外は雨さんの映画レビュー・感想・評価

外は雨

外は雨

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.0

映画の中で実験が失敗しろと思った。これは日本人の感覚なんだろう。IMAXの画面と音響の大きさ。着ていたワンピースの袖がビリビリ震えているのを感じた。映画館にいた人全てがその瞬間に固唾を飲んでいた感じが>>続きを読む

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)

3.4

ブランドン監督の作品は初めて。インフィニティ・プールってあれか海との境界がわからないリゾート地にあるあれか。サイケでゴアな「ワンダーウォール」みたい。境界を失う人と失わないものの未開の島の内と外。>>続きを読む

フォロウィング(1998年製作の映画)

3.8

昔「メメント」の時だったかなぁ?ビデオで観ていたのだけど、リバイバル上映にて劇場鑑賞。街をうろついてターゲットを決めて尾行するというスリリングな行為。もうすでにここから複雑に時間軸が置き換えられている>>続きを読む

フォロウィング 25周年/HDレストア版(1998年製作の映画)

4.0

昔「メメント」の時だったかなぁ?ビデオで観ていたのだけど、リバイバル上映にて劇場鑑賞。街をうろついてターゲットを決めて尾行するというスリリングな行為。もうすでにここから複雑に時間軸が置き換えられている>>続きを読む

王になろうとした男(1975年製作の映画)

3.6

ショーン・コネリーとマイケル・ケインのイギリス領インドからアフガニスタンの辺境の地へと旅するペテン師の珍道中なのだけど、コメディなのかシリアスなのか全然よくわからない変な大作映画。未開の地の紛争やらフ>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.3

IMAXで観ましたがハンス・ジマーの重低音がボイスの倍音の如く大音量で全身に響く快楽を味わえるこの楽しさ。part2でようやくデューンの魂の錬成のような水の精製や循環や蓄積が描かれるのがその土着の宗教>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.6

ひとつの原因不明の死によって紐解かれる家族の関係。サスペンスかな?と思って観たのですが長い会話劇なので中盤までは正直ちょっと疲れる。スヌープと少年が素晴らしい。

同一種の表現者同士の関係は難しいもの
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男はつらいよ 柴又慕情(1972年製作の映画)

3.5

正直、「男はつらいよ」シリーズに思い入れはないのですが、なんか掃除とか洗濯とかお米研いだりしながらつい完走してしまったw

矢切りの渡し辺りの河の雰囲気が割と今の感じと変わらんなぁ。給水塔とかね。あ
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金の国 水の国(2023年製作の映画)

3.4

長年隣国同士で争っている二つの国がかつての習わしによって入れ違いの婚姻をし二つの国の国交を結ぶお話。実は期待をしていたんですけど、あまりにもその和平は夢物語すぎるし、2人以外の人たちの背景が少なすぎて>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.4

さてわたしは3時間何を見せられていたのだw んー、これはアリ・アスター監督のブラジルでしたか。なんかもっと、ボーが自分の恐れの根幹へと帰還していくイマジナリーなロード・ムービーを想像してたんだよね。彼>>続きを読む

アデル/ファラオと復活の秘薬(2010年製作の映画)

2.8

なんだかよくわからない。女性版インディ・ジョーンズって感じ。ミイラが蘇生されたりするシーンは楽しいんですが、冒頭のところから意味がちょっとわからない部分もあるし、まぁ、コミック原作だしコメディっぽいし>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.0

ビクトル・エリセ監督の31年ぶりの新作。海の側の住処。ギターを弾きながら歌を思い出すような、みんなにさよならを告げるような、監督の過去の永遠の小さな奇跡を拾い上げるような、それはもうただただ過去のもの>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.4

画面の隅々までの奇妙なディテールの異様な美しさに、これはわたしの目はもう少しも目が定まらない。ベラの幼子から老婆になるまでを、ほんのひととき、たったひとつの変わらぬ身体で経験するような、目眩く奇想冒険>>続きを読む

ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

4.5

トーキング・ヘッズ。昔テレビで観たけどIMAXで観るとこれは!もうさ!ライブに行った感覚!一曲一曲終わる度につい拍手したくなる。デヴィッド・バーンの神経症ぽい歌とギター、ティナのベースかわいい!正直キ>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.8

なんだろうこの主人公にはどこにも連れてってもらえなかった。そんな感覚だった。これまでの作品の痕跡は散りばめられているけれど、この主人公である眞人と旅をした感じがしない。それが死へと向かう者からの提示な>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.5

ああ、これがわたしが住む東京です。古いものと新しいものがただ無秩序にすぐ傍らに同居して、目を向けるだけでそれらはある。一見変わり映えしない日々を過ごし、雨の日も晴れの日も木の葉から溢れる空を見上げて写>>続きを読む

皇帝ペンギン(2005年製作の映画)

3.5

動物好きなのでここで描かれている皇帝ペンギンの生態はだいたい知っていましたが、ドラマティックにペンギン親子のナレーションが行われるのはちょっと新鮮ではありました。
音楽は全編エミリー・シモンだったりで
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リロ&スティッチ2(2005年製作の映画)

3.5

リロ&スティッチ好きなんですよね。リロが自分が悪い子なんじゃないかと悩む姿が愛おしい。

仇討(1964年製作の映画)

4.0

些細なことから果し合いとなり上役の殺してしまい、自分が望まないにも関わらずもう一人その家の人間を殺めてしまったことにより仇討の舞台を用意されることになってしまう。新八は悩みながらも最期には覚悟を決め、>>続きを読む

13F(1999年製作の映画)

3.3

ヴァーチャル・リアリティの空間が多層に存在するという作品。ちょっと映像的に地味なのと、主人公の役者さん誰?って感じでしたが、地味なりに楽しめた作品でした。原作とかあるんでしょうか?SF小説にありそうな>>続きを読む

ICHI(2008年製作の映画)

2.9

座頭市を女性にしていることで、ちゃんと性的な部分を描こうとしている部分はよかった。ただ、あまりにも中村獅童の一派達の演技がステレオタイプで漫画っぽく、しかも大袈裟。大沢たかおの武士の設定も、なまっちょ>>続きを読む

ジャム DJAM(2017年製作の映画)

4.0

二人の女の子の旅路。ダフネ・パタキアの内から湧き立つような野生のような感情の凄さ。音楽とダンスと歌と共にありたい人々。なのにそれは無慈悲に奪われ続ける。トルコとギリシャをさすらう。この映画は移民問題の>>続きを読む

ガッジョ・ディーロ(1997年製作の映画)

4.5

父の音楽を探す旅。ノラ・ルカのカセットテープ。ルーマニアのロマの人々の暮らしと音楽。そこにやってきたガッジョそれはよそ者。逞しく生きていく人々。人々の内側から迸る音楽が本当に素晴らしくてたまらない。記>>続きを読む

ガッジョ・ディーロ デジタルリマスター版(1997年製作の映画)

4.5

父の音楽を探す旅。ノラ・ルカのカセットテープ。ルーマニアのロマの人々の暮らしと音楽。そこにやってきたガッジョそれはよそ者。逞しく生きていく人々。人々の内側から迸る音楽が本当に素晴らしくてたまらない。記>>続きを読む

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

3.8

新たに生まれる身体。その身体性が外へと伸びて行くものではないところがクローネンバーグらしい。新しいメディアはインフルエンサーか。見せ物としての手術。痛みの失われた世界の先。女性二人の嫉妬の構図。

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バーナデット ママは行方不明(2019年製作の映画)

3.7

家族以外との人間との関わりが苦手で、旅行の計画をなんとか断念できないかぐるぐるしちゃう。才能があってしかし挫折から逃走するように姿を消してしまったバーナデットがゴロゴロ転がるように自分を取り戻して行く>>続きを読む

フォレスト・ガンプ/一期一会(1994年製作の映画)

4.2

当時観に行ってから時折繰り返し観る映画。アメリカの近代史をフォレストと一緒に見るような、エピソードの数々がマジカル。足元にフワリとやってくる羽はひとときしかいてくれないジェニーみたいだよね。ベンチに座>>続きを読む

遺灰は語る(2022年製作の映画)

4.0

ノーベル賞作家ルイジ・ヴィランデッロの遺灰を巡る物語。冒頭の作家の葬儀の場面。カール・テオドール・ドライヤーの「奇跡」のような構図に時間の経過。遺灰を巡る奇妙な旅路と、作家の解き放たれた世界へと繋がる>>続きを読む

古の王子と3つの花(2022年製作の映画)

3.8

古代エジプト、中世フランス、18世紀トルコの王子たちの試練の物語。軽やかに乗り越えて愛を手にする物語。お気に入りはトルコのベニエの王子。とっておきのベニエにを王女に運ぶ女官たちのユーモラスな動き。薔薇>>続きを読む

苦い涙(2022年製作の映画)

3.5

オリジナルのファスビンダー監督の作品は未見。イザベル・アジャーニが相変わらず美しい。一言も言葉を発しない彼のシルエットが端正で。相変わらずお洒落なんだけど、クリエイターのミューズという餌というか、正直>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

3.9

誰しもが柵を飛び越えてしまいそうな危うさ。2人だけの隠れ家。銀河鉄道の夜だろうか。バスのガラス窓の泥を掻き分けて雨が打ち付ける、下から見あげたそれはキラキラ煌めく宇宙みたいだと思った。離れて喧騒を見て>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

4.0

バーンスタインに師事しベルリン・フィルの首席指揮者となる女性指揮者ター。冒頭の原始的な歌とクレジット、そして彼女の経歴のインタビュー。一体何が始まるのかと耳を欹てる。権威を得た暴君の天上の作品をどうす>>続きを読む

EO イーオー(2022年製作の映画)

4.2

サーカスの美しい娘から愛されるロバのイーオーは居場所から引き離されてしまう。イーオーが見るこの世界。美しい馬たちの走りに憧れているようなイーオーの視線が愛しい。どこからどこまで旅したんだろう。イーオー>>続きを読む

生きる LIVING(2022年製作の映画)

4.0

ロンドンの街並みから始まるクラシカルで美しい映画だった。撮影が精緻でとても美しい。黒澤明の「生きる」とカズオ・イシグロの「生きる」は、生と死がすれ違うダイナミズムの階段と、若い人を先へ引き連れて流れゆ>>続きを読む

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.5

仮面ライダーのデザインやバイクの変形ギミックや緑川ルリ子の衣装もカッコいいです。冒頭のバッタオーグになってしまった凶暴性の描き方はらしい、けど結構驚きました。シンゴジであった場所のリアリティがなくて、>>続きを読む

デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム(2022年製作の映画)

4.0

デヴィッド・ ボウイの彼が見てきた世界の断片。彼の音楽と言葉と身体で映し出される。ビートニクな何処にも留まらず漂い続ける生き様。雨のようにっていう字幕が流れた時、ハッとした。これは「ブレード・ランナー>>続きを読む

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