ガンビー教授さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

ガンビー教授

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地獄の警備員(1992年製作の映画)

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黒沢清の手にかかれば、そのへんの会社のビルが暗部をたたえた迷路になり、ただの警備員が地下室に潜む怪人となる。もはや完全に異界と化した地下で繰り広げられる殺人。

あれほど暗い会社も実際にあったらいやな
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ライムライト(1952年製作の映画)

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喜劇王の称号にふさわしい、必ず爆笑をかっさらっていくあのチャップリンが、これほど笑えない映画を(あえて)撮ったのだというところが悲しすぎる。笑えない老い暮れの喜劇役者が主人公だから、笑えないのは当然な>>続きを読む

ゾンビ/ディレクターズカット完全版(1978年製作の映画)

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意志を持たずショッピングモールをさまよい歩く死人の群れが、恐ろしくもどこか間抜けで、哀れでもあり、現実のグロテスクな戯画化として冴えている。社会が崩壊したあと、その空間でのあてどもない暮らしはそこそこ>>続きを読む

ウイークエンド(1967年製作の映画)

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あまりに事故車が多すぎて笑ってしまう。ゴダールは、コメディ寄りの作品がやはり好き。

パリの恋人(1957年製作の映画)

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フレッド・アステアとオードリー・ヘップバーンの組み合わせだけですでに勝っている。

楳図かずお恐怖劇場 蟲たちの家(2005年製作の映画)

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西島秀俊が若く、風貌も今とちょい違うんだけど、この頃から声は変わっていないのと、非常に黒沢清的な役者としての空気感をまとっている。ぬぼーっとたたずみ、何を考えているか分からず、突発的に異様な言動をしそ>>続きを読む

怪物はささやく(2016年製作の映画)

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説明的に感じた。

重要なポイントは台詞によっていかにも文学的に語られる。おそらくこの物語に必要な枠組みは映画ではなく小説という気がしてくる。

小説であったほうが、この物語の、物語そのものを俯瞰する
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ラプチャー 破裂(2016年製作の映画)

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適当な理由をつけて薄桃色の照明を使っており、どこかフェティッシュな空気も漂いつつ……この映画にしかないような変な映像などを見ることができたので私としては満足。

街の灯(1931年製作の映画)

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彼がさんざん悲劇的な目に遭ったり窮地に追い込まれたりするたび我々は腹を抱えて笑う。そして映画の幕切れ、彼が非常にキュートな笑顔を 見せるとき、我々は泣いている。あのあと登場人物がどうなったというような>>続きを読む

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)

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とりあえず、この映画についての文句ではないのだが、プライベートライアンを超えた戦闘シーンと書いた人は10回はプライベートライアンを見直してほしい。

個人的には、勇ましい音楽とともにスローモーションで
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パーソナル・ショッパー(2016年製作の映画)

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一部キレッキレのホラーだったので満足しました。また、終わり方の切れも良い。
ジュゼッペトルナトーレの「何かいい話風にまとめられてるけどスゲー病んだ映画」こと『ある天文学者の恋文』なんかをちょっと思い出
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バッド・バディ! 私とカレの暗殺デート(2015年製作の映画)

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僕としては、変な訛りを頑張るティムロスと、もちろん何よりアナケンドリックをいっぱい見ることができたので、満足はしている。

アナケンドリックに関しては、いかにもおどけたテンションのオーバーアクティング
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(1985年製作の映画)

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知っての通り、黒澤明という人の映画は「過剰」である。

セリフや演技、メイクに衣装、美術、セット、演出、すべてが「過剰」なのだけど、それが白黒というフィルターを通すと中和されバランスが取れていた、とい
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昼顔(2017年製作の映画)

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劇場を出るとき、他の観客が「めっちゃ怖かった。へたなホラー映画より怖い」と言っているのを耳にしたが、まさにそういう映画。

一応書いておくとドラマは全く見ていない。それでも映画はぜんぜん見られた。この
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こどもつかい(2017年製作の映画)

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これはいいな、と思ったところは大抵非ホラー部分の脚本など。親と子の物語に真摯に落とし前を付けようとしているあたりはなかなかはっとする。親もまたかつての子であったという事実……その自意識はみんなふだん忘>>続きを読む

マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016年製作の映画)

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ものすごく悲劇的な回想シーンを描くときでさえ、あえて気が散るような、ミステイクではないかと思ってしまいそうなディテール(役者を搬送する担架がぜんぜん救急車に乗らない)を入れ込んでくるあたりにこの作品の>>続きを読む

夜に生きる(2015年製作の映画)

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ベン・アフレック、本人があんなに脱力した顔をしているのだから映画もほんの少し力を抜いてほしい。

ポスト・イーストウッドとも呼ばれることがあるベン・アフレックなのだけど、イーストウッドが特に初期におい
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映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ(2016年製作の映画)

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原作未読なので想像でしかないが、詩人というのはふつうの人間が「これは詩にならない」と見過ごすような思いもかけないディテールを拾い上げる仕事なのではないだろうか。そして、あまりに凡庸すぎて手を出すのがは>>続きを読む

スプリット(2017年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

文中で、ある現役の映画監督の名前を出し、シャマランと比較していますが、もう一人の監督について貶める意図はありません。彼のことは嫌いではありません。




顔をアップであまりにもかっちりと捉えすぎた画
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フレンジー(1972年製作の映画)

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もちろんヒッチコックが一番脂ののっているような時期は過ぎた作品なのだけど、切れ味はしっかりある。主役やその周辺の女優たちにどこかスター性がなく、殺人犯にはどこか人の目を引くようなキャラ立ちがある、とい>>続きを読む

美しい星(2017年製作の映画)

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この企画、吉田大八監督×三島由紀夫の『美しい星』、という企画を聞いた瞬間それは間違いなく間違いないだろうと確信した。その確信は映画を待っている期間、揺らぐことがなったと言えば嘘になるけど(それはもちろ>>続きを読む

汚名(1946年製作の映画)

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イングリッド・バーグマンのはっきりと角度のついた眉毛と眼差しの力強さがまずは何よりも素晴らしい。能動的に動き、事態の核心へ迫っていくいかにもヒッチコック映画の女性という感じ。

そんな彼女がケイリー・
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デビル(2010年製作の映画)

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シャマランが監督したわけではないが、原案と製作で一枚噛んだ作品。この人はツイストがウリのように思われているけど、発想そのものには全くひねりがない(ものすごくストレート)という特徴がある。本作もその例に>>続きを読む