arisakkさんの映画レビュー・感想・評価

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銀河鉄道の夜(1985年製作の映画)

4.4

原作を昔読んだはずだが、カムパネルラという名前ぐらいしか覚えていなかった。
テーマを浮き彫りにするように、同じ言葉が何度も繰り返されるが、そこに固執せずとも群像劇的な面白さのある作品。

アニメーショ
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甘い生活(1959年製作の映画)

4.4

デカダン、ニヒリズム、物質主義。どれも好きな題材。自分の思想とは全く異なるとしても、こういった考えが忽然と湧き上がることがあるから。最後に少女とは別の方向へと去っていくマルチェロ。彼らを隔てていたもの>>続きを読む

フェリーニのアマルコルド(1974年製作の映画)

3.8

フェリーニの映し出す記憶の断片と、自分の頭の中で映像化する昔の記憶は、場所や時代は違えど、スタイルが酷似していて鳥肌が立つ。
まだ自分が社会の中に取り込まれていないと思っていた頃、世界の見え方は間違い
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カビリアの夜(1957年製作の映画)

4.0

責任は人のもの。手柄は自分のもの。そんな御都合主義が通用しないことを知っていたから、カビリアは過去の名前と決別し、歩き続けたのだと思う。

ジュリエッタ・マシーナの、まるでサイレント映画のような動きや
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海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)

4.2

コミカルな要素を囃し立てず、「日常を撮ったらたまたまコミカルだった」みたいな撮り方が素敵。

「どいつもこいつも...」と言いたくなるようなキャラクター達が、饒舌に恋愛観について語るが、結果的には感情
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マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”(2019年製作の映画)

3.8

事実は誰もが記録し得るが、それは横に広がりのない縦軸の歴史であって、感情や思想を本人以外が語るのは、二次創作にしかなり得ない。
新たな発見を探すというよりは語り尽くされた歴史に、マルジェラ本人が色を塗
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(1954年製作の映画)

4.4

「同じ所に長くいるとどうしても離れられなくなるから - 環境に愛情が湧いて、1番大切な事物を忘れる危険がある。」

涙を流し、ピエロになるクラウン。
メイクを塗ろうが拭おうが、自分が演じる全ての役は、
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好男好女(1995年製作の映画)

4.3

白黒からカラーへと変わる瞬間、炎は赤く燃え出すが、煙の白さや炭の黒さは変わらない。

感情は事象とは異なり、原因が不変的ではない。だから、時や環境を超えて共感し得るのではないか。

とても立体的な作品
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王手飛車取り(1956年製作の映画)

3.9

冒頭のチェスの局面に擬えて物語が進んでいく。チェックメイトを取るのはビショップではなく、クイーン。短編だからこそ生きる美しいアイデア。

男の子の名前はみんなパトリックっていうの(1959年製作の映画)

3.5

"Japanese...! Mizoguschi, Kurosawa...!"
ゴダールらしからぬ軽快さと字幕のスペルミスが愛おしかった。

旅する写真家 レイモン・ドゥパルドンの愛したフランス(2012年製作の映画)

3.6

「私は今に死ぬわ。道端で犬のように」
「知ってる?犬は道端で死ぬのよ」
猫は死期を悟ると人前に現れないというが、実際はどうなのだろうか。
倉庫に眠る未公開のフィルムで1本の映画を作ることがドゥパルドン
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燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

3.6

オルフェについての引用で真っ先に頭に浮かんだのはギリシャ神話ではなく、コクトーの「オルフェ」だった。前者はオルフェが妻を見ようと振り向くが、後者は妻がオルフェの視界に入ろうとする。相手を突き放すのか、>>続きを読む

ノスタルジア(1983年製作の映画)

4.6

分断されたものを繋ぐという試みと苦悩。
翻訳の不可能性、国境、ノスタルジア。1+1=1を願うのは進歩のため?

エレファント・マン(1980年製作の映画)

4.5

小さい頃、この作品を借りに近所のレンタルビデオ屋まで行ったものの、パッケージの「布を被った大男(実際はさほど大柄ではないが)」に恐れをなし、棚に戻してしまったことを覚えている。
十数年越しに、布の下の
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カルメンという名の女(1983年製作の映画)

4.5

オペラ『カルメン』からの引用に加え、ゴダール自身の過去作を彷彿とさせる台詞や演出の引用が散りばめられていた。

ゴダール初期作品のリメイク的性格を持つと評されていることに納得。

最近のインタビューで
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イメージの本(2018年製作の映画)

3.4

「五本指、五感、五大陸」
「偏見が生じるのは物事を知らぬからではなく、自分を知らぬから」
「対立法と和声法」

彼の初期作品ばかりを繰り返し見てきた自分にとっては新鮮な作品。

私はあなたのニグロではない(2016年製作の映画)

-

憎しみの根源が怒りであるか、恐怖であるか。
自分が幸せであると言い聞かせることが時に最も苦しいことのように感じる

映画の内容とは関係ないが、ED曲の翻訳があまりにも酷い。言葉を削り、解釈を足すという
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アルファヴィル(1965年製作の映画)

4.2

論理的な究明に駆り出される登場人物。しかし、彼の作品を構成する要素が全て論理的かと言えば、そうではない。むしろ超常的だ。その要素が複雑に絡まり、ひとつの塊として作品が生まれる。非常に理想的な構造。人生>>続きを読む

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

4.7

蓋とは何かを隠すもの。
遠くからでは複雑な構造の中に腫瘍があるかどうかなんてわからない。

私は映画館で身を乗り出す。スクリーンは全て視界に入っているのに。
スクリーンの中と自分の中の二つの映画が近付
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愛情萬歳(1994年製作の映画)

4.6

飲み切るには多いとしても残すぐらいなら全て飲み切ってしまう。
豊かさはぬるま湯だ。溺れたって死にはしない。

花様年華(2000年製作の映画)

4.0

埃で汚れた窓。
単位で表せる距離ではなく、その間に何があるか。