ShinichiAndoさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

屋根裏のラジャー(2023年製作の映画)

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子どもが大人になるといつの間にか失ってしまうもの、そして、いつか“忘れられてしまう”存在の悲しい宿命を描きつつ、それでも人に“想像力”がある限り、決して変わらないものある、揺るぎない人がいるということ>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

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この世知辛い世の中で、生きづらさと孤独を抱えた二人のロマンスも、やはり世知辛い展開になるかと思いきや、かわいくて健気で賢いワンコによって少しずつ流れが変わるところがとても良かった。そして、何より最高に>>続きを読む

ウィッシュ(2023年製作の映画)

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主人公アーシャの願いは、奪われた“みんなの願い”を取り戻すこと。自分のためではなく、思いがけず誰かのために利他的に行動する主人公は、いまの時代にぴったりな、そして、新たなディズニー100年のはじまりを>>続きを読む

未来の想い出 Last Christmas(1992年製作の映画)

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30年前に観たときは藤子・F・不二雄先生の原作との違いに戸惑ったりもしましたが、改めて原作を読み直して本作を観ると、何度も人生をやり直す中で、“創作”と“愛”において本当に大切なものに気づくというテー>>続きを読む

ウォンカとチョコレート工場のはじまり(2023年製作の映画)

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移民への排斥や貧困がもたらす分断に対して、チョコレートで革命を起こす物語であると同時に、監督の前作「パディントン」シリーズと同じように、より良き世界にするために、“他人への親切心”が重要な鍵となるとこ>>続きを読む

MY (K)NIGHT マイ・ナイト(2023年製作の映画)

5.0

三組の男女の“ある一夜”を描いた群像劇なんですが、それらがすべて男女の恋愛関係ではなく、あくまでも他人同士のつながりをロマンチックに描いているところがとても良かった。映画を観終わって、こんなに幸せな気>>続きを読む

ナポレオン(2023年製作の映画)

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いつの時代も自己肯定感、コンプレックス、承認欲求といった問題は本当にやっかいなものだけど、そこに野心、虚栄心、独占欲、そしてロマンチックな性格が乗っかってくると、壮大かつ最悪の悲劇が生まれてしまう。虚>>続きを読む

ゴーストワールド(2001年製作の映画)

5.0

20年ぶりに観た「#ゴーストワールド 」は、こんなに痛々しい気持ちになる映画だったっけと、生きづらさを抱えた主人公の言動のひとつひとつが心にグサグサと刺さる作品だった。それは自分が主人公と同じくモラト>>続きを読む

駒田蒸留所へようこそ(2023年製作の映画)

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幻のウイスキー復活を目指すヒロインと、駆け出しのニュースサイト記者を通して、“人は何のために働くのか?”と考えさせられる。その答えのヒントとして、「好きなこと」と「やりたいこと」、そして「できること」>>続きを読む

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

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戦後まもない日本を舞台に、妖怪よりもずっと恐ろしくグロテスクな人間、そして戦争が終わっても何一つ変わることのない“日本のおぞましさ”を容赦なく描きつつも、決して悲劇だけでは終わらせないところが素晴らし>>続きを読む

正欲(2023年製作の映画)

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普通に生きるということが、どれだけ普通でないことなのか、そして普通のフリをすることが、どれだけ普通ではなく大変なことなのか。その苦悩と葛藤を、表情や仕草、話し方だけでなく、目の力によって表現する新垣結>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

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ゴジラを何かのメタファーや象徴として描くのではなく、怪獣としての得体のしれない恐怖と、ゴジラならではの圧倒的な迫力を陸・海・空で体感できるのが面白かった。また、ゴジラが現れる前の深海魚が浮上する繊細な>>続きを読む

ビバ・マエストロ! 指揮者ドゥダメルの挑戦(2022年製作の映画)

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難民映画祭にて鑑賞。政情不安が続くベネズエラで、世界的指揮者が政権批判をしたことにより、彼のコンサートは次々と中止となり、楽団員たちの未来も奪われてしまう…。しかし、それでも決して悲観的にならず、後続>>続きを読む

クイズ・レディー(2023年製作の映画)

5.0

アメリカで“アジア人女性”として生きることにストレスを抱えていた姉妹(サンドラ・オー&オークワフィナ)が、テレビのクイズ番組に出演をして人生の大逆転に挑む。今年観たコメディ映画の中でも断トツに笑えて、>>続きを読む

ドミノ(2023年製作の映画)

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愛する家族を失った主人公が、常識では説明できない現象に巻き込まれながら、次々と起こる意外な展開を驚きながら楽しむ感覚が、初期のM・ナイト・シャマラン作品っぽくて面白かった! ある意味、原題こそが最大の>>続きを読む

映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ(2023年製作の映画)

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これまで部屋のすみっコで慎ましく暮らしていた“すみっコたち”が、工場で住み込みの労働者として搾取され続ける…という、なかなかにハードでシビアな設定にびっくりした。また、サステナブルな暮らし方に言及して>>続きを読む

ザ・キラー(2023年製作の映画)

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古き良き時代のハードボイルド小説を読んでいるような、とてもシンプルなストーリーであるが故に、デヴィッド・フィンチャー監督ならではのサスペンスフルな演出を堪能できる映画だった。ローレンス・ブロックの「殺>>続きを読む

自宅でありがとう。さようなら(2023年製作の映画)

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在宅介護をテーマにした作品であると同時に、父子の記憶にまつわる物語でもあり、その2つが“食べ物”によって結びついている。その食のディテールの描き方が、とてもユニークで面白かった。食への執着はときに滑稽>>続きを読む

異人たち(2023年製作の映画)

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誰にも言えない喪失感を抱えながら、ひとりで生きることの寂しさに苛まれ、圧倒的な孤独感に押し潰されそうなとき、この映画がひとつの救いになるかもしれない。

主人公が抱えている心痛のひとつひとつを、美しく
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北極百貨店のコンシェルジュさん(2023年製作の映画)

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自分は愛や友情をテーマにしたものよりも、思いやりや親切を描いた(たとえば「パディントン」のような)物語にグッとくることが多いのですが、本作もまた百貨店での仕事を通して親切について学ぶことで、次々と親切>>続きを読む

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

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ロマンチックな愛とグロテスクな欲望という矛盾を抱えながらも、その感情のジレンマに引き裂かれるのではなく、最後まで共存させているところが不気味であり滑稽であり、何よりも恐ろしかった。

それにしても、デ
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ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

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人類とAIの対立を描いた物語というと、人間の持つ理屈を超えた“愛”という感情が弱点となったり、あるいは逆に予測不可能な奇跡を起こしたりするものだけど、本作はそういった先入観や固定観念を良い意味で裏切っ>>続きを読む

オペレーション・フォーチュン(2023年製作の映画)

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トルコやヨーロッパを舞台に、ジェイソン・ステイサムが軽口を叩きながら、ときにスーツケースを片手に「トランスポーター」的な活躍を早いテンポで繰り広げていく感じが、00年代のヨーロッパ・コープ作品を観てい>>続きを読む

くるりのえいが(2023年製作の映画)

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これまでの歴史を懐古的に振り返るのではなく、新しいアルバムが生み出されるまでのドキュメンタリーという形で、“あの頃のくるり”と“いまのくるり”で変わらないもの、進化したもの、そして失ってしまったものま>>続きを読む

シアター・キャンプ(2023年製作の映画)

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他にはどこにも居場所がない人々が、自分たちにとって大切な場所を救うために、エンターテイメントによって奇跡を起こす。ぼくが大好きな「ブルース・ブラザース」や「ザ・マペッツ」と同じく、エンターテイメントな>>続きを読む

イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)

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イタリアの小さな田舎町ならではのロケーションの美しさと、デンゼル・ワシントンのチャーミングな魅力を最大限に活かしたシリーズ第3弾。一緒に観た友人たちとも話したんですが、「男はつらいよ」のようにマッコー>>続きを読む

フローラとマックス(2023年製作の映画)

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ジョン・カーニー監督の過去作「ONCE ダブリンの街角で」や「はじまりのうた」と同様に、人生に行き詰まりを感じていた主人公が、音楽との出会いによって少しずつ変化し、さらには彼らの人生そのものが美しい音>>続きを読む

まなみ100%(2023年製作の映画)

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もう二度と戻ることのできない“あの頃”を振り返る青春映画はたくさんあるけど、本作は“あの頃”として振り返ることを拒絶するような、青春の生々しさと痛々しさにあふれているところがとても良かった。そして、ま>>続きを読む

コカイン・ベア(2023年製作の映画)

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95分というコンパクトな上映時間の中に、日本版ポスターに描かれているように多種多様な人間が登場するのですが、それぞれのキャラがしっかりと生かされているので、群像劇コメディとしてとても面白かった。そうい>>続きを読む

福田村事件(2023年製作の映画)

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愚かな行いを起こすのは、必ずしも最初から愚かな人間だけではないということを忘れないために、そしてこの先の人々に人間の“愚かさ”と“脆さ”を伝えていくためにも、こうやってフィクションという形で映画が作ら>>続きを読む

ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

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169分という長尺だけど、この夏の「ワイスピ」や「ミッション・インポッシブル」みたいに2部作になってもおかしくないほどの大ボリュームだったので、一本でこんなに楽しませてもらっても良いのかと恐縮してしま>>続きを読む

バーナデット ママは行方不明(2019年製作の映画)

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現実と上手く折り合いをつけられず、生きづらさを抱えた主人公が、現実から逃げるのではなく、人生をつまらなくしている原因に自ら気づき、自分の力で打破していくところがとても良かった。現実を打ち破るためには、>>続きを読む

ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!(2023年製作の映画)

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“Teenage”ならではの陽気な青春コメディ、“Mutant”として虐げられる者たちの切ないメッセージ、“Ninja”ならではのキレのあるヒーローアクション、そして“Turtles”のキャラクターの>>続きを読む

グランツーリスモ(2023年製作の映画)

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2時間以上も全く観客を飽きさせることなく、映画を面白く見せるためには、“編集”という作業がいかに重要なのかを教えてくれる、ハリウッド映画のお手本のようなエンタメ作品。テロップの入れ方やテンポ感はもちろ>>続きを読む

名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊(2023年製作の映画)

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IMAX版で鑑賞すると暗い夜のシーンでも隅々までクリアに見えるのと、現実か幻聴か分からないくらいのボリュームの声までちゃんと聴こえるのが良かった。前作では「愛の数だけ秘密がある」というコピーを作ったけ>>続きを読む

アリスとテレスのまぼろし工場(2023年製作の映画)

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変わりたくても変われない“焦り”と“諦め”、どこかに行きたくてもどこにも行けない“閉塞感”と“無力感”。自分も中学生の頃に抱いていた感情が、そのままアニメという形で結晶化させたような作品だった。そして>>続きを読む