もとまちさんの映画レビュー・感想・評価

もとまち

もとまち

EM/エンバーミング(1999年製作の映画)

3.3

撮りたいカットはあるけど語りたいストーリーが無さそう。そういう意味ではやはり自主映画的なゆとりの無さが常にあって、ちょっとばかし親近感を覚えたりもする。棒立ちの松重豊に委ねられたバイオレンスへの欲動。>>続きを読む

コンクリート・ジャングル(1960年製作の映画)

3.6

スタンリー・ベイカーのノッペリ顔が不安に染まりまくる。粋がっちゃうけど内心ビビってるのがバレバレで可笑しい。ノワールってかロージー製の心理劇? 原盤より三十分くらいカットされてるせいなのかは知らんが、>>続きを読む

少林寺三十六房(1977年製作の映画)

3.9

特訓特訓特訓!!! 人より早く起きて、人より沢山努力する奴が強くなるんじゃ!!! という話。多種多様なトンデモ修行を次々に突破していく爽快感。破茶滅茶なようで、どの修行にもちゃんとそれっぽい理屈付けが>>続きを読む

愛の地獄(1994年製作の映画)

3.5

軽い。メンヘラ男のパラノイアをシニカルギャグとして扱ってる。どこまでも不謹慎なシャブロル。でも人間の「負」の性質を見つめる視線はやっぱし鋭い。カット尻がやけに短くて、物凄いスピードで時間が跳んでくから>>続きを読む

新・殺しのテクニック/次はお前だ!(1970年製作の映画)

3.6

ありきたりなB級ミステリーの本編と、ヴィットリオ・ストラーロのリッチな撮影が、明らかに釣り合ってなくておもろい。柔らかな照明デザイン、グラデーションの付け方がいちいちエロすぎる。光源の配置が完璧。あの>>続きを読む

憐 Ren(2008年製作の映画)

3.8

不可解な空気感の中で、グラグラ揺れ続ける彼彼女らの日常。ずっと裏で不協和音が鳴り響いてる。自転車を漕いでるそのすぐそばでは事故った車が横倒しになり、繰り返されるバスケットボールは首吊り自殺によって終わ>>続きを読む

単純な話(1993年製作の映画)

3.5

90年代のブルー、即物的な暴力とセックス。顔炙ったり首刎ねたり色々過激なことをやってるけど、後の『青空』や『迷い猫』における金属バット撲殺の冷淡な描きっぷりと比べたらいまいち精彩に欠ける。サトウトシキ>>続きを読む

沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇(1995年製作の映画)

4.0

おもしろーーーーい。前のめりなテンポ感が心地よい。凄惨なラストに向かってポンポンポンと一直線にカットが積み重なっていく。役者の動作もカメラのスピードも全部速い。ボネールはめっちゃキビキビ歩くし、ユペー>>続きを読む

リバース・エッジ(1986年製作の映画)

3.8

俺の大大大好きな『少女暴行事件 赤い靴』を反転させたようなストーリーで、かなり面白い。不良キアヌとクソガキ二人組とデニス・ホッパーwith殺人犯がウロウロしてる深夜2時。最高かよ。直情的な台詞回しを>>続きを読む

刑事マディガン(1967年製作の映画)

3.6

下っ端中年刑事最期の三日間。おっさん同士の汗臭い人間臭い会話劇の隙間にドライな死が差し込まれる。どんな人生を抱えてたって撃たれたらそこでおしまい。そのシビアな諦観にグッとくる。フォンダとウィドマークの>>続きを読む

スペースバンパイア(1985年製作の映画)

3.5

円谷特撮meets『28日後...』みたいな終盤のゾンビパニックがクソアツい。引っ切り無しに爆発するロンドン市内、燃え上がる車に倒壊する建造物、おびただしい数のエキストラたち。炎の海と化した市街地上空>>続きを読む

ARMITAGE THE III POLY-MATRIX(1996年製作の映画)

3.8

OVA版見た。全4話でそつなく纏まってる90年代サイバーパンク・アニメ。A KITEとかluv waveとか他にも色々あるけど、当時矢継ぎ早に製作されていたこの手の作品の中ではかなり出来が良い方だと思>>続きを読む

誘拐の掟(2014年製作の映画)

3.9

べらぼうにハードボイルドでおもしろかた! 年に十本はこういう映画を作るべき。

第三世代(1979年製作の映画)

3.5

形式だけがあって中身はない。言葉があってもその本質は顧みられない。本TVビデオレコード便所の落書き。刺激的かつ無意味な記号の乱立。それらを軽々消費し、目的と手段がすり替えられた暴力に戯れる若者たち。ゴ>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.7

重厚なドラマを気取ってはいるが、中身はお得意のハッタリマインド全開。三時間ずっと大作映画予告編のノリ。定期的な爆音サブリミナル、不必要なほど細かいカッティング、深刻そうな顔面ドアップの連発。演出だけが>>続きを読む

鵞鳥湖の夜(2019年製作の映画)

3.6

退廃、ネオン、ノワール。石井隆や香港ニューウェーヴあたりの映画を自国への風刺と絡めて現代アップデートしたような。荒削りな作風は『薄氷の殺人』から変わらず。ヘンテコな飛躍とか動物園のくだりとか、編集でけ>>続きを読む

肉体の悪魔(1986年製作の映画)

3.8

いつ何を仕出かすか分からないマルーシュカ・デートメルスの活気に満ちたイカれっぷりを堪能。 寝てる男のチンポに向かってハサミをチョキチョキ。エロ目当ての観客を震え上がらせるような阿部定的スリル。隙あらば>>続きを読む

Love Massacre(英題)(1981年製作の映画)

4.1

ケンカした次の瞬間にはリストカット、血ドバからの爆音タイトルクレジット。マジでヤバすぎる。史上最高に好きなオープニングかもしんない。ちょくちょく挟まれるグラフィカルな構図がカッコよく、象徴的な赤と青の>>続きを読む

呪われた者たち(1963年製作の映画)

3.7

キザなおっさんとチンピラバイカーたちの争いを描いた不良映画のはずが、突如としてダークな終末SFへと180度急転回する暴力的な語り口に惹かれる。軍の極秘施設に幽閉された体温を持たない9人の子供たち。不気>>続きを読む

ミラノカリブロ9(1972年製作の映画)

3.4

バーバラ・ブーシェ目当て。死に際にせめてものグーパンをお見舞いするラストが良い。

フルチトークス(2021年製作の映画)

3.9

しゃべくりフルチ。めちゃくちゃエネルギッシュ。あまりにもイキイキと語るもんだから途中まで車椅子に座ってることすら気づかなかった。フルチといえば気難しそうなイメージばかりが先行してるけど、実際は知性とユ>>続きを読む

ライド・ロンサム(1959年製作の映画)

3.5

首吊りツリーこわい。画面奥からボンヤリ迫ってくる敵こわい。すべてが個人の復讐に集約されていく構成、女性が西部劇に参戦する形はレオーネとかに受け継がれてる感じ?

スポンティニアス・コンバッション/人体自然発火(1989年製作の映画)

3.7

ブラッド・ドゥーリフの体温が上昇していくのと同時に映画自体のテンションもどんどん高まっていく。ありとあらゆる人間を燃やし尽くし、自身の肉体が限界を超えた瞬間に原発メルトダウン! 過剰な爆炎とトチ狂った>>続きを読む

天使の復讐(1981年製作の映画)

4.0

男全員45口径でブチ殺し映画。劇場で見られて大満足。本作のフェミニズム的文脈については一考の余地があると思うけれど、フェラーラの視点は男にも女にも常にクールで乾いてる。怒りの矛先が強盗やレイプ魔のみに>>続きを読む

The Lady in Red Kills Seven Times(英題)(1972年製作の映画)

4.0

けたたましい笑い声を上げて、真っ赤なマントを身に纏った殺人鬼が廊下の向こうから突っ走ってくる! サイコー! マジで好きなものしか画面に写ってない。ゴシックムード全開なドイツの古城と、対をなすようにモダ>>続きを読む

午後の網目(1943年製作の映画)

4.2

夢すぎる。今ここが限りなく曖昧。進んでるのか退いてるのか上がってるのか下がってるのかすらまるで分からない。無限に引き伸ばされた時間と、鉛のように重い肉体の感覚。出口が見えなくて息が詰まる。

血ぬられた墓標(1960年製作の映画)

3.7

釘打ち鉄仮面の仰々しいフォルム、意思があるかの如く蠢く夜の霧、駆け抜ける馬車の幻惑的なスローモーション、バーバラ・スティールのエロス。お上品に纏めるだけでなくきちんと強烈なゴアもあって、見世物精神を忘>>続きを読む

プロフェッショナル(1981年製作の映画)

3.5

ベルモンドのゆるいアクション映画。カーチェイスはガチ。Chi mai乱用しまくり。

彼女はひとり(2018年製作の映画)

3.4

思ってたより浅いしクサいしでそこまでノれず。福永朱梨の芝居はとても良い。

the Memory Lane(2022年製作の映画)

2.5

動画編集の上手い友達が作ったホームムービー感。まあみんな楽しそうだしいいんじゃないですか。Butterいい曲。

きえてたまるか(2019年製作の映画)

3.8

どこにでもあるような、ないような。誰も知らない青い日々の記憶。そのひと欠片。何でもないようで、ふとした所にある美しい瞬間がいっぱい詰まってて、本当に胸が締め付けられた。こういう話弱いんだって。曲が全部>>続きを読む

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