ausnichtsさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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世界が引き裂かれる時/クロンダイク(2022年製作の映画)

3.0

親ロシア派武装勢力の迫撃砲によって破壊された壁の穴から見える世界は、男たちの争いごとであり、破壊しかない、何も生み出さない世界です。

その時、イルカはひとりで苦しみながら新しい命を生み出します。
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未来は裏切りの彼方に(2019年製作の映画)

3.0

邦題に惑わされて見ると個々の行為が裏切りに見えてしまうという映画ですが、それほどのことでもありませんし、戦時下という混乱状態を差し引いてみれば、まあ日常的なエゴのレベルです。

映画に軸がなく、掴みど
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山女(2022年製作の映画)

2.0

江戸時代の東北の極貧の村の、それも作り話っぽい話を、この見慣れた俳優さんたちが演じて現実感は生まれますかね。

いや、現実感を追求せず、ファンタジーで描こうとしていればよかったんだと思いますが、こうト
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遺灰は語る(2022年製作の映画)

3.0

率直なところ映画自体は面白くはありませんが、知らなかったノーベル賞作家ルイジ・ピランデッロを知ることができるのも映画のひとつの意味合いです。

原題の「Leonora addio」は「さらばレオノーラ
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カード・カウンター(2021年製作の映画)

3.0

お、タクシードライバー系かと思わせながら始まりますが、ウィリアムは「自省録」を読むほどに悟っていますので、どうやらこれはポーカーゲームを軸にしたギャンブルサスペンスのようだと思って見ていますと、とんで>>続きを読む

To Leslie トゥ・レスリー(2022年製作の映画)

3.0

アルコール依存症の女性が心やさしき男性の助けで再起するという話です。現実感はありませんが過剰さがなく見やすい映画です。

深読みすれば、その男性が地域コミュニティからすればよそ者であり、また、モーテル
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Rodeo ロデオ(2022年製作の映画)

3.0

ジュリアはクロスビトゥームのバイカー集団に居場所を見つけようとしているわけではありません。誰にも媚びませんし、そこが自分のいるべきところだと感じてただ行動するのみです。

エンディングの曖昧さは映画を
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探偵マーロウ(2022年製作の映画)

3.0

なんだかごちゃごちゃしてはっきりしない映画ですね。

この手の話に物語を追い過ぎているんじゃないですかね。そもそも謎なんて大したことじゃないんですから、もっとクレアを前面に出して、マーロウとクレアを軸
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アシスタント(2019年製作の映画)

3.0

3年前に公開していればまた違った印象だったかもしれません。2019年の映画ですし、アメリカの一般公開は2020年です。

単純な告発ものではなく、映画プロデューサーのアシスタントの目線で性加害と思われ
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⻘いカフタンの仕立て屋(2022年製作の映画)

3.0

マリヤム・トゥザニ監督の持ち味は少ない台詞と抑制された演出です。前作「モロッコ、彼女たちの朝(Adam)」に続いてこの長編2作めでもそれが発揮されています。

早い段階で同性愛がこの映画のテーマである
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逃げきれた夢(2023年製作の映画)

3.0

光石研さんを撮りたかったという映画のようですが、光石さんの台詞が最後まで本音とも口からでまかせともつかないニュアンスで、それがまた演出なのかどうかもわからず、結局、何をしたいのかよくわからない映画です>>続きを読む

水は海に向かって流れる(2023年製作の映画)

3.0

ていねい過ぎて長いことをのぞけば面白い映画です。

ただし、映画の本筋が恋愛ファンタジーだとすれば(わからない…)、そこではなく、2023年現在の日本の社会環境にあっては、こんな話、女性にしか書けない
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苦い涙(2022年製作の映画)

4.0

ファスビンダー監督「ペトラ・フォン・カントの苦い涙」のフランソワ・オゾン版リメイク。これまでシリアスものしか見てこなかったドゥニ・メノーシエさんがむちゃくちゃ弾けていて面白いです。

とにかく大仰な映
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渇水(2023年製作の映画)

3.0

ていねいにつくられてはいますが、何も残らず終わってしまいます。

日照り続きの渇きという給水停止執行とまったく関係のないことをその背景であるかのような設定にしているのが問題でしょうし、生田斗真さんも門
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ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022年製作の映画)

3.0

実話ベースと言われていますが、この映画の内容は実話をもとにした小説を原作としているということで、映画はフィクションです。

実話そのものはおぞましい事件ですが、映画はレイプ事件そのものを重要視していま
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怪物(2023年製作の映画)

3.0

羅生門的三幕構成という複合的なドラマ。つまり一連の出来事を3人の視点で描き、かつ、発端、展開、解決というオーソドックなドラマパターンを重ね合わせてつくられています。

内容は少年のセクシュアリティが学
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私、オルガ・ヘプナロヴァー(2016年製作の映画)

3.0

監督自身がこの映画は内容においても映画手法においても at the edge と語るように、かなり際どく、その手法も特徴的で情緒的なものを一切排除しています。

しかし、唯一、ラストシーンでオルガが感
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.0

プライベートビデオを映画にしてしまう才能ということでしょう。

30歳になったソフィが、およそ20年前の父親とのただ1回限りの休暇旅行をその時撮ったホームビデオで振り返りながら、その時30歳であった父
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波紋(2023年製作の映画)

2.0

荻上直子監督がイメチェンを図ったようです。

荻上監督の映画はおおよそ想像がつきますので、むしろ筒井真理子さんを見ようと行ったのですが、まったく荻上節ではなく、いい人が出て来ない映画でした。

ただ、
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独裁者たちのとき(2022年製作の映画)

3.0

映画というよりも実験的映像作品です。

その実験の試みは成功していますが、映画としては失敗でしょう。よみがえらせた4人の魔力では睡魔に勝てません。

アーカイブ映像からの人物を動かしても、その人物が話
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最後まで行く(2023年製作の映画)

2.0

出だしの岡田准一さんを見ていてコメディかと思いましたが、そうでもなく、片や、日陰の男を脱してエリート官僚を演じる綾野剛さんの昭和風の演技に苦笑が漏れ、何をどうとらえていいのかわからない中途半端な映画で>>続きを読む

EO イーオー(2022年製作の映画)

3.0

これは見ていても集中力が途切れます。

さして画も美しいわけでもなく、画の視点がバラバラです。EOが人間社会を見ている映画というわけでもありませんし、視点が散漫です。

イエジー・スコリモフスキ監督、
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フリークスアウト(2021年製作の映画)

3.0

前作が日本のアニメ「鋼鉄ジーク」(原作:永井豪)をモチーフにしたダークヒーローもの「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」だったガブリエーレ・マイネッティ監督の長編二作目です。

相変わらず突き抜け感はないので
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アルマゲドン・タイム ある日々の肖像(2022年製作の映画)

4.0

ジェームス・グレイ監督の自伝的映画なのに全編にただよう不安定感と後味の悪いエンディングがおもしろいです。

グレイ監督のインタビューを読みますと、本当か嘘かはわかりませんが、かなり実体験が盛り込まれて
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帰れない山(2022年製作の映画)

3.0

連名となっている監督、脚本のうちのひとりフェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン監督の「オーバー・ザ・ブルースカイ」「ビューティフル・ボーイ」を見てきた限りではドラマを描く監督のように思いますが、この映>>続きを読む

それでも私は生きていく(2022年製作の映画)

3.0

「それでも私は生きていく」などというタイトルがおよそ似合わない映画を撮るミア・ハンセン=ラヴ監督ですが、結局のところ、この映画ではレア・セドゥさんの持ち味が勝ってしまい、結果として邦題が的を得てしまっ>>続きを読む

レッド・ロケット(2021年製作の映画)

3.0

「タンジェリン」「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」のショーン・ベイカー監督、前二作と同様、アメリカの底辺層を描いています。

主演のサイモン・レックスさんの圧倒的な演技が見どころです。初めて見る俳
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セールス・ガールの考現学/セールス・ガール(2021年製作の映画)

3.0

考えてみれば真モンゴル映画を見たことがありません。思い出すのはモンゴルっぽい映画ばかりです。

そうした新鮮な感覚でしばらくはもちますが、あまり展開もなくややかったるい感じもうけます。

ただ、こうい
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マネーボーイズ(2021年製作の映画)

3.0

ミヒャエル・ハネケ監督に師事したというC.B. Yi監督の長編デビュー作。

感情表現を避けることが意図されているようですのでわかりにくい映画です。

フェイとシャオレイが愛し合っているかどうかもわか
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せかいのおきく(2023年製作の映画)

3.0

汚穢のインパクトでおきくをくっちゃっています(笑)。

着想は面白いのですが、いろいろ盛り込まれていることが断片的にしか描かれずなんとも中途半端です。

面白いのにもったいない映画です。

「せかいの
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小さき麦の花(2022年製作の映画)

3.0

前々作の「僕たちの家に帰ろう」は、10歳前後の兄弟二人が、放牧のために移動する両親のもとへ砂漠や草原を旅していく話で、その二人が実に自然体でとてもよかったのですが、この「小さき麦の花」は大人の話という>>続きを読む

午前4時にパリの夜は明ける(2022年製作の映画)

3.0

物事にあまり深く立ち入らない、前作の「アマンダと僕」でもそうでしたのでミカエル・アース監督の作風なんでしょう。

冒頭のミッテラン大統領誕生のお祭り騒ぎも単なる1981年の説明シーンですし、ラジオの深
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べネシアフレニア(2021年製作の映画)

3.0

これ、本当はもっと面白く出来たネタじゃないんじゃないですかね。

ホラーを前面に出していますが、双子のひとりとその妻のラストのメッセージなんて結構切ない感じでしたので、それを軸に双子の確執とか、観光立
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わたしの見ている世界が全て(2022年製作の映画)

4.0

台詞にしても画にしても、説明的なこと意識して避けているようです。それでも伝わってきますので、そうした見えないもの語られないものを撮るのがうまいです。

中盤の農業シーンで、まさかそっちへ行かないよね…
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郊外の鳥たち(2018年製作の映画)

3.0

「中国第8世代新たなる才能」と宣伝されていますが、新たなる才能か?未熟さか?と問われれば、未熟さとまでは言わないまでも、この乱雑さは気負いの現れだと思います。

ふたつの時間軸を交錯させて描くことは目
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サイド バイ サイド 隣にいる人(2023年製作の映画)

3.0

前半は未山(坂口健太郎)にこだわりすぎていますのややかったるいですが、後半になりますと詩織(市川実日子)が引っ張る場面が多くなりわかりやすくなります。

笑える、と言うよりもぷっと吹き出すところもあり
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