原作者の吉田篤弘氏が「八嶋智人さんをイメージして書きました」という小説の、そのものずばりなキャスティングによる映画化。台詞もストーリーもほぼ原作に忠実に再現されていて、そのせいか「これまで何度も原作を>>続きを読む
おずおずと心の中に入りこんできて、静かにそっと爪をたてて、決して消えない淡い傷あとを残されたような気持ちになる映画でした。
終始淡々とした描写はとてもよかったです。山とか空とか、必要以上に美化しすぎないそのまんま感が出ててすごくしっくり来ました。ただ、主演のふたりそれぞれの「痛い部分」というか、核心に触れるくだりが少々ドラ>>続きを読む
「それはさすがにありえないでしょう」と「それわかるわーどうにもならない現実だわー」が交錯して、シーソーみたいに気持ちが揺れるお話でした。まるで夢みたいなことと、代わり映えのしない日常とが常に隣り合って>>続きを読む
仙台先行上映、初日舞台挨拶つき。登壇は染谷将太さん、川上未映子さん、仲里依紗さん、ミッキー・カーチスさん、そして冨永昌敬監督でした。
映画が始まってまず最初に思ったのは「光が柔らかい」ということ。映>>続きを読む
エンパイア・レコードの頃のリブ・タイラーと結婚前の道端ジェシカをほどよくミックスしたようなヒロインの笑顔がとてもかわいい。そして、それより誰よりちょうかわいかったのは何と言ってもおじいちゃん。あらゆる>>続きを読む
原作を何度も読み返してるので結末は分かってるんだけど、それでもやっぱりクライマックスには胸がふるえました。とにもかくにも小日向さんがすばらしかった。
「運命」という言葉はあまり好きではないけれど、ここまでスケールのでかい話じゃそう言われても仕方ないな、とうっかり納得させられてしまいそうになりながらも、それでもやっぱり異議を唱えたくなるのです。彼は確>>続きを読む
キック・アスといい本作といい、なぜ外で…?と思わずにいられなかった思い出。
突撃隊as柄本時生がイメージどんぴしゃで素晴らしかったです。出番こそごくわずかだったけど、今後原作を読み返すときは間違いなく突撃隊=彼で脳内再生されるだろうなという予感がひしひしと。あの子いいなあ。冴>>続きを読む
ふわふわしつつも時折ざっくり心をえぐる、淡々としたつかず離れずの距離感。水のように流れる毎日、そういう世界もきっとどこかにはあるのでしょうね。わたしの世界はそうじゃないけど、いろんな世界があっていいよ>>続きを読む
この手の映画によくありがちな回顧インタビューを一切挟まず、当時の映像のみで綴るドラマチックな展開をジョニー・デップがナビゲート、という豪華なつくりにまずはしびれました。劇場で、モリソンさんとスクリーン>>続きを読む
自作の一弦ギターを携えておどおどと自信なさげにメンバー入りした年端のいかない少年が、別離と再会と成功を経てみるみるうちに女のひとりやふたりはべらせてそうな若い男へと成長していく過程の眩しさったらありま>>続きを読む
冒頭、スクリーンに燦然と輝く「パルムドール」の文字。しばらく前に予告編を見た限りでは「つまるところ金八的に感動的な話なのか」と想像してたけど、蓋を開けたら全然違ってました。舞台はパリの公立中学校、とあ>>続きを読む
共産主義で純粋培養された若きダンサーの成長物語。その政治的背景ゆえか、主人公リーの人となりがよく見えてこないのが少々もどかしかったです。あんな環境じゃ自己なんてものは育ちようがないってのもわかるけど、>>続きを読む
思わずニヤリとさせられてしまう小ネタ満載の、いや実際中身はそれしかないんじゃないか、と訝かりたくなる映画でした。とにもかくにも、誰かに/何かに翻弄されて右往左往するユアン・マクレガーを愛でるための90>>続きを読む
透き通るような白い肌と金髪のいじめられっ子・オスカーと、こぼれ落ちそうに大きな目と黒髪がミステリアスなエリ。「これ、仮にもし大人どうしの話だったらただの傷の舐め合いだよな…」という気もしましたがそれは>>続きを読む
ひとりぼっちのおじいさんがひとめぼれの恋をして、見違えるように幸せな表情を見せるようになるその過程に思わず笑みがこぼれました。名演。しかしラストは呆気なかったです。「ええ?!これでおしまい?まさか!」>>続きを読む
近未来にしてレトロちっくな映像、極端に少ない登場人物、究極の密室とも言えそうな宇宙空間。スリリング!ラストシーン、最後の最後のナレーションがすごく耳に残りました。僕は僕で、君は君で、他の誰でもない。そ>>続きを読む
まず、ジム・キャリーがすばらしいです。収監前の濡れ場では暗闇に光る艶やかな腹筋を披露、セレブ生活を謳歌するシーンではだらしなく弛んだ身体を晒し、病に伏せるシーンではあばらも露わなガリガリボディ、という>>続きを読む
開始後2秒で身体の中の血という血が逆流するよなかっこよさ、立ち上がって踊り出したくなる瞬間が幾度も幾度も。いやー、たまらん。くらくらしました。
LOADEDを本家より先にヘッド博士で知った世代ゆえ、>>続きを読む
ドキュメンタリーと言えばふつう、生い立ちやルーツやなんかが紐解かれて見終えた後には「なるほど、そういうことだったのか!」と膝を打ちたくなるものだという気がするんですが、これに関してはそう簡単にはいきま>>続きを読む
モノクロの奥に色彩が透けて見えてくるような、光に満ちたうつくしい映像でした。「90歳を過ぎてなお美貌と誇りを失わないグランマの人生最後の日々」というストーリーも静かで穏やかで休日の午後にうってつけ。
本作のちょうど一年くらい前に見て、その映像美に圧倒された「ぼくのエリ 200歳の少女」のハリウッド版、主演はクロエ・グレース・モレッツ。というわけで期待と怖さが半々くらいだったのですが、演出がいろいろ>>続きを読む
複数のストーリーがライブへ向けて加速していく展開はある意味勧善懲悪ものみたいに明快だけれど、皆さん総じて演技が粗かったりあるいは逆にベタすぎたりしてどうにも入り込めませんでした。このそっけなさこそが現>>続きを読む
カットというカットがことごとく執拗なまでに長く、映し出される風景が鬱蒼とした森の淡い闇ばかりなので、終始とろとろまどろみながら見てました。けれども退屈とか冗長とかいう印象よりも、白昼夢のような心地よさ>>続きを読む
まえだ弟の屈託のなさが可愛くてしかたなくて、兄は兄で想像以上に演技派でした。そしてオダジョーは役柄に似つかわしくない色気をふんだんに振りまいていました。熊本行きの作戦を練るシーンで流れた曲が格好よかっ>>続きを読む
痛い。怖い。ナタリー凄い。いろんな境目を見失う、はりつめた空気に引き込まれました。不穏に揺れるカメラワークが生々しかったです。震災から3か月後の仙台の劇場、補助席までいっぱいの大入り満員でした。
震災後初めて劇場で見た映画で、ふつうの日常が戻りつつある喜びと映像のうつくしさに胸をうたれた覚えがあります。
冒頭、同じところをぐるぐる回り続ける車をしばらくずっと映し出してたところがへんに印象に残り続けています。どうしてなのかわからない、けど、ぽっかり空いた空洞のようなものを感じながら見ていた覚えがある。
1930年代の建築や街並み、それといかにも英国らしい冬の曇天が印象的でした。序盤、主人公がマイクの前に立ったときの不安な視界をそのままなぞるようなカメラワークは、度を失った精神状態をリアルタイムで追体>>続きを読む
序盤でまずは一回泣かされ、戦闘シーンで流れる曲のセレクトのあざとすぎるアホっぷりにニヤリとさせられ、クライマックスで暴れまくるヒットガールに快哉を叫びました。クロエかわいい。ほんとうにかわいい。そして>>続きを読む
劇場内にくすくす笑い(時には爆笑)が絶えない91分、お家芸の何たるかをびしばしと軽やかに見せつけていただきました。来るもの拒まず去るもの追わず、何でもありの人生オーライ!て感じが実に楽しかったです。す>>続きを読む
きょんきょん演じるかあさんは強くたくましく格好よく胆が据わっていながら、その一方であたりまえに迷ったり悩んだり笑ったり怒ったりもする「すべての女」を体現してたなあ。こちらを無理に泣かそうとしない、安直>>続きを読む
震災から約2年、クリスマス後の仙台にて鑑賞。ついさっき接客してくださったyumbo澁谷さんが、ついさっき見てきたばかりのページェントが、目の前のスクリーンに映し出されている。これは生まれて初めてのこと>>続きを読む
3D映画を見たのはこれが初めてで、どんなだろうとわくわくしてたら序盤の断片的な舞踏シーンと団員の語りとの交錯にうろたえ「あれ?もしかしてとっつきにくい?ていうかスノッブ?」と戸惑ったものの、次第に勝手>>続きを読む