波にやや乗り遅れての鑑賞。なるほどこれはヒットするはずだというか、いい意味でお化け屋敷感覚が強くて、これは子供たちの成長譚が中心に据えられているためもあるだろうけど「怖すぎない」作りのバランスがほどよ>>続きを読む
大林監督がなぜこの映画を撮らねばならなかったのか、なぜこれをずっと撮りたかったのか、過去作を追ってくるとその心情が痛いほど伝わってくる。今ではないかつて、日本が祝祭の空気にさえ包まれていたあの時期、そ>>続きを読む
現代アメリカ映画の潮流のなかで、とりわけスリラーやホラー、サスペンスと言ったジャンルは、批評家に賞賛されるような真にユニークな個性を持った現代的作品が増え、若手映画監督にとっての登竜門的な扱われ方さえ>>続きを読む
これまでに見てきた映画の記憶が、少なくともこの作品に向き合っているあいだは全て吹き飛んでしまうような一本がやってきた。
見終わったあとには、ありがちだとは思いつつも、つい言ってしまう。「これこそが映>>続きを読む
新春から喰らった。
ゆるいとか酷いとかそういう評価軸を通り越した先の何かだった。正直言って楽しんだ。ただ、楽しみつつも内心「これを許して良いのか」という葛藤のある珍しい映画だった。しかし、完成度は高>>続きを読む
この映画はシーンごとに、グラデーションに富んだ複数のトーンの演技を松岡茉優という主演俳優に要求する。場面が切り替わるごとに、微妙に演技のトーンの置き所がころころ変わってくる。その複数のトーンに対して、>>続きを読む
スリの生態のようなものが記録されていて面白い。主人公の顔は画面のなかでおおよそ無表情だけど、手元のアップになったとたんにたちどころに画面に冷たい色気のようなものが走る。手によってサスペンスやキャラクタ>>続きを読む
スマートでスタイリッシュながら落ち着いた編集のテンポ感が作品にマッチしてて心地よい。ちょっとこの話に対して尺が長い気はしたが。脚本や編集の切り詰めかたによっては100分前後に収まる話のようにも思える(>>続きを読む
なんだこれ……やられた。この作品においては鳴りっぱなしのBGMなど、ややもすれば説明過多になりそうな演出を平気でぶち込んできて、いや実際のところ過多なのだが、それを力業でありにしてしまうセンスと腕力み>>続きを読む
ミステリーなので観客も騙されているのは当然なのだけど、非常に映画らしい手法によって後から考えてみると『あのとき自分も騙されていたのか』と気付くシーンが一カ所ある。小説では表現できないような……面白い。>>続きを読む
出だしの設定がユニークなだけに、もうちょっと面白く(話を転がしたり)できたんじゃないか? という気がする。
イマジネーションのフィルターを通しているが、これはやはり確かに一市民から見た戦争の姿を映し出しているのだ、と思う
元のジョン・カーペンター監督のハロウィン、ピエロ的なマスクにする可能性もあったらしいが、結果としてあのいっさい表情を感じさせない無機質な白いマスクが選ばれた。ジェイソンやフレディのような顔面にキャラク>>続きを読む
鑑賞前に無意味に構えてしまっていたこちらの姿勢に反して、想像以上に見やすくキュートな作品ではあった。しかし、単に暗く陰鬱で残酷な誰の目にも分かるディストピアというわけではなく、これまで当たり前のものと>>続きを読む
どんでん返し、とかそういうところではない場所に面白さがあった。僕は本作を映画館で見たわけじゃないけども、劇場を出たとき街をゆく人々の姿が以前と違って見える映画はたいてい優れた映画だと思っている。これは>>続きを読む
いろいろ言いたいことがある。
良くも悪くも疲弊した。ということは、まぁ作品として半分は成功しているということではなかろうか。
作家として激しい毀誉褒貶にさらされがちなノーランではあるが、今回はうる>>続きを読む
我々がふだん当たり前のこととして受け入れている社会通念上のルールを揺るがす存在が現れ、秩序を次第に解体し、最後には世界が滅亡する。このどこか冗談めいた物語は、黒沢清監督のフィルモグラフィのなかで時に回>>続きを読む
ほとんど一瞬にすぎないが、ところどころこの役所広司にはかつての黒沢清映画からやって来たのでは、と思わせる瞬間がある。出で立ち、振る舞い、色気のある、どこかとぼけた、それでいて中身の読めないあの表情はさ>>続きを読む
世界を……というかセカイを救うために、妻子ある身でありながら、物憂げな雰囲気の女中とベッドを共にして浮遊し、自宅に放火。ヤバイ話である。
この人の作品は、世界が終わろうが奇跡が起ころうがどこまでも果て>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
語りたくなる作品であると同時に、語りにくい作品でもある。難しい、が、とてつもなく面白い。
アメリカにおける複数の女優に主演をオファーしたが、次々と、それも即座に断られたらしい。Wikipediaによ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
前2作の終わり方について考えてみたい。一作目では、不意にわき腹を刺されて殺されるというある種「ぶざま」な死に方が驚きだったし、二作目では、パワーバランスのせめぎあいにおいて発生するもめごとと、「けじめ>>続きを読む
『イット・フォローズ』を見たとき、それがこの監督の作品に触れる一本目だったにも関わらず「この人の映画はずっと追いかけよう!」と(個人的に)心に決めたデビッドロバートミッチェルさんの処女作。
『イット>>続きを読む