水のまちさんの映画レビュー・感想・評価 - 33ページ目

水のまち

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ニーチェの馬(2011年製作の映画)

4.7

猛然と白い風、黒い馬
何一つ当然ではないと、生きる灯火。
長回し、FIXで撮るそれとは別様。トラック、クレーンをふんだんに使い、精密に。その失敗の出来ない緊張感と集中力が、神が死んだ世界の荒野に生き
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僕らのミライへ逆回転(2008年製作の映画)

3.4

Ray Parker Jr.再生

90年代の幕開けを思い出すベタベタ感。ジャック・ブラックの顎と眉が相変わらずで、少々飽満。それでも秀才なエンディングを迎える。

your feet's too b
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ベルフラワー(2011年製作の映画)

3.7

楽しいおしゃべり 誠実な恋
またはThe Humungusの作り方

MADに程良く心ワブる。
彼女はどことなくディヴァイン似。
1972 Buick Skylark

シルビアのいる街で(2007年製作の映画)

5.0

硝子が透き通る人々を重ねる

光がものの表情を変え、木漏れ日の様に細やかに、ヴィオラの響きの様に深くストラスブールの街を歩く、赤い服の女を追い。
初めて目にする路地裏は希望を与え、二度目には感情を生み
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気狂いピエロ(1965年製作の映画)

5.0

君の好きなこと してみたい事は?

分からない…、分かり合えない…、思考を詩的な言葉で天秤にかけ、その覚束ない揺れに身を委ねる男女。
時折、観客に話しかけたり、カメラ目線だったり、どこか映画的だったり
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アレックス(2002年製作の映画)

4.2

Irréversible 不可逆

また心臓を掴まれる。ギャスパー・ノエ、不感症以外は感じるであろう分かりやすさに肌が合う。

哀れなチ◯ポことフィリップ・ナオンのパンイチから、何も触れることの出来な
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4匹の蝿(1971年製作の映画)

3.9

目の青いうち

ドラムロールと黒いバックグラウンド、タイトルが脈を打ち、不条理の世界がfuzzyに始まる。狂気が現実で笑い、ラストシーンが冷淡に輝く。

撮影・編集の技法が多種多様、出し惜しみないのも
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ブラック・ハッカー(2014年製作の映画)

3.3

Do it!

Ghost Rider/Suicide この曲を好きな人に悪い人はいないとか。原題のOpen Windowsの方が内容を深く捉えられる。

ツバル(1999年製作の映画)

4.7

“翻訳なしでどこでも理解されること”

摩訶不思議な設定と登場人物達、散りばめられた遊び心、字幕が消えたおかげで見えてくる世界に快感を覚える。モノクロームの廻る色彩と機械じかけの音が生み出す、1.1倍
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ミルコのひかり(2005年製作の映画)

4.3

空は豊かな草原より広く 可能性が澄み渡る

なぜに心打たれ涙するのか? …その直向きさ、その優しさ、その喜びを知っているから。かつては向日葵の様に光を浴びる子供だったから。
事故により視力を失ったミル
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春にして君を想う/ミッシング・エンジェル(1991年製作の映画)

3.7

憧憬の土

都会の夜 集合住宅の無機質な光彩、ブラインドの影の横縞、tuck inした孫娘、もはや上質なSF映画の様。そこには居場所のない老人が、少女の様に望郷を語る幼馴染と出会い、自然へと…。
光と
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ホーリー・マウンテン(1973年製作の映画)

5.0

UP ABOVE THE WORLD

シンメトリーの世界に鳴り響くdroneとバリカンのrhythm、冒頭から既に拍動が同期している。

想像していなかったホドロフスキーの青。鍵に始まり幾多の青はど
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ロブスター(2015年製作の映画)

4.4

愛とは何か?…見えないものは目を閉じて探す

独身者は許されず、45日以内にパートナーを探さないと動物にされてしまう近未来。
純愛が薄れゆく現代の多種多様な愛の形を皮肉たっぷりに描くものだから静寂の館
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白い馬(1952年製作の映画)

3.8

蹄のゴルペ

背景のない白い幻想的な世界に美しき白い馬と美少年。この世界観において、人間臭い馬飼い達が騒がしすぎて不必要に感じた。ストーリー性をなくしてでも見続けたい映像美。

ふたりの人魚(2000年製作の映画)

4.0

愛しているなら、死ぬまで私を探して。

第六世代 インディペンデントの夜明け。
揺れ動く主観ショットと汚れた蘇州河。時代を挑発的に切り取り、生々しくも美しい色彩で描く。
中国四大女優・周迅演じる美美と
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赤い風船(1956年製作の映画)

4.5

純真に空を見上げる

空を飛びたい童心の夢、風船は軽々と宙に浮く憧れの存在。
私が可愛い〜と思うにはサイズ感が鍵を握っていて、この風船は本当にぴったりなサイズ(紐は太め、結構丈夫)。
つやつやな赤い色
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クリスチーネ・F(1981年製作の映画)

4.0

夜空に回るスリーポインテッドスター

彼を真似たイレズミだけでは足りなくて、同じ世界へと銀のスプーン…It's too late.
狂いのない電子音が幼き心模様を生々しく炙り出し、落書きだらけの情景が
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パーマネント・バケーション(1980年製作の映画)

4.1

jubilee shoesが今に点を打つ

わからない時は歩く、歩くしかない。
比率が生み出すクールな構図、遠ざかる摩天楼。
Lounge LizardsよりDNAな私には全ての良さがまだわかってい
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アンディ・ウォーホルのBAD(1977年製作の映画)

4.2

まさにSCAM

再生された瞬間からPOP、これはウォーホルの映画。電気分解脱毛専門の美容院に電話のベルが鳴り響き、BADな依頼…女。

1968年6月3日 マンハッタン
ウォーホルはレインコートを羽
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女が眠る時(2016年製作の映画)

3.6

履かすモノと脱がすモノ

産毛と言ったら忽那汐里。三白眼の新井浩文。デニールを語るリリー・フランキー。

夜の透明なプールに落ちていく赤い鮮血

裸のキッス(1964年製作の映画)

3.7

髪を生やし気高く歩いても、不条理が足を引っ張る。

冒頭のクレジットには心躍る役名の数々、目につくmarshmallow。
暴力・仕返しの醜い様 、読めない感情の起伏、子供の笑顔すら、何処となく冷淡で
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パロアルト・ストーリー(2013年製作の映画)

4.1

理由がわからないから、身勝手に探す

騒がしき夜の終わり、友が降りた後の一人きりの車内。あの物足りない寂しさや不安と共に迎える朝の始まり。そんな気持ちを思い出し、胸が小さく震えた。
燃える願い事…パロ
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ハッピーボイス・キラー(2014年製作の映画)

4.0

ごめん ごめん… 謝るほどに赤い血が噴く

“ゴダールの決別”を思い出す三つの声。「ボクが守ってやる!」と犬は言い、「殺しはオレをイキイキさせる」と猫は言う。薬を飲まない彼にはいつも声が聞こえてイル。
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ファニーゲーム(1997年製作の映画)

4.4

ejectしても鳴り止まない曲

Bonehead/Naked City まさかの“山塚アイの叫び”で始まり、卵を拝借…GAME START 。
不快、嫌悪、屈辱、怒り、恐れ…向き合いたくない感情の先
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何も変えてはならない(2009年製作の映画)

3.8

傾いた部屋 光る瞳 白い汗

同じスタジオ内にいるような感覚、傍観。白黒の必然も曖昧なまま…。
一緒にスタジオに入るのなら、日の目を浴びない切羽詰まったバンドの“何も変わってはくれない”の方が混沌とエ
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魔術師(1958年製作の映画)

4.0

鏡を使って精神を握る

話せない男に話す男、魔術はそこから始まっていた…。

ブルー・リベンジ(2013年製作の映画)

3.7

後悔はしない……

何処かしらに青、洗練されたfilm noir。無機質な低音と無音の足音。バージニアの空の下、リムジンと虚空。
錆びついたPontiac Bonnevilleがバッテリーを積み、動き
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サラ、いつわりの祈り(2004年製作の映画)

3.7

×を分ける 切れない二人

男とドラッグを貪り、悪魔のような表情を見せる真っ赤なルージュの母親と、その愛を勝ち得る為にぶっ飛びながらも待つ息子(7歳〜)。母親の男が変わるたびに環境もドラッグも変わり、
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セシルの歓び(1967年製作の映画)

3.4

勇気をちょうだい

素直なだけに、気まぐれで、複雑で、思い迷って、踏み出せない。そんな女心を愛し、愛するが故に迫る二人の男心。

若かりし頃に観た時は、只々切なく胸を痛めたが、だいぶ大人になった今 観
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パリ、ジュテーム(2006年製作の映画)

4.8

“フランス人に生まれ変わりたい”
もしも恋人にそう言われたら…
そんな時に観たい素敵な映画

パリ20区のうち18の区の‘見える愛’
地図と一緒に観て楽しめる短編オムニバス
1区に現れたおのぼりさんの
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恐怖の精神病院(1946年製作の映画)

3.3

檻の前で性善説を嘲る男 シムズ

権力病に侵された精神病院・院長ボリス・カーロフと、汚いお金を軽蔑し食べるアンナ・リー。
即席で作った“狂喜の宴”からはじまる不快な世界は、人々を浅はかに、醜く見せる。
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ルルドの泉で(2009年製作の映画)

3.5

奇跡を讃える様々な拍手

絶望を飲み込む細く白い喉。聖なる巡礼地ルルドで、水浴のち、聖母マリアが現れ動きだす。奇跡の始めに髪を梳かす…

トッカータとフーガ ニ短調、アヴェ・マリアのcutout、飛び
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ジェリーフィッシュ(2007年製作の映画)

3.8

泡とともに漂う不器用な透明

イスラエルのテルアビブ。シアン色の空と海の間で直向きに生きる3人の女性のエピソードを交互に並列に平易に。
海から現れた浮き輪の少女、真実を撮りたがる結婚式場カメラマン、人
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肉体の悪魔(1986年製作の映画)

3.9

イカれた女の後ろ髪

冷静さを失い揺れる膝。右手にナイフを持ち、笑いながら糸の旋律に身をまかせ、狂気の世界で安堵する。アンティゴネの哀哭、美しく。

撮影 ジュゼッペ・ランチ
今作は赤、ヨリ、まだ若い
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ガーデン(1995年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

林檎が実る神の庭

ひとつの庭で生まれる濃厚で小さな出会いの数々。
鏡文字を書く赤毛の少女エレナと蟻塚に足を入れ、空模様のCITROENと車を交換、髪を刈り合う不仲の親子、ボクシング。この庭の中では何
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私はゾンビと歩いた!(1943年製作の映画)

3.7

生きる屍を連れ 森の奥の十字路へ

そこには、躍動感溢れるジャングルドラムスの乱れ打ち。生命のダンス。医学が救えなかったもの。
心優しき勇敢な看護婦。愛多き兄とその兄を憎む事で生きているかの様な弟。そ
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