もとまちさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

二・二六事件 脱出(1962年製作の映画)

4.0

めっちゃ面白い! 二・二六事件の映画化といえば『動乱』や『226』など、青年将校側にシンパシーを抱かせるような作品が多い印象だが、本作は被害者側の視点を中心としたエンタメ性重視のスリリングな脱出劇であ>>続きを読む

新幹線大爆破(1975年製作の映画)

3.8

爆破描写のガチっぷり(特に序盤のSL!)と、宇津井健の重厚な演技が素晴らしい。高倉健は犯人役でもいつもの健さんでしかないが、千葉真一はアクションほとんど無いのにギットギトの顔力でがんばってた。「はいは>>続きを読む

ドラゴン・タトゥーの女(2011年製作の映画)

4.0

再見。やっぱり編集が巧い。上下巻900ページ超えの長大な原作を、スピーディーな語り口でテキパキ捌いていく。テンポが良いので2時間半がわりとあっという間。暴力描写もフィンチャー作品の中ではずば抜けてエッ>>続きを読む

ヘザース ベロニカの熱い日(1989年製作の映画)

3.9

能天気なジャケ写からは想像もつかないような暗黒青春クライムコメディ。ラブコメかと思ったら反社会系サイコ・スリラーでした。閉塞的な学校空間をブチ壊したい、ムカつく教師やクラスメイトをブチ殺したい...と>>続きを読む

春婦傳/春婦伝(1965年製作の映画)

3.8

マジメな脚本に清順の破天荒な演出はあんまし噛み合わねぇなと思いつつ、愛の赴くがまま爆弾飛び交う戦場を駆け抜ける野川由美子の横スクロールには流石に心掴まれた。あの狂気じみた疾走、画面を震わす激情を味わう>>続きを読む

ビューティフル・ニュー・ベイエリア・プロジェクト(2013年製作の映画)

3.3

黒沢清がふざけ倒してる時ってマジで楽しそうだから好き。大して意味もクソもなく、ただただアクションやりてぇ〜っていう欲望を盛大にぶち撒けてた。撮影と編集にいまいちキレが無いけど、三田真央の動きは美しい。

ももいろそらを(2012年製作の映画)

3.6

背伸びして、世界を俯瞰してるつもりの拗らせ女子高生・いづみが、回り回ってそのイタさを突きつけられ、ほんの少し成長する話。なんかずっと不機嫌だし、謎にべらんめえ口調だし、演技の拙さも相まって最初は不自然>>続きを読む

音響生命体ノイズマン(1997年製作の映画)

3.9

かっけぇ! 森本晃司×湯浅政明、天才アニメーター二人の狂気のようなイマジネーションが15分の中で大炸裂。お話はワケワカメだけど、ノリとセンスで突っ切ろうとしてる感じが大変よろしい。アホみたいなスピード>>続きを読む

カクレンボ(2005年製作の映画)

3.3

ビジュアルや音楽は良いんだけど演出とストーリーが陳腐なのであまり印象に残らない。

ハント(2022年製作の映画)

3.9

昨今バイオレンス描写のマイルド化/アクション化が進みつつあった韓国映画界だが、ここに来て久々に見応えある韓流ノワールを見たなぁという感じ。暴力に次ぐ暴力の連鎖、策略と憎しみの応酬、その果てには哀しみし>>続きを読む

セリ・ノワール(1979年製作の映画)

4.0

情緒不安定なカス男が破滅へと一直線。理性と衝動がごちゃ混ぜになった行き当たりばったりの犯罪劇。パトリック・ドヴェールの狂人スレスレだけど狂人にはなり切れない人間臭さが切ない。自意識が強すぎるから、見向>>続きを読む

闇に浮かぶ白い肌(1972年製作の映画)

3.4

古典的なゴシックホラー調の奇譚と『下女』や『召使』をチープにしたような乗っ取り系サスペンスが拮抗! デタラメを極めた脚本が笑える。 キャラクターがみんなアホっぽいのでイマイチ乗れなかったが、セックス >>続きを読む

狼獣(けだもの)たちの熱い日(1983年製作の映画)

3.5

老いた強盗犯のリー・マーヴィンが変人一家の住み着く農場に逃げ込んた結果、ひたすら奇行を見せつけられ、「なんやコイツら...」って困惑する映画。70年代バイオレンスアクションのパロディコントなのか? ツ>>続きを読む

巨人と玩具(1958年製作の映画)

4.1

高度経済成長期狂騒曲。生産!消費!生産!消費!と狂気のようなスピードを追い求める資本主義社会の中で、プチプチと押し潰されていく個人の意志。動き出したら誰も止められない。会社の歯車になって、血反吐を吐い>>続きを読む

闇動画24(2020年製作の映画)

3.6

『パチンコ店』
拾い上げたパチンコ玉を床に落とす→タイトル・インがキメキメ過ぎて良い。パチンコ屋の二階、事務所ってこんな感じなんだーって普通に興味深かったし、がらんとした空間の物寂しさ、ベランダから見
>>続きを読む

スパイの妻(2020年製作の映画)

3.5

黒沢映画の記号的表現が好きなんでそういう意味では楽しめたけど、内容的には結構どうでも良かった。そもそも男と女を描くのが巧い人じゃないので、蒼井優と高橋一生のメロドラマは情念が薄く、人形劇のようなぎこち>>続きを読む

くちづけ(1957年製作の映画)

3.8

増村流のボーイ・ミーツ・ガールはカラッとしたドライな味わい。湿っぽい抒情が無く、男と女の能動的なアクションによって物語は小気味良く進行する。出会いから口づけまでたったの二日間。純愛の起承転結が70分間>>続きを読む

黒の試走車(テストカー)(1962年製作の映画)

3.9

どこまでゲスになれるか、会社に魂を売り渡した産業スパイたちの仁義なき諜報戦。ライバル社を蹴落とすためなら恐喝・詐欺・暴行も厭わない。車を売るためなら何でもする、という空虚極まりない情熱。高度経済成長期>>続きを読む

盲獣(1969年製作の映画)

4.1

めくるめく変態曼荼羅。マザコン彫刻師×肝っ玉母さん×拐われた美人モデルのねじ曲がった心理サスペンス。近親相姦的な母と息子の関係、息子を「男」にすることで主導権を握ろうとするモデル。男と女の象徴的な関係>>続きを読む

さよなら、ジョージ・アダムスキー(2007年製作の映画)

3.3

オフビートなノリで行くのかなーと思ったらゾッとするようなカットが挟まれたりして、流石『ほん呪』と『闇動画』を支えた監督だけのことはある。不意のホラー演出が冴えまくり。お母さんは呆気なく死体になるし、ボ>>続きを読む

記憶の扉(1994年製作の映画)

4.0

ドパルデュー対ポランスキー、鬼気迫る演技合戦。嵐の夜、警察署の一室を舞台にゴリゴリの密室劇が繰り広げられる。鳴り響く銃声と走り出す男、顔の潰された死体、胡散臭い署長の態度、雨漏りばかりの奇妙な警察署。>>続きを読む

闇動画19(2018年製作の映画)

3.0

『特殊な仕事』
間取りのキモさとかワンカット開腹手術とかは流石なんだけどゾンビオチは無いわーってなった。

『霊能力者』
節々に顔を覗かせる違和感がそのまま伏線となり、急転直下の恐ろしい結末が突きつけ
>>続きを読む

御用牙 かみそり半蔵地獄責め(1973年製作の映画)

4.2

一作目がハマらなくて放置してたけど、なんだ二作目死ぬほど面白いじゃねえか! 監督が三隅から増村に交代し、アヴァンギャルドな演出は鳴りを潜めたが、そのぶん軽快なストーリーテリングとキレッキレのアクション>>続きを読む

山の焚火(1985年製作の映画)

3.7

山はこわい。目には見えない巨大な意思が渦巻いているようで。

闇動画21(2018年製作の映画)

2.7

『自殺を止める』
迷惑系YouTuberのこれ見よがしなヘイトチャージタイムが長い。主演のカップル二人は観客に「はよ死ね」と思わせたくなる演技を見事に心得てたと思う。自殺防止ダンスやら自殺者への絡み方
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清作の妻(1965年製作の映画)

4.2

とんでもなく良かったけど体調悪い時に見る映画じゃないね! 個の狂気と全の狂気の凄まじい衝突。戦争という理不尽、エグすぎる村八分...狂いきった世界には狂いきった愛をぶつけるしかない! 若尾文子の全身か>>続きを読む

妖刀・斬首剣(1985年製作の映画)

4.3

すげえ!!! 80年代香港映画界が産み落した驚異の武侠アクション。変幻自在のワイヤーワークとクレイジーな編集が、ハッタリかましまくりのハチャメチャな剣戟を次々と繰り出す。人が、籠が、軽々と宙を舞い、空>>続きを読む

みな殺しの霊歌(1968年製作の映画)

4.2

狂ってる! 少年をレイプして自殺に追いやった変態マダム五人組に、至極身勝手な理由で残忍な復讐を遂行する殺人鬼。全員異常の倒錯した世界。警察も「女が男を輪姦する」なんてケースは笑い飛ばしてしまう。どうし>>続きを読む

送られなかった手紙(1959年製作の映画)

4.0

画面に横溢するパワーが強すぎる。迸るパッションに共鳴するかのごとく、山火事だろうが吹雪だろうがお構いなしにカメラは飛び込んでいく。森の中をどこまで走っても炎が燃え広がっている山火事シーンなんかは迫力が>>続きを読む

バトルランナー(1987年製作の映画)

3.3

いくら殺人ゲームとはいえ毎晩放送してたらみんな飽きるんじゃね?...というツッコミはさて置いて、変わり映えしない廃墟みたいなステージがダラダラ続くだけなので「バトルランナー」番組としてそんなに面白くな>>続きを読む

コギャル喰い 大阪テレクラ編(1997年製作の映画)

3.2

殺したい人募集中の女装連続殺人鬼と、テレクラ界に舞い降りた翼のない天使様が、世紀末の大阪でボーイ・ミーツ・ガール。厨二病センス全開のエログロ暗黒メルヘン。こういうチープな悪趣味ポエムですら、フィルムの>>続きを読む

夏の庭 The Friends(1994年製作の映画)

3.9

瑞々しい生をもて余すがゆえに、死への興味を掻き立てられる子供たち。彼らは近所のボロ家に住む死にかけの三國連太郎との交流を経て、生と死の表裏性を自覚していく。雑草をむしり、障子を張り替え、朽ちた家をみん>>続きを読む

も〜っと!おジャ魔女どれみ/カエル石のひみつ(2001年製作の映画)

3.7

どれみ達のテンションは平常運転だが、語られる物語は信じがたいほどに陰鬱。カエル石にまつわる悲しき過去、あいこが抱える強烈なトラウマ。こんな重いエピソードを回収するのに26分では短すぎる。尺が無いので場>>続きを読む

仮面の米国(1932年製作の映画)

3.8

劇伴ほとんど無しの乾いたリアリズム。鎖を脚に繋がれ、一日中過酷な労働に従事させられる囚人たち。むせ返るような暑さと看守たちの理不尽な暴力。ドキュメンタリー・タッチで描かれる獄中生活は、画面越しに汗と砂>>続きを読む