺作。その作品が映画史に名を刻むに違いないことは、果たして偶然なのか、必然なのか。フー・ボー監督の自死の原因といわれる「再編集」の要請。その必要がなかったことを、一瞬一瞬に魂が刻み込
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