KSatさんの映画レビュー・感想・評価 - 47ページ目

トム・アット・ザ・ファーム(2013年製作の映画)

4.0

今のところ、ドラン作品で一番評価できるかな。

尻切れトンボで物足りない、中途半端な感じはあるが、終始ジメジメした田舎の怖さを都会者の視点で抽象的に映し出した何か、として観れば、面白い。サイコサスペン
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英国王のスピーチ(2010年製作の映画)

4.0

英国王室を扱いながら、描かれるのはプライベートな話であり、あまり大きな出来事も起きないが、シンプルな爽快感のうちに幕を閉じる良作。

コリン・ファースも素晴らしいが、やはりジェフリー・ラッシュは魅力的
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恐怖と欲望(1953年製作の映画)

3.4

キューブリックは最も強く影響を受けた監督として、エイゼンシュテインの名を挙げているが、この処女長編を観るとそれは明らかだ。後の作品からは考えられないカッティングの嵐は、間違いなくモンタージュで勝負に挑>>続きを読む

まぼろし(2001年製作の映画)

4.2

オゾン映画の海はなぜああも怖いのか。
ランプリングはやっぱり綺麗だね。

スイミング・プール(2003年製作の映画)

3.7

一番オゾンらしい映画だが、この映画より後は良くも悪くも娯楽志向な映画ばかりになったよね。

結局、女にとっての若さへの渇望、みたいなのは一貫してるけど。

ふたりの5つの分かれ路(2004年製作の映画)

3.0

シンプルなのか、変わってるのかわからない映画を撮るのがオゾンだが、これはそれがあまりいい風に作用していない。

一周回って普通の映画。

トゥモロー・ワールド(2006年製作の映画)

4.2

再見。

前に観た時は単なる暗いSF映画という印象だったが、今やこの映画で描かれてることが現実になってるからなあ。それでいて娯楽映画としても巧いから感心してしまう。

長回しで魅せるっていう点では、キ
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マレーナ(2000年製作の映画)

3.8

「ニュー・シネマ・パラダイス」程ではないが、テーマ曲の美しさ、安産型モニカ・ベルッチの「理想像」感、後を引く余韻は、トルナトーレらしい。話自体はかなり単純だが、結構酷な噺。

いつまでも少年時代の恋を
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ザ・マスター(2012年製作の映画)

3.6

PTAも行き着くところまで行き着いてしまった。

ミハイ・マライメア・Jrによる画はロバート・エルスウィット以上に芸術的で力強く、凄まじい。
ホアキン・フェニックスも、フィリップ・シーモア=ホフマンも
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ブギーナイツ(1997年製作の映画)

3.8

PTAの出世作として知られる本作。

後にスターとなるウォールバーグを始め、レイノルズ、ムーア、H・メイシー、グレアム、C・ライリー、シーモア=ホフマン、チードル、ガスマン、ベイカー=ホール、さらには
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悲情城市(1989年製作の映画)

4.3

NHKドキュメントみたいなサントラと共に描かれる、ホウ・シャオシェンの大作。

日本統治が終わった後の混乱した台湾が描かれているが、多くの台湾人は「まだ日本統治時代の方がマシだった」と語るらしい。詳し
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ホウ・シャオシェンの レッド・バルーン(2007年製作の映画)

4.0

ホウ・シャオシェンはフランスでもホウ・シャオシェン。だが、それが良い。

宙に浮く赤い風船同様、漂うような空気感、時間。

金髪のジュリエット・ビノシュは、ファニーフェイスが強調されて素敵だった。

地獄でなぜ悪い(2013年製作の映画)

3.2

園子温初かも知れない、純粋な娯楽映画。ヤクザが映画を撮る、という、ありそうでなかったその発想だけで暴走した結果である。

全く飾ることなく自然な映画愛に満ちた前半は素晴らしい。映画ファン歓喜、を狙い過
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愛のむきだし(2008年製作の映画)

4.0

長過ぎるし、終わり方は納得いかないが、圧倒的なパワーは評価するほかない。

満島ひかり、西島くん、安藤サクラの発するモノも、とんでもない。

確かに過激だ。宗教やAV、性倒錯などがモチーフだ。

だが
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恋の罪(2011年製作の映画)

3.6

いやあ、毒の塊みたいな映画だね。ファッション、セット、台詞、表情、全てが気持ち悪く、汚く、泥臭い。

人は、一歩間違っただけで、とんでもない世界に堕ちていく。デヴィッド・リンチのような怖さを孕んだ、恐
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メメント(2000年製作の映画)

4.2

ノーランの出世作だけど、実はこれが最高傑作だと思う。プロットと設定の勝利の一例。

Now…where was I ?

プレステージ(2006年製作の映画)

2.7

マジシャン同士の華麗にして命懸けな対決。ノーランとしては珍しい、時代物。

ロンドンの下町の雰囲気は嫌いじゃないが、ニコラ・テスラの絡め方には無理がある。

Doodlebug(1997年製作の映画)

3.3

ノーランがデビュー前に撮った、シュルレアリスティックな短編。

デヴィッド・リンチっぽい雰囲気でありながら、内容は割と平凡。
だが、最近の大衆受けイメージからは程遠く、作家性があって面白い。

ホーリー・マウンテン(1973年製作の映画)

4.5

前作「エル・トポ」でなんやかんや一儲けしたホドロフスキーが放った、超大作キチガイ映画。

メキシコの侵略の歴史、キリストの生涯を匂わせて始まった物語に、突然、錬金術が絡み、ユダヤ教や仏教も入ってきて暴
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エル・トポ(1970年製作の映画)

4.5

宗教的にカオスな世界観でありながら、人間の本質を鋭く描いた、「カルト映画」の代名詞!

形式上は西部劇だか、ちょっと観たまえ。厚化粧したオバサンや不具者、死にゆくウサギ、SMやレズなど、とにかく延々繰
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レック2(2009年製作の映画)

2.8

カトリックとかに無縁な日本人が観るとついていけなくなる展開。
前作同様、相変わらずPOVは面白いが…もうええわ。

レック(2007年製作の映画)

3.5

普通に面白い。確かにノリはスペインだな。

インソムニア(2002年製作の映画)

2.1

ロビン・ウィリアムズのキモさだけで半分成ってるようなノーラン映画。面白くはない。

バベル(2006年製作の映画)

1.9

無理しかない。イニャリトゥが有名になったきっかけではあるが、明らかにダメ。

ただし、ラストカットは美しい。

海街diary(2015年製作の映画)

2.1

すずが通う中学校は母校だし、出てくる店や通りはすぐ近所だし、ロケ地がだいたい近場すぎて笑った。

プロットはダラダラしてる割に何も起きずつまらない、細部の情景や表現が凄く多い割にリアリティが全くなくて
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ネイビーシールズ(2012年製作の映画)

2.9

わざわざ映画館まで観に行ったなあ~

確かに本物の隊員・本物の武器を使ったのは凄いが、内容は単なるFPSと変わらん。映画としては微妙。

非情の罠(1955年製作の映画)

3.0

素晴らしいカット割と明暗はあるが、いかにもな自主制である。
後に、「2001年~」を撮る人物によるものとは思えない。

が、つまらないと言われれば嘘になる。

現金に体を張れ(1956年製作の映画)

4.0

キューブリックらしくはないが、フィルムノワールとしては一級品ではないか?

アメリカの競馬場の喧騒が、圧倒的な力で映し出されます。

ロリータ(1962年製作の映画)

4.3

確かに、キューブリックの映画として観ても、「元祖ロリコン映画」を期待して観ても拍子抜けするのは間違いない。

しかし、全体に漂う異様な空気、ウィットに富んだコメディでありながらシリアスな殺人譚でもある
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バリー・リンドン(1975年製作の映画)

4.6

キューブリック映画の中でもあまり人気のない印象の本作は、いわば英国的な皮肉噺である。

そのほとんどが、リアルで豪華な美術・衣装、絵画的でありながら過剰でない究極の映像美、この二点だけで成り立っている
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シャイニング(1980年製作の映画)

4.1

最も理屈抜きに楽しめるキューブリック映画。実に美しいホラー映画である。
何せ舞台は、豪奢で何もかもの設備が整い、食料や日用品などに関しても不足のないホテルである。にも関わらず、一体どうやって恐ろしい目
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フルメタル・ジャケット(1987年製作の映画)

3.8

キューブリックの映画にしてはさして目新しさはないが、前半のブートキャンプにおけるリー・アーメイによる罵詈雑言は圧巻。もはや、「現代美術の最高傑作」である。

ベトナム戦争を市街戦だけで描くのは無理があ
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2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)

5.0

こればかりは筆舌し難い。

キューブリックの最高傑作、だけでなく、映画史における最高傑作。SFなんてジャンルすらも超越した存在。

小4の時に観て以来、映画とは何か、人生とは何かを心の底から考えさせら
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アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

シンプルな画、シンプルな美術、シンプルなプロット。
しかし、間違いなく名作だ。

結局、彼女はたまたま同性を好きになっただけでしかない。
ひとつの愛が終わる時、彼女は成長した。そしてこれからも何人かの
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リミッツ・オブ・コントロール(2009年製作の映画)

3.7

ちょっとやりすぎかな感は否めないが、ジャームッシュを観て癒されるとはこの映画を観ること。

おそらくは失われゆくアナログなモノに対する愛を描いたのではないか、と思った。フラメンコを観て微笑むバンコレは
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