mikuさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

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25歳の女から見た15歳の男ってただの子どもでしかないと思うのだけど、まったく15歳に見えないクーパーホフマンのおかげでなぜだか成立している世界。ビッグな子役にも妙に納得できちゃうのに、クソ生意気にい>>続きを読む

パトニー・スウォープ(1969年製作の映画)

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クールなアヴァンタイトル。破茶滅茶とはこのこと。きったない言葉を大声で言いまくるのも、箱の中に溜め込んだ現金に火を放つのも、どっちも気分がよさそうなのでこれは良い憂さ晴らし。「一人真珠湾攻撃」はもう一>>続きを読む

健康でさえあれば(1966年製作の映画)

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エテックスは短編のほうが好みだなと思っていたので、これは楽しい盛り合わせだった。カフェで薬飲む男も、森でピクニックしようとする夫婦も、みんな家に帰れよと言ってしまえばそれまでなんだけど、家で眠れなくな>>続きを読む

絶好調(1965年製作の映画)

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ドジっ子エテックスの愉快なソロキャンプのはずだったのに、警察に連れて行かれた先はまるで強制収容所だったっていうお話。"キャンプ"を楽しむ人々をエテックスはどう見ているのか。地面に掘られた穴をくぐると、>>続きを読む

ヨーヨー(1965年製作の映画)

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メランコリックなのに幸せに満ちているし、愛がそこにあるのに愛が不在。没落と再生。まるでサイレント映画のようにかつての栄光を描き、世界恐慌のあとにトーキーへと変わる。車での煙草の渡し方とか、お父さんがト>>続きを読む

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

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ウェスアンダーソンって綺麗に飾りつけた包み紙でしかなくて、喜び勇んで開けてもそこにはなにも入っていない。おなじみの構図と色彩の美しさには感嘆するけれど、結局外面だけ。中盤はその外面すら平凡で、なにも得>>続きを読む

鏡の中にある如く(1961年製作の映画)

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こういった幻覚や妄想に、"神"が登場することが多々あるけれど、それによって救われないのは、結局その"神"が自らが作り出した虚構に過ぎないから。そして、どれだけの人が神に祈っていても不治の病も戦争も貧困>>続きを読む

曳き船(1941年製作の映画)

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言わなきゃわかんないよ、の映画。死に際にさえ「愛してる」って言ったかどうだかわからない。夫がいかに妻を見ていないか、を論じるより前に、妻が病気だと言わないのがいけない。それで仕事やめてって言うだけなら>>続きを読む

ウェルカム・ドールハウス(1995年製作の映画)

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見た目に騙された。これはポップな話じゃない。いじめっ子たちもかなり不快だけど、それ以上に母親の言動が不快。それでも愛されるようにニューヨークを彷徨うドーンの不器用さと健気さが切ない。どこにいてもバカに>>続きを読む

ミレニアム・マンボ(2001年製作の映画)

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やたらに映るハローキティとビーズカーテンに00年代初頭を感じる。クソ男と早く別れてくれ。貯金使い切るより先に別れなよ。台北のあの歩道橋みたいな道を走るスーチーがハイライトで、そこから段々失速しちゃった>>続きを読む

ippo(2022年製作の映画)

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  「ムーンライト下落合」
テレビ叩く音うるせぇ。夜中の2時なのに窓の外明るすぎない?って思ったら、月がバカデカくて笑った。相模大野から町田は乗り過ごしません。月がきれいだって、え、そういうこと?
>>続きを読む

M(1931年製作の映画)

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"音"がキーポイントになっているのだけど、初めてのトーキー作品でこれは発明みたいなものでは。ペールギュントのあの曲が頭から離れない。みんな煙草吸いすぎで画面が白い。この時代以降のドイツの情勢について知>>続きを読む

あこがれ(1958年製作の映画)

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自転車に乗って白いスカートをたなびかせるベルナデットラフォンの眩しさと、そのサドルを嗅ぎたい少年たちのキモさ。トリュフォーは最初から性癖を丸出しにしていたのか。一貫していて良いと思います。年上の女性に>>続きを読む

ピアニストを撃て(1960年製作の映画)

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トリュフォーなのにノワール。奥手な振りして、隣の娼婦にもばっちり手を出している男。夜の街を逃げ走っているのに、ぶつかった人と世間話。ちょっとずつはぐらかされる夜。弟が拉致されてるんだってのに、気が抜け>>続きを読む

内なる傷痕(1970年製作の映画)

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フィリップガレルのこと好きじゃないのに、忘れた頃に見てはやっぱり意味わかんねってなることを繰り返してしまう。なので、序盤に「わたしから離れないで」と言っては「来ないで」と泣き叫び続ける女を見て辟易して>>続きを読む

大恋愛(1969年製作の映画)

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おじさんのたくましい妄想列伝。カラーになったというだけで、キモさが増している気がする。最高。寝たまま走りだすベッドのその道には不穏さが立ち込め、しまいには「ウイークエンド」のように渋滞している。あのベ>>続きを読む

幸福な結婚記念日(1962年製作の映画)

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相変わらず、することなすこと全部ダメなエテックス。妻が酔いつぶれて寝てても怒らないエテックスが愛おしいよ。だから結婚できたんだな。散々だったな、と思いながらもお祝いし合う相手がいるのは幸せなんじゃない>>続きを読む

推手(1991年製作の映画)

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中国とアメリカとでは、成人したあとに親と同居すべきかの価値観が正反対。中華圏の方々は異国でも同胞が集まって新たな生活圏を築いていくのが一般的で、出自に誇りを持って生きているのでしょう。板挟みになった息>>続きを読む

引き裂かれた女(2007年製作の映画)

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出た、お決まりのテレビ。シャブロルってテレビが嫌いで、テレビが好きだよね。お天気お姉さんを取り巻く、キモおじとイカれ御曹司。どいつもこいつも恋愛で身を破滅させている。勝手にやってろ。物理的に引き裂かれ>>続きを読む

キングス&クイーン(2004年製作の映画)

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高慢で誇り高いノラは嫌い。一番大切なはずの息子が再婚相手に懐かないからと元夫の養子にしようって考えるのも、その息子を父親に預けてその隙に旦那を捕まえる強かさも、嫌い。その父親はあんなおぞましい言葉を娘>>続きを読む

柳川(2021年製作の映画)

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コカコーラの自販機にスマホをのせて踊りだすのが好きだった。しかも踊るのがラテンなのが良い。とても良い。ニーニーがあまりに美しくって、これは男たちみんなが好きになるのは当たり前です。好きな女を待つ間に酔>>続きを読む

音のない世界で(1992年製作の映画)

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ろうというのは、聴者と比べたときにマイノリティーであるだけ。聴こえないから不幸というのは違う。あのろうの夫婦が賃貸契約をする様子を見て明らかなように、もちろん不便なことはあるのだろうけど。世界の手話は>>続きを読む

白夜(1971年製作の映画)

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行き先も決めずにヒッチハイクして、でんぐり返し。随分とご機嫌な男が出てきて却って不安になる。誰かが演奏しているから聞こえる音楽。夢想に耽り気味男のカセットテープ。バスの中に響く「マルト、マルト、マルト>>続きを読む

ブローニュの森の貴婦人たち(1944年製作の映画)

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心にもないくせにもう愛がないなどと言ってお別れした時点では、相手の中で長く生きられたはずなのにね。振られたぐらいで男に復讐しようとする女。それも実に馬鹿馬鹿しい方法で。もう少し効率のいいやり方があるだ>>続きを読む

女はコワイです/恋する男(1962年製作の映画)

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仕事をしている様子もなく、あんな豪華な家で推しを推したい放題している生活を羨んでしまったが、あんな挙動不審に生きたいわけではない。60年も前から人間のやってることは大して変わらないのだね。リア恋なんか>>続きを読む

破局(1961年製作の映画)

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車のあいだを縫いながらパリの街を歩く男を見た瞬間、これは好きだと確信した。写真を真っ二つに引き裂かれて送り返される男。破局です。手紙を書こうにも、何をやっても上手くいかないを繰り返し続けるから12分く>>続きを読む

イメージの本(2018年製作の映画)

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ふと2022年の最後はこれにしようと決めた。理解しようとすることを放棄し、ただ流れてくる映像を受容する。言葉にすればするほど違うって感じだ。これを見たってゴダールの頭の中を理解できるはずもなく、そして>>続きを読む

シリアル・ママ(1994年製作の映画)

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包丁片手に街を走り抜けるママに爆笑。ビデオを巻き戻して返すっていうシステムがすでに懐かしすぎるのだけど、そんなことさえ守れないクソばばあのこと地獄に落ちろって頭の中で思うことなんかいくらでもある。それ>>続きを読む

「女の小箱」より 夫が見た(1964年製作の映画)

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夫は何も見ていない。わたしと昇進どっちがほしいの、と迫られても決められないぐずぐずした男は捨ててしまえ。とか本当にそんなことをしてしまうと、兄に平手打ちで叱られるだなんて、実に気持ちが悪い。この時代の>>続きを読む

福岡(2019年製作の映画)

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話せないけど聞き取れるの、と言って他言語同士で会話する強引なコミュニケーションが、力技なのに実にスムーズで笑えてしまう。ファンタジーなの?酒を飲んで過去の恋愛話を始めるあたり、待ってました!となる。赤>>続きを読む

あのこと(2021年製作の映画)

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痛くて苦しくて辛かった。これは同意の上だから、彼女にまるっきり非がないわけではない。だとしても、それが自分の人生と引き換えだなんて代償が大きすぎる。産んでも産まなくても人生は消える。選択の余地はない。>>続きを読む

ヒロシマモナムール/二十四時間の情事(1959年製作の映画)

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忘れる、ということ。広島で家族を失った男と、ヌヴェールで愛する人を失った女。今はそれを忘れたようにどこかへ押し込めて新しい生活がある。居た堪れなくなるような映像を観ても、わたしは広島の何もわかっちゃい>>続きを読む

群山:鵞鳥を咏う(2018年製作の映画)

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観光地でもないような街に遊びに行って、毎日ずるずる過ごすの、わたしもやってみたい。嫌な部分が見えまくってる男と女が、酒をたらふく飲んで大声出したり踊ったりするあたりホンサンスかよと思いつつ、やっぱり好>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

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話しをさせて感情を読み取ろうとする弟に、それを否定する。聞こえるとか聞こえない、とかではなくてそれぞれ他者だから。自分の考えが相手に伝わることがいつだって必要なわけではないものね。強くもないし、痛いの>>続きを読む

ラルジャン(1983年製作の映画)

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扉が開いては閉まるところがよく映る。ATMの扉が閉まるってだけでこんなにも美しいのか。ピアノの端っこに置いたグラスは当たり前に落っこちて割れる。それと同じぐらい当たり前に彼らは殺される。理不尽なことば>>続きを読む

ファニーとアレクサンデル(1982年製作の映画)

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5時間もあるけど全然観られる、というのは本当だった。さすがの赤を基調としたエクダール邸。シックな赤のベルベットってやっぱりかわいい。クリスマスの夜の悲喜交々。といっても、なんだかんだ裕福でしあわせに暮>>続きを読む