Ayakashdさんの映画レビュー・感想・評価

Ayakashd

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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

3.5

不機嫌なジェフリー・ライト最高。

いつも俯き加減でブツクサ言う気難し屋の作家役がめちゃくちゃハマってた。

人種ステレオタイプへのアイロニーが、このジェフリー・ライトのポップな気難し屋ぶりによって、
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過去のない男(2002年製作の映画)

3.8

カウリスマキは見れば見るほど好きになる監督だな。今作もまた味わい深い。淡々とした演技の中にとぼけた味わいがあり、あくまで悲惨な事態に見舞われる敗者シリーズの主人公たちだが、厭世的というよりは、ある角度>>続きを読む

街のあかり(2006年製作の映画)

3.5

改めて画が素晴らしい監督なんだなと。どのカットも練られた構図で美しく機能的でそして寂しい。すべての角度が意識的に設置され、物語のもう一つの登場人物として多くを語るんだなと感じた。

敗者三部作だけあっ
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SKIN 短編(2018年製作の映画)

3.3

皮肉で冷酷な結末。

でもわたしは、気味が良いと思ってしまった。因果応報。この短編が伝えたいことはそんなことではないだろうけど。訳もなく人を傷つけた人間が報いを受ける世界にいた方が安心できる。

最後
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秋刀魚の味(1962年製作の映画)

3.3

平山の寂しさが沁みてくるラストが良かった。

戦後の時代の移り変わりを、微妙に、絶妙に捉えて、ドラマの背景にさりげなく配置する感じ。バーで軍隊のマーチを繰り返し流す様子、おそらく従軍しなかった若い世代
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ナイアド ~その決意は海を越える~(2023年製作の映画)

3.5

60歳でこのチャレンジ。ナイアド本人の伝説もそうだし、アネットベニング、ジョディフォスターの熱演も、間違いなく勇気になる作品。これだけ長い間続いた二人の遠慮ない友情が眩しかったな。仲良しおばさん二人っ>>続きを読む

ペイン・ハスラーズ(2023年製作の映画)

3.2

オピオイド危機についてのコンテンツがここ最近結構増えてて面白い。製薬業界、闇深いこわい。。。そしてIPOのクレイジーネス。。エンタメに昇華させ戯画化しながらも、警鐘を鳴らす意味では良い作品では。面白か>>続きを読む

ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.6

フィンチャーらしい神経症的な暗殺者映画。ちょっとソダーバーグみもあったけど、正確で、退屈で、静かで、滑らかで、工業的。ストーリー的には何らサプライズのない展開ではあったけど相変わらずの映像の美しさにフ>>続きを読む

マーベルズ(2023年製作の映画)

3.0

ふむー、楽しかったは楽しかったのだが映画として面白いのか最早わからん…笑。

キャロルダンヴァーズのキュートな一面を見られるのも楽しかったし、入れ替わりアクションも見応えはあったし、100分程度にまと
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MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(2022年製作の映画)

3.0

軽く見るのにちょうど良い。マキタスポーツのおじさんぶりがよかった。あと、ほとんどタイムループみたいにくそ働かされるあの感じをコンテンツにしたアイディアは好きかな。それにしても、わたしとしては一昔前の働>>続きを読む

エリザベート 1878(2022年製作の映画)

3.3

ソフィア・コッポラ マリーアントワネットの熟年期版とでも言おうか…熟年期つったって40歳っていまじゃ全然若いけどねぇ…

王宮ものの雰囲気映画であり、メランコリックであり、全体的にくすみがかった仄暗い
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福田村事件(2023年製作の映画)

3.5

何より怖いのはこういう映画が作りにくい環境である、ということ。真正面から取り上げる勇気と実現までこぎつけた胆力に本当に敬意を示したいです。

劇映画初監督、ということもあり、一定は説明的であったり、メ
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イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)

3.5

相変わらず静かで渋い、必殺仕事人ぶり…

今作はマッコールに対して敵が雑魚すぎた(前作は同レベルに訓練された特殊部隊と嵐の中で戦闘)けど、静かで少し寂れたイタリアの港町の悲哀がマッコールの背景にぴった
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レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ(1989年製作の映画)

3.3

カウリスマキ一挙アマプラ公開祭り。

オフビートでシュール、そして何気に音楽が良い。カウリスマキのこういう淡々としたコメディタッチ、興味深いな。何かのメタファーとかそういう難しいことをあまり考えず、シ
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ネズミ捕りの男(2023年製作の映画)

3.8

こちらもまたプチホラーというか、なんというか、不気味な短編を、入れ子構造で語り切る。少ないセットで見せ切るあたりも、演劇風のメタな演出が効いていて楽しい。

新聞記者が語り部かと思いきや、クライマック
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白鳥(2023年製作の映画)

3.7

ほとんどの場面が高い藁の山の間の通路で語り切られてしまう凄さ…基本はルパート・フレンドの回想語りになっていながら、語り部と、いじめっ子二人の一人三役が目まぐるしくも楽しく、加えて、少年時代を演じる役者>>続きを読む

ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語(2023年製作の映画)

4.0

どんどん入れ子構造の階層が深くなって、語り部がマトリョーシカ状になっていくのが楽しい。そして、ウェスのいつもの箱庭感に加え、アステロイドシティよりさらに、劇場セット感のある演出。地続きの場面でも語り部>>続きを読む

リトル・マーメイド(2023年製作の映画)

3.0

期待値低めで見た分、やっぱりアランメンケンの音楽は素晴らしい!不滅!!という気持ちになれてよかった。

個人的には90年代のディズニー映画を通してPart of your worldが一番好きな曲で、
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ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

3.7

いやーさすがイルミネイション。子供の頃に誰もが一度は遊んだことのあるゲームのエッセンスを、とてもクリエイティブに遊び心たっぷりに散りばめて、あー、これはマリオだ!完全にマリオの映画だ!!と思わせてくれ>>続きを読む

浮き雲(1996年製作の映画)

3.3

最後に空を見上げた先に浮き雲があったのだろうなぁー、と思わせる素敵なラストシーン。

淡々と抑制された演出の中に、意識して埋め込まれたユーモア。劇伴も他作品に比べれば目立って劇的で、それが笑いを誘う。
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バービー(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

いやーまじ最高だった!!!期待以上だった!!2度観たい!!もっと日本でヒットしてほしい!!プロデューサーとしてのマーゴットロビーには絶大な信頼しかない。まじで賢くてパワフルでシャレが面白くて、本当に最>>続きを読む

よみがえるブルース/トゥー・レイト・ブルース(1961年製作の映画)

3.4

ストレンジャーのカサヴェテス特集にて。

監督2作目でパラマウントと撮った作品。本当はインディペンデントで撮りきったものから見た方がいいのだろうけど、初カサヴェテス。

当時の感覚で見ないと、または当
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プーと大人になった僕(2018年製作の映画)

3.7

30%コスト削減しろと言われて残業し、疲れ果てた夜に癒されようと思って本作を再生したら、大人になったクリストファー・ロビンも30%コスト削減しろと言われてて笑った…

それにしても泣けたな。大人は無駄
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ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ(2021年製作の映画)

3.2

ヴェノムの悪ガキぶりが可愛い。結局エンドクレジットのクロスオーバーって、あの回収に繋がって終わったでいいんだよね。

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.5

どんどんメタ化するウェス・アンダーソン。

ジオラマ世界はそのままに、テレビで特集される劇作家が描いた劇、という作中劇中作中劇という構造、かつ劇作家という自己言及的な題材。

アステロイドシティ劇中に
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真夜中の虹(1988年製作の映画)

3.5

労働者三部作の中で一番展開が大きく、クライムムービーとして成立している作品だなーと思った。

ひたすらしんどい局面が続くのに、主人公は顔色を変えずに淡々と生きていく。ただ生きる、ただ生きていく、lif
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パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)

3.3

機械的で非人間的な労働、従事する労働者も表情と表現に乏しい。だからこそ、労働者たちの選択、刹那の衝動、今日よりは少しでもマシな明日を希求するその日暮らしの希望に、人間臭さが際立つ。

カウリスマキの意
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マッチ工場の少女(1990年製作の映画)

3.3

Amazonプライムのカウリスマキ一挙公開で。

労働からも家族からも男からも搾取されるイリナが、静かにマッチに火を灯し、尊厳を奪い返そうとする。

時代背景含めて徹頭徹尾暗い話なのだけど、ドラマ性を
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ドント・ウォーリー・ダーリン(2022年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

古き良き家父長制社会を、現代に絶望した弱者男性が、デジタル箱庭で再現。稼ぎ手の妻の人生を奪って箱庭に縛りつけにする話。

男たちの思い描く「古き良き時代」なんて箱庭でしか存在できないファンタジーだ、と
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To Leslie トゥ・レスリー(2022年製作の映画)

3.6

わたしにとってシングルマザーの物語は多くの場合共感してしまうものだが、今作はレスリーがあまりにも惨めで、あまりにもどん底で、それがあまりに真に迫っていたからこそ、湧き上がった心情は、共感、ではなかった>>続きを読む

アシスタント(2019年製作の映画)

4.0

こんな描き方があるとは。

起きている問題の地下深くに眠る構造を、理路整然と淡々と、静かに並べていくような描きかた。

画が綺麗で、暗くて無機質で、ずっと取り付く島がない、よりどころのなさが漂っていて
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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

3.7

ペギーカーターとマンティス!!そしてデル!!なんというクロスオーバー(違う

いやーデル(オザークでデル役を務めたEsai Morales)の起用嬉しかったーー!トムクルーズと完全にタイマン張ってたし
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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

3.7

いやーもう目がチッカチカですよ。すごいよね。あれだけの要素ぶち込んでるのに成立してるって。どんだけのアニメーターが描いてるんだろう。世界トップクラスのありとあらゆるアニメーション、ありとあらゆるバリエ>>続きを読む

キル・ビル Vol.1(2003年製作の映画)

3.4

抱腹絶倒。
タランティーノが好きなもの全部乗せですね。すごくいいと思います。
アニメーションかっこよかった。

キルビルだけ配信にないから長らく見られてなかったけどようやく。爆笑した。

高橋一生と北
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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

3.8

いやーもう泣いちゃったよー何回も泣いちゃったよロケットーーー!!!メカ大好き親父声(といってもブラッドリークーパー)のロケットに、こんなに感情移入してしまうとは、初期には誰が予想できただろう。

昔あ
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怪物(2023年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

うーん、やっぱり是枝さんはオリジナル脚本でやってる時の方が好きだな。

クイア賞というのもあり、ほぼほぼ予見できた内容だった。そして、(大豆田とわこでも感じた通り)坂元裕二の「世相目配せ感」がすごく浮
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