ひつじさんの映画レビュー・感想・評価

ひつじ

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異人たち(2023年製作の映画)

4.5

映画化を知った時からとても楽しみにしており、原作を読んで待っていたが、期待を裏切らない良作だった。性的マイノリティであることの苦悩を織り交ぜ、より一層切なく、温かい作品に仕上がっている。

孤独に苛ま
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

選ばなかった道、現実としての結婚、何者にもなれなかった私…。年齢だけは立派な大人になってしまった自分にびしばし刺さる。
個人的には主人公2人よりアーサーに肩入れしてしまった。宇宙のように寛大な彼の葛藤
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対峙(2021年製作の映画)

4.5

「赦し」は人間にとって最も崇高な行為のひとつ。とはいえ憎しみを乗り越え、赦すことなんて本当にできるのだろうか…。

そんな問いに答えを示してくれる作品。4人の対峙を見守るのはエネルギーが必要だ。でも観
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.0

即興性の強いジャズ×一度きりの青春。
そんな2つが合わさった儚く眩い作品。

配信で観たあと、ちょうどリバイバル上映があったので映画館で観ることができた(ミッドランドスクエアシネマさん、ありがとうござ
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.2

映像美や重低音のすごさは言わずもがな、ハリウッド若手俳優の共演が豪華!

Part 1ではちょっとなよなよしてたポールはすっかり勇敢な戦士、そして強かな為政者の顔に。
力でねじ伏せるだけじゃない、クー
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バーニング 劇場版(2018年製作の映画)

3.3

村上春樹原作ということで鑑賞。
村上春樹の無機質な世界とはまったく異なり、良くも悪くも人間臭さやしがらみを大いに感じる。まったく別の作品と思ったほうが楽しめそう。
「井戸」「メタファー」といった村上作
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ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

3.8

「パターソン」や「Perfect days」のような、起承転結の少ない淡々としたドラマ。この手の作品は大好きです。
2つの作品と違うのは主人公の女性がちょっと不機嫌なこと。日常に起こる厄介事や、焦り嫉
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Saltburn(2023年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

大大大好きなバリー・コーガン!

加虐心を煽る根暗男からサイコパスな殺人鬼への180度転換、それを下支えする確かな演技力。愛憎が入り混じった、切なげで深い瞳。彼の魅力をこれでもかと堪能できます。役柄と
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.4

単なる法廷ミステリーではないということを前情報として入れていたので、ギャップを感じず入り込むことができた。ポスターや予告はちょっとミスリードだと思う(興行的には有効なのかもしれませんが)
カタルシスが
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ネクスト・ゴール・ウィンズ(2023年製作の映画)

3.7

「ジョジョ・ラビット」が大好きだったタイカ・ワイティティ監督。彼らしいコミカルさとテンポのよさを楽しんだ。

米領サモアの弱小サッカーチームが舞台。ただ、ゴリゴリのスポーツ物を期待すると少し肩すかしを
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TAR/ター(2022年製作の映画)

4.3

映画館で観なかったことをこれほど後悔した作品はない。真綿で首を絞められるようにじわじわと追い詰められていくサイコスリラー、そして突然放り出されるようなラストシーン。極上の映画体験になっただろう。トッド>>続きを読む

ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣(2016年製作の映画)

3.5

不健全でなければ芸術家でない、というわけではないけれど、魂を切り刻むからこそ生みだせる感動もある。

ウクライナ侵攻が起こり、奇しくも芸術家と人間性は切り離して考えるべきかということについて考えさせら
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雨の日は会えない、晴れた日は君を想う(2015年製作の映画)

3.9

妻を失った男性の、破壊と再生の物語。

タイトルから静謐で切ない展開を予想していたけれど、意外と激しかった。原題のDemolition に寄せた邦題がよかったのでは…(とはいえこの邦題に惹かれて鑑賞し
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カラーパープル(2023年製作の映画)

3.3

スピルバーグ版を観た後に鑑賞。
ミュージカルなのでどうしても歌に時間を割かれるが、うまく再構成して過不足なくストーリーを伝えていたと思う。歌に託すことでセリーの心情の変化もわかりやすくなっている。
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カラーパープル(1985年製作の映画)

3.7

新作鑑賞前に。

セリーのあまりに過酷な環境に冒頭から眩暈がしそうになったが、意外とユーモラスな場面もあり救われた。
尊厳を失わない、暴力に頼らない。相変わらず差別や争いが止まない現代にまっすぐに届く
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Firebird ファイアバード(2021年製作の映画)

3.8

実話に基づいた素朴な作品。金字塔「ブロークバック・マウンテン」のようなパワーはないものの、こんな素朴で地に足のついた作品こそ世の中を変える力を秘めてるのかもしれない。事実祖国エストニアでは大ヒットを記>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

4.0

公開当時はスルーしていたけれど、好評を聞き再上映で鑑賞。

ポップなストーリーの中に鋭くも温かいメッセージをはらむ、そのバランス感覚がすばらしい。ガーウィグ監督は女性性をニュートラルに描ける稀有な監督
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コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

3.7

両親から愛情を注がれず、息をひそめるようにして生きる少女コット。彼女をひと夏のあいだ預かることになった親戚夫婦は、それぞれの方法で温かく寄り添う。

「沈黙は悪いことじゃない」というメッセージに救いを
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.0

ランティモス監督新作ということでかなり期待していたけれど、それを裏切らなかった。テーマが明確で、カタルシスもあり、監督作品としてはとっつきやすいほうなのではないかと思う(それでも十分癖は強いけれど…)>>続きを読む

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

3.6

ヨルゴス・ランティモス監督の新作を前に。

18世紀のイングランド宮廷を舞台にした、女性たちの覇権争い。ランティモス監督らしい居心地の悪さ(褒めてます)、人間の暗部をえぐり出す観察眼。

視線ひとつで
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グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

3.3

ウェス・アンダーソン監督作品を初鑑賞。

可愛くて残酷で、おとなのお伽話みたいだった。
若き日のシアーシャ・ローナンやルーカス・ヘッジズが初々しい。

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.6

2024年1本目。

公衆トイレの清掃員として淡々と過ごすなかで、些細なことを面白がって生きる主人公平山。その姿は「パターソン」のバス運転手と重なる。
ただ家族状況や年齢から、平山には孤独感や死の気配
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ウォンカとチョコレート工場のはじまり(2023年製作の映画)

4.1

待望のティモシー・シャラメ新作!

全編通じて明るく、自然とにこにこしてしまう。ポール・キング監督らしい夢の世界が広がる。社会的な問いかけという意味ではパディントンのほうが上かなと思うけれど、とにかく
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インスペクション ここで生きる(2022年製作の映画)

3.5

同性愛者であることを理由に母親に捨てられた青年が海兵隊に入隊する。監督の実体験を基にした物語だ。

なんてひどい母親、と思う。でも端々に監督から母親への愛情を感じる。監督の本名はエレガンス。彼が生まれ
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テノール! 人生はハーモニー(2022年製作の映画)

3.2

クセのないサクセスストーリーと音楽の力で、間違いかくハッピーな気持ちになれる。もう少し人物を掘り下げてほしい気もするが、オペラ座でのロケというだけで見応えあり。美しい映像と音楽をぜひ映画館で。

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.6

日焼け後のヒリヒリどころか、内臓をえぐられるような痛みを感じ、直視できないほどだった。父親といまひとつ心を通わせられない娘、娘を愛しつつも自分が立っていることで精一杯な父親、どちらも我が事のように感じ>>続きを読む

AIR/エア(2023年製作の映画)

3.5

おじさんだらけのお仕事ムービー。でも非常にテンポがよく、爽快感と熱い気持ちが残る。
マット・デイモンのセールスピッチは必見。「スティルウォーター」のときもそうだったけど、お腹の出たおじさんなのにグッと
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THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

3.8

原作を読んだことがなくスルーしてたけど、友人にお勧めされ鑑賞。
結果、観てよかった!出会えてよかった!
原作を読んでなくても大丈夫(わたしは鑑賞後に読みました)。スポーツが好きな人、青春時代のヒリヒリ
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

3.8

登場人物がみんな少しずつずるくて、矛盾してて、だからこそ胸に迫るものがある。「親も子供も不完全な存在である」というテーマは、エブエブやザ・サンと共通してるように思う。

正直登場人物の言動には理解しき
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アンダー・ザ・シルバーレイク(2018年製作の映画)

3.3

大好きなアンドリューガーフィールドの出演作を全部観ようということで。

悪夢みたいな世界にぼんやりと浸っていたくなる、ハリウッドで夢破れた男の物語。当時、元恋人エマストーンの躍進に比べると…という感じ
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The Son/息子(2022年製作の映画)

4.3

「親子関係」「精神疾患」が2大テーマだと思うが、わたしには後者が響いた。家族に精神疾患を患っている者がいる身として、とても身につまされる。
精神疾患は愛では治せない、むしろ深すぎる愛が妨げになることさ
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.3

あらすじを読んでかなりぶっ飛んだ作品かと思っていたら、意外と地に足のついた家族愛の物語だった。舞台装置はかなり独創的でよくこんなこと考えつくなあと感心する一方、扱うテーマは古典的。
わたしは古典的な舞
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