朝田さんの映画レビュー・感想・評価 - 17ページ目

朝田

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わたしの叔父さん(2019年製作の映画)

3.9

ケリー・ライカートの「ライフゴーズオン」エピソード3を思わせる日常的な酪農家の風景の反復をセリフ無しで見せていく様は単純に見ていて気持ちが良いし、前半と後半で見方を替えさせる仕組みも巧い。小津からの影>>続きを読む

暴走パニック 大激突(1976年製作の映画)

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ヤバい。これは最高だ。前半の積み重ねが全て終盤のカーチェイスに集約されるという正真正銘の活劇。タイトルを体現するかのような後半、頭がおかしい人間しか画面に映ってない。カメラも役者も一度も静止しないスゴ>>続きを読む

プラットフォーム(2019年製作の映画)

3.0

SAWやCUBEの系譜にあるアイディア一発勝負のスリラー。主人公の崩壊していく内面をいちいち映像化してしまう演出は説明的で乗り切れなかった。

クラッシュ 4K無修正版(1996年製作の映画)

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正直あんまり初見時はハマれなかった本作。改めて見ても傷跡や死体をアップにして映すのはクローネンバーグという作家のあざとさを感じてしまい相変わらず苦手ではあった。(初期のザ・ブルードとかシーバースは純粋>>続きを読む

天国にちがいない(2019年製作の映画)

3.8

恥ずかしながらスレイマン初挑戦。ウェスアンダーソン的なオフビートなユーモア、シンメトリーな構図の連続で魅せていく。初期たけし映画のような静けさも感じた。主人公にはほとんどセリフが与えられず、徹底的にア>>続きを読む

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

2.7

主演二人の演技は良い。話としても引用まみれのラブストーリー、悲劇として異様で面白かった。坂元さんにとってはかなり挑戦的に記号で埋め尽くす手法をとっていると思う。しかし、その分いつものストーリーテリング>>続きを読む

麻雀放浪記(1984年製作の映画)

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めちゃくちゃ好き。モノクロで映される瓦礫だらけの東京と、ギャンブル狂いの男たちの表情がカッコ良すぎる。同時に、今はもう失われた風景ということが強調され、全体に青春映画としての切なさが増す。アクションを>>続きを読む

スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち(2020年製作の映画)

2.8

正直ドキュメンタリーとしては突出した出来ではない。作品のコンセプトをいきなり説明してしまうナレーションは明らかに雄弁すぎるし演出も被写体の心理を強調するかのごとく感傷的(ベテラン女優が失ってしまった時>>続きを読む

真夏の夜のジャズ 4K(1959年製作の映画)

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シネマシティで見れて良かった。ジョナサンデミ「ストップメイキングセンス」以来最高のライブ体験映画。同時に最高のアメリカ観光映画でもある。余計な演出やナレーションは排除して、ひたすらぶっきらぼうにジャズ>>続きを読む

恋する遊園地(2020年製作の映画)

3.2

シャマラン作品のように他人には理解できない何かに取り付かれた人間を優しい視点で見つめた話自体はとても好きだし、凛とした佇まいのノエミ・メルランもやはり魅力的。しかし、主人公の疎外感を強調するような心理>>続きを読む

KCIA 南山の部長たち(2018年製作の映画)

3.6

この手のコリアンノワール/サスペンスは大概面白いが本作も例に漏れず。韓国版「裏切りのサーカス」という感じ。ベルトルッチ「暗殺の森」オマージュを交えつつ会話劇主体で進行していく硬派な作品だがきちんと緊張>>続きを読む

ヒッチャー ニューマスター版(1986年製作の映画)

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めちゃくちゃ面白い。スピルバーグの「激突!」的なスリラーの定型を踏んでいくと見せかけて、ニューシネマを経由し最後は黒沢清作品のような話になるプロットがスリリング。アメリカの郊外を艶っぽく捉えたショット>>続きを読む

大列車強盗団(1967年製作の映画)

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めちゃくちゃ淡々としているクライム映画。何気ないショットの積み重ねが終盤繰り広げられるアクションへの盛り上げをじわじわ高めていく。ジャジーなスコアもクール。

RONIN(1998年製作の映画)

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これぞ活劇。スタジアム、パリ市内とシチュエーションを変えながら徹底的に追跡劇が行われる。中盤のカーチェイスから銃撃戦へと切り替わる瞬間の鮮やかさが見事。

ジャスト 6.5 闘いの証(2019年製作の映画)

3.8

めちゃくちゃ渋い刑事映画で面白かった。ここまでキアロスタミへの目配せ無くエンタメ志向のイラン映画はなにげに初めて見た気がする。ほろ苦い余韻も含めルメットやらフリードキンの70年代アメリカ犯罪映画はかな>>続きを読む

ヴァンパイア/最期の聖戦(1998年製作の映画)

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吸血鬼映画をウエスタン調に撮るという発想がまず面白い。その上でアイディア一本勝負にせずキャラクターの魅力や多彩なアクションできちんとジャンル映画として満足度高く仕上げるのが誠実。世界観の説明をせずにい>>続きを読む

メイド・イン・L.A.(1989年製作の映画)

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「ヒート」の原型。あちらが細やかなドラマの蓄積によって大団円を迎えるのに対しこの作品は刑事と犯人、二人の関係性に絞ったタイトで即物的な描写で魅せる。都会の夜を艶かしく切り取るフェティッシュなカットの数>>続きを読む

エグザイル/絆(2006年製作の映画)

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ひたすらにカッコ良い映画。ストーリー自体はこれ以上ないほどシンプルながら、執拗に台詞を排除してアクションで語っていく語り口がドラマチック。「写真」や「レッドブル」といった小道具の使い方も一々気が利いて>>続きを読む

チャンシルさんには福が多いね(2019年製作の映画)

3.5

面白かった。ホン・サンス作品のプロデューサーが監督しているだけあって、妙なタイミングでズームが用いられたりズレた会話の面白さなど影響が幾つか見受けられる。野外と室内を丁寧に捉えたショット、キャラの心理>>続きを読む

ミッドナイト・ファミリー(2019年製作の映画)

3.9

メチャクチャ面白かった。個人的には本年度最初の年間ベスト級作品。メキシコで私営の救急隊を営む家族の姿を捉えたドキュメンタリー。しかしほとんどフィクションのような面白さ。小森はるかのように、余計なナレー>>続きを読む

聖なる犯罪者(2019年製作の映画)

3.4

過去を偽り小さな村の聖職者となった男の姿を丁寧に捉える。不穏な細部の蓄積によってサスペンスを盛り上げていく手腕、ポーランド映画らしい端正なショットのセンスは光るものがある。冒頭と終盤で長回しを反復させ>>続きを読む

あの夜、マイアミで(2020年製作の映画)

3.2

マルコムX、サムクック、ジムブラウン、モハメド・アリがそれぞれの立場をぶつけ合いながら、共に一夜を過ごす。会話のやり取りだけで話が進むミニマルな構成から現代のアメリカに直結する視点を浮かび上がらせると>>続きを読む

実録外伝 大阪電撃作戦(1976年製作の映画)

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ともかくヤクザたちが入り乱れる画の連続に圧倒される。これほど多数の人間を躍動感たっぷりに動かせるのは中島貞夫しかいないんじゃないか。話は割とゴチャゴチャしているが、編集とカメラワークのキレの良さで飽き>>続きを読む

真夜中の刑事/PYTHON357(1976年製作の映画)

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フレンチ・ノワールと言えどメルヴィルやベッケルのようなスタイリッシュさは無く、ひたすら地味で泥臭くてオモロかった。刑事対犯人というような流れになるかと思いきや、刑事の不安定な心理を掘り下げていく己vs>>続きを読む

トレスパス(1992年製作の映画)

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面白い。ウォルター・ヒル×ゼメキスという豪華布陣。一つの建物の中から一歩も出ないミニマルな規模感ながらシチュエーションをふんだんに活かしたアクションの多彩さ、キャラの魅力を引き出す脚本の妙。サスペンス>>続きを読む

ゲッタウェイ(1972年製作の映画)

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メチャクチャ久しぶりに見直した。ペキンパー特有のウェットさが苦手な自分としてはこれくらいカラッとしている方が好き。ハンバーガーをデリから受けとるシーンや、部屋の中でマックイーンとヒロインが過ごしたりす>>続きを読む

私というパズル(2020年製作の映画)

3.6

中々の傑作。冒頭の長回しは勿論、全体的に台詞を排除してアクションと表情によって語る演出が施される。タバコを吸いに行く、雪の中で一人走る、現像された写真を見つめるなど。それにきちんと応答する役者陣の熱量>>続きを読む

ジーンズブルース 明日なき無頼派(1974年製作の映画)

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これは素晴らしい。一貫して体制に歯向かう人間の姿を描いてきた中島貞夫による和製ニューシネマ。最高なのは主演二人が結び付くきっかけが具体的には描かれず、ただ「燃える車を共に目の当たりにした」というだけな>>続きを読む

多十郎殉愛記(2019年製作の映画)

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今更ながら見た。正直セットはチープだし脚本も出来が良いとは言えないんだけれども役者のアクションの捉え方がカッコ良すぎて欠点はどうでもよくなってくる。無駄にカットを割らず、的確な位置にどっしりとカメラを>>続きを読む

鉄砲玉の美学(1973年製作の映画)

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これはマジで最高。中島貞夫の中でもかなりの傑作。ヤクザにもカタギにもなれない中途半端な男の一生。頭脳警察の音楽がまず死ぬほどカッコいい。「ふざけるんじゃねえよ」と繰り返す歌詞が男のガムシャラさとシンク>>続きを読む

デリンジャー(1973年製作の映画)

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同じくデリンジャーを扱ったマン師のパブリックエネミーズよりも軽妙なテンポで語られていく。ハードな銃撃戦と日常風景を交互に見せていくため、いつサスペンスが起こるか分からない緊張感が生まれている。新聞記事>>続きを読む

サンダーボルト(1974年製作の映画)

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お調子者のチンピラと牧師による犯罪映画かつロードムービー。犯罪計画が実行されるまでの時間を緩やかに蓄積していくことでラストの苦味が際立つ。所謂ニューシネマ的なプロットではあるが、アクションによって語ら>>続きを読む

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)

3.0

異食症になった主婦の姿をスリラー的に捉える。台詞にあまり頼らず画で魅せていくミステリアスな語り口や、アルモドバルやレフンを思わせるビビッドな色彩設計が光る。ただ、主人公の病に対して悲惨な家庭環境という>>続きを読む

新感染半島 ファイナル・ステージ(2020年製作の映画)

3.4

前作とは全く異なるSF活劇にシフトチェンジ。ゾンビ映画という形骸化したジャンルの中でもネタ切れを起こさず、しっかりと新鮮さのあるジャンル映画に仕上げている。銃撃戦にカーチェイスと見せ場は満載で、前作で>>続きを読む

しとやかな獣(1962年製作の映画)

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団地の一室だけで群像劇を成立させてしまうパワフルさに圧倒された。異様なスピード感の会話、引きの画面と寄りの画の使い分けの巧みさによって単調に感じさせる瞬間が無い。何を見せ何を見せないのかという演出上の>>続きを読む

ザ・シークレット・サービス(1993年製作の映画)

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ピアノを弾く姿にすら哀愁を滲ませる、イーストウッドを主演に迎えたからこそ成立するシーンの数々に感動。これをきっと他のダサ坊が演じていれば凡庸なジャンル映画に収まっていただろう。若い娘との荒唐無稽なロマ>>続きを読む