日下勉さんの映画レビュー・感想・評価

日下勉

日下勉

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生れてはみたけれど(1932年製作の映画)

4.5

子どもたちの世界のヒエラルキーから大人たちの社会を批評する精神。これをあくまでもコミカルに描く小津の小市民映画の傑作。
なにより子供たちが生き生きと活写されているのが素晴らしい。

昭和7年だけあって
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よみがえる声(2025年製作の映画)

5.0

朝鮮半島を植民地として、日本と日本人がいかに朝鮮人に対して苦難や苦痛を差別によって与えてきたか。
在日朝鮮人二世の監督の朴壽南(パク・スナム)さんが朝鮮人の恨(ハン)の歴史と声を映像として残してきたフ
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瀧の白糸(1933年製作の映画)

3.5

如何にも大時代な悲恋ものだなぁ、という感じ。
好いた男の出世を願い学費を工面した白糸姉さんがその工面の為に不運に陥っていく悲劇。
ま、当然今の感覚ではいろいろ腹落ちしない展開ではあるけど、これも様式美
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火の華(2024年製作の映画)

3.0

スーダンのPKOで自衛隊員が少年兵と撃ち合いPTSDになって、という設定には面白そうではあったのだけど、後半やたらに国家という大きな主語が顔を出してから鼻白んでしまった。
まぁ、いきなり海外で、しかも
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ブルーボーイ事件(2025年製作の映画)

4.7

1965年、性転換手術をした医師が優勢保護法違反で逮捕された「ブルーボーイ事件」というのがあったなど知らなかった。そして当然の事ながらLGBTへの偏見や差別が色濃く、当事者が自らの幸福を求めることすら>>続きを読む

プロセキューター(2024年製作の映画)

4.5

ドニー・イェンは強くてカッコいい!!

以上終わり。

そんな感じのとてもとても楽しい時間でした。 

青春を返せ(1963年製作の映画)

3.8

えん罪の強盗殺人容疑で捕まり死刑判決の出た兄(長門裕之)を助けるため奔走する妹(芦川いずみ)のお話。
えん罪死刑囚の兄弟を助けるなんて、袴田事件みたいだし、実際袴田事件はこの映画の3年後のこと。
冒頭
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東京の合唱(コーラス)(1931年製作の映画)

4.0

なかなか哀感のある小市民的コメディ。チャップリンみたい。
社長に逆らってクビになった岡田時彦とその家族。
恩師の食堂で働き最後は栃木で英語教師になる結末なんだけど、大恐慌の影響後の世相がわかって興味深
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みかへりの塔(1941年製作の映画)

3.5

昭和16年公開、キネマ旬報ベストテン3位、しかも清水宏では珍しい二時間近い力作。舞台は不良少年や少女を収容教育をする学院なかなか面白そうで、実際に出てくる少年や少女たちか生き生きと描かれていて良かった>>続きを読む

君と別れて(1933年製作の映画)

4.0

水久保澄子がほんと可愛い。
そして昭和8年の蒲田あたりの光景が存分にみれるのも嬉しい。
驚くのはカメラによる感情表現で、急にぐいっとドリーインしていくところ、ホン・サンスかと思った。
恋心を抱く不良青
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風の中の子供(1937年製作の映画)

4.5

ストーリー自体は大したものではないけど、いや子供が本当に生き生きしている。
川をたらいで流されたり、木登りしたり、曲馬団に潜り込もうとしたりいろいろ忙しい。
オープニングとラストの走るシーンに上手さを
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花形選手(1937年製作の映画)

4.0

軍事教練のため郊外をひたすら行軍する大学生たち。
途中分宿する集落での角付け女とのちょっとしたエピソードもありつつのミニマルなロードムービー。
途中での突撃演習シーンのダイナミックな横移動の撮影シーン
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大学の若旦那(1933年製作の映画)

4.0

昭和8年の大学ラグビーを舞台にしたスポーツ&コメディ&落語の人情ものっぽい風味もある作品。
主演は元慶応でラグビー日本代表の藤原貢。
レビュー通いなどで身を持ち崩したけど選手として復帰させるために「友
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旅と日々(2025年製作の映画)

3.0

つげ義春と三宅唱の組み合わせがどんな風になるのか、ととても期待していただけに、この消化不良感にはとても残念。
人生とは旅のようなもので、その孤独感やどことない不安感と一抹の期待感はわかるんだけど、ほん
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親愛なる同志たちへ(2020年製作の映画)

4.2

1962年にフルシチョフのソヴィエト政権下で起きたノヴォチェルカッスクの労働者ストライキ時に起きた虐殺事件。
そこで娘の行方がわからなくなった母親が探し回るというものだけど、母親は市当局側、つまりソヴ
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簪(かんざし)(1941年製作の映画)

4.5

山中の温泉旅館で長期滞在している傷痍軍人の青年(笠智衆)と学者風の先生(斉藤達雄)新婚の気弱な若旦那(日守新一)碁の好きな老人(河原侃二)と孫二人。
そこに日蓮宗の講で訪れ簪を落とした恵美(田中絹代)
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有りがたうさん(1936年製作の映画)

5.0

清水宏の傑作と聞いていたので観たんだけど、いやこれはすげーわ。

こんな90年も前の映画に、しかも天城街道の乗合バスの話に、なんでこんなに心を動かされるのか。

昭和11年の昭和恐慌の傷が癒えてない地
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原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち(2022年製作の映画)

4.3

昨日「陽なたのファーマーズ」を劇場鑑賞したときに、販売されていた小原監督の前作のDVDが販売されていたので購入。

なるほど、これが「陽なたのファーマーズ」に繋がるのかと至極納得。
やはり原発事故とい
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陽なたのファーマーズ フクシマと希望(2025年製作の映画)

4.5

福島の地でこのドキュメンタリーを観れたということ。これについてフォーラム福島に感謝したい。
そして上映後に福島大学の林准教授と長谷川盛岡大学学長のお話まで伺えよりこのドキュメンタリーの伝えたいことが理
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ワン・セカンド 永遠の24フレーム(2020年製作の映画)

4.0

文化大革命時の中国の田舎町の雰囲気や、村を上げて映画の上映に努力する人たち、ゴビ砂漠の美しい風景などカットがいちいち見事。
フィルムに一秒だけ映された娘を見ようと労働改造所を脱走した男と、幼い弟と生き
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小原庄助さん(1949年製作の映画)

4.0

「小原庄助さん」と村のみんなから呼ばれている左平太(大河内伝次郎)はひとに頼まれると嫌とは言えず寄付やらで実は家は火の車、そんなことを少年野球やら婦人会のミシンやら村長選挙などの他愛もないエピソードを>>続きを読む

爆弾(2025年製作の映画)

2.0

皆さん佐藤二朗さんの演技を誉めてらっしゃいますが、今作での彼の過剰な演技には胸焼けしてしまい、全く物語が入ってきませんでした。

そもそも動機ってなんだったんだろ?

あと登場人物が理屈捏ねすぎ。

ドイツ零年(1948年製作の映画)

3.4

アマプラにロッセリーニが来てたんで鑑賞。
うーむ、この救いのなさは悪くは無いし、ナチズムがどんな傷を残したのかわかる。そしてやはりナチだった先生はやはりキモいし、何より戦禍のあとの生々しい街の風景を見
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ミーツ・ザ・ワールド(2025年製作の映画)

2.5

どうにもこの世界観には入り込めなかった。
そもそも肉を擬人化したなんとやらが、一ミリも面白そうに思えず、わたしにとってはノイズにしか感じなかったところが致命的。

クリープハイプの主題歌は良かったんだ
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女中ッ子(1955年製作の映画)

4.5

秋田から上京して押しかけ女中みたいになった初(左幸子)とその家の問題児、勝男くんとの交流を描いた作品。
前半の初の女中として奥様のちょっとしたイビリにも負けないキビキビとした働きぶりが、いつの間にか勝
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愚か者の身分(2025年製作の映画)

4.5

闇バイトで日々を暮らしながら、半グレのリーダーの資金をタタイてという、なかなかのヘビーなピカレスクロマンあふれる力作。 
主要人物三人の視点が上手く織りなされる構成も見事でした。
はっきり言ってすごい
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ヒポクラテスの盲点(2025年製作の映画)

3.5

ちょっと気になっていたので鑑賞。 
コロナワクチンによる後遺症や摂取ごかの死亡例があるということで、いわゆる反ワクを主張し政治的なイシューとしている人たち。彼らのどこか非理性的な言動は共感しないのだが
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彼らはフェリーに間に合った(1948年製作の映画)

4.0

時間に間に合うようフェリーに乗る為に、ただひたすらにバイクを駆る。
ただそれだけの短編なんだけど、シンプルで面白い。
そして最後のシュールなオチ。

交通安全啓蒙のためのフィルムだが、良いねぇ。

非常戒厳前夜(2025年製作の映画)

3.3

尹錫悦へ対抗する独立系メディアニュース打破。
その始まりが尹錫悦さんが検事時代の不正から、大統領になりその強権ぶりを強めていく。そして非常戒厳発令からの失脚と10年以上の経緯があったことは驚いたが、肝
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揺さぶられる正義(2025年製作の映画)

4.5

これほど大量に冤罪が生まれているとは知らなかった。
揺さぶられっ子症候群として子どもを虐待し死に至らしめたとして逮捕され起訴された親たち。
しかし裁判では次々と無罪の判決が出ている。当然児童虐待はあっ
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狂い咲きサンダーロード オリジナルネガ・リマスター版(1980年製作の映画)

4.0

久しく劇場で観たいと思っていた作品。
なんだか無茶苦茶なんだけど、パワーでねじ伏せてくるような熱さが凄い。
ストーリーや演技など荒削りで歪さを感じさせるが、それがまた良かった。

見はらし世代(2025年製作の映画)

3.0

団塚監督はショートムービーを以前二本観て、ちょっと不思議な感覚の面白いものを撮る人だと思い、この初長編を鑑賞。

う~む、映像やカットはとてもユニークで良かったのだけど、物語がどうにも腹落ちしない。ち
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ホウセンカ(2025年製作の映画)

3.3

冒頭の花火のシーンはすごく美しく、話も情愛を感じさせて良かったのだけど、どこか薄味感は否めず。
あと絵柄は個人的にあまり好みではなかった。

秒速5センチメートル(2025年製作の映画)

3.0

元のアニメは観てるんだけど、それが実写となり、さてどうだろう、なんか評判も良さそうだと期待して鑑賞。
 
実写でも現在アニメのリリックなところや美しさは十分に堪能出来たが、やはりアニメ特有のどこか非現
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ハウス・オブ・ダイナマイト(2025年製作の映画)

4.0

突然アメリカに向けて大陸弾道弾が発射され着弾するまでの19分間を危機管理に携わるさまざまな人たち、軍や国防省ホワイトハウスが右往左往していくというシミュレーションものの群像劇。
正直どこまでがリアルな
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愛はステロイド(2024年製作の映画)

4.0

やはりラストのイカれた展開に口あんぐり、そして大爆笑!
フェミニズムやらクィアやらいろいろメッセージはあるのかも知れないが、加速する物語のスピード感、オフビート感にすごい楽しめました。