あさのさんの映画レビュー・感想・評価 - 15ページ目

ヒメアノ〜ル(2016年製作の映画)

4.0

世にも恐ろしい感情破壊映画です。
笑いと狂気、愛と暴力、ラブコメとサイコサスペンス…稲中の時代から一貫して“侵食されゆく日常”を描いてきた古谷実の実写化作品としては最高傑作だと思います。
物語の反転は
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死霊館 エンフィールド事件(2016年製作の映画)

3.5

オーソドックスな構成でありながらきっちりと怖がらせてくれる、ワン監督の非凡かつ堅実な才能が堪能できるホラー映画です。
美術や音響の丁寧な作り、アナベル等の旧キャラに頼らない姿勢も好感が持てます。
印象
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のぞきめ(2016年製作の映画)

2.0

板野友美さんの一本調子なメソッド演技が逆にリアルな効果を生んでいるような気がしないでもない、ある意味目が離せないホラー映画です。
“隙間”や“ねじれ”や“廃村”や“六部殺し”といったワードこそ恐ろしい
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アイアムアヒーロー はじまりの日(2016年製作の映画)

2.0

本編「アイアムアヒーロー」にあった革新的な面白さは皆無ですが、邦画のPOVとしては“名女優の主演”という珍しい作りのホラー作品です。
ブツ切りかつツギハギだらけかつノイズだらけな構成さえ気にならなけれ
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クロノス(1992年製作の映画)

2.5

パールマンの怪演が光る、デル・トロ監督のデビュー作です。
ホラー映画としてはやや冗長かつ散漫な印象を受けるかも知れませんが、美術や色彩感覚、とりわけクロノスの造形やギミックのセンスがまさにデル・トロと
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クリーピー 偽りの隣人(2016年製作の映画)

3.5

サスペンス風味の予告編はミスリード、豪華キャストによる違和感に満ちたサイコスリラーです。
そう、この作品はある意味“黒沢清版ブルーベルベット”なので、終盤香川照之が事件の全貌を崖の上で語らなくてもいい
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ラザロ・エフェクト(2015年製作の映画)

2.5

罪咎をテーマとしたホラー映画です。
蘇りの発想や回廊のビジュアルはとても凝っているのですが、後半になって急にハッタリ演出で怖がらせ始めるところなどは日米の恐怖感覚の違いを感じさせ、ある意味面白いです。
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フィフス・ウェイブ(2016年製作の映画)

3.0

クロエちゃんのアイドル映画として観ると及第点以上、意外とハードなSFジュブナイルです。
ディザスタームービーとしては導入部分で終了しているので、宣伝の仕方でちょっと損してる気がします。
続編ありきの脚
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大日本人(2007年製作の映画)

3.5

良い意味でも悪い意味でも絶対に映画監督松本人志にしか撮れなかったであろう、ヒーローの哀しみとおかしみを描いた怪獣映画の怪作です。
風刺を加味したオチのつけ方は、映画に対する「常識に従わなくていい、自由
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BE FREE!(1986年製作の映画)

2.5

羽賀研二さんの二枚目かつ軽薄な部分が妙に作風とマッチしている、青春コメディの怪作です。
原作とはまったく違うお話になっていますが、漫画初期にあった粗削りなエロスとアクションが、80年代アイドル映画の雰
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ダーク・ハーフ(1993年製作の映画)

2.0

ミザリーとシークレット・ウィンドウの中間に位置する、キングファンにとってはかなり重要なサスペンスホラーです。
展開はけっこうたるかったりもするのですが、プロローグとエピローグはロメロのセンスが小爆発し
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スティーブン・キング/ランゴリアーズ(1995年製作の映画)

2.5

TVドラマでありながらキング作品の不穏な空気を見事に再現している秀作スリラーです。
ランゴリアーズのビジュアルにはすべてを持っていかれるでしょう。

ムカデ人間3(2014年製作の映画)

2.0

一発ネタで三作も出来てしまった、偉大なる最低映画です。
ひたすらジメジメした不快感に満たされていた前作と違い、今回は乾いたユーモアとバカ度が増量、それに加えグダグダなテンポの悪さによりさらに異常な作品
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CAT'S EYE キャッツ・アイ(1997年製作の映画)

2.5

実写化作品としてはかなり挑戦的な作風の、ミステリアスな意欲作です。
怪盗アクションを期待したり名作キャッツアイの実写化作品として観たりするべき作品ではありません。
あくまでも三姉妹のシルエットのカッコ
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キャビン・フィーバー ペイシェント・ゼロ(2013年製作の映画)

2.5

イーライ・ロスのリブート企画によって闇に葬られるかも知れない、人体損壊系感染ホラーのエピソード0です。
愚かな若者達がこっぴどい目に遭うリア充災難展開はこのシリーズの定番ですが、今回は得体の知れない恐
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Mr.ホームズ 名探偵最後の事件(2015年製作の映画)

4.0

超人的な推理力を誇る老探偵が活躍する冒険譚ではありません、孤独と老い、そして人との関わり合いを描いた素晴らしい人間ドラマです。
正典ファンなら誰もが夢に見た“引退後のホームズ”の見事な映像化であり、そ
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ストリート・オブ・ファイヤー(1984年製作の映画)

4.0

ぜひ爆音で鑑賞してみたい、80年代を代表する最高にロックンロールな作品です。
この映画の魅力はなんといってもその雰囲気にあると思います。
とにかくすべてのセリフや衣装、そして音楽が“かっこいい”とはど
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ガンバとカワウソの冒険(1991年製作の映画)

2.5

テレビアニメから16年が経ち、スタッフを一新して制作されたにも関わらず、あのガンバの世界観をしっかりと継承したハードな冒険アニメです。
ガンバが宿敵ブラックに投げかける最後の言葉に、このシリーズが単な
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ザ・ブリザード(2016年製作の映画)

3.0

ディズニーが実録海洋パニックを作ったら、実にディズニーらしい無難かつ手堅いディザスタームービーに仕上がりましたって感じの作品です。
団結や信念など、人の持つ力をわかりやすく描いているところはさすがだと
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巷説百物語 狐者異(2005年製作の映画)

2.5

堤幸彦監督独特の演出や独特のグダグダ感が時代劇であっても変わらないことが確認できる、異色のサスペンスです。
京極夏彦原作で映像化された物の中では最もコメディ色の強い作品だと思います。
渡部篤郎さんの吸
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ビリケン(1996年製作の映画)

4.0

杉本哲太さんのとぼけた怪演が強く印象に残る、ファンタジーコメディの傑作です。
キャストの好演と大阪弁の愛嬌が見事にマッチしている、今のところ最高の大阪映画だと思っています。
また、貴重な浜村淳さんの演
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テラフォーマーズ(2016年製作の映画)

3.5

前評判の悪さがいい感じのスパイスになっている、三池流SFアクション活劇です。
あの壮大なハードSF風バトル漫画を荒唐無稽な方向へまとめ上げたのは英断だと思います。
お涙頂戴的演出をあえて外すシーンが多
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ディバイナー 戦禍に光を求めて(2014年製作の映画)

3.0

絶望と希望、そして信念の旅路を描いた、文芸路線の戦争映画です。
ラッセル・クロウ初監督作品らしいですが、壮大な風景描写のセンスは素晴らしいと思います。

口裂け女 in L.A.(2014年製作の映画)

2.5

構成の妙が楽しめる、ちょっと変り種のオムニバスホラーです。
テンポこそアレですが企画としてはとても面白く、ロサンゼルスと言えど日本の都市伝説によって湿度が高くなるのは新たな発見でした。

写楽(1995年製作の映画)

3.0

絵師と花魁の残酷な運命を描いた一代大江戸絵巻です。
豪華絢爛な作品ではありますが、川島雄三監督の幻の企画でありながらも「幕末太陽傳」の生命力溢れる作風と違い、かなり陰鬱かつ慌ただしい群像劇となっており
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8mm(1999年製作の映画)

3.5

禁断の世界での彷徨を描いた、禍々しいスリラー作品です。
神経を掻きむしられるような陰惨なテーマではありますが、フィルム・ノワールとしての雰囲気は素晴らしいものがあります。

シューマカー監督のゲイ趣味
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ペルディータ(1996年製作の映画)

2.5

「ワイルド・アット・ハート」のスピンオフでもあるバイオレンス作品です。
主役のロメオ&ペルディータは、あくまでも純粋であったセイラー&ルーラやミッキー&マロリーと違いかなりの極悪カップルで、その道行き
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スタンド・バイ・ミー リベンジャーズ/僕たちが銃を握った日(1996年製作の映画)

2.5

あの名作とはまったく何の関係もない、魔太郎がくる風味のズッコケ三人組的青春映画です。
スティーブン・キングの小説にありそうな不穏な話ではありますが、意外と心地よい余韻があります。

MEMORIES(1995年製作の映画)

4.0

アニメーションの新たな地平を切り開いたオムニバス作品です。
公開当時、ファーストカットの宇宙空間の立体感にまず度肝を抜かれました。
「童夢」の“動いているように見える漫画”に似た驚愕です。

大友克洋
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グッドフェローズ(1990年製作の映画)

4.5

マフィアのバイオレンスな日常をリアルに描いた、ドキュメント風ギャング映画の傑作です。
一見マフィアに憧れたある男の実態エピソードをただ並べただけのような、起承転結を意識しない構成なのですが、この作品の
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チャーリーズ・エンジェル(2000年製作の映画)

3.5

爽快アクション大作の名を借りた、極上のコスプレ映画です。
この作品のゴチャゴチャ感はサントラを聴くとよくわかります。
マーヴィン・ゲイ、エアロスミス、アポロ440、ディー・ライト、そしてスパンダー・バ
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ヘイトフル・エイト(2015年製作の映画)

4.0

タランティーノ作品の集大成とも言えるバイオレンススリラーです。
偉大なる無駄話はもちろん、キャスティングの妙、種田陽平さんの細やかな美術にも注目し、タランティーノの世界をじっくりと堪能していただきたい
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エクストリーマーズ(2001年製作の映画)

2.5

筋肉ですべて解決しようとする、ある意味潔い、ある意味オールスターなアクション映画です。
エクスペンダブルズからA級スターを差し引いて煮詰めに煮詰めたような、よくこの面子を集めて撮ろうとしたよなという壮
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いつかギラギラする日(1992年製作の映画)

2.5

A級スタッフとA級キャストによる、超B級ギャングアクション映画です。
ノリと勢いだけで作られたような作品ですが、90年代の異質な雰囲気をよく表していると思います。

ルパン三世 GREEN vs RED(2008年製作の映画)

3.0

時間軸で混乱さえしなければとても面白いメタ・ルパン作品です。
本来原作のルパンは読者をけむに巻くようなロジックに満ち満ちており、そういう意味では「DEAD OR ALIVE」の次にモンキーパンチイズム
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キングダム・オブ・ヘブン(2005年製作の映画)

4.0

とんでもなくヒロイックかつスペクタクルな史劇映画です。
世界史でぼんやりと習った、中世における聖地エルサレムでのキリスト教徒とイスラム教徒とのややこしいかかわり合いが、美しく整理されたビジュアルによっ
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