SQURさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

DISTANCE/ディスタンス(2001年製作の映画)

4.0

テロを行った教団信者の遺族が、あるアクシデントから一晩を共にすることになる、といったかなり特殊な設定によって始まる会話劇。

「対話」がテーマになっている。

「対話」を通して他者の内部に侵入すること
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誰も知らない(2004年製作の映画)

4.0

後年の作品にも共通する、人と人がつながることの持つ可能性への期待となお不足が存在することの追証、幸せの決定の責任の所在への問いかけ。糾弾ではなく共同注視の形をとった表明。
しかしこれではあまりにも閉塞
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マーベルズ(2023年製作の映画)

4.0

憧れの人に出会えてしかも運命も絡まっちゃって大興奮のカマラ、というオタクが見たかったやつがしっかり映像化!
テンポ重視の構成でカオスな設定もぽいぽい投げ込まれていて飲み込みにくいシーンもあったが、『フ
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リゾートバイト(2023年製作の映画)

4.0

今までになかった全く新しい創作の可能性の端を掴んだような、そんな予感がした。無意識に作り出していた外殻のさらにその先に広がる世界の片鱗を見た。

ザ・キラー(2023年製作の映画)

4.0

ジャンルムービーではあるがその進行は奇異にして偏執的だ。しかし本作の物語的快楽は、他のどの類似映画の中にも存在していたはずだ。‪「ただ‪ノイズによって隠されていただけなのだ‪」と、そう主張せんばかり。>>続きを読む

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

レオナルド・デカプリオ演じるアーネスト。彼が、空っぽの箱なのか、それともなにかが詰まっているのか。それが問題となる。
3時間26分という長尺に反して、アーネストの内面について知ることはとても少ない。彼
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キリエのうた(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

キリエが歌うと「良かった……」という気持ちにどうしてだかなって、その度に泣いてしまっていたので映画の半分くらい泣いていた。観終わってから、泣き疲れてしまった感じがあった。

「語りきらないこと」「語り
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アンダーカレント(2023年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

失踪した夫に戸惑う妻、という非日常色強めな設定。
1対1の会話が場所と人を変えながら繰り返し映され、その中で登場人物たちが教訓を得たり洞察を得たりする。
ここぞというシーンで、小説や映画の登場人物だっ
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こちらあみ子(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

観ている間はギリ泣かなかったんだけど、映画が終わって劇場が明るくなってからポロポロ涙が出てきてとまらなくなった。
『この人に幸せになってもらいたい、幸せな時間を誰かと共有したい』と自分では考えるでもな
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ひかりの歌(2017年製作の映画)

5.0

心細くなる映画。
人と人とが出会っていろいろ話し合ったりするのだけど、それでも根底にある心細さからは逃れられないんだよ、ということを観ているほうへと突きつけてくる。
それというのは日本の風土とも多分関
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ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

5.0

舞台は1940年代のスペイン、だったのかな?道路も舗装されていないような田舎の街で、隣街という概念なんてないみたいで、街の外にはずーーーーと荒野が広がっている。日本だと田舎でも、村は山によって囲われて>>続きを読む

グランツーリスモ(2023年製作の映画)

1.0

レースシーンが目茶苦茶いい。スピード感も迫力も。作中で主人公が語る「それ以外のものがなくなる瞬間」の一端を、観ているこちらも味わえた気がする。

一方で、レースシーン以外のお話は空回りしている。ゲーム
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.0

かったるい。
物語構造がビビットではなくもたついていて重い。色彩もぼんやりとしていて、観ているんだか寝ているんだかわからなくなる。登場人物の人間性もすべて映画という形態の"音楽"を作り上げるために配置
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戦慄怪奇ワールド コワすぎ!(2023年製作の映画)

4.0

モキュメンタリーの自由さを感じる「ドキュメンタリー映像」という枠があることでかえって無限の可能性にひらかれているような。例えば、カメ止めや新耳袋に対する言及とかもできたんじゃないかな?と思う。どこまで>>続きを読む

(2021年製作の映画)

2.0

映画館で記憶力パズルゲームをさせられるのはきついものがある。『メメント』を思い出した。
自宅で何回か観直せる環境で鑑賞したらまた違った印象になったと思う。

オオカミの家(2018年製作の映画)

2.0

不気味なホラーを期待して観にいったが前衛芸術な映画で眠くなった。
異常に見える対象が実は過程であり肉付けをされて正常の対象になったり、逆に正常に見える対象もその変化の過程に過ぎず異常な状態へと移ろって
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福田村事件(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

言葉による説明は抑制され徹底して演技によって表現しようとしている。映画を観れば、それが「悪」によってなされたものではなく、理解可能な結果であることがわかるように、一歩ひいたところから映されている。
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ローマの休日 4K レストア版(1953年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

中盤辺りからもうちょっと泣きながら観ていたんだけど、最後の15分くらいは映画館にも関わらず嗚咽をもらしてしまうほどガチ泣きしてしまった。

お忍びの王族とイケメンな庶民の恋愛映画なのかなあといった漠然
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戦慄怪奇ファイル 超コワすぎ! FILE-02 暗黒奇譚!蛇女の怪(2015年製作の映画)

3.0

終わり方がいいね。

コワすぎ部分に尺を使っているため2人の関係の掘り下げがあっさりしているところが勿体ない。工藤要素とモキュメンタリー要素がない方がいい映画になった気がしないでもないがそれはもはやコ
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戦慄怪奇ファイル 超コワすぎ! FILE-01 恐怖降臨!コックリさん(2015年製作の映画)

4.0

意外性のある展開がいくつも設けられていて、シリーズの中では一番素直に面白いと言える出来上がりになっている。
「俺がお前の不幸になってやるよ」は決め台詞として最高すぎる。
新菜のキャラも立っていて魅力的
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戦慄怪奇ファイル コワすぎ!最終章(2015年製作の映画)

3.0

連作の最終回ということで、「壮大なスケールのエンタメ大作になるに違いない!」と思い込んで観始めたら、どうも様子が違う。インモラルなギャグがなんと全体の尺の半分以上続く。これいつもの白石印のカルト映画や>>続きを読む

戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 史上最恐の劇場版(2014年製作の映画)

2.0

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一応廃村がテーマの回だが、Jホラーとしての部分はイマイチ。滅多に人のこない廃村らしいが、そこまでの山道がしっかり踏み固められていて明らかに今でも人の通りがある。それに廃村がテーマなのに廃家屋内部のシー>>続きを読む

ミンナのウタ(2023年製作の映画)

1.0

このレビューはネタバレを含みます

「ひとりぼっちは寂しいもんな……いいよ、一緒にいてやるよ」(ちょっと泣いた)

ホラーとしての怖さは予告編で話題になった例のワンシーンのみだった。他の映画を観るたびに予告編を繰り返し見させられたため、
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戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 劇場版・序章 真説・四谷怪談 お岩の呪い(2013年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

序章ということもあってかややインパクトが弱かったかな。
ただ、クライマックスのヘビのトンネルの中でエヴァンゲリオンっぽい感じのBGM流れながら工藤が呪物パンチを繰り出し続けてるシーンはシュールでよかっ
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戦慄怪奇ファイル コワすぎ! FILE-04 真相!トイレの花子さん(2012年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

今までは工藤が主役だったが、今回の主役は2人の女の子。
中学からの友だちで片方は中卒でスーパーでパート、片方は高校で不登校。夜「暇だね〜」と言い合っているうちに思いついて昔の中学に忍び込むことに……。
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戦慄怪奇ファイル コワすぎ! FILE-03 人喰い河童伝説(2013年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

高速移動カッパと相撲(肉弾戦)というシチュエーションは流石に面白すぎる。意味不明な絵面!

1と2を見てなお工藤が注意をきかないことを予想しなかった鈴木は少し察しが悪いかもしれない。

戦慄怪奇ファイル コワすぎ! FILE-02 震える幽霊(2012年製作の映画)

3.0

工藤の人間性の欠如っぷりがさらに明らかになっていく今作。
前回の意味あるのか?と首を傾げたくなる調査パートもシュールで良かったが、今作は気合のはいった調査でテンポよく新事実が明らかになっていくので退屈
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ジュラシック・パーク(1993年製作の映画)

4.0

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アランが滅多にみないくらい理想的な大人過ぎて良かった。自分の好きなものには子供と一緒に心の底から喜び感動を分け合えて、それでいて子供が危ないときにはその知識と勇気で自ら盾になり危険から守ると約束する。>>続きを読む

E.T.(1982年製作の映画)

4.0

誰の胸にもE.T.がいて欲しい。
孤独な男の子にも、大人になろうとしているお兄ちゃんにも、純粋な妹にも、その場に居合わせただけの友人にも、夫婦関係に行き詰まったお母さんにも、ずっと夢を抱き続けていた科
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JAWS/ジョーズ(1975年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

死者が出ているのに経済を優先するあまりサメを存在しないものとして扱ってしまう市長。専門家が危険性を訴えるも事なかれ主義を貫き通し、取り返しが付かない被害が出てからようやく現実を受け入れるも、そのときに>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

最終的に「何もかも完璧な結末」にたどり着かないというところがこの映画のみそで、そして現実世界に行ってバス停のベンチに座って世界の複雑さに気づいたあの序盤のワンシーンでその結末のすべてを描き切っている。>>続きを読む

さらば、わが愛/覇王別姫 4K(1993年製作の映画)

3.0

物語もグイグイ進むし、美しいカットも多い。

が。評価が難しい。
映画の中の個々のエピソードは作劇上で明確な意味付けを与えられていなくて、あくまでも"歴史の中に受肉した人間が織り成す出来事"として語ら
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イノセンツ(2021年製作の映画)

4.0

あまりにも『童夢』を愛しすぎている…。
想像以上に『童夢』で、あの描写をそういうふうに演出にするか、といった驚きがあった(特に「気づく」描写!)。

大きなストーリーラインとしては「少年自体の孤独さや
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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ストーリーの細部など注意して見ていてもなんとなくしか理解できなかったが(私が過去作をほぼ観てないせいもあると思う)、そんなことがどうでも良くなるくらい映像としてのパワーがある。
なんだかよく分からんけ
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ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

変にひねりを入れず、真っ向からエクソシストものの面白さを追求した映画になっている。そうした姿勢によって、雑にホラーを意識した演出の映画よりも、かえって恐ろしい「悪魔」になっている。
怖いところはしっか
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