水のまちさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

水のまち

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悪魔(2018年製作の映画)

4.0

attractive、逃げたい心理と逃れられない心理の、狭間ではなく混同。すなわち、混乱。恐怖の根源が死にあるならば、死をもって全ての震えは止まるのだけれども、なかなかどうしてそうもいかずに、苦痛と快>>続きを読む

トラスト・ミー(1990年製作の映画)

4.8

合理主義の狂った世界に支配されるのなんて、真っ平御免。洗脳された人々に、わかってほしいなんて思ってもいない。ただ、そっちの世界から見たら身勝手に思える、誠実の世界に住んでいたい。そして、その世界で信じ>>続きを読む

イゴールの約束(1996年製作の映画)

4.4

まるで、陽の当たらないような。懸命さが空を切る、寒気に吐き出される白い息のような。窮屈な居場所から、心が体外へと逃げ出したかのような。葛藤と風景がひとつの画面に写る。重苦しさ故か、美しさ故か、動揺は行>>続きを読む

ひかりをあててしぼる(2015年製作の映画)

4.0

幸福ではない、破滅へ向かう、運命の出会い。他人に映る自分の為に張り詰められた無数の糸が、一本、また一本と切れ、均衡が保てなくなっていく人間の悲しみと、札束を投げるような人間にとっての金銭が、ある種の安>>続きを読む

VIDEOPHOBIA(2019年製作の映画)

4.1

私が私であるというアイデンティティー。名前、そしてそれに紐付けされた、パスポート・免許証・保険証・証言、その程度。反して、C&Vで意図も簡単に増幅しながら、未来永劫宇宙を彷徨う、私。真逆のような二つの>>続きを読む

リバーズ・エッジ(2018年製作の映画)

4.3

所謂(普通)を演じることで閉じ込めていた闇が、元号も変わり数年も経つと、新しい時代がきたと勘違いして、雪崩るように逆流してきた。その闇は現実に現れると、計り知れない大きさとなり、小さな自分の容量では受>>続きを読む

TOKYO TELEPATH 2020(2020年製作の映画)

3.7

電波バリバリ、TOKYO観光。うちの近所の公園で監督に似た方を見かけたんだけど、本人(ロケハン?)だったんだ。というくらいの、ただの私の生存エリアの描写に、グリッチノイズをのせた感(イヤホンでRica>>続きを読む

神様なんかくそくらえ(2014年製作の映画)

4.1

路上で生活をしていると、見境が無くなる。ヘロインに手を出すと、見境が無くなる。愛に溺れると、見境が無くなる。そのまま解釈を投げつけるようなリアリティに、何の境もなくなると、人というものは動物なのだと考>>続きを読む

さよなら、ぼくのモンスター(2015年製作の映画)

3.8

この世界が狂っていても、怪物になる理由ではない。産むことには選択肢があっただろうが、生まれることにはそれはなかった。だれかを真似るように生きることを覚えてきたけど、決断するのは自分だけでいい。孤独のよ>>続きを読む

トマホーク ガンマンvs食人族(2015年製作の映画)

4.2

明確な目的への一本筋で、殆どの時間を道程に費やす武骨さと乾いた感じが、西部劇然としていて渋い。無駄話が無駄になっていないのがとても好き。そこへ注入する奇形なエッセンス(人間の捌き方)もアクセントとして>>続きを読む

人狼ゲーム ビーストサイド(2014年製作の映画)

3.9

嘘を演じる、という演技の入れ子構造の妙。キャストが皆素晴らしい。否、そもそも私、嘘をつくのが好き、でもすごく下手。理由は多分、情に脆いから。この映画でも泣くくらいに。だから結局、正直者で、死あるのみ。

ヘルタースケルター(2012年製作の映画)

-

まさかのBGM、「ルドウィヒを使うなんて 彼には責任がないのに」と笑わせる。七光りを具現化したような色彩で、かっこよかった岡崎京子の余白を塗り潰した、虚像を流行という金銭に変えることの出来る大人達を集>>続きを読む

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

4.2

適当に生きるのならば、言葉に頼らない方が生きやすい、流れ着いたところが正解で良い。ただ、表明には、理解されることのない言葉を使うほかに術がない、本当、その先に意味があるのかさえも分からないけど、inp>>続きを読む

ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ(2018年製作の映画)

4.3

もう一度会いたい。と、願いと呼ぶには利己的な執着から広がった、奇っ怪な夢想。夜、ふとした瞬間に視界から人が消え、一人だけ別世界に迷いこんだような、あの感覚。何となく背景にあるだろう映画との差異にあらわ>>続きを読む

凱里ブルース(2015年製作の映画)

4.4

前方にあったトンネルの入口は後方へとまわり、思い出せない夢のように過去を閉じ込めながら、小さくなっていった。こぼれつづける周囲の音と、アナログ感満載のワンカット長回しが、時の流れを象徴するかのようだ。>>続きを読む

サンセット大通り(1950年製作の映画)

4.2

栄光よりもはるかに恍惚とさせるスポットライトには、とても危険な中毒性があるようだ。もう一度浴びるためのプロフェッショナリズムと、決して捨てないプライドが煌めきを与えた名シーンの切なさたるや。

丹下左膳餘話 百萬兩の壺(1935年製作の映画)

4.5

百萬両だろうが、敵討ちだろうが、血眼にならない、憂き世ならぬ浮き世感。天性のすけこまし的憎めない愛嬌と、「俺はやだね」の圧倒的美学からくる色気に、粋で鯔背な爽快さ。嬉しくなるほど、かっこいい。

夜の浜辺でひとり(2016年製作の映画)

4.4

欲望が失敗という結果を残酷に突きつけるけれども、後悔なるものは自分の殻の中の一欠片であって、はたから見たら羨む話もあるように、忘れる必要などないものを浮かべ、時は平然と流れている。既婚者を好きになって>>続きを読む

スノーピアサー(2013年製作の映画)

3.9

仮説、ディストピア的な現実への加速、ホーキングが謂う所の100年以内。枯渇性資源に依存した経済至上主義が排出するCO2、パリ協定も蔑ろに止めることの出来ない歯車、増え続けること、個体数 77億。罪では>>続きを読む

ローラーガールズ・ダイアリー(2009年製作の映画)

4.3

本当にやりたいことをやっている楽しそうな顔ほど、眩しいものはない。ついこの間まで、ピタリとくっつき、すぐ後ろを歩いていたのに、見えないところでも頑張って生きて、そして成長していたんだな。周囲に自分の子>>続きを読む

チワワちゃん(2018年製作の映画)

3.9

夜明けは、いつかへの希望のように、遠いどこかから薄い光を届け、静かで弱々しく青かった。あんなに怖かった夜闇さえもが、昼とつながった、ただの夜になったとしても、肌が感じたあの冷たい朝と、ここまで来られな>>続きを読む

退屈な日々にさようならを(2016年製作の映画)

4.4

生きることに慣れすぎたのは、嘘だとわかっていても信じはじめた頃からでしょうか。もう一生会わない人と死んだ人の違いの曖昧さのように、自我は永遠に真実ではないことに疑問を感じなくなった頃からでしょうか。退>>続きを読む

パリのランデブー(1994年製作の映画)

5.0

好意とまではいかない興味の、はにかむようなお節介な距離感で、公の恋人とでは知ることの出来ない、逢瀬のような特別な官能。突然の偶然と、心から飛び散る無数の小さな愛と、現実的な色をした街。向こう側に行けな>>続きを読む

ダーク・スター(1974年製作の映画)

4.0

演算されたかのような数字の数々が、出鱈目のようでいて、宇宙飛行士達も、試験や訓練を絶対パスしていないであろうと思わせる、愛くるしさ。そもそもの任務が、宇宙の秩序を乱す惑星の爆発という、とんでもないスペ>>続きを読む

来る(2018年製作の映画)

4.0

生きている時間、失うものを作り続け、それを積み木のように積み重ね、幸福という高みを目指す。当然、高く積めば積むほど、崩れた時の衝撃は大きく、揺れもまた大きい。これが恐れの正体であるかのような本質が描か>>続きを読む

新しい街 ヴィル・ヌーヴ(2018年製作の映画)

4.5

新しい世界〈未来〉を夢見て開けるカーテンの向こうには、楽しかったあの頃〈過去〉があって欲しいという願いと、変わらぬ同じ景色〈現在〉の重なりがあった。無彩色であること以上の鬱々たる色彩は、悲しみが必ずし>>続きを読む

オアシス(2002年製作の映画)

4.5

勝手に不自由と決めつけた世界から、はみ出すように抜け出して、あなたの好きな色は?と、笑いあう。この広い地球上で、誰も知らないままの、たった二人だけの純愛と自由。縛られた身体より、心はいつでも踊っていた>>続きを読む

The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ(2017年製作の映画)

4.2

生簀の鰯はすぐに弱って死んでしまうが、その中に鯰を入れると緊張感から死なずにいるという、鰯と鯰の話を思い出した。異性が一人入り込んだことで、これでもかというぐらいにステレオタイプな女性性が描けているが>>続きを読む

インセプション(2010年製作の映画)

4.0

複雑、曖昧、混沌、意味不明、であるはずの夢を再現したには明晰過ぎて、アクション映画として楽しむが良し。フィールドは違えど仲間が同時に、ピンチになったり、好転したりと、まさにそれ。夢なんてものは、到底人>>続きを読む

東京流れ者(1966年製作の映画)

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ドンパッチ弾撃ちすぎ、威勢の良さなど、全体の騒々しさが芸術的な構図を安っぽく見せてしまっているようで、カッコイイとは思えなかった。ニヒルさが足りなかったのか、裸の王様的な、または悪趣味的な、余裕をもっ>>続きを読む

イエスタデイ(2019年製作の映画)

4.2

人類史上最高のバンド、The Beatlesの奇跡を体験したかのように、I feel fine。全てが名曲と言っても過言ではない数々が、人生の様々な場面に寄り添い、人々に愛される名曲とは何かを教えてく>>続きを読む

台北ストーリー(1985年製作の映画)

4.3

クリスマス商戦を通り過ぎる、不安。人それぞれの精一杯は、ちぐはぐながらも、色彩豊かに社会を形成していたが、金にものを言わせる営利主義は、それをいとも簡単につまらない色へと塗りつぶしていく。単純な若者た>>続きを読む

夏のゲロは冬の肴(2016年製作の映画)

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もうすぐ大人なのでタトゥー入れた、らしい。広告代理店受けしそうなアートが苦手、または、大人はわからないというループ。オエー。

アメリカン・スリープオーバー(2010年製作の映画)

4.6

23.4°のいたずら、近づく太陽から逃れられない肌の熱を冷ますように、全身濡れた君の姿が美しくみえる季節。何かあってからでは遅すぎるから、結局何もなかったようでもあるけども、新しい季節を迎えるための小>>続きを読む

洲崎パラダイス 赤信号(1956年製作の映画)

4.5

何も無くても生きていられるのは、愛の支えがあるからだ。ただ、愛でお腹は満たされないので、裏切るようにお金に換えて、少しばかり息をする。愛に狂えば凶器にかわり、泥をかぶったように汚れて見えるも、本当は純>>続きを読む

それでもボクはやってない(2007年製作の映画)

4.2

裁かるる事実。判決、それは正義ですら真実ではないという暗晦。無実であろうがなかろうが、国家権力に勝る力などはどこにもないという恐ろしい圧を、逮捕されたら嫌という程感じるのである。