朝田さんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

朝田

朝田

映画(1172)
ドラマ(110)
アニメ(0)

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

-

アダム・マッケイの新作にして前作は何だったのかというぐらいの面白さと恐ろしさ。まともな人間がほぼ一人も出てこない地獄のような風刺コメディ。この世の腐敗を全て暴き出すような辛辣な批評精神をまくしたてるよ>>続きを読む

ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

相変わらずエドガー・ライトのセンスが炸裂している作品で基本的には楽しかった。が、個人的には前作「ベイビードライバー」には展開の爆発力という意味であと一歩及ばないかなと思う。全体的にコンセプトを再現する>>続きを読む

べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

3.5

まず固有名詞を多用するギャグのテイストはまるで知っている人に積極的に目配せをするような、あざとさがあって乗れなかった。役者の演技も基本オーバーアクトで聞き取りずらいシーンもいくつかある。アクションパー>>続きを読む

悪なき殺人(2019年製作の映画)

2.8

思ってた以上に脚本の映画だった。勿論人物の視点を分けて細かく描き込む語り口には一定の面白さはあるし、丁寧だと思う。だがそれこそ「ファーゴ」的な地方を舞台にした陰惨な殺し合いを期待するも、終始ネットを利>>続きを読む

ダーク・アンド・ウィケッド(2020年製作の映画)

3.4

殺風景なロケーションにホームドラマとホラーの融合といかにもシャマランが撮りそうな作品で、実際の所シャマランが撮ったら数倍面白くなりそうだなと思いながら見た。本当にただ夫婦が呪いで崩壊していくだけの話で>>続きを読む

パーフェクト・ケア(2020年製作の映画)

3.7

これはかなり面白かった。終始誰にも共感移入をさせないドライな造りでありながら、画面のビビッドな色使いと役者のアンサンブル、ジャンルが転調していくアクロバティックな脚本で最後まで惹き付ける。ロザムンド・>>続きを読む

ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ(2021年製作の映画)

3.5

シリアスかつ長尺なビッグバジェット映画が増えている中、前作よりタイトな尺で纏め、なおかつ軽快なトーンを崩さない所は素晴らしいと思う。夜の撮影が良くて特にヴェノムが屋根にぶら下がる引きのショットは良かっ>>続きを読む

七月のクリスマス(1940年製作の映画)

-

最高のロマコメ。会話のリズムと編集の軽快さ。屋上での横移動や社員たちがゾロゾロ入ってくる様を見せるワンカットなど洗練されたカメラワークに、黒猫の登場させるタイミング。全てが軽妙洒脱としか言いようがなく>>続きを読む

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

-

2010年代屈指の傑作。唖然とするような長回しといい、飛躍を重ねる編集といい、全てが大胆さに満ちている。ただの一枚布が徐々に表情をもった生き物に見えてくる。

拳銃魔(1949年製作の映画)

-

ジョセフHルイスは「ビッグコンボ」も大傑作だがこちらも負けず劣らず。とにかくカメラワークがめちゃくちゃ格好良くて、特に銀行強盗を実行し逃走するまでの一部始終を車内からの長回しで見せきるシークエンスは痺>>続きを読む

拳銃貸します(1942年製作の映画)

-

タイトな尺の中に見せ場が詰まっていて語り口も淀みない。橋の上の逃走シーンの迫力や、「暗黒街の顔役」のように主人公が殺人を犯すシーンを直接的に見せないことで無機質さを際立たせる演出が洒落てる。

20センチュリー・ウーマン(2016年製作の映画)

-

個人の歴史とアメリカの歴史をクロスさせる語り口だったり、音楽のセレクトだったり、スケボーと車が並走するショットの見事さだったり、やっぱり面白い。ミルズの新作に期待。

ディア・エヴァン・ハンセン(2021年製作の映画)

3.0

メンタルヘルスやSNSの暴力性などヘヴィーな主題を幾つも入れつつも、ミュージカルに落としこむことで妙に感傷的にしたり、美化したりせずに誠実に向き合っている。こういうタッチはアメリカ映画の美徳だと思う。>>続きを読む

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

3.7

昨今の早急な映画の語りの速度に抗うような腰の座ったテンポ感。それに応えるように室内から野外に至るまでライティングが見事なので常に飽きることはない。ジェシープレモンスとキルスティン・ダンストが抱き合う瞬>>続きを読む

ツリーから離れて(2021年製作の映画)

3.9

ここに来てディズニーがあえて手描きのアニメーションに回帰するのは新鮮で、なおかつ台詞を用いらずアクションで語っていく演出も素晴らしい思った。しかも珍しく傷跡や血の描写もしっかりと入れているのも驚いた。>>続きを読む

ミラベルと魔法だらけの家(2021年製作の映画)

3.5

ディズニー映画としては珍しいラテン音楽のミュージカル。パンを多用してリズミカルにカットを繋いでいく演出が音楽の軽快なグルーヴと合致していて、ミュージカルパートは全体的に良い出来と思う。特に、花が周囲に>>続きを読む

秋刀魚の味(1962年製作の映画)

-

全カット完璧。家具や衣装まで含めた画面の色彩設計といい、役者の動かし方といい、全てが厳格にコントロールされていて凄い。一方で演技や会話の在り方はとても生々しく、作り込みすぎない軽さがあるので、疲れない>>続きを読む

レイプハンター 通り魔(1986年製作の映画)

-

カメラマンが女の写真を集めて壁に貼るというモロに「恐怖分子」オマージュなシーンがあって驚いた。郊外にぽつんと建つコインランドリーの撮り方がめちゃくちゃ良い。所々の長回しがまた面白くてディーラーでの一連>>続きを読む

(秘)色情めす市場(1974年製作の映画)

-

物凄く荒廃した世界が画面の中に広がっているのにも関わらず、芹明日香を初めとする役者たちのパワフルな佇まいによって、不思議と軽快な空気感が漂う。断片的な語り口ながらモノクロとドキュメンタリー調のカメラワ>>続きを読む

スーパーバッド 童貞ウォーズ(2007年製作の映画)

-

久しぶりに見たら印象変わるかなと思ってたが相変わらず超感動してしまった。しょうもない下ネタ満載だが脇に至るまで登場人物が生々しく描写されていてだからこそくだらなくて何気ない時間が全て儚く、愛おしく思え>>続きを読む

囚人ディリ(2019年製作の映画)

3.4

カーペンター「要塞警察」と「マッドマックス」を混ぜたようなドラマとアクションのボリューム感にはやはり圧倒される。インド映画の割にはミュージカルシーンが完全に排除されている所も新鮮で良かった。ただアクシ>>続きを読む

第三の男(1949年製作の映画)

-

言わずと知れたノワールの名作。全編光と影の使い方が神がかってる。オーソンウェルズが正体を表すシーンの迫力や、観覧車で会話するシーンの緊迫感、ラストの絶妙さなど見所が満載。牧歌的なギターのスコアはCMと>>続きを読む

殺人の追憶(2003年製作の映画)

-

ポンジュノがゼロ年代に放った言わずと知れた傑作。ラストカットの切れ味と言い、魅力的なロケ選びと言い、刑事の構図が逆転する語り口と言い、サスペンスとして完璧。

映画に愛をこめて アメリカの夜(1973年製作の映画)

-

映画制作モノの最高峰。登場人物はロクデナシばかりなのに、皆が愛おしくて撮影風景は固唾を飲んで見守ってしまう。ラストの雪の中をドタバタと駆け回る俳優たちの姿が最高に美しい。

東京ゴッドファーザーズ(2003年製作の映画)

-

自分にとって、相米慎二の「東京上空いらっしゃいませ」と並んで最も都市を魅力的に切り取った映画。何気なく入る東京タワーや、ビルの切り取りかたが全部良い。全キャラクター魅力的で、なおかつちょっとしたシーン>>続きを読む

tick, tick...BOOM!:チック、チック…ブーン!(2021年製作の映画)

3.6

今年のミュージカル作品だと「イン・ザ・ハイツ」より個人的には断然こちらの方が面白かった。楽曲が相変わらず良いので劇場推奨。実話ベースなのでスケールを広げ過ぎず基本的にはパーソナルなドラマにしているのが>>続きを読む

やさしい女(1969年製作の映画)

-

とにかくオープニングがブレッソン屈指のかっこ良さ。テーブルが倒れ、ショールが宙を舞い、カメラはやがて血に濡れた死体を映す。セリフ一切無しで動きのみを繋いでいく、このリズム感はたまらない。拳銃を持つドミ>>続きを読む

アイス・ロード(2021年製作の映画)

3.5

明らかに「恐怖の報酬」を氷上に置き換えた話なんだけど、非情さが足りてないというか、リーアムニーソンが基本的に正しい人間のままなのが物足りない。極限状態に陥った人間たちの攻防を描くスリラー映画の側面があ>>続きを読む

大雷雨(1941年製作の映画)

-

ものすごい変な映画だが、マジで面白かった。女一人に男二人が織り成す三角関係モノなのだが、エドワードgロビンソンが演じるキャラクターの暴力性と電柱を直す仕事という奇妙な設定によってクライマックスはほぼア>>続きを読む

天使(1937年製作の映画)

-

ラストに至るまで扉の使い方が巧すぎる。全体的に取捨選択がすごくて、三人が会食するシーンはベルボーイの会話だけで想像させ、夫が出ていき、部屋でディートリッヒと男が二人きりになるシーンは逆に表情をじっくり>>続きを読む

愛のまなざしを(2020年製作の映画)

3.7

「接吻」と比べると個人的にはラストカットの切れ味に欠け、終盤は蛇足に感じてしまった。全体的にあまりテンポが良くない印象。が、それでも万田監督の異様な演出の数々にはやはりグッときた。舞台劇のようになって>>続きを読む

マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

最高に悪趣味かつ爽快な今年ベストジャンル映画。めちゃくちゃ面白かった。とにかくジェームズ・ワンのjホラーやジャーロなど様々なクラシックなホラーを踏まえた、演出の手数の多さに興奮させられる。前半の夫が襲>>続きを読む

カオス・ウォーキング(2021年製作の映画)

2.6

中々の童貞映画だったのでグレッグモットーラが監督すべき題材なのではという思いを抱きつつ見た。心の声が聞こえてしまうという設定をユーモアとして使い、ある種の軽さを持った語り口なのは良かったと思う。ただ、>>続きを読む

ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)

-

久々見直したけどやっぱ最高。血の飛び散らせ方とか会話シーンでグルグル回るカメラとか、2pacの鳴らしかたとか、タランティーノの思い切りの良いかました演出が素晴らしい。

レネットとミラベル/四つの冒険(1986年製作の映画)

-

ロメールの中では個人的に三本の指に入る。特に第一章の多幸感というか、何気ない時間をこんなに幸せに描ける瑞々しい感性が本当に素晴らしい。二人がシンセポップで踊る所とか最高すぎ。終わりかたの潔さも「緑の光>>続きを読む

幽霊と未亡人(1947年製作の映画)

-

死者とのロマンスを描いた映画はどうしたって泣けてくる。前半はドアや窓といったディテールを活かした演出でグイグイ引き込まれていく。未亡人を見守る幽霊の後ろ姿を捉えたショットの切なさ。後半の大胆な省略の連>>続きを読む