atsukiさんの映画レビュー・感想・評価

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映画(704)
ドラマ(2)

MOOSIC PRODUCTS!/nico(2012年製作の映画)

4.5

今泉力哉監督のモチーフ全部盛りという感じ。恋愛観は『パンとバスと2度目のハツコイ』へ。生死観は『退屈な日々にさようならを』へ。もちろんムーラボだから『tarpaulin』『早春の発熱』に繋がるような音>>続きを読む

囚われの美女(1983年製作の映画)

5.0

ルネ・マグリットの絵が動いたと思ったら、その画の中で更にエドゥアール・マネの絵が動き出すという楽しさ。パラフィクション的に登場人物が参加しているのも羨ましい。表面はあらゆる深さをかわす。或いは底なしの>>続きを読む

快楽の漸進的横滑り(1974年製作の映画)

3.5

「横滑り/glissement」はバタイユ、或いはロザリンド・E・クラウスからだと思うんだけど、まさに漸進的な快楽によって物語が横滑りしてる。刑事の「やれやれ。また最初からかよ」みたいな台詞が全てを物>>続きを読む

ハード・コア(2018年製作の映画)

4.0

‪「自信がないからハードボイルドで誤魔化してるだけだろ」という言葉に痺れる。結局のところ、テロリストだってそういうことでしょ?右近も曲がったことが大嫌い。渋谷ハロウィンで盛り上がったパリピに鉄拳制裁を>>続きを読む

田舎司祭の日記(1950年製作の映画)

4.0

司祭の「試練の厳しさに理性や平常心を失いがちだが、信仰心は残っていると感じる」という言葉を聞くと、結局のところ、宗教は恩寵のようなものを受けることが目的じゃなくて、受けられると信じる過程のことを言うの>>続きを読む

白夜(1971年製作の映画)

5.0

お互いの素性を語り合う男女。ジャックはテープレコーダーに妄想を吹き込み、マルトは手紙に想いを書き込む。ジジェクの言葉を借りれば、男は自分の幻想の枠組みにぴったり合う女を、女は男の幻想の枠組みにぴったり>>続きを読む

アモーレ(1948年製作の映画)

4.0

コクトーの戯曲に基づく”人間の声”。愛人と別れの電話。ひたすら喋り、泣き喚く。いやはやロッセリーニとアンナ・マニャーニという公私に於けるパートナー。彼女自身も不倫をしていたが、ネオリアリズモに衝撃を受>>続きを読む

ドイツ零年(1948年製作の映画)

4.5

どうしてエドムンドは『Ombra mai fù』を聴いて、目を閉じたのか。「もろもろの観念と人間生活の根底にある道徳観と信仰が崩れ去ったとき、イデオロギーの偏向は犯罪と狂気を創り出す。それは子供の純粋>>続きを読む

何食わぬ顔(2003年製作の映画)

4.5

私はあなたではないから何食わぬ顔で話し始める。あなたは私ではないから何食わぬ顔で聞き流せない。そうして私とあなたはすれ違う。なぜ話してしまったのか。なぜ聞けなかったのか。しかし、どちらも大したことでは>>続きを読む

フェイシズ(1968年製作の映画)

4.5

「顔も見たくない」と言えるのは、顔を見ていたから。見たことない顔を見たくないとは思わない。見たくない顔を見ないために、見たい顔や見たことない顔を見ようとする。それは逆説的に、なぜ見たくない顔なのかを知>>続きを読む

戦火のかなた(1946年製作の映画)

3.0

戦火が隔てたもの。イタリアのかなたがオムニバス形式で繋がっていくが、パイサを呼ぶ声は聞こえそうもない。ただ日本公開の際に、検査によって5分の1もカットされながら「すさまじいの一語につきる」と評価された>>続きを読む

無防備都市(1945年製作の映画)

4.5

イングリッド・バーグマンを狂乱させ、不倫に走らせたという事件がネオリアリズモの衝撃を物語ってると思う。フェリーニの脚本も良くて、「死ぬのは難しくない。生きるのが難しい」というようなシリアスさがありなが>>続きを読む

天国はまだ遠い(2015年製作の映画)

5.0

ミシェル・レリスが「演じられた演劇」に対する「生きられた演劇」という概念について、エチオピア人の”ザール”という憑依儀礼を挙げているんだけど、その現象は誰かの立ち会いのもとでしか起こらないらしい。だか>>続きを読む

記憶の香り(2006年製作の映画)

2.0

カサヴェテスの『ハズバンズ』が濱口竜介監督の支柱にはあるらしいから、『PASSION』の猫とか、『不気味なものの肌に触れる』の彼女とか、『親密さ』では戦争、『ハッピーアワー』では失踪、『寝ても覚めても>>続きを読む

遊撃(2006年製作の映画)

3.0

愛の遊撃。つまり、海での告白は「攻撃すべき敵を前もって定めず、機に臨んで適宜に攻撃すること」なんだろうけど、それ以前に、ハワード・ホークスの『脱出』のようなタバコに火を付けるという行為が、私とあなたの>>続きを読む

ハッピーアワー(2015年製作の映画)

4.5

私は本当になりたかった私なのか。なぜあなたは私といるのか。あなただって本当になりたかったあなたがいるはず。だから私もあなたといる理由が分からない。それでも私とあなたは一緒にいた。何が私にあなたを、あな>>続きを読む

親密さ(2012年製作の映画)

5.0

どうして私はあなたではないのか。あなたが私ではないから?では、なぜ私は私で、あなたはあなたなのか。私には私の、あなたにはあなたの、体があるから?腕を上げて、右上を見る。膝を曲げて、左下を見る。この身体>>続きを読む

永遠に君を愛す(2009年製作の映画)

4.0

私にとってのあなたというのには、他人よりも好意がある。しかし、その好意、または好きって何だろう。どれくらいの好きなんだろう。誠一さん?誠一?誠ちゃん?分からない。好意があったって喧嘩はする。そんな日に>>続きを読む

不気味なものの肌に触れる(2013年製作の映画)

4.0

私が水で、あなたは魚。もしくは私が魚で、あなたは水。魚にとっての水、もしくは水にとっての魚は不気味なものでしかない。しかし、触れ合ってしまえば、魚は水で泳げることに気付き、むしろ水がなければ、魚は生き>>続きを読む

THE DEPTHS(2010年製作の映画)

3.5

新郎新婦の別離から始まって、題材が理由でもあるけど、数十分もすれば映画から女性が消える。だから血縁よりも”深い”恩義に重点が置かれるのか。石田法嗣を中心とした眼差し。被写体とカメラ。映画はもちろん、写>>続きを読む

PASSION(2008年製作の映画)

5.0

みんな「私」だけど、わたしの私とあなたの私は何が違うのか。私にはアタマとココロとカラダがあって、わたしとあなたではそれぞれ違う。もしも、ひとつでも共有できれば、わたしとあなたは同じになれるかもしれない>>続きを読む

アメリカの影(1959年製作の映画)

4.0

カサヴェテスの処女作だけど、ベンが影に飲まれて、夜に消えてく姿を見ていると、物語構成的にカサヴェテスっぽくないのかなと思った。つまり、回帰じゃなくて、逃避してる。女を引っ掛け続けることなく、恋人をつく>>続きを読む

やくたたず(2010年製作の映画)

4.0

多種多様な形の通過儀礼がある中で、”アルバイト”という普遍的すぎる題材でそれを魅せ切ったのは良かった。誰だって役に立ちたいけど、立ち方が分からなくて、結局やくたたず。車を追って、奪われ、探して、地に足>>続きを読む

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

4.0

ブライアン・シンガーのクオリティが効いてる。丁度いい気怠さ。時系列転換による事実改竄の件さえも、らしさに感じてしまう。だからアーロン・ソーキンなんかに任せたら気持ち良すぎると思う。そこがライヴエイドの>>続きを読む

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)

5.0

あの日、起きたことをどう説明すればいいのか分からないし、そんな必要なんてないのかもしれない。ただ唯一言えるのは、映画館に入ると明かりが消えたということ。なぜか知らないけど、すごくマジカルだった。幕が上>>続きを読む

ヴェノム(2018年製作の映画)

3.5

ちゃんとルーベン・フライシャーの映画。つまり、ダークヒーローものじゃなくて、しっかりブロマンス的なバディものになってる。だからコメディなんだけど、悪っぽさも残したいのか、どっちつかずな感じ。それならも>>続きを読む

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

4.0

史実であるのは承知の上、痛風ババアの介護ラブコメディとでも言おうか。政治的駆け引きの中で、三角関係が縺れて、地位争いのワンスアゲイン。老いぼれには一生懸命のクンニを。青二才には適当な手コキを。糞まみれ>>続きを読む

リトアニアへの旅の追憶(1972年製作の映画)

4.0

リトアニア人は2人集まると歌うと言ってみんな輪になるんだけど、ママとネコは離れたところで日向ぼっこしてる。可愛い。そうじゃなくて、母親の仕事は終わらないからだし、恐らくそんな元気も気力もないように見え>>続きを読む

ウォールデン(1969年製作の映画)

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日記映画のどこが面白いのかと言われたら、答えるのが難しいんだけど、ジョナス・メカスの宣言とリュミエール兄弟に捧げられていることを踏まえると、物語よりイメージが優位に立っていることかな。つまり、映画は列>>続きを読む

第三世代(1979年製作の映画)

5.0

男子トイレに落書きされた文句、会話、名言、詩をファスビンダーが掬い上げる。開放的でありながらも、排他的な「個室」からの叫び。しかし、そんな感性表現ではその程度でしかないだろう。それは、まさに第三世代と>>続きを読む

13回の新月のある年に(1978年製作の映画)

4.0

人生は素晴らしい。ただ居場所がない。求めるものも、求められるものも、全てを失ってしまったら、なす術もなく破滅してしまうのだろう。アルミン・マイアーの自殺がどれほどの要因を齎したのかは分からないけど、フ>>続きを読む

search/サーチ(2018年製作の映画)

4.0

インターネットは端的に言えば、言いたいことを言える場所だと思う。でもリアルでは言ったほうが良い事と言わないほうが良い事があったりして、だからこそ言いたいことを言い過ぎて炎上するということがある。そこに>>続きを読む

バッド・ジーニアス 危険な天才たち(2017年製作の映画)

4.0

小生『エリーゼのために』は弾けた。円周率も30桁まで覚えてた。あとはカンニングをすれば、ビジネスになったのか。そうじゃない。タイ風味のフィンチャーとソダーバーグ炒めみたいな感じ。異常な頭の良さとか、過>>続きを読む

グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

5.0

シュテファン・ツヴァイクの悲嘆をウェス・アンダーソンがいわゆる「オシャレ」に包み込んでくれた。グスタヴとゼロのグランド・ブダペスト・ホテル、その本の著者、それを愛読する少女、そして鑑賞する我々。つまり>>続きを読む

テルマ(2017年製作の映画)

1.0

ハリウッドリメイクされるくらいには良く出来てると思うし、あと20〜30分くらい短ければ好きかもしれない。ただ、あのテルマの能力で青春を語って欲しくないね。抑圧的な家族や宗教的な問題があるにせよ、それは>>続きを読む

赤い影(1973年製作の映画)

4.0

目で見たり、触れて感じたりすることのできない未知への恐怖。しかし、それよりもオカルトなのは夫婦。だってある男女が法律や愛、または凹に凸を挿れるというセックスによって、繋がりを持とうなんておかしいよ。あ>>続きを読む

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