アー君さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

ウイークエンド(1967年製作の映画)

4.6


「二度といっしょに仕事をしたくないわ。」

ー ミレーユ・ダルクのゴダールについて

「勝手にしやがれ」ミシェルとパトリシア、「気狂いピエロ」フェルディナンとマリアンヌ。そして今回の「ウイークエンド
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ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家(シネアスト)(2022年製作の映画)

3.4

ヌーヴェル・ヴァーグ(新しい波)とゴダールがイコールで結びつくほどの仏映画界の第一人者である。すべての作品を知りつくすほどのマニアという訳ではなく、「気狂いピエロ」「勝手にしやがれ」等の有名どころぐら>>続きを読む

アミューズメント・パーク(1973年製作の映画)

4.2

「ゾンビ」でお馴染みのジョージ・A・ロメロによる珍しい社会派映画である。諸事情でお蔵入りされていたが、偶然フィルムが見つかったらしく、マスタリングによるデジタル補正をおこない上映をした。資料を見るとル>>続きを読む

中国女(1967年製作の映画)

3.6

「毛沢東語録」を引用しながら討論に明け暮れる男女たち、公開時は1967年、中国では文化大革命の真っ只中、世界はベトナム戦争の泥沼化や学生運動が盛んな時期であり、ゴダールなりの視点であの時代の若者らが理>>続きを読む

PIGGY ピギー(2022年製作の映画)

3.6

公開前から話題になっていたのと、本編の元となったショートフイルムがゴヤ賞などを受賞していたので、気になっていた作品である。

肥満体型のキャラクターが差別の対象になるフィクションはあるようでなかったか
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恐怖の足跡(1962年製作の映画)

3.5

運良く事故で生き残った女性が、その後の幻覚に惑わせられるだけの話ではあるが、全体的な構成は荒削りなところは否めないが、上映時間は70分ほどの短いながらも見せ場は要所要所は押さえており、鑑賞後はジャンル>>続きを読む

ロバート・アルトマンのイメージズ(1972年製作の映画)

3.5

幻視に悩まされるキャサリン役のスザンナ・ヨークは、自身が書いた童話「ユニコーンを探して」の朗読しており、この世界が架空の物語であることを暗に示しているのだろう。

幻覚状態に囚われた彼女の前に幾度も現
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デニス・ホッパー/アメリカン・ドリーマー(1971年製作の映画)

3.3

デニス・ホッパーといえばアメリカン・ニューシネマの代表作である「イージー・ライダー」だろうが、過去にジェームズ・ディーンと共演し、コッポラの「地獄の黙示録」のラリった報道カメラマンやリンチ「ブルーベル>>続きを読む

リュシアン 赤い小人(1998年製作の映画)

4.0

このような隠れた名作が劇場で鑑賞できるから「奇想天外映画祭」 のラインナップは毎年の楽しみである。

原作小説のミシェル・トゥルニェ「赤い小人」は未読である。

先天的にハンディキャップを持った主人公
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デコーダー(1984年製作の映画)

3.5

かなりマニアックな作品ではあるが、ニュー・ジャーマン・シネマが気になっていたので、このような機会で劇場鑑賞できることが嬉しく喜ばしいことであった。

ストーリーは複雑で分かりにくいところはあった。作為
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突然の花婿(1952年製作の映画)

3.7

ダグラス・サークの一流のメロドラマを劇場で鑑賞する事ができて大変満足であったが、今回の奇想天外映画祭のプログラムの中ではカルト性はないに等しく、正統派の部類に入るとは思うが、一連のサークのドラマはR.>>続きを読む

ザ・スクエア 思いやりの聖域(2017年製作の映画)

4.6

「巨大展覧会での展示、非展示の主題とは何か?」の女性インタビュアーの問いに対して、

「もしも何らかの物体を美術館に置いたなら、その物体はアートになるのか?」

「もし君のバッグをそこ(美術館)へ置い
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SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

3.5

ニューヨーク・タイムズの2人の女性記者は映画プロデューサーであるハーヴェイ・ワインスタインによる複数の性被害をスクープして告発した話は、アラン・J・パクラが撮った「大統領の陰謀」のウォーター・ゲート事>>続きを読む

キリング・オブ・ケネス・チェンバレン(2020年製作の映画)

4.5

前情報は珍しくモーガン・フリーマンが製作総指揮というだけではあったが、ポスターヴィジュアルにも何か引っ掛かるものがあり、とりあえず劇場に足を運んだが、今年封切りされた映画の中でも五本の指に入るぐらいの>>続きを読む

サイコXX(1970年製作の映画)

3.2

邦題はヒッチコックの名作をそのまま冠してあるが、原題は「how awful about allan(アランのスキャンダル)」であり、似ても似つかぬ題名である。

確かに主役のアンソニー・パーキンスをは
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ミナリ(2020年製作の映画)

3.2

Amazonプライムで気にはかけていたが、タイミングが合わずやっとこさ観る事ができた。

ストーリーとしては地味な感じで人によって好き嫌い極端に分かれる作品である。少しクセのある祖母くらいしか面白味が
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AIR/エア(2023年製作の映画)

3.6

子供の頃はスポーツシューズが流行り出した時代ではあったが、高額だったので学校の上履きにマジックインキでNIKEのウイングロゴやadidasの三本線を書いたりしていたが、なぜか見破られて皆から笑われて苦>>続きを読む

タブロイド紙が映したドリアン・グレイ(1984年製作の映画)

3.5

今回で「ベルリン三部作」すべてを鑑賞した事となったが、今回の作品が個人的には難解であり、ニュー・ジャーマン・シネマの一派からみれば、ファスビンダーとは一味違う作品であった。

主人公のドリアン・グレイ
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フリーク・オルランド(1981年製作の映画)

3.6

ヴァージニア・ウルフ「オーランド」をオッティンガーなりの解釈で派手に映像化しているが、章ごとに分かれていても、肝心の構成が素っ頓狂のオンパレードだから意識しても仕方ないかな。(というか私はできなかった>>続きを読む

アル中女の肖像(1979年製作の映画)

3.8

日本公開が待ち遠しかったウルリケ・オッティンガー「ベルリン三部作」。この代表作を劇場で鑑賞できたのが何よりも嬉しい事である。

連作ではなく、ひとつひとつが独立した映画ではあるが、何らかの繋がりがある
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クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

3.8

全体的な内容としては実存主義を映像で実践しており、またアンチ・ユートピアにおける肉感的かつ被虐的な描写も多数あったが、作家として感覚のない痛みでしか自分を確かめられないことに同情から愛情へと気移りしそ>>続きを読む

イノセンツ(2021年製作の映画)

3.7

エスキル・フォクトは監督というよりも、主にヨアキム・トリアーの脚本に携わっている印象があるが、どのような内容なのかは気にしていたが、先週は名画座が主だったので、公開から少し経ったがなんとか劇場で観に行>>続きを読む

乱暴者(1952年製作の映画)

3.4

今まで見た作品からすれば、地味な内容ではあったが、用心棒の周辺に起きる男女間の問題が焦点になったためか、この映画が言わんとしていることである、居住における貸借トラブルをもう少し詰めて欲しかったがのが本>>続きを読む

スサーナ(1950年製作の映画)

4.0

珍しいブニュエルのファム・ファタール(悪女)。メキシコ時代のノワール全盛期だとは思うが、先取りしている感じもあった。スサーナを演じたロシーナ・キンターナは強かな悪女の典型を上手に演じていた。

とは言
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アフター・アワーズ(1985年製作の映画)

3.5

大作志向があるスコセッシらしからぬ不条理な小作品ではあった。オープニング・クレジットはワルツのような旋律でキューブリックを彷彿させており、中身は小気味良い展開であり、丁寧にまとめていたと思う。

例え
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エル(1952年製作の映画)

4.5

原作のメルセデス・ピントの小説は未読。ブニュエルが彼女の物語を映画用に脚色をしており、女性視点ならではの病んだ人間の異様さを描いている。また監督は今まで撮った中で主人公の分身であると公言しており、個人>>続きを読む

のんき大将(1949年製作の映画)

4.3

画家ダリと共作して話題になった「アンダルシアの犬」で有名な映画監督ルイス・ブニュエルの初期作品が上映。このような機会はあまりないので、可能な限り観に行ければと思う。

昨年鑑賞した「昇天峠」は佳作では
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マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)

4.7

この作品で上映中であるファスビンダー傑作選3作を全て鑑賞することができた。視聴する順番は何も考えずに適当だったが、この順序が良いのではないかと思う。そして大好評につき都内での上映期間が延長とのこと。現>>続きを読む

A2 完全版(2015年製作の映画)

3.2

前回は荒木氏を中心に動いたドキュメンタリーではあったが、群像劇までとは言わないが、本作はもう少し引いて信者以外の人物にもスポットを当てて撮っている感じはあった。

一部の地域で住民と打ち解けあい、教団
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「A」(1998年製作の映画)

3.2

前から気になっていたドキュメンタリーではあったが、クリップをしていただけでタイミングが合わず観ることを保留していたが、Amazonのサブスクで配信をしていることを知り鑑賞する。

95年に起きた事件か
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天使の影(1976年製作の映画)

3.9

ファスビンダーが書いた戯曲「ゴミ、都市そして死」の映像化。今作は脚本と主演のみで監督は盟友ダニエル・シュミット。

鑑賞(中)後の感想として普遍的な愛を描いたドラマに戦後資本主義による都市の退廃やミス
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不安は魂を食いつくす/不安と魂(1974年製作の映画)

4.3

どうしても見たかった作品だったが、DVDが廃盤であり、オークションでは高騰で手に入ることができず、ヤキモキしていたが、過去の3作品が劇場公開されることを知り、封切り前は遠足を楽しみに待つ子供のようであ>>続きを読む

ゴルゴ13(1973年製作の映画)

3.0

これが配信されるのを心待ちににしていた東映オンラインシアター。

原作者のさいとう・たかをが以前述べていたが、ゴルゴ13のモデルは高倉健であり、この映画に違和感が感じられなかったので説得力はあった。
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.4

ジブリ作品の劇場鑑賞は記憶が間違っていなければ初めてである。今までの宮崎作品はとりわけ率先して行こうという気にもならず、印象に残っているのはテレビ放送でのナウシカと「さらば愛しきルパンよ」ぐらいである>>続きを読む

デモンズ(1985年製作の映画)

3.7

ダリオ・アルジェント製作総指揮、ランベルト・バーヴァ監督作品。

前回のレビューはパート2で本作が最初である。どうして製作年どおりに視聴しなかったのは悔やむところだが、時が経てばさほど気にすることはな
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デモンズ2(1986年製作の映画)

3.2

「サスペリア」で馴染みのダリオ・アルジェント製作・脚本。そして監督はイタリア・ホラーの第一人者であるマリオ・バーヴァの息子であるランベルト・バーヴァ。

偶然知ったが、まさかAmazonプライムで配信
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