ausnichtsさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

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エゴイスト(2023年製作の映画)

3.0

高山真さんという方を知りませんでした。2020年に50歳で亡くなられています。その方の自伝的小説『エゴイスト』の映画化です。

浩輔を演じている鈴木亮平さんは多才で器用な俳優さんですのでゲイの役柄もう
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コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

5.0

映画は物語を語っていないのに見る者の心に物語が生まれるという、映画が最も力を持ちうる映画です。

ロキシー・ミュージックの「Love Is The Drug(恋はドラッグ)」とテーマ曲のように使われる
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あつい胸さわぎ(2023年製作の映画)

3.0

予告編の「私の胸はお母さんに食いちぎられる」の激しい言葉の印象から乳がんをめぐる母娘の愛憎ものかと思いましたら、そうではなく思春期の女の子が乳房に関するあれこれを介してちょっとだけ大人になっていくとい>>続きを読む

すべてうまくいきますように(2021年製作の映画)

3.0

この映画は、実は裏テーマである、父アンドレがゲイという性的指向を押さえて、おそらく無理やり結婚した過去の愛憎が重要な映画ではないかと思います。

確かに表のテーマは「積極的安楽死」だとは思いますが、そ
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スクロール(2023年製作の映画)

3.0

映画の内容は「死」を扱っている割にはさほど深くないのですが、結構見られます。

人の苦悩や死に深い突っ込みを入れているわけでもないのにそれらしく見せるところは、さすが映像作家を名乗る清水康彦監督のうま
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ピンク・クラウド(2021年製作の映画)

3.0

100分にするにはちょっと内容がなさすぎます。パニック映画にする気はなさそうで、ほぼ男女二人の日常が描かれているような映画です。

あの程度の喧嘩や諍いは監禁状態になくても起きますので、何を見せようと
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

3.0

「スリー・ビルボード」のマーティン・マクドナー監督の最新作、アカデミー賞の作品賞にもノミネートされていますし、ベネチア国際映画祭では脚本賞とコリン・ファレルが最優秀男優賞を受賞しています。

さほど面
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害虫(2002年製作の映画)

3.0

1年ほど前に「麻希のいる世界」を見て塩田明彦監督を知り、正月休みにDVDを見た映画です。

まずは、宮﨑あおいさんや蒼井優さんが若い! 20年前の映画ですから、当たり前です。

台詞ではほとんど説明し
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母の聖戦/市民(2021年製作の映画)

4.0

まず何をおいてもプロデューサーとしてジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ(ダルデンヌ兄弟)、ミシェル・フランコ、クリスティアン・ムンジウの名が並んでいることに驚きます。

ルーマニア系ベルギー人のテ
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ノースマン 導かれし復讐者(2022年製作の映画)

3.0

ロバート・エガース監督は、「ライトハウス」を見てまったく良さがわからない監督のひとりになっており、この映画が再チャレンジです(笑)。それに、この映画のベースが「ハムレット」の元ネタとされているアムレー>>続きを読む

アメリカから来た少女/アメリカン・ガール(2021年製作の映画)

3.0

ロアン・フォンイー監督の自伝的な映画とのことで2003年当時の台北を舞台した13歳の少女と母親の軋轢が軸の映画です。

13歳から見た世界はこんなにさらりとしているのかなあと驚きます。もちろん30代の
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世界は僕らに気づかない(2022年製作の映画)

4.0

フィリピンパブで働くレイナと高校生の息子純悟の物語ですが、レイナを演じているガウさんと純悟の堀家一希さんのパワーと間合いのよさに驚きます。

飯塚花笑監督は、「フタリノセカイ」を見ていますのでどういう
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そして僕は途方に暮れる(2022年製作の映画)

3.0

舞台劇の映画化は難しいですね。面白くなるのは会話劇くらいじゃないでしょうか。

この物語はオチで持っているようなところがありますのでさらに難しいです。裕一の逃げがワンパターンの繰り返しで飽きてきます。
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ファミリア(2023年製作の映画)

2.0

おそらくこの映画の発案のポイントは、海斗の「お前に家族を殺された気持ちがわかるか!」に誠治が返す「わかるさ!」でしょう。

そのシーンをつくるために、それぞれ深く考えなくてはいけない様々な問題を安易に
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とべない風船(2022年製作の映画)

3.0

真面目で丁寧な映画ではありますが、その反面、説明的で冗長ということです。

凛子(三浦透子)の迷いも、憲二(東出昌大)の悔恨も、最初からその先がどうなるかは想像がつきます。それをその通りに説明的に描い
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光を追いかけて(2021年製作の映画)

3.0

正月休みに、タイトルも目にした記憶がないなあと手に取り見た映画です。

青春ファンタジーのいい映画でした。中川翼くんと長澤樹さんがとてもいいです。

成田洋一監督はCMディレクターとして活躍されている
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柳川(2021年製作の映画)

3.0

「慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ」を印象深く記憶しているチャン・リュル監督の2021年の最新作です。

「慶州」もそうでしたが、基本やっていることは色恋の話ですが、周辺(この映画では中心も)にただよう
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離ればなれになっても(2020年製作の映画)

3.0

情感豊かな王道のイタリア映画の印象です。それを意図してつくられているのでしょう。

1982年16歳だった男3人1人の、その後の愛と裏切り、そして変わらぬ友情の40年が時代の変遷とともに描かれています
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ほの蒼き瞳(2022年製作の映画)

2.0

この映画は配信を倍速視聴でいいと思いますよ。

中身がありません。結末を知ればそれでいい映画です。

多分、原作はこうではないでしょう。じゃなければ出版もされていませんし、翻訳しようとは思わないでしょ
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の方へ、流れる(2021年製作の映画)

4.0

唐田えりかさんの映画的存在感の凄さと竹馬靖具監督の脚本のうまさと演出力につきますね。

「寝ても覚めても」でも唐田さんの映画だなあと思ったのですが、この映画ではさらに俳優力が増しています。

里美(唐
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フラッグ・デイ 父を想う日(2021年製作の映画)

3.0

ショーン・ペンさんは破滅的でエキセントリックな人物にシンパシーを感じているのかも知れませんね。

ショーン・ペンさんが「でたらめな男(父親)」をハマり過ぎなくらいに気持ちよく(?)演じています。ただ、
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クレッシェンド 音楽の架け橋(2019年製作の映画)

3.0

劇場公開時にはありがちな音楽感動ものだろうとパスしたのですが、DVDで見てみましたら、意外にも現実の難しさを無視していない好感の持てる映画でした。

ドロール・ザハヴィ監督はテルアビブで生まれ育ってい
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Never Goin' Back ネバー・ゴーイン・バック(2018年製作の映画)

3.0

映画の内容はお下劣ですが、映画の雰囲気はそうでもなく、あまり不快にも感じず下品でもありません。

多分、ふたりの女性の会話で進むバディっぽい作りだからだと思います。それに起きることが仲間内のことですし
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そばかす(2022年製作の映画)

3.0

俳優は皆うまいですし、間合いもいいですし、話の展開も小気味いいですし、内容も今どきの価値観が網羅されていますし、面白い映画ではありますが、なぜそんなに健全な世界を描こうとするのかと思います。

逃げて
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

3.0

もったいない映画ですね。岸井ゆきのさんにここまでさせるのであれば、準備期間3ヶ月ではなく1年とれる日本映画界になるよう努力してほしいものです。

3ヶ月はボクサーとしての役作りに費やされてしまっている
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ホワイト・ノイズ(2022年製作の映画)

3.0

おもしろいですね、これ。ノア・バームバック監督初の原作もので、ドン・デリーロさんというアメリカのポストモダン作家の1985年発行の『White Noise』という小説の映画化です。

アイロニカルな視
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夜、鳥たちが啼く(2022年製作の映画)

1.0

佐藤泰志さんはこの映画の慎一や裕子のような男女は書きません。

佐藤泰志さんの小説は書籍化されているものはすべて読んでいますが、この『夜、鳥たちが啼く』は記憶がよみがえりません。ではあるのですが、それ
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MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)

3.0

アレックス・ガーランド監督は「消化しやすい映画に興味はない」と言っているようですが、割とわかりやすい映画です。

ホラー、スリラー、怪奇、悪夢、クリーチャーといったつくりにはなっていますが、映画の軸と
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森の中のレストラン(2022年製作の映画)

3.0

脚本にクレジットされている幸田照吉さんの情報がネットに全くありません。どういう人なんでしょう?

泉原監督にとっては長編デビュー作なのに脚本に名前も入っていないのが気になります。

なぜそこにこだわる
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ファイブ・デビルズ(2021年製作の映画)

3.0

このテーマなら、子どもの母親愛と母親の同性愛を対立などさせなくて、自分は愛されていないのではないかと苦しむ子どもと自分の過去の選択が間違っていたのではないかと苦しむ母親を描くことで現実に起きうる同性愛>>続きを読む

あのこと(2021年製作の映画)

4.0

すごい映画です。1963年、人工妊娠中絶が違法とされていたフランス、思わぬ妊娠をしてしまったアンヌが妊娠に気づく4週目あたりから闇の中絶業者で処置をする12週目まで、アンヌひとりを追い続けます。

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ゆめのまにまに(2022年製作の映画)

3.0

現実にある浅草六区通りの東京蛍堂をそのまま映画のロケーションとして使っています。もうそれだけで映画的です。そこに極めてシンプルな物語が重ね合わされている映画です。

張元香織監督のセンスの良さが感じら
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ノベンバー(2017年製作の映画)

3.0

これはある程度事前情報を入れて見ないとダメな映画ですね。

19世紀のエストニアの寒村の出来事が非現実的に描かれています。後半になりますと村の男女の悲恋物語が前面にでてきますのでややホッとしますが、特
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シスター 夏のわかれ道(2021年製作の映画)

3.0

一人っ子政策がもともとの男性優位社会をより強固にしている中国の話です。

主な男性の登場人物であるアン・ランの恋人の男性医師には自立心がありませんし、アン・ランの叔父はぐうたらで遊び人ですし、男性には
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ザ・メニュー(2022年製作の映画)

2.0

設定が大層な割にはブラックさが単純なブラック・コメディです。客のメンバーがしょぼすぎます。

それにシェフの詰めが甘すぎて、客たちが何を咎められているのか、何に復讐されているのかよくわかりません。死に
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ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)

3.0

不思議なタイトルとチラシの画像でホラーかと思って見ましたら全然違って、サバイバル×恋愛×リーガルドラマでした。

背景となっている湿地帯がとても美しく、そうした新鮮さもあって結構見られます。個々のドラ
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