Genichiroさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

Genichiro

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田園に死す(1974年製作の映画)

3.3

鈴木清順の大正浪漫三部作でも再認識したが、こういう作品の問題は作家が商業ベースの職業監督以上に物語を「語るべきもの」と認識しているところにある。「母さん、生き返ってもう一度私を妊娠してください」という>>続きを読む

不変の海(1910年製作の映画)

4.2

確かにこれはシャマランの『オールド』を想起する。15分に満たない時間で、わずかな素材で、ここまでできるか。すごい。いやもうなんか、すげえな。的確な反復によって不可逆な時間の流れを観客に体感させる。

Here(2023年製作の映画)

4.0

静謐で綺麗なんだけど、各カットの繋がりにダイナミクスを感じられず。ダラダラ見れていいんだけどね。ぼーっと見ながら余計なことずっと考えて楽しかった。浅井慎平の『キッドナップブルース』みたいな感じ(こうい>>続きを読む

どたんば(1957年製作の映画)

3.9

炭鉱の描写がすごい。これどういうセット組んで撮ったんだ。この暗い話がどうなるのかと不安な気持ちで見ていたがひとまず大団円…いきなりクレーンショットが挟み込まれたりして驚く、あとオープニングの長回しも。>>続きを読む

キャッチ22(1970年製作の映画)

4.3

なんか知らんけど撮影がめちゃくちゃ良い。あんまそういう言及されてない?オープニング、日の出をじっくり捉えたカットと遠景からのクローズアップ。この二つの長回しに驚く。大佐とMM興行の手先みたいなやつが会>>続きを読む

エグザイル/絆(2006年製作の映画)

4.4

オープニングの人物配置がジョニー・トーすぎて最高なんだけど、銃撃戦→やめよう
‼️から何をするかというと家具を修理して飯を作ってみんなで食う。うわー、A JONNIE TO FILMすぎる。闇医者を訪
>>続きを読む

ブレイキング・ニュース(2004年製作の映画)

4.3

オープニングの長回しが凄すぎて唖然。もうこれだけで歴史に残る。すごすぎるって。手間のかかりように感心するだけでなく、このワンカットで登場人物の関係性を理解させる見事な導入となっている。アクションはもち>>続きを読む

八つ墓村(1977年製作の映画)

3.6

冒頭いきなりの嘔吐。大野雄二と芥川也寸志だとだいぶ雰囲気違うわな。山崎努ちょっとだけしか出てこねえじゃねえか。あのビジュアルを発明したのがすごい。小川真由美の台詞回しいいなあ。人に説明する時ってこうい>>続きを読む

見えざる敵(1912年製作の映画)

4.2

並行編集のグルーヴが現代の映画と全然違うので面白い。15分の情報量に感動する。ビジュアル、映画的アイデア…なんといっても壁から飛び出る拳銃、そして回転する橋!!

ツィゴイネルワイゼン 4K デジタル完全修復版(1980年製作の映画)

4.2

中砂が退場するあたりまで、と終盤は面白い。ってことは『サラサーテの盤』についての幻想的な怪奇映画の要素が面白くて、それ以外の部分がかなり退屈ってことである。日活時代のような制約を全て取っ払って撮りたか>>続きを読む

ラブホテル(1985年製作の映画)

4.5

「サービスするよ…なんちゃって」で爆死。切り返さないというルールを徹底するための鏡の使い方(事務所とタクシー車内の二箇所)に驚く。階段の映し方や波止場での凄まじい長回し。そして事務所内を「泥棒猫!!」>>続きを読む

Love Letter(1995年製作の映画)

3.0

あんまりこういうこと思わないんだけど、編集のテンポおかしくないか?もちろんそういう変な編集ですよ〜ということも含んだ演出なのはわかる。それがいい効果を成していない。大林作品のようなノスタルジーが立ち上>>続きを読む

ドラッグ・ウォー 毒戦(2012年製作の映画)

4.2

コカイン連打して氷風呂最高すぎる。無表情からのひょうきんマフィア完コピに笑う。過去作のような映像ギミックはないものの、単なるクライムアクション映画とは全く違うスピード感に驚く。登場人物のキャラクター描>>続きを読む

インサイダー(1999年製作の映画)

3.8

OJシンプソン無罪判決は94年。突然マイケル・ムーアが出てきてビビる。『スパイゲーム』とは違う無様なアル・パチーノの姿がしみる。ジーナ・ガーションが出てくると気にしてしまうよねー。こういう映画でも、い>>続きを読む

花婿、女優、そしてヒモ(1968年製作の映画)

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オープニングからランズベルガー通りを移動する車窓の眺めのワンカット。そこから室内に移動したと思ったら明らかに舞台セットを映したカット。これはフェルディナント・ブルックナーの戯曲『青年の病気』を上演した>>続きを読む

牛乳屋フランキー(1956年製作の映画)

4.3

illすぎる。今作でのフランキー堺、小梅太夫感あって面白い通り越して怖い瞬間ある。アパートで客に頼まれて牛乳沸かしてる場面とか。あげく泡まみれなの最悪すぎて笑う。さんざっぱらやらかして店に戻ってくると>>続きを読む

スーパーバッド 童貞ウォーズ(2007年製作の映画)

4.2

初めて劇場で見れたのはいい経験。今見るとギョッとするような女性蔑視ギャグはそれが後に成長譚として回収されるとしてもなかなかびっくりする。なんせ16年も前の作品なわけで、それだけ経てばどんなクラシックも>>続きを読む

過去のない男(2002年製作の映画)

3.9

暴漢に襲われる序盤の場面、簡潔に暴力の怖さを映していてすごい。銀行強盗の場面もいいなあ。家庭に戻ったあとの不思議な味わい、そして暴漢たちに再度対峙したときに彼のために集う仲間たち。いやーカウリスマキの>>続きを読む

ミッシェル・ド・モンテーニュのある話(2013年製作の映画)

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モンテーニュの像、それに被せる朗読(死が近づくと画面が真っ暗になるの直接的すぎておもろ)、朗読している女性のカット。これでいいんかい、これでいいんですよ。90分とかだと困るけど、30分くらいなら成立す>>続きを読む

夢のチョコレート工場(1971年製作の映画)

4.0

ウンパールンパーが悪趣味すぎる。『注文の多い料理店』とか『千と千尋の神隠し』みたいな悪趣味な訓話って、そういや原作はロアルド・ダールでしたね。そりゃそうだ。今見てもかなり面白い。女の子がブルーベリー化>>続きを読む

シークレット・サンシャイン 4K レストア(2007年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

今後この映画を見返すことはあるのだろうか、見終わってそんな気持ちになった。しゃがみ込んで細いタバコを吸うソン・ガンホの姿を思い出す。あの忘れ難い葬儀の場面や面会での切り返し、割れたガラス。そして、あの>>続きを読む

(2012年製作の映画)

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タイトルが目に痛いほどの白、そこから数分真っ黒の状態でマーラーが流れてなんじゃこりゃ。いい曲やね。これもめちゃくちゃミニマルな切り返しで終わり。

慰めようのない者(2011年製作の映画)

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めちゃくちゃミニマルな切り返し、から二人の位置関係がわかるカットに驚く。

麦秋(1951年製作の映画)

4.5

素晴らしい。やはりこれも残酷な映画で、ヴェンダースは小津のことなんもわかってなかったんだなと痛感する。今作も他の小津作品と同じように人々の選択と時の流れをそれぞれ縦軸・横軸として関係性が断裂していく様>>続きを読む

輪舞(1950年製作の映画)

3.6

すごさよりも何なのこのこだわりと面白くなってくる。フィルムを切るというメタな演出とかこの時期に既にあったのね。労作なのは間違い無いけど、そこまでハマらず。

千年女優(2001年製作の映画)

4.3

見ている間、原節子や高峰秀子や溝口健二と田中絹代の関係性などを想起しつつもあんまり関係ないのかなとか思ってたがそんなこともないらしい。話自体は『市民ケーン』+『サンセット大通り』的なやつ。現実と回想の>>続きを読む

夏の嵐(1956年製作の映画)

4.1

導入として簡潔すぎるオープニングカット、印象的な焚き火のシーン、ベッドによって分断された二人という構図など印象的な箇所は上げられるんだけど、そういう映画ということでもない。ショットがどうとかそんなこと>>続きを読む

関東無宿(1963年製作の映画)

3.8

若い頃の小林旭、かつての五味隆典に似てるな。そして野呂圭介は長南亮に似てる。小林旭の抱き上げ→キスの速度、素晴らしい。醤油にそんなはっきり映らんやろ、爆笑。刺青一代→東京流れ者に通じるようなシンボリッ>>続きを読む

ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!(1999年製作の映画)

4.0

え、こんなにシニカルな作品なの?とびっくり。ギミック満載の編集、才気走ってますね〜。昔だったらこういうシニカルさを面白がってたと思うけど、今はちょっと距離を取ってしまう。それでも十分面白いけどね。どこ>>続きを読む

クレージー黄金作戦(1967年製作の映画)

3.4

ラスベガス行くまで50分近くかかる、長いよ!ラスベガス行かないと話にならない。加山雄三の歌いいねえ。「クレージーキャッツが日本から来てやってんだよ!」。馬鹿馬鹿しくていい。そして何よりストリップ通りで>>続きを読む

学校の怪談3(1997年製作の映画)

3.7

2作目より展開が早くて助かる。「キョンキョンがラジオで言ってたよ」。撮影が凝ってて今作のキーとなる鏡の使い方、長回しや妙なクレーンショットなど結構面白い。そしてトビーフーパー的な逆光。小学生の恋愛展開>>続きを読む

学校の怪談2(1996年製作の映画)

3.2

序盤の野菜投げがひでえ。田舎の学校の教室にずらっとパソコンが並んでいる画がおもろすぎるって。追跡型ミサイルと化した岸田今日子にウケる。巨大地蔵とか巨大カブトムシ(なにあれ?)をちゃんと作ってるのはすご>>続きを読む

クレージー大作戦(1966年製作の映画)

3.6

オープニングから銀座四丁目の歌舞伎座のあたりが映るのが嬉しい。銀座線の渋谷駅が出てくるのもテンション上がる〜。二瓶正也が出てくると実家のような安心感。麻酔薬付きパンティで気絶するだけの役で笑った。谷啓>>続きを読む

ミレニアム・マンボ(2001年製作の映画)

4.4

劇中のクラブで流れる往年のテックハウス/ハードハウス?が気になる。あとパソコン画面にHooj Choonsのロゴが映し出されていた気がする?侯孝賢のフィルモグラフィーでは『フラワーズオブシャンハイ』に>>続きを読む

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.7

『ツイスター』+『グリード』やん。このアイデアに振り切ってもっと映画として簡潔なら傑作だったのに…と思うがジョーダン・ピールはそんなことできないのだ。語りたい事柄のために仕掛けが多すぎるし、相変わらず>>続きを読む

変態家族 兄貴の嫁さん(1984年製作の映画)

4.0

言わずと知れた周防正行のデビュー作、ポルノ映画で小津安二郎のパロディをやってのけた珍作。珍作界の中では一番有名なやつ。予算の問題もあるのでパロディつっても限度があるのだが結構いろいろ頑張ってる。大杉漣>>続きを読む