あんびーさんの映画レビュー・感想・評価

あんびー

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マッチ工場の少女(1990年製作の映画)

3.8

大人や男から搾取され続ける境遇を打破しようと踠くが状況はどんどん悪い方へ向かっていく。冒頭の天安門事件の映像からイリスの行末を暗示し、暗いストーリーの中に乾いた笑いを引き起こしたり、わざとらしくなく狙>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.2

空の色や木漏れ日、木々の美しさ、本や一昔前のカセットテープから流れる音色。昔から変わらない価値を享受し続けながら、日々を変わらないルーティンで過ごしていく。そうして生きていくだけでも素晴らしい日々であ>>続きを読む

不安は魂を食いつくす/不安と魂(1974年製作の映画)

4.1

幸福だけじゃ上手くいかない。

差別や世間からの偏見、すれ違いによって文字通り不安に魂を食いつくされていく2人の様子は見ていて本当に辛い。

ただ冒頭とラストのダンスシーンや、どこまでも自由になれない
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ノスタルジア 4K修復版(1983年製作の映画)

5.0

「1+1=1」
この作品には現実と理想、過去と未来、闇と光、それぞれ相反するものが時間軸も理由も無しに、同時にスクリーンに映し出される。
また主人公のアンドレイを始め、性別問わず登場する人物は全て社会
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ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)

3.7

原作・アニメファンで不安だったけど普通に良作だった。

実写化が成功するには基のストーリーを改変せず丁寧になぞることが必須だと改めて認識したし、金カムが更に好きになれるし知らない方も充分楽しめると思う
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

エリセ監督が過去2作品から時間を経てこの時代にこの作品を発表したことが必然であったことを目の当たりにできたことに本当に感謝したい。

随所に「ミツバチのささやき」のセルフオマージュが現れているが、それ
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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

所謂「一番怖いのは人間」系だけど、その「怖い」の描写が元は子供向けアニメというのを差し置いてもかなり生々しくて見応えがあった。

横溝正史要素は期待していたほどではなかったけど、田舎のむさ苦しい夏の風
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ムーミンパパの思い出(2021年製作の映画)

3.6

「楽しいムーミン一家」の声優さん方が1人も欠けることなくムーミン一家を演じてくれている…!それだけで冒頭から泣きそうになった。

ムーミンパパの思い出だけではなく他のムーミンコミックスのストーリーも織
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枯れ葉(2023年製作の映画)

5.0

新年映画初めに観ようと年末から決めてたけど、1本目にしてカウリスマキの中で1番好きな作品だった。

前作の「希望の彼方」は引退宣言もあって当時の政治的なメッセージも含まれていたけど、今回はちょうど「パ
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ゴーストワールド(2001年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

世間の波に乗り切れず自意識を拗らせていくイーニドに共感できるし、疑問を抱きながらも周囲に適応していくしかなかったレベッカとシーモアにも共感できる。

様々な問題が手付かずの中ラストのバスはどこへ向かっ
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(2023年製作の映画)

3.7

ヤクザ映画が時代劇になり、「指詰めろ!」が「切腹しろ!」或いは「首取ってこい!」になった。
それでも乾いた笑いと刀の上を滑るような死生観、グロテスクで血生臭さいのに自然や武士の装飾と合わさった美的セン
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ママと娼婦 4Kデジタルリマスター版(1973年製作の映画)

4.1

会話劇とほぼドラマ性の少ない展開だけで3時間半畳み掛け更に全く飽きないというとんでもない作品。

竜二(1983年製作の映画)

4.2

いつか埋もれて見向きもされなくなる前に鑑賞できてよかった。

ドッグヴィル(2003年製作の映画)

4.4

初トリアー作品にして既にお腹いっぱい…。

舞台上に簡易な線を引いて、建物の仕切りが存在しない上から嫌でも住民達の表情や動きが常に俯瞰的に映し出され、役者とナレーションだけのシンプルな構成なのに最後ま
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劇場版 呪術廻戦 0(2021年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

乙骨君は菅原道真の末裔でしたチャンチャンで呪いを全部済ませるのなら純愛と言えるのかこれ…。
このままだとりかちゃんが不憫でしょうがないし、ラストシーンも含めてちゃんと回収されると信じたい。

悪い子バビー/アブノーマル(1994年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

母親から抑圧され続けたバビーが外の世界に出るも受けた言葉を反復したり適応できず再び中に閉じこもる冒頭から前半までで終わることもできたのに、外の世界がパパと名乗るバビーに順応し熱狂していく後半はゾッとす>>続きを読む

オオカミの家(2018年製作の映画)

4.8

ストップモーションって不気味で怖いのもあったよな…というトラウマと知的好奇心を無理やり刺激させられる怪作。
これを撮るためにどれだけの時間がかかったのか考えると怖い。

(2021年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

詳細も分からない謎のモノクロ映像、ノイズ混じりと不気味なピアノBGMが相まって映画館の音響で耳も視覚も一気に引き込まれる。ストップモーションの間に実写が突然差し込まれるのが本当に怖い。

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

4.2

期待値上げすぎかなと心配してたけど杞憂に終わった、めちゃくちゃ面白かった!

昔話的救済法で始まる冒頭の悪魔祓いからこいつ只者じゃない…て印象付いて、散々ネタにされてるゴツい体格でスクーターを乗り回し
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福田村事件(2023年製作の映画)

4.8

いつまでも黙っているのはやめろ、声を上げろ!っと真っ向から声を上げてくれる作品。

こういうのが観たかったと思うと共に、見たくなかったことを見なくてはいけない、今まで見なかったという葛藤でくやしくて涙
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メルビンとハワード(1980年製作の映画)

3.7

これも立派な人間讃歌。

オープニングと曲とエンディングが最高なら全てオールオッケーな作品。

フリーク・オルランド(1981年製作の映画)

-

ホドロフスキー作品のような冒頭シーンからもうこれはまともな感覚じゃ観れないって理解して、そこからは神話も現代も未来も自由に巡り巡るオーランドーワールド。

結局自分を癒してくれるのはこういうぶっとんだ
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アル中女の肖像(1979年製作の映画)

4.8

大好き。何回でも観たい。

ベルリン行き片道だけの切符を買い、酒を飲みまくる計画を立て、実行する必要に駆られ、飲むために生き、飲みながら生きる…
これだけ聞くとなんだか楽しそうでわくわくするけどそんな
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ラヴ・ストリームス(1983年製作の映画)

4.4

愛と狂気は紙一重。愛を欲してもがき傷つく人達の様子も一体何を観せつけられてるのか戸惑うミュージカルパートも全部愛おしい。

オープニング・ナイト(1978年製作の映画)

4.2

カメラワークや映像ではなく、顔と表情に近づき台詞と演技のみで捲し立てる作風は、俳優でもある監督が作る俳優を信じきっているが故に生み出せる唯一無二の映像作品。

事故死した若いファンの幻影は、老いという
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イノセンツ(2021年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

子供の無邪気さ故の先の読めない恐ろしさを冒頭から胸糞悪くなるようなシーン含め見せつけられ、最後まで重苦しく不気味。

自閉症の姉に対し傷つけたり無理矢理能力を使わそうとすることでしか接することができな
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エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版(1994年製作の映画)

4.9

愛情は面倒くさい。
芸術は面倒くさい。
他人と衝突せず傷つかず生きていけたらどれだけ楽か。
豊かな物質とお金だけで生きていけたらどれだけ楽か。

約30年も前の作品なのに、映画館の暗がりの中に映し出さ
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ぼくたちの哲学教室(2021年製作の映画)

4.2

「ベルファスト」を観て、内戦の傷痕は今も深く残っていることを思い知らされ、「怒りを他人にぶつけることは正しいことか」という問いはこの学校の生徒だけでなく争いが永遠に無くならない世界で自分達が日々考える>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

捉え方や解釈は様々あり、こういう作品でこれにはこういう意図があって…と一言で説明するのは不可能だし野暮だ。吉野源三郎の「君たちはどう生きるか」の一節を借りると、「自分がほんとうに感じたことや、真実、心>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

「作品に罪は無い」という言い分、優れた芸術を残した者の人間性や犯した罪によって作品自体を汚すべきではないということ。

冒頭の授業でバッハは差別主義者であったから嫌いだと語る学生。対して芸術と私生活は
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凪の憂鬱(2022年製作の映画)

3.6

突出して良かったわけではないけど、特別な展開は無くともこんな1週間過ごせたらきっと有意義で楽しいだろうなという展開が観ていて心地良かった。

幾多の北(2021年製作の映画)

-

実験的な作品だけど世界観が凄く好きでもう一度観たくなる。

アニメーションは現実にない世界を映し出すもの。その中でイメージと言葉と音を掛け合わせて製作者の意図を表象する。そんな相反する3つの要素の中で
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