love1109さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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金沢在住の映画好き。http://d.hatena.ne.jp/love1109/

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オリーブの樹は呼んでいる(2016年製作の映画)

3.5

2000年のときを越えて育まれてきた「命」を人間はいとも簡単に奪ってしまう。2000年後に思いを馳せよ。その土地も、その樹も、すべては「預かっているものなのだ」という老人の言葉は、一時の富を得んがため>>続きを読む

マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016年製作の映画)

4.4

弱く不完全な自分を受け入れたときに初めて、弱く不完全な他者を受け入れることができる。強さを押しつけるのではなく、弱さに寄り添うことで、かすかな希望がみえてくる。越えることのできない痛みや、絶望の淵から>>続きを読む

メッセージ(2016年製作の映画)

3.7

神学者ルターは「たとえ明日世界が滅亡しようとも、今日私はリンゴの木を植える」と言った。メタファーに次ぐメタファー。この観念的で、哲学的な、現代屈指の映画監督が撮ったSF映画が、最後に問いかけたのは、た>>続きを読む

この世界の片隅に(2016年製作の映画)

4.0

ようやくの「この世界の片隅に」。玉音放送を聞いたばかりの、普段はおっとりとした主人公が「最後の一人まで戦うんじゃなかったんかね!」と、怒りとも、悲しみともつかない、やりきれない感情をむきだしにするシー>>続きを読む

午後8時の訪問者(2016年製作の映画)

3.9

ダルデンヌ兄弟は映画の神様に選ばれた二人だ。彼らが描く映画には、人間の感情が溢れ、観る者は、その感情に揺さぶられ、やがて、胸を締めつけられる。良心の呵責からくる誠実さや、人を思いやることで生まれるやさ>>続きを読む

マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ(2015年製作の映画)

3.7

世の中の、どんな価値観や倫理観に照らし合わせてみても、どうにもならないことがある。たとえ他人に、どれだけ後ろ指を指されたとしても、自分がすべてを受け入れたならば、それはかけがえのない選択となる。ヘンテ>>続きを読む

ヴァーサス/ケン・ローチ映画と人生(2016年製作の映画)

3.8

カンヌの授賞式で語られた「映画の伝統の一つは世の中に異議を唱え、強大な権力に立ち向かう人々に代わって声を上げることだと信じている」というケン・ローチのスピーチはほんとうに感動的なものだった。なぜならそ>>続きを読む

ウーナ 13歳の欲動(2016年製作の映画)

3.4

人を愛するということが必ずしもその人を幸せにするとは限らない。否、むしろ、人生を狂わせてしまうことのほうが多いのではないか。13歳にして愛を知ってしまったがゆえに、一生消えない心の傷を負った女性の果て>>続きを読む

サラエヴォの銃声(2016年製作の映画)

3.3

様々な宗教をもった民族や、様々な思想をもった人々が、何千年もの昔から、争い、啀み合いながら生きてきたヨーロッパの、ほんとうの歴史を私たちは知らない。また、未だ明らかに存在する階級社会の中で、思いを飲み>>続きを読む

人生タクシー(2015年製作の映画)

3.8

映画製作、脚本執筆、海外旅行、インタビューを20年間禁じられる。母国から生きていく術を奪われた映画監督が、不屈の精神で、かつ、ユーモアを忘れず、人生の機微をいっぱいに盛り込んで作りあげた映画には、表現>>続きを読む

LION ライオン 25年目のただいま(2015年製作の映画)

3.8

たった独りでも生きられる。人間には、そんなとてつもない強さが備わっていること、また、小さくかよわい存在を、国を超えて支えようとする人たちがいることに心の底から感動する。もはや円熟期に入ったニコール・キ>>続きを読む

ネオン・デーモン(2016年製作の映画)

3.3

尽きることのない欲望と嫉妬。ファッション業界に渦巻く、美しさに対する女同士の狂気を、道徳や倫理のリミッターを外して描き切る、カンヌで賛否両論を巻き起こした衝撃のダーク・ファンタジー。映画や小説は、とき>>続きを読む

静かなる叫び(2009年製作の映画)

3.6

35年振りの続編「ブレードランナー2049」の監督として注目を集めるドゥニ・ヴィルヌーヴが2009年に撮った作品。女性ばかりを狙い、犠牲者14人、負傷者14人を出した、モントリオール理工科大学での虐殺>>続きを読む

はじまりへの旅(2016年製作の映画)

4.2

理想をいえば、どんな宗教、どんな思想、どんな価値観を持っていても、他者への敬意を忘れず、お互いに認め合うことのできる、寛容な世界であって欲しい。しかし、たとえ世界が不寛容であったとしても、すぐ身近にい>>続きを読む

ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択(2016年製作の映画)

3.6

いい映画には余白がある。その余白に、私たちは、精一杯の想像力を働かせる。つまりは、描きすぎず、語りすぎない。そのほうがはるかに豊かな映画体験になるということをこの監督は知っている。アメリカ北西部モンタ>>続きを読む

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う(2015年製作の映画)

4.5

言葉では説明のできない、切なく、美しい狂気。社会的な常識なんて関係ないし、他人に慰められることなど、まったく意味をなさない。我を忘れるほどの悲しみや虚しさに打ちひしがれたとき、自らの魂を解放することで>>続きを読む

THE NET 網に囚われた男(2016年製作の映画)

3.7

独裁国家であろうがなかろうが、個である私たちは、国家の政治的なイデオロギーから完全に自由になることはない。それでもなお、自らの尊厳をかけ、国家に抗った男の哀しみが、いつまでも胸を締めつける。なぜゆえ、>>続きを読む

サバイバルファミリー(2017年製作の映画)

3.7

文明の進化が人間の暮らしを豊かにするとは限らない。というよりも、むしろ、進化が豊かさの価値観を狭め、人間を雁字搦めに縛りつけているのではないか、という確信にも似た思いを、奇想天外なフィクションによって>>続きを読む

スウィート17モンスター(2016年製作の映画)

3.5

イライラ、モヤモヤ。何をしても上手くいかなかったり、誰も信じられなくなったり、あらゆることが嫌になったり。その原因がすべて自分自身にあるとわかっていても、認めることができない。世界はすべて敵。ティーン>>続きを読む

ムーンライト(2016年製作の映画)

4.2

美しい映画だった。麻薬中毒者を母にもつ黒人のゲイという圧倒的マイノリティ。誰からも肯定されることのない苛酷な状況の中で、もがいて、苦しんで、絶望の果てに頬を流れた涙がほんとうに美しかった。人は誰もが孤>>続きを読む

モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由(2015年製作の映画)

3.5

恋愛偏差値のべらぼうに高い国フランスから、またもや熱烈なアムールが炸裂する、10年にわたる愛の映画が誕生。これぞ「嫌よ嫌よも好きのうち」の極致。さすがの女性監督というべきか、これはちょっと男にはハード>>続きを読む

わたしは、ダニエル・ブレイク(2016年製作の映画)

4.8

好きな映画監督を挙げよ、と訊かれたら、まずはケン・ローチを挙げる。どんな作品であれ、彼の映画の根底にあるのは、やさしくない社会への、やむにやまれぬ哀しみと怒りだ。効率化という名のもとに定められるマニュ>>続きを読む

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)

4.4

すごい。圧巻。呼吸の乱れや胸の鼓動、目線の動き、瞬きの一つひとつまで。悩み、迷い、怒り、悲しみを内包する人間の繊細な「感情」の揺れを、グザヴィエ・ドランは、圧倒的に美しい映像と音楽によって描きだす。傷>>続きを読む

ハーフネルソン(2006年製作の映画)

4.3

「ラ・ラ・ランド」から「ブレードランナー2049」へ。今やハリウッドきっての超・売れっ子となったライアン・ゴズリングが11年前にみせた演技には彼の天才がはっきりと見てとれる。どんな孤独な人間にも、性別>>続きを読む

パリ、恋人たちの影(2015年製作の映画)

3.6

どっひゃー。言ってしまえば、一年にわたる夫婦の痴話げんかが、オッシャレ~な恋愛映画になってしまうのは、美しいパリの街並みによるものなのか、愛に生きるフランス人の気質によるものなのか、それはわからないけ>>続きを読む

緑はよみがえる(2014年製作の映画)

3.8

80歳を過ぎたイタリアの巨匠エルマンノ・オルミ監督が亡き父の涙に捧げた映画。戦場に赴いた戦士ひとり一人に、家族があり、暮らしがあり、夢があった。常軌を逸した戦場の中で正気を保つことがいかに困難なことで>>続きを読む

島々清しゃ(2016年製作の映画)

3.4

漁師役の渋川清彦が「グルーヴよ、グルーヴ」と発する印象的な台詞がある。その、なんとも定義しがたい、音楽による高揚感のようなもの。それが作られていく過程を丹念に描いたのがこの『島々清しゃ』だ。上手くても>>続きを読む

タンジェリン(2015年製作の映画)

4.0

ゲイであれ、バイであれ、ノンケであれ、心にぽっかり空いた穴を埋めてくれるのは自分ではない誰かだ。この映画が感動的なのは、ロサンゼルスの片隅で生きるトランスジェンダーを、そのままプレーンに描いているから>>続きを読む

灼熱/灼熱の太陽(2015年製作の映画)

3.5

異なる国家、異なる民族、異なる人種、異なる信仰。なぜ拒むのかを深く理解しないまま、なにかに扇動されるように、私たち人間は、自分とは「異なるもの」をいとも簡単に排除してしまう。かつてクロアチア人とセルビ>>続きを読む

君の名は。(2016年製作の映画)

3.7

光の美しいアニメーションだった。都会の高層ビルを照らす朝日も、校庭に射し込む木漏れ日も、美しく清らかで世界を包み込むような光が全編に満ち溢れていた。時代に、とりわけ、若者に圧倒的に支持される作品という>>続きを読む

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)

4.0

弾圧する側も、弾圧される側も、そのいずれにも「弱さ」はある。この映画が胸を打つのは、善人も、悪人も、人間なら誰しもが持っているその「弱さ」に、終始一貫、揺れ動きながらも寄り添っているからだ。人間を救済>>続きを読む

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)

4.2

今さらの「ラ・ラ・ランド」。いやー面白かった! エンターテイメントへの限りない憧れと愛情。ドキドキとワクワク、そして、ちょっぴりの切なさが、きらきら散りばめられた魔法。わずか1本のフィルムでエマ・スト>>続きを読む

ヒトラーの忘れもの(2015年製作の映画)

4.0

人の痛みをリアルに想像することでしか憎悪の連鎖を断ち切ることはできない、というシンプルで力強いメッセージ。第二次世界大戦後、ナチス・ドイツがデンマークに埋めた200万個以上の地雷を除去した多くは、20>>続きを読む

(1955年製作の映画)

3.9

新藤兼人による1955年の作品。貧困が人間をどのように破壊していくのかを緻密に描いたエンターテイメント。それにしても、今や社会派としか紹介されない監督がこんなにも第一級の娯楽作品をインディペンデントで>>続きを読む

僕と世界の方程式(2014年製作の映画)

3.9

いまいちメジャー感はないけれど、サリー・ホーキンスはとても素晴らしい女優の一人だ。愛情表現が不器用で、事故で亡くなった父親に引け目があり、自閉症ぎみで数学にしか興味を示さない息子に相手にされずとも、大>>続きを読む

幸せなひとりぼっち(2015年製作の映画)

3.9

先立った最愛の妻を追いかけようと何度も自殺を図ろうとする偏屈で実直な主人公が、偶然引っ越してきたお隣さんによって、もう一度、生を見つめ直す小さな奇跡。どんな境遇の、どんな人間であれ、人を愛し、人に愛さ>>続きを読む